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ブック・ラウンジ・アカデミアは人文学・社会科学の研究者の著作を、著者自らが語る音声メディアです。学生や研究者はもちろん、知の世界に関心を持つ一般の方々にも楽しんでいただける内容になっています。新しい知の世界をどうぞお楽しみください。

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ブック・ラウンジ・アカデミア 第6回目のゲストは釧路公立大学准教授の中山大将さん。2019年に国際書院より出版された『サハリン残留日本人と戦後日本〜樺太住民の境界地域史』について語っていただきます(インタビュアー:ジョナサン・ブルさん) 【著作概要】 サハリン残留日本人とはいかなる経験をした人々なのか。境界変動は住民にいかなる影響を与えるのか。外交文書、市民団体資料、聞き取り調査を基に〈国境と国民の時代〉を境界変動・住民移動・国民再編という観点から考えます。 【ゲスト】 中山 大将 〈歴史は未来である〉という考えのもと、境界変動・住民移動・国民再編・記憶構築という現象の連動性に着目した普遍的な歴史研究・叙述方法として〈境界地域史〉を模索中。 日本領樺太の米食撤廃論を主題とした農業社会史研究により京都大学博士(農学)を取得、同研究を基に『亜寒帯植民地樺太の移民社会形成』(京都大学学術出版会)を執筆(日本農業史学会賞)、第二次世界大戦後のサハリン島史研究としてサハリン残留日本人研究を始め、その成果として本書を執筆(地域研究コンソーシアム登竜賞)、また本書を基に北海道大学博士(文学)を取得。高校生・大学生向けに、サハリン島の歴史をたどりながら国境とは何かを考える『国境は誰のためにある?――境界地域サハリン・樺太』(清水書院)も執筆。 1980年、北海道生まれ、京都大学東南アジア地域研究研究所助教(本書出版時)、釧路公立大学准教授(インタビュー時)。 研究紹介サイト:https://nakayamataisho.wordpress.com/ 【インタビュアー】 ジョナサン・ブル 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院講師(インタビュー時)。日本帝国崩壊後の社会文化史を専門とし、Asia-Pacific Journal: Japan FocusやJapan Forum、Journal of Contemporary Historyなどの学術誌に論文を発表している。オックスフォード大学を卒業、東洋アフリカ研究学院(SOAS)で修士号を取得、北海道大学大学院法学研究科で博士号(政治学)を取得。”20th Century Japan Research Award for Gordon W. Prange Collection, University of Maryland”を受賞。 ブック・ラウンジ・アカデミア:https://www.bookloungeacademia.com/
今回は2023年にRoutledgeより出版された『Women in Asia under the Japanese Empire』の共編者である楊佳嘉さんにお話を伺いました。インタビュアーは同じくこの本の共編者、蔭木達也さんです。 【著作概要】アジア各地の女性の立場から日本の帝国主義を描く本書は、沖縄、台湾、朝鮮、満州はもちろん、汪兆銘政権下の広州から南洋までをも取り上げ、各地の女性たち(日本人も含む)がどのように帝国日本の植民地主義と向き合い、その影響を受け、あるいはそれと対抗したか、ということを論じています。 雑誌などのメディアを通じたプロパガンダ、旅行者や移民の目線、帝国・民族・ジェンダーの複合的にねじれた関係、画一的に喧伝される帝国の女性像と各地で芽生える独自のアイデンティティ、抑圧・抵抗・協調の諸相——読者は11章の充実した研究を辿っていくことで、「良妻賢母」が東アジア各地で形を変えながら展開していること、当時の一部の女性知識人たちには日本より中国の諸都市が「近代」的に見えていたことなどはもとより、理想とされる「帝国の日本人」イメージすら各地で大幅に異なり、外地日本人から内地が批判されていたりすることや、沖縄女性が置かれた特異かつ悲惨な歴史的位置など、興味深い論点に次々と行き当たることでしょう。 【ゲスト:楊佳嘉プロフィール】1990年中国山西省生まれ。専門は日本近現代文学、日中比較文学、女性文学 ·文化。名古屋大学文学博士。日本学術振興会特別研究員(DC2)、名古屋大学博士候補研究員を経て、現在は中国厦門大学外文学院助理教授。主な論文に「『輝ク』における日中女性の連帯とその変節 〜インターナショナル ·フェミニズムから帝国のフェミニズムへ」(『日本語·日本学研究』vol.14、2024.3)、「平林たい子と彼女の「満洲」体験物語 〜作品における空間の意味と機能をめぐって」(『北東アジア研究 』vol.32、2021.3)など。ジェンダー、戦争、植民地の問題に関心があり、特に近代日本女性文学、女性雑誌における中国表象の問題を中心に研究しています。