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アート秘話 〜名画に隠された世界〜
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5歳の時、偶然見つけた1枚の写真が、天才画家ダリの人生を永遠に変えることになる。両親から「お前は死んだ兄の生まれ変わり」と告げられた衝撃は、彼の心に消えない傷を残した。その体験がダリを突き動かし、独自の芸術スタイルを確立させ、奇行や型破りな表現へと駆り立てていく。誰にも真似できない唯一無二の「ダリ」になることで、兄の影から必死に逃れようとした天才画家の知られざる素顔に迫る。
溶けた時計で知られる20世紀を代表する芸術家、サルバドール・ダリ。しかし彼は、作品を生み出す画家であることよりも、「ダリ」というブランドを世界に広めることに執着していました。TV CMやロゴデザイン、そして白紙にサインを施すという驚きの商法まで。卓越した画力と奇抜な発想を持ちながら、なぜダリは実業家への道を選んだのか。ダリのエピソードを展開していきます。
江戸時代、わずか10ヶ月で150点もの傑作を残して姿を消した謎の天才絵師・写楽。その正体について、能役者の斎藤十郎兵衛説が定説とされる一方で、浮世絵師の歌麿や北斎説など、諸説紛々。なぜ蔦屋から突如デビューし、なぜリアルすぎる役者絵にこだわり、なぜ突然姿を消したのか。東洲斎写楽の正体に迫ります。
江戸時代、突如として浮世絵界に登場した謎の絵師・写楽。当時最大手の版元・蔦屋から、いきなり豪華な大判作品をリリースし、歌舞伎役者の素顔をあまりにもリアルに描き出して世間を驚かせました。しかし、その圧倒的な画力と独特の写実的表現は、逆に当時の人々の反発を招くことに。わずか10ヶ月という短い活動期間の後、姿を消した写楽の真の正体とは?江戸時代最大の美術ミステリーに迫ります。
絵画、科学、工学など、あらゆる分野で傑作を残した万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。その最期の言葉が意外にも「スープが冷めてしまうから」だったという驚きの事実をご存知でしょうか。フランス王フランソワ1世に深く愛され、悠々自適な生活を送った最後の3年間。世界最高の知性は、研究ノートに日常的な一言を残して、静かにその生涯を閉じました。天才と呼ばれた人物の、あまりにも人間味あふれる最期の真実に迫ります。
商人の妻の肖像画として依頼されたモナリザは、なぜダ・ヴィンチによって15年もの歳月をかけて描き続けられたのか。輪郭線を極限まで消し込む独自の技法「スフマート」や、筋肉の動きまでも計算された究極の表情表現など、ダ・ヴィンチの探究心と芸術への情熱が詰め込まれた傑作の誕生秘話に迫ります。依頼主にも渡されず、死の間際までアトリエに置かれ続けた謎多き肖像画。そこには、人体表現における"美の極限"を追い求めた芸術家の軌跡が刻まれていました。
古代ギリシャ以来、詩や音楽が芸術の頂点とされてきた時代に、絵画と彫刻の価値を巡って真っ向から対立したダ・ヴィンチとミケランジェロ。フィレンツェ政府が仕掛けた別居宮殿での壁画制作は、芸術表現の優位性を賭けた歴史的な対決となるはずでした。互いの信念と技法の違いが浮き彫りとなった未完の傑作から、ルネサンス期における芸術観の大きな転換点を読み解きます。
今日の番組は、「アート秘話」とはどんな番組なのか、モネ作品の「積みわら」が122億円で落札されたのはなぜか、です。番組の感想は#アート秘話でSNSに投稿してください。
父の死を経て信仰の支えを失ったゴッホは、弟テオのもとを頼りパリへ向かう。そこで彼を待っていたのは、モネやスーラら印象派の光と色彩の世界。科学的な点描や色彩理論に触れた彼の絵は、暗闇から一転してまばゆい光を放ちはじめる。そして、出会った浮世絵に“影のない明るさ”と“日本という理想郷”を見出したゴッホは、南仏アルルへと旅立つ決意を固めていく。光と日本に魅せられた画家の、転換と憧れの物語。
ゴッホが残した数多くの手紙の中には、愛と狂気の境界を彷徨うような言葉があふれています。「私が幸せになるには、あなたが必要だ」――この執着にも似た思い込みは、信仰への渇望から愛への依存へと形を変え、彼の生涯を支配していきました。拒絶されてもなお燃え続けた恋心は、やがて創作への異常なまでの集中力へと転化されていったのか?この回では、ゴッホの恋愛遍歴を通して、“幸福”を求め続けた一人の芸術家の内面に迫ります。
信仰が揺らぎ、神の存在が疑われ始めた19世紀。そんな時代に、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは絵筆を“祈り”のように握りしめた。牧師を志して挫折し、救いを説くことができなかった彼は、キャンバスの上で「光」と「救済」を描こうとする。思い込みの激しさと純粋な信念の狭間で、彼が見出した“信仰”、それは、太陽やひまわりといった自然の中に神を見出す、孤独な魂の探求だった。
牧師の家に生まれ、神を求めて絵筆をとったフィンセント・ファン・ゴッホ。たった10年の創作の中で2000点を描き上げた彼は、光を描こうとするほど闇に引きずり込まれていきました。弟テオの支えを受けながらも、報われぬ愛と孤独に苛まれた人生。それでも彼の絵は、誰よりも強く「生きること」を照らし続けています。今回の放送では、そんなゴッホの“美しい破滅”をたどります。
