「漫画とは孤独に描くものだ」という固定概念にとらわれすぎてませんか? でも実際は、多様な読者を想像した「客観視力」を一人で持つことは難しいですし、SNSのようなオープンな場に投稿して「フラットな感想」を得ることは不可能に近い。 今回はマンガスクリプトDr.ごとうが、自身のアシスタント時代も振り返りながら、「漫画こそコミュニティで描くべき!」とおすすめする理由を解説します。
画力を向上させるための日々の練習に励んでいる人は多くいますが、気になるのが「回数」や「時間」ありきでの取り組みとなっていて、「満足いくまで仕上げる」ことを優先していないのではないかという点。 習慣化を信仰するあまり、ゴールに辿り着くことを放棄していては、「できた!」という感覚を自分で掴むことができません。たしかに最初は時間がかかるかもしれませんが、まずはできるまでやってみる。そして、できるようになるまでの時間を減らすことを目指す。それが正しい順番ではないでしょうか。 筋トレなどのように習慣化そのものを目的とするのではなく、上手くできたという感覚を体に染み込ませることが、反復練習の本来の目的のはず。逆に、上手くできていない感覚をいくら繰り返しても、その技術を身につけることはできません。 もし画力向上のためのトレーニングの成果に頭打ちを感じている方がいたら、ぜひこの機会に見直してみましょう! なお、現在コルクスタジオで取り組んでいる画力向上のための課題は以下の6つになりますので、参考にどうぞ。 1)線の強弱 2)ペンの抜き 3)ペンの入り 4)円(綺麗な曲線を描き、つなげる) 5)正確な楕円 6)立方体
他の人から見れば、「そんなことで悩まなくても」「もっと気軽に考えたら?」と言われそうなことでも、本人的にはどうすればいいかわからないダメ出し・やり直し依頼は数多くあると思います。 編集者から否定(ダメ出し・やり直し依頼)を繰り返されてしまうと、自分の中でどんどん迷いが生じてしまい、余計わからなくなってしまう事態に。そんなときに意識したいのが「ユーモア」の気持ちなんですが、それも余裕があってこそのもの。否定されることを恐れている状態では、自信も持てません。 そんなときにおすすめの方法は、ひとまず案をたくさん出すこと。本来必要なのは作者である自身の言葉なのに、正解探しのモードになってしまっているようなら、とりあえずたくさん出してみましょう。 心構えとしておすすめなのは、自己肯定まではしなくていいので、自己受容をすること。できてない部分はできてない部分として認め、そんな自分をまずは受け入れてみることが大切です。 いずれにしても、自分を否定してしまっているような状態では、読者に向かって投げかけられる言葉も生まれません。自分を否定せず、余裕を取り戻せるような行動・心構えを意識していきましょう!
作品内におけるキャラクターや世界観、関係性などを重視する漫画家ほど、そこに「自分」という存在が介在することを良しとしない部分があります。 描いているのはもちろん自分ですが、その世界が在ること自体に喜びや嬉しさを感じている以上、実は作者である自分こそが「一番その世界から消したい存在」と言えるのかもしれません。 では作者=自分とは一体何か、という問題が生じるわけですが、強いて言えば「観測者」という位置付けでしょうか。作者でありながら、目線が入ってしまうと作品世界の純度が下がってしまうため、不在であることを必要とされる不思議な存在。作品自体、本人の意思が介在しないまま自動で筆が走る、いわゆる「神の手」の状態になることが、漫画家としての理想と言えるのかもしれません。 これまで「作品を届けたい相手が明確に存在しているタイプ」と「作品を届けたい相手が自分というタイプ」の2種類に漫画家は分けられるという話を繰り返してきた本ラジオですが、「届けたい誰かが明確に存在しているわけではないし、自分に届けたいわけでもない」という疑問を抱いた人もいたのではないでしょうか。 今回はあらためて「作品づくりにおける自分とは何か」「自分に向けて描いているとは、結局どういうことか」といったテーマについて、考えてみたいと思います!