近年は女性作家、女性文化人と戦争の関係から、日本帝国のフェミニズムの多様な系譜という問題を考えている。 【インタビュアー:蔭木達也プロフィール】非正規教員。高群逸枝を軸に、1920年代から30年代の日本に着目した社会思想史研究を行っている。論文に、「「分裂せざる」二者から始まるアナーキズム」(『社会文学』51号、2020年3月)、「「神」と対峙する「天皇」のイロニー」(『思想』1158号、2020年10月)、「高群逸枝の民衆哲学」(『国語と国文学』99巻第1号、2022年1月)、「社会運動のなかの報徳思想」(『報徳思想とその展開』不二出版、2023年)など。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 ⁠⁠⁠https://www.bookloungeacademia.com/⁠⁠⁠ ◎Podcastでも配信中 Apple ⁠⁠⁠https://apple.co/3srJkpY⁠⁠⁠ Spotify ⁠⁠⁠https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f⁠⁠⁠ ◎X ⁠⁠⁠https://twitter.com/bookacademia⁠⁠⁠ ◎Facebook ⁠⁠⁠https://www.facebook.com/bookloungeacademia/⁠
今回は2023年に東方書店より出版された『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』の筆者である奈倉京子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】本書は、家族以外の多様な他者とのかかわりが必要とされる障害者とその家族を対象に、障害のある家族成員のケアは家族以外の社会関係(中間的領域/組織)に頼ることができるのか、あるいは家族へ全面的に依存せざるを得ない状況にあるのかといったことを考察する。 民間組織「機構」の役割を当事者の目線で検討し、また複数の障害者家族への聞き取りを通して、中国西北部に暮らす知的障害者とその家族の生の営みを記述したものである。 第一部では法整備や中間的領域/組織の成り立ちなど、社会の面から障害者家族とのかかわりを考察した。第二部は知的障害の子をもつ家族の聞き取りをもとに、個人の側から障害者とその家族の「新しい社会性」の内実を描き出した。 「新しい社会性」とは、家族もしくはその他の社会集団の代表ではない、一人の人間が、個人と個人の間で、社会における活動を通して互いに影響を与え合うことを特徴とする、新たな個人とその結びつきのありかたである。2000年代の中国は、中国共産党の管理と指示に従って行動する必要があり、かつ個人化という「新しい社会性」が生まれている〈ポスト社会主義的状況〉である。 これらの考察を通して(1)2000年代以降の中国のポスト社会主義的状況が、障害者とその家族にどのような影響をもたらしているのか、(2)中国の障害者とその家族の「新しい社会性」とは何か、について探究している。 更に、中国は、国連の障害者権利条約を批准しているが、依然として障害者の痛ましい事件が発生している。西側諸国の「普遍的価値観」を受け入れつつ、国内の伝統的価値観とどう折り合いをつけるのか。そのような問題も本書は問うている。 【ゲスト:奈倉京子プロフィール】1977年、静岡県生まれ。2007年、中国中山大学大学院人文学院(現社会学与人類学学院)博士課程修了・博士(法学、文化人類学専攻)。2022年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了・博士(社会学)。現在、静岡県立大学国際関係学部・教授。専攻は文化人類学、中国地域研究 主な著書に『帰国華僑〜華南移民の帰還体験と文化的適応』(風響社 2012年)、『中華世界を読む』(編著 東方書店 2020年)、『中国系新移民の新たな移動と経験〜世代差が照射する中国と移民ネットワークの関わり』(編著 明石書店 2018年)。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 ⁠⁠https://www.bookloungeacademia.com/⁠⁠ ◎Podcastでも配信中 Apple ⁠⁠https://apple.co/3srJkpY⁠⁠ Spotify ⁠⁠https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f⁠⁠ ◎X ⁠⁠https://twitter.com/bookacademia⁠⁠ ◎Facebook ⁠⁠https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