一見、ただの空気、ただの飴、ただの服。けれど、その“何でもないもの”の中に、人の生や死、愛、記憶が静かに潜んでいるとしたら。今回は、イブ・クライン、ボルタンスキー、フェリックス・ゴンザレス=トレスといったアーティストたちを通して、「コンセプチュアル・アート」が投げかける深い問いをたどります。見ることよりも「感じること」こそがアートになる瞬間。あなたの心の中にも、きっと“見えない作品”が生まれるはずです。
覗き穴の向こうに広がるのは、裸体・滝・灯、デュシャンが死後に明かした《与えられたとせよ》、フィラデルフィア美術館の“扉”です。レディメイドで「選ぶこと」を発明した彼は、最後に徹底して「自作」へと反転し、鑑賞を共有不能な体験へと設計しました。沈黙、秘匿、そして公開のタイミングまでを作品化することで、「作品の価値はどこで、誰が、いつ決めるのか?」という問いが今も更新され続けています。本編では、制作背景(マリア・マルチンスとの関係やミニ・レトロスペクティブ的思考)を辿り、日々の意思決定やブランド設計に応用できる“見せない戦略”と“文脈の力”を読み解きます。
アートとは何かを問い続けた末に「アートをやめる」と告げ、デュシャンはチェスへ、さらにルーレットなどのギャンブルへと越境します(理論上勝てるという“デュシャン流必勝法”は、無限資金が前提という皮肉付き)。資金調達のため自作の「モンテカルロ債券」を発行し実際に売れますが、投資家への利回りを支払えず頓挫、企ては焦げ付きます。次は発明家として回転視覚装置「ロトレリーフ」を科学見本市に出展—500部作って売れたのはわずか2部、在庫と赤字だけが残りました。それでも彼はペギー・グッゲンハイムらに助言するディーラーとして価格形成の裏側を熟知し、作品の価値と市場価格のねじれに嫌気を募らせていきます。本エピソードは、アートの外側で続いた一連の実験が、デュシャンとって何を意味していたのかを考察していきます。
《大ガラス》を入り口に、「美術館にあるのは“思考”か“物”か、それとも“創作(プロセス)”か?」という核心に迫ります──設計図とメモの束〈グリーンボックス〉が“デュシャンの思考そのもの”を作品化し、アイデアは物と同等にアートたり得るのかを突きつけます。MoMAにあるオリジナルは輸送事故で入ったヒビを“完成”として受け入れた経緯があり、物質の状態さえ概念の一部となり得ることを示します。さらに、この“説明書つきアート”はハミルトンや東大チームらによる再制作を生み、レプリカでも“作者の思考”に準拠すれば作品と認め得るのかをめぐる価値判断を揺さぶりました。 番組では、ブランクーシ裁判に触れつつ「タイトルや見た目と“アート性”は必ずしも一致しない」という現代の前提を踏まえ、創作における“何に価値を置くか”というデュシャンの考えに触れます。
1917年、デュシャンは市販の男性用小便器に“R. Mutt 1917”と署名し、6ドル払えば誰でも出せるアンデパンダント展へフィラデルフィアから届いた体で送りつけ、「これはアートか?」という根源的な問いを投げかけました。会場では拒否されスキャンダル化、のちに『The Blind Man』誌で理論戦を仕掛け、「選ぶこと」自体を作品化するレディメイドの思想が広がり、20世紀の美術観をひっくり返します。さらに“R.Mutt”の正体や発送地をめぐって、バロネス関与を示唆する「デュシャン何もしてない説」まで浮上し、作者性と価値の源泉そのものが揺さぶられました。本編では、この事件の“仕掛け”と余波を手がかりに、ルールを逆手に取る発想、ネーミングと物語の力、そして「価値はどこで生まれるのか」というビジネスにも通じる視点を読み解きます。
日本画の「王道」を築いたエリート絵師集団・狩野派。幕府や武将に仕え、巨大な組織として日本美術の基盤を形づくった一方で、「型にはまりすぎてつまらない」と評されることもあります。そんな中、狩野派の祖・狩野正信が描いた《蓮池蟹図》は、枯葉や水の質感、蟹の重みまでも表現した異彩の一枚。室町時代にこれほどのリアリティが生まれていたことに驚かされます。本エピソードでは、狩野派の歴史と《蓮池蟹図》が放つ独自の輝きに迫ります。
ピカソは遺書を残さずにこの世を去り、3万点以上の作品や不動産が遺族の間で大混乱を巻き起こしました。相続額は1兆円規模に膨れ上がり、フランスはついに「美術品を相続税として物納できる」という特例、いわゆる“ピカソ法”を制定。こうしてピカソ美術館が誕生し、死後も社会を動かし続ける存在となりました。芸術を超えて法律までも変えた巨匠、その圧倒的な影響力の物語を掘り下げます。
ピカソ最晩年の傑作《アルジェの女たち》は、80歳を迎えた巨匠が描き上げた“完成形”とも言える作品です。ドラクロワやベラスケスといった過去の巨匠たちを咀嚼し、自らの解釈で塗り替えていく姿勢は、まさに「だから私はピカソになった」という言葉に重なります。絵画だけでなく陶芸や彫刻にまで挑み、あらゆる表現を飲み込んで「ピカソ」という唯一無二の存在となった彼の到達点。その最終形態に込められた意味を探ります。