好きの反対は、嫌いではなく無関心。昔からよく言われる言葉ですが、SNSや漫画サイトのコメント欄に書き込まれる「ふーん」や「だから何?」といった感想は、果たして“嫌い”なのか“無関心”なのか。 もしかしたらその何れでもなく、“羨ましい”の気持ちの表れなのかもしれません。その意味では、あなたの投稿した漫画は、読んだ人の感情を動かしていると言えます。 一方で、作品を読んだ相手は「わざわざ書き込む」というアクションを取らざるを得ないほど感情がネガディブに動いていながら、「ふーん」という最上級に薄い反応をしていると見ることもできます。 そう考えると、「ふーん」という書き込みは、「一番言わせてはいけない悪口」なのかもしれません。今から作品を読んで作者の悪口を言うぞ!と構えていた相手が、特に具体的な悪口を思いつかなかった場合に、一応で書いた悪口。その点では「無関心」に限りなく近いといえるでしょう。 作品づくりにおいて、読者のネガティブな意見を気にする必要は、もちろんありません! 一方で、物語は読者の感情を設計することが大切というところから、「この読者は、なぜこの言葉を書いたのか」を考えてみることも大事ですよねという回になっています。
ストーリーが上手くまとまらないと感じてしまうような場合、無意識に「漫画は、主人公が成長する物語でないとダメだ!」という想いに捉われ過ぎてしまっているのかもしれません。 描き手はもちろん編集者にも多い「成長ストーリー」至上主義ですが、キャラの魅力や関係性などを中心に描きたい場合は、成長することでそれが失われてしまう可能性もあります。 主人公が何かを得るまでを描きたいなら成長物語が最適ですが、最初から主人公が至高・ただただやりたいことをやり切るだけの物語だってたくさん存在するわけです。 ストーリーで無理にロジックを組みすぎることなく、自分自身が最高にワクワクするような作品を、ぜひ描き切ってもらいたい・・・! ということを、皆さんにあらためてお伝えしたい回になっています。
「いきなりやってくる人は、いきなり去っていく」。SNSなどで偶然に近い形で作品を読まれる機会が増えた現代においては、漫画家も心に刻んでおきたいユーザーとの向き合い方・心構えかもしれません。 他者の声を聞く機会が増え続けるからこそ、自己評価の高さ・低さ、自己愛の強さ・弱さなどがメンタル面はもちろん成長面で大きな影響を及ぼすことになりますが、 ・自己愛は強いが、人の意見を聞く ・自己肯定感は低いが、前向き・前進する力がる のどちらかであれば、きっと上手くいくのではないでしょうか。 このほか、「描くことを習慣化するための意外な方法」など、今回はXでたまたま見かけた漫画家の皆さんのためになりそうな投稿をただただ紹介し、考えていく回となっています! ▼今回紹介させていただいた書籍 『20代で得た知見』(著者・F/KADOKAWA) https://www.kadokawa.co.jp/product/322002000317/ ーー引用ーー 地下アイドルグループを結成して三年目の男の子が知人にいます。彼らは週に何度も何度もステージに立つ。熱狂的なファンがまぎれもなく彼らを生かしている。 そんな彼らに二十代で得た知見ってなんですかと訊ねました。するとそのうちの一人が「いきなりやってくる人は、いきなり去っていく」と答えました。詳しく訊くに、ものすごい愛をいきなりぶつけてくる人はそれが同じ量帰ってこないとわかるとすぐにいなくなる、その度に自分は傷つく、と言うのです。 すると別のメンバーがこのように抗弁する。「全力で愛してるって叫ぶことは、全力で愛してくれって意味だ。つまり自分は愛されて当然だと思ってる。自己愛が超強いってことなんだよ」と、ナイーヴな彼に訥々と語って聞かせました。 ーーー ▼今回紹介させていただいたXの投稿 https://x.com/kiichirosjp/status/1850458050261602728
漫画の賞に応募する場合、提出シートにはいろいろ書かなければいけない欄がありますが、「描きたかったテーマは?」「この作品のコンセプトは?」など、改めて問われると思わず悩んでしまうような質問項目も。 一般的にはテーマとは「伝えたいこと」、コンセプトとは「作品の中核となるアイデアや着想」などになりますが、問いに答えようと悩みすぎるのも勿体ないことに……。 そもそも漫画賞は作品を評価するためのコンペですので、テーマもコンセプトも、ざっくりと「どんなことやりたかったのか?」で大丈夫だと思います。 作者であるあなた自身の心の叫びのようなものを書き込み、あとは作品で勝負! 応募はそれで十分ですので、逆にテーマやコンセプトについて、作品構想時にあえてしっかりと考えてみる、みたいな取り組み方もいいかもしれません。 そんな意識してるようでしてない「この作品を説明するなら?」的問題について今回は考えてみました!