今回は2023年に大阪大学出版会より出版された『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』の筆者である岡野(葉)翔太さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】1949年以降、中華人民共和国と中華民国は互いに「中国」の正統政府であると主張し、海外在住の「華僑」をどちらの「国民」とするのか、熾烈な争奪戦を繰り広げた。 日本で暮らす台湾出身者や台湾に移転した中華民国と結びつく大陸出身者=「台湾系華僑」は、戦後東アジア地域秩序の再編によって迫られた「中華民国を支持するか」、「中華人民共和国を支持するか」、「台湾独立を支持するか」という政治選択に翻弄され、様々なカテゴライズやレッテルのもとで自己認識を問われてきた。 本書では、在日華僑研究のなかで明確に位置づけられてこなかった「台湾系華僑」の存在を歴史的変遷のもとで捉えなおし、地図上に引かれた境界の経緯と、それに基づく呼称や自己認識との関係のなかで再考する。 【ゲスト:岡野(葉)翔太プロフィール】1990年、神戸市生まれ。葉翔太(YEH, Hsiang-tai)は台湾名。 2015年、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程(東洋史)修了。2022 年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。中央研究院台湾史研究所訪問学員、大阪大学大学院言語文化研究科特任研究員などを経て、現在は大阪大学レーザー科学研究所特任研究員、大阪大学大学院人文学研究科招聘研究員。専門は華僑華人研究、現代台湾地域研究、中国近現代史。 主な論文に、岡野翔太「『存在しない国』と日本のはざまを生きる〜台湾出身ニューカマー第二世代の事例から」蘭信三ほか編『帝国のはざまを生きる〜交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』(みずき書林、2022年)など。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 ⁠https://www.bookloungeacademia.com/⁠ ◎Podcastでも配信中 Apple ⁠https://apple.co/3srJkpY⁠ Spotify ⁠https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f⁠ ◎X ⁠https://twitter.com/bookacademia⁠ ◎Facebook ⁠https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
今回は2023年に晃洋書房より出版された『「大東亜共栄圏」における南方国策移民〜「南方雄飛」のゆくえ』の筆者である大久保由理さんにお話を伺いました。インタビュアーは安岡健一さんです。 【著作概要】「大東亜共栄圏」を建設する使命を担った青年たちは、どのように養成され、現地でどのような現実に直面したのだろうか。この問いのもと、本書は1940年代に拓務省によって実施された南方移民政策に着目した最初の本格的研究である。 その政策の特徴は、10代の青年たちを「大東亜共栄圏」における模範民族としてふさわしい人格と、「南方開拓」のための実践的知識を持つ人材として訓練した点にあり、彼らは卒業後に東南アジア各地へ送出された。 本書では彼らを「南方国策移民」と定義し、拓務省管轄下にあった人材養成機関である、「拓南塾」(企業社員養成)と「拓南錬成所」(農業技術者養成)を取り上げた。また現地での活動として拓南塾卒業生のうちフィリピンへ送出された事例に焦点を当て、日記や書簡の分析や、国内外での聞き取り調査によってその実相に迫った。なお補論では、拓南錬成所卒業生のグアムでの活動が、現地社会ではどのように記憶されているかについても論じている。 このように本書は、南方国策移民を政策・教育・活動という三つの側面から再構成し、「大東亜共栄圏」の内実について「下から」の視点から迫ることを試みる。 【ゲスト:大久保由理プロフィール】1972年福岡県生まれ。専門は日本近現代史、民衆史、思想史。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程後期単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(PD)、日本女子大学人間社会学部助教を経て、現在は東京大学大学院経済学研究科附属日本経済国際共同研究センター特任研究員。主な論文に「移民史研究におけるジェンダー:南方国策移民を軸として」(鳴子博子編著『ジェンダー・暴力・権力』(晃洋書房、2020)など。戦争、ジェンダー、植民地の問題に関心があり、特に日本帝国における「南方・南洋」、つまり東南アジア・旧南洋群島のほか、近年は台湾・沖縄にも関心を拡げ、民衆の視点から帝国の問題を考えている。 【インタビュアー:安岡健一プロフィール】大阪大学大学院人文学研究科 現代日本学研究室 准教授。1979年生まれ、京都大学博士(農学)。日本学術振興会特別研究員、飯田市歴史研究所研究員を経て、2015年より大阪大学にて勤務。専門は日本近現代史。主な著書に『「他者」たちの農業史』(京都大学学術出版会、2014)。監修に『コロナ禍の声を聞く〜大学生とオーラルヒストリーの出会い』(大阪大学出版会、2023)。近現代の地域社会の歴史と、オーラルヒストリーという方法に関心がある。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
