「何ものにも囚われない人間らしい人間になる」ための講義。イスラームの教えを軸に宗教と現代社会にかかわる問題を考えていく。先入観や偏見にとらわれない、イスラームに対する包括的な理解を深め、その教えの基本を念頭におきながら、宗教、言語、社会、国家、民族、神、信仰、個人、経済、文化、思想、人権、戦争、科学、芸術などの問題を扱いたい。それは、グローバル化時代に生きるわれわれにとって、人類全体に向けられた教えとしてのイスラームの意義を探っていくことでもある。とかく人はすぐ何かの言いなりになりたがる。国家にも伝統にも時間にも科学にも社会にもお金にも権力にも暴力にも、そしてあてにならない自分自身にも囚われない生き方の基礎を探ってみよう。アラビヤ語の用語の紹介なども積極的に行ないたい。
大きなわれわれ
民族や国籍、文化や伝統の違いを乗り越えた人類全体としての「われわれ」がいかに成立するのかについて考えていく。それは、グローバル化時代において、言葉の正しい意味での「宗教」とその役割について明らかにすることでもある。
ジハードとは何か
正しいジハードの実践は、社会の平和力を引き出すことを明らかにしていく。ジハード=テロリズムという図式を徹底的に検証する。
人間と動物の間
人間とは何か。そして動物との違いは何か。人間らしさについてイスラーム的な観点から考察していく。
イスラーム法への招待
イスラーム教徒のよりどころであり、イスラーム社会の基層をなすシャリーア(イスラーム法)について概説する。
アレッポ石鹸は語る
アレッポ石鹸について、原料のオリーブから、石鹸棟梁の心、さらには、貧者に配られるザカーとしての性質までをも含めて、石鹸から見たイスラーム社会論を展開する。
ラマダーンの心
人はなぜ断食をするのか。世界18億人のイスラーム教徒がともにイスラーム暦の第9月に行う斎戒(サウム)について、個人から社会にいたるまでの効用を紹介しながら、セーフティーネットの自律的形成をなす宗教的な教えの実践について考える。
学術文化交流の意義 @Θ館
SFCが中心になって行っているアラブ・イスラーム圏との学術文化交流について紹介しながら、その意義について考察する。
見えるもの・見えないもの
グローバル化の時代における宗教の重要性について、特に思想的な側面から明らかにする。宗教が文化の一部ではなく、文化が宗教の一つの現われであることについても解説する。
「報われる」ということ
イスラームだけが宗教ではないし、「宗教がない」ことは「宗教心のないこと」まで意味しないなどについても考察する。
神について考える
神が一つとはどういうことなのか。宇宙もまたその中のすべての存在も創造したとされるアッラーについて考える。一神教と多神教の関係についても明らかにしたい。アラビヤ語で宗教を表す「ディーン」という言葉からはじめて、宗教の意味について考える。
イスラームとは何か
イスラームとは何か。一神教の完成形態としてのイスラームについて、ユダヤ教、キリスト教徒の比較も交えながら、明らかにする。
オリエンタリズムとイスラーム
イスラームはなぜ正しく理解されないのか。オリエンタリズムとその変容、イスラーム社会の抱えた問題、あるいは日本人の宗教理解にも触れながら、考察する。
アラビヤ語という言語
イスラームを論じるときにはずすことのできないアラビヤ語。この言語の重要性と特徴、そして学習の効用について紹介する。
宗教について
スピリチュアルブームの一方で、宗教というと遠ざける人が多い。しかし、そうした場合に「宗教」と目されているものの多くは、もっとも「宗教」からは遠い。宗教と科学の相補性についても着目しながら、このパラドクスについて考える。
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