漫画制作はよく「完璧を目指すより、完成させることが大切」と言われますが、作品に対する自分自身のやる気や熱意だって大切です。完璧と完成、成果につながるのは一体どちらなのか……? 最終的な正解はやはり本人次第となってしまいますが、ネームまで完成させながらペン入れが完了しないのは、自分の中でもどこか微妙に思っているところがあるからではないでしょうか。 最後まで完成させることで学べることも多い一方、微妙に思っているからこそ制作が進まない状況になってしまっているのであれば、次へ次へと進むほうが、結果として「量」の担保につながるはず……! そんなわけで、漫画制作において、特にまだ練習中・下積み中という人ほど、「量」を確保するためにあえて「完成」に執着しなくてもいいのでは?という説を本ラジオでは提唱します。 しかし、これには異論・反論が当然あると思いますので、「そんなことないのでは?」という皆さま、ぜひご意見をお願いします!
「世界のどこかにある何かを集めるために、仲間と一緒に旅に出るストーリー」は、アクションやファンタジーの王道であり、誰もが一度は考えたことがある設定ではないでょうか。 ただ意外に難しいのが、何を集めるのかという問題。バラバラのジャンルのものを集めるのは収まりが悪いですし、大きいものだと保管が大変そう。さらに刀や魔法書なんかだと、収集よりも「使用すること」が前提となってくるため、漫画の方向性がやや異なったものになってしまいます。 読者からみれば、やたら数があるもの・全体の個数が明かされていないものは発見や獲得への興味が薄れてしまいますし、自分も欲しいと思えるようなフォーマットであってほしいものですよね。 そうやって考えれば考えるほど、「ドラゴンボール」の設定は、非常に秀逸だったと思えてきます。歴史的な物語は「唯一」のものを求めて旅立つフォーマットが主流だったのに対し、「収集」の概念を普及させたのは、もしかしたら「ドラゴンボール」だったのかも・・・? 今回はありそうで意外にないかもしれない収集のフォーマットについて考えていきます。皆さんも、もし何か「これだ!」という作品事例があったら教えてくださいね!
どんなものを描けばいいかわからない、自分が何を描きたいのかわからないと悩んでいる時、他者から言われて一番困るのが「自分の好きを描けばいい!」という王道ど真ん中のアドバイス。 それが正しいだと自分でもわかってはいるが、どうやったらそれが見つかるのかがわからないから悩んでる……。そんな経験をお持ちの方も案外多いのではないでしょうか。 ある種の精神的スランプのようなもので、人によって脱出方法は異なってくるのですが、今回は以下5つの方法をご紹介してみます。 1)〆切を設ける(それを必ず守る) 2)お題を設定する 3)自分が好きな漫画をいくつか挙げ、好きの共通項を見つける 4)漫画を一旦休み、チートデイを迎える 5)自分にしか読ませない、自分語りの自分主人公漫画を描く 描きたいものが湧いてこない……!となった際は、ぜひこちらを試してみてください。きっと「自分が描きたい漫画」を見つけるヒントになるはずです。
キャラクターを描くのは好きだけど、話の一番盛り上がる部分であるクライマックスを構成するのが苦手……。そんな方にぜひオススメしたいのが、自分が描こうとしている物語を、以下の構文に沿って四枚の紙芝居をつくってみる方法です。 1)こういう主人公が 2)こういう状況になっちゃって 3)こういうことを乗り越えて 4)こういうものを手に入れる この四枚でしっかり盛り上がる内容になっていれば、クライマックス問題は解決です。特に3)はクライマックスを引き立たせるための重要な要素であり、作品としての説得力を持たせるパートとなるのでぜひ確認を! なお、こちらは現段階ではまだまだ「仕組み」の解説にとどまっており、「コツ」を紹介するところまでには落とし込みができていない、というのが正直なところです。 皆さんも、ぜひこのラジオの解説など参考にしながらお試しいただき、これは!というロジックが組み立てられたら、ぜひ教えてください!