今回は2023年に吉川弘文館より出版された『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』の筆者である山口航さんにお話を伺いました。インタビュアーは渡邊康宏さんです。 【著作概要】1970年代末から80 年代にかけて、大平、鈴木、中曽根の三政権は、「総合安全保障」を掲げ続けた。新冷戦から冷戦の終焉へと国際情勢は変容し、米国でも民主党のカーターから共和党のレーガンへと政権が交代し、日米関係のあり方にも変化が見られた。そうであるにもかかわらず、なぜ総合安全保障という概念は引き継がれていったのか。これが本書の問いである。 本書は、総合安全保障論を「多様性」と「多層性」の2つの観点からとらえ直す。総合安全保障に関する先行研究は、主として安全保障の構成要素の多様性に注目し、多層性の観点は重視されない傾向がある。そこで本書は、「広義の安全保障」たる経済安全保障や食糧安全保障などの「多様性」に加え、同盟関係のレベルや国際環境のレベルから「多層的」に安全保障を捉える視角を提示する。 総合安全保障という用語は今日まで継承されている。本書が示す「多様性」と「多層性」の議論は、冷戦終焉期の日米関係を明らかにするだけでなく、今日における日本の外交・安全保障政策を考えるうえでも重要な視座を提供している。 【ゲスト:山口航プロフィール】神戸市生まれ。同志社大学法学部3年次退学(飛び級で同大学院入学)。同大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(政治学)。スタンフォード大学客員研究員、同志社大学アメリカ研究所助教などを経て、現在、帝京大学法学部専任講師。専門は日米関係史、安全保障論、国際政治学。著書に今回ご紹介した『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』(吉川弘文館、2023年、猪木正道賞正賞受賞)など。 【インタビュアー:渡邊康宏プロフィール】東京工業大学社会・環境理工学院博士後期課程在籍。
今回は2023年に筑摩書房より出版された『南北戦争を戦った日本人〜幕末の環太平洋移民史』(菅(七戸)美弥・北村新三著)の共著者のお一人である菅(七戸)美弥さんにお話を伺いました。インタビュアーは加藤(磯野)順子さんです。 【著作概要】本書は、アメリカの南北戦争に従軍した日本生まれの二人が誰であったのかを追究し、人々の移動・移住を通じて南北戦争の時代の日本史とアメリカ史をつなぎ、戦争とマイノリティについて、そして環太平洋の移民・移住史について包括的に描いたものである。 従軍史料、アメリカ・センサスの調査票、死亡記録、帰化申請記録、新聞記事等々の検証を通じて、南北戦争に従軍した可能性が高い人物として漂流者・密航者・使節団員からの脱落者を挙げた。また、南北戦争におけるマイノリティをめぐる問題の参照事例として、中国人兵士をはじめとするアジア太平洋系移民兵士の存在に社会史的な視座から光を当てている。 さらに本書では、従来別々に論じられる傾向にあった、幕末に海外にいた日本人について、彼らが遭遇したり、会おうと思っても会えなかったりしたこと、同じ場所で同じ景色を見た時があったことを具体的に検証した。 【ゲスト:菅(七戸)美弥プロフィール】東京学芸大学教授。博士・学術。専門はアメリカ史、移民・移住史、アメリカ・センサス。単著としては『アメリカ・センサスと「人種」をめぐる境界〜個票にみるマイノリティへの調査実態の歴史』(勁草書房、2020年)があり、本書は2021年アメリカ学会中原伸之賞を受賞した。そのほか「トランスナショナルな移住・移動と『移民』送り出しネットワーク〜会津若松・北海道・横浜・カリフォルニア」『遥かなる「ワカマツ・コロニー」 :〜トランスパシフィックな移動と記憶の形成』(彩流社、2019年)、「複数の移住・移動と『家族』からみるアメリカ・センサス〜1860年のサンフランシスコにおける諸史料の検証」(『JICA横浜 海外移住資料館 研究紀要』16号、2022年)等の論文がある。 【インタビュアー:加藤(磯野)順子プロフィール】早稲田大学国際教養学部教員。博士(コロンビア大学・歴史学)。アメリカ労働史・政治史。近著は『はじめて学ぶアメリカの歴史と文化』(ミネルヴァ書房、2023年、第6章担当)、 “Counting Diversity in an Attempt to Achieve Unity: How the Three-Fifths Clause United and Divided Americans” (Japanese Journal of American Studies, 2023), “Slaves and Education: Tennessee as a Slave State Where the Instruction of Slaves was Not Prohibited” (Tennessee Historical Quarterly, 2018).