感情を描くことが大事なのは理解しているが、告白シーンなどは2人しか登場人物がおらず、アップか引きかぐらいしか変化がない…。インサートを入れるにも限界がある…。 そんな「漫画としての画が持たない」問題にあたった時こそ、過去の名作から「構図」を学びましょう! ストーリーやセリフは覚えていても、意外と覚えていないのが、どういう構図で描かれていたかという点。 感情の描き方を知ることとは、つまり感情表現のストックをどれだけ持っているか。場所と小物を使う、セリフではなく行動で描く、そして構図を変化させる…… いろんな漫画をみて、ぜひ自分の中にストックしておきましょう。 その他、 ・肩こり対策でおすすめなのは、フィットボクシングと針! ・パースを学びたいなら、立方体を描けるようになるよう練習しよう! ・実在する知り合いなどをモデルに描くときは、本人っぽさを残す意識を! などなど。 今回の配信では、これまでこの番組に寄せられた質問のうち6個まとめて一気にお答えしていきます。あなたが感じていた疑問に近い質問もあるかもしれませんので、ぜひお聞きください! また、「1,2歳ぐらいの歳下ヒロイン最弱説、後輩キャラ全敗説」については、詳しい方のご意見をいただけると大変助かります……!
職人の世界などでは定番の「背中を見て学ぶ」という学びのスタイル。昔はその世界に飛び込まなければ何もわかりませんでしたが、今はYouTubeなどでいくらでも学習動画などのお手本が得られる時代になり、ある種の無駄や非効率性が指摘されるようにもなりました。 もちろん業態その他の背景から事情や必然性は大きく異なるわけですが、学習教材動画が豊富にある漫画家の世界においては、さらなる学習のアップデートが望まれます。 大量のデータが溢れているからこそ、必要なものを効率良く取り入れることが重視される時代においては、「1から10までのHow To」より「プロがプロとして作業に取り組んでいる様子を知る」ことが最適な学習方法となるのかもしれません。そして、「自分自身の作業を動画で記録し、自分を知る」こと。 自分自身のフォームをチェックし、理想の型と比較して何が違うかを理解することでパフォーマンスを向上させていく手法は、スポーツの世界では常識となりました。 もしかしたら漫画家も同じようなメソッドで、飛躍的な成長を遂げられるようになるのかも・・・? そんな「これから」の学習方法について、長年漫画講師業に従事してきたマンガスクリプトDr.ごとうが考える回になります!
漫画は基本的に“好きのお裾分け”の気持ちで描くことを推奨しています。ただ、そう聞くと「好きの感情以外で描かないほうがいいのか?」「怒りや恨みなどのネガティブなもの、バッドエンド的な展開などはダメなのか?」と疑問に思われる方も多くいらっしゃいます。 もちろん仕掛け次第で物語はどんな方向にも転がるものであり、キャラもそれに応じて変化するもの。その大前提で意識したいのが、「好きの範囲は意外に広い」ということ。 例えばスリリングな刺激を与えたいという欲求、ものすごく鬱展開な作品から新しい価値観や気づきを提供したいという気持ちも、立派な“好き”の1つ。名作と呼ばれる作品には、何かしらクリエイター側の「執着」が感じられるはずです。 その他にも作品としてはどんな表現だって有り得るわけです。重要なのは、それを読者が楽しいと受け止められるかどうか。人間は、意外“すぎる”ことを受け入れることができません。 だからこそ、意外が気持ち良さに変わるような予兆、丁寧な仕掛けや伏線などが求められます。読者を裏切る、あるいは強いメッセージを伝えるような展開に持っていく場合は、とにかく「わからない・・・」という感想にならないよう強く意識して作品を描いていきましょう!
漫画の神様・手塚治虫先生。その作品は、後進のあらゆる漫画家にとってのバイブルとなっています。しかし、代表作の1つとして挙げられる『火の鳥』だけは、いわゆる「物語の型」から外れた異質な作品ではないかとマンガスクリプトDr.ごとうは考えます。 世界観をテキストで何ページもかけて説明するあの導入パート、キャラの魅力ではなく「世界」そのものを読ませる構成、誰にも再現不能なストーリー展開・・・。 ディティールを書き込んでいるというわけでもない独特のタッチで描かれながら、なぜこうも読者の興味を惹きつけるのか。 そして先生自身、一体どんなモチベーションによって、あの世界を描き続けることができるのか。まるで何かに取り憑かれて描かれたとしか思えないような、不思議なパワーを感じずにはいられません。 商業エンタテイメントとしての漫画を確立させた存在でありながら、その法則や仕組みなどを軽々と超えてしまった作品も生み出していた手塚先生。 ひょっとすると、手塚作品=教科書という無意識の思い込みがあるがゆえ、早い段階で『火の鳥』に衝撃を受けた人ほど、漫画家への道を狂わされてしまった可能性すら考えられます。 そんなわけで今回は、『火の鳥』の持つ不思議な魅力について、マンガスクリプトDr.ごとうがひたすら考えてみる雑談回となっております。
読者が課金して続きを読みたくなるような漫画を制作するうえでは、ある種の優位性を刺激するような企画が求められます。しかもビジネスモデル的に序盤からそういう仕掛けが求められるため、じっくりと感情を描いたり伏線を回収したりするような漫画を得意とする人ほど、不向きということに。 では、そういう人がWebtoonで課金ポイントを早めに設定できそうな企画とは、一体どんなものか。その1つは、解放欲求を刺激する企画ではないでしょうか。 読者が「これはキツい…! でも、目が離せない…!」となってしまうような設定をつくり、そのキツい状況から解放されることで救済欲求を満たし、ハッピーな気持ちにさせる漫画です。 どんな状況が主人公、つまり作者自身にとってキツいかを考え、「その状況だと、こんなことができるよね」という発想から制作する方法なら、従来のWebtoonの形式が苦手な人にもチャンスがあるかもしれません。 もちろん、読者の苦しさに訴えかけて課金させるというのは、従来の手法に比べて難しいチャレンジであることは間違いありません。 それでも、いま課金ポイントの上手な設定ができず、Webtoonの企画に苦戦している人にとって、きっと何らかのヒントになるかも・・・?! そんな企画のタネを提供する回となっております。
見た目の可愛らしさは、キャラクターの好感度を左右する重大な要素の1つ。一方で、エグさを感じるようなデザインでも人気の高いキャラは数多く存在します。 では、可愛らしさの無い、パッと見の好感度がマイナスからのスタートとなるようなキャラは、何が要因で好感度が高まるのか。それはずばり「笑わせてくれる」「ハッピーな気持ちにさせてくれる」ことではないでしょうか。 ギャグ漫画の強烈なキャラがわかりやすい例ですが、ストーリー漫画でもお笑い役的なキャラは、デザイン面のみでいえば「可愛い」とは程遠いものであっても、好感度は高まり、結果として「キモ可愛い」「ダサ可愛い」といった評価を後から得るようになります。 そんなわけで、キャラの好感度と見た目の相関について考えてみた今回。作風的に「可愛らしくみせよう」といった発想が薄い漫画家にとっても、ヒントになるかもしれませんよ!
「自分が描いた作品を、誰に届けたいですか?」という問いに対する答えによって、漫画家は2つのタイプに分けられるのかもしれません。その答えとは、届けたい相手は「自分」なのか「自分以外の誰か」なのか。 このラジオでは、「漫画家のタイプは、自分の大好きなものを描く『萌え型』と、自分の中にある伝えたい気持ちを描く『排出型』に分けられる」という話を何度も紹介してきました。あわせて、前者が「みんなに自分の好きを見てほしい!」、後者が「自分の気持ちを知ってほしい!」という創作モチベーションこそが、その違いだと考えてきました。 しかしそれ以上に、もっと根源的な違いとなる部分が、前者が「自分」、後者が「自分以外の誰か」という「作品を届けたい相手」にあるのではないでしょうか。 あなたが作品を描くことによって、変えたいのは自分の気持ちなのか世界なのか。今回は、そんな大きなテーマについて考えていきたいと思います!
作品の面白さが決まるという内容的な面はもちろん、フォーマット的な面で「世界観」が果たす役割は非常に大きなものがあります。なぜなら、能力やキャラクターは、それがどういう世界で存在しているかによって魅力が左右されるからです。 絵柄やキャラ造型の巧みさは同じはずなのに、大ヒット作を描いた漫画家の「次」の作品が苦戦しがちなのは、この「世界観」ごと違う作品を描いているからではないでしょうか。逆に、ヒット作を連発する先生の作品は、基本的に同じ世界観の中で展開されている物語なのではないでしょうか。 世界観とは描き手のみている世界であり、人格であり、宇宙。それを個人の中で複数創り上げるというのは、一部の例外を除いてそもそも無理な試みのように思えます。新人かベテランか、読み切りか連載かなどの差ではないはずです。 だからこそ、「自分がつくることができる世界観は1つだけだ!」と割り切り、作品ごとに違う世界観をつくるのではなく、1つの世界観を磨き込む・作り込んでいくよう取り組んでみるのはどうでしょうか!