今回は2023年にかたばみ書房より出版された『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』の著者である成相肇さんにお話を伺いました。インタビュアーは筒井宏樹さんです。 【著作概要】1950年代から80年代に花ひらいた雑誌、マンガ、広告、テレビ等の複製文化は、いかに美術界を魅了し、かき乱したか。パロディ裁判、ディスカバー・ジャパン論争、赤瀬川原平、岡本太郎、植田正治、いわさきちひろ、キッチュの紹介者・石子順造の思想、そして神農の教え。絵本、写真、前衛美術から文化人類学、医学にまで首をつっこみ、2次的で取るに足りないとされた「非芸術」を語ることで、硬化した「芸術」の境界をゆるがす、戦後日本の複製文化論。本邦初のパロディ辞典、石子順造辞典を付す。著作権をめぐる最重要判例であるパロディ裁判判決に果敢に挑んだ「二重の声を聞け」は、表現の自由が問われる今、法曹界での議論が待たれる。軽妙な口上から論文まで、様々な語り口を収めた本書は、40代の現役学芸員の単著という意味でも大変めずらしい、型破りな人文書であり、新たな批評の書でもある。 【ゲスト:成相肇プロフィール】1979年島根県生まれ。東京国立近代美術館主任研究員。一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修了。府中市美術館学芸員、東京ステーションギャラリー学芸員を経て2021年より現職。「石子順造的世界〜美術発・マンガ経由・キッチュ行」(第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」、「パロディ、二重の声〜日本の1970年代前後左右」など美術と雑種的な複製文化を混交させる企画展を手がけてきた。 【インタビュアー:筒井宏樹プロフィール】1978年愛知県生まれ。鳥取大学准教授。愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。専門は現代美術史。編著書に 『スペース・プラン〜鳥取の前衛芸術家集団1968-1977』(アートダイバー)、『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス)ほか。
今回は2023年に勁草書房より出版された『医学が子どもを見出すとき〜孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史』の編者のお一人である土屋敦さんにお話を伺いました。インタビュアーは野崎祐人さんです。 【著作概要】貧困階層における生殖・再生産への医療的介入、子ども司法や貧児、孤児などの処遇に医療はどのようにかかわってきたのか。フロイト派の展開や知能検査などの心理学・児童精神医学上のツールの展開は「逸脱児」のラベリングにどう寄与したのか ─ 子どもと発達に介在する医学のあり方の編年史を子ども史の視座から解き明かす。 【ゲスト:土屋敦プロフィール】関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、子ども社会学、家族社会学、福祉社会学。単著に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』(勁草書房)、『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』(青弓社)、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。 【インタビュアー:野崎祐人プロフィール】京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。家族社会学、歴史社会学。分担執筆に『社会的養護の社会学〜家庭と施設の間にたたずむ子どもたち』(青弓社)、論文に「草創期の近江学園における知能検査の実施とその影響 〜子ども観の社会史の視座から」(『フォーラム現代社会学』20号)、「<展望>日本の社会学領域における『代替養育』の研究状況と今後の展望」(『人間・環境学』31号)、「1970~90年代における養護施設の職員論の変遷〜保母・児童指導員自身による語りから」(『フォーラム現代社会学』22号)。
今回は2023年に明石書店より出版された『「個人化」する権威主義体制〜侵攻決断と体制変動の条件』の著者である大澤傑さんにお話を伺いました。インタビュアーは渡辺広樹さんです。 【著作概要】プーチン、習近平、金正恩―リーダーによる予測不能で「非合理」な意思決定が可能となる条件とは。考えうる結末は。新進気鋭の国際政治研究者がウクライナ侵攻で激震を与えたロシア、台湾有事が懸念される中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の3か国を分析。 【ゲスト:大澤傑プロフィール】1987年愛知県生まれ。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科修士課程修了。防衛大学校総合安全保障研究科博士課程修了。博士(安全保障学)。駿河台大学法学部助教を経て、2021年4月より愛知学院大学文学部講師。 主な著書・論文に『世界の基地問題と沖縄』(分担執筆、明石書店、2022年)、『よくわかる国際政治』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2021年)、『独裁が揺らぐとき〜個人支配体制の比較政治』(ラテン・アメリカ政経学会2021年度研究奨励賞、ミネルヴァ書房、2020年)、「台湾の二大政党制は揺らぐのか〜権威主義継承政党が政党システムに与える影響」(共著)『問題と研究』第51巻第2号(2022年)、「米比関係と非対称理論〜在比米軍基地を事例として」『コスモポリス』第16号(2022年)、「ニカラグアにおける個人化への過程〜内政・国際関係/短期・長期的要因分析」『国際政治』第207号(2022年)(日本国際政治学会2022年度奨励賞)。 【インタビュアー:渡辺広樹プロフィール】東京工業大学 博士後期課程 川名晋史研究室所属。
今回は2023年に青土社より出版された『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』の著者である石岡丈昇さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。 【著作概要】フィールドワークが世界の見方を変える。舞台は、マニラの貧困地区。突然試合が中止だと告げられるボクサー、自宅が急に目の前で破壊されるスラム街の住人、常に主人の顔色を窺う家事労働者…。何が起こるかわからない明日を待ち、絶えざる今を生きのびるとはどういうことか。かれらが生きる時間のディテールをともに目撃し、ともに書くための理論と思想。 【ゲスト:石岡丈昇プロフィール】1977年岡山県岡山市生まれ。日本大学文理学部社会学科教授・博士(学術)。 専門は、社会学、身体文化論。主な著書に『ローカルボクサーと貧困世界〜マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年)、『質的社会調査の方法〜他者の合理性の理解社会学』(共著、有斐閣、2016年)、The Bottom Worker in East Asia: Composition and Transformation under Neoliberal Globalization(編著、ブリル出版社、2023)。 【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。 専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書に『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)。
今回は2020年に錦正社より出版された『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』の著者である小磯隆広さんにお話を伺いました。インタビュアーは中立悠紀さんです。 【著作概要】本書は、昭和戦前期、日本陸軍と双璧をなす軍事組織であった日本海軍の満洲事変から日米開戦に至るまでの期間における、対英米観、対英米政策、そして戦略(作戦方針と用兵思想)を分析したものである。 1930年代政治外交史、国際政治史研究は非常に膨大な蓄積がされてきた。そのような研究領域において、本書は重要な歴史像を提示する成果である。 本書はタイトルの通り、東アジアの国際政治における日本海軍の位置を考察したものであり、従来、陸軍や外務省と比較して断片的な分析にとどまっていた海軍の対英米観とその政策・戦略を博捜した史資料を使って丹念に分析している。アメリカが提示した門戸開放・機会均等の理念に海軍がどのように対応・利用しようとしたのかといった問題や、また海南島問題と日米交渉の関係を取り上げることで、対米戦にいたるまでの海軍の戦略の重要性を浮き彫りにしている。 本書は、近年は必ずしも若手研究者人口が多いとは言えない1930年代政治外交史研究において、後進が読むべき本の一つである。 【ゲスト:小磯隆広プロフィール】1985年千葉県生まれ。2018年3月、明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。外務省外交史料館非常勤職員、明治大学文学部兼任講師を経て、2020年4月より防衛大学校人文社会科学群講師。 主要著作に『海洋政策研究所史料集成〜南方進出・国家総力戦関係』全4巻(監修・解題、ゆまに書房、2022年)、『陸軍大将奈良武次日記〜第一次世界大戦と日本陸軍』上下(共編、原書房、2020・21年)など。 【インタビュアー:中立悠紀プロフィール】1990年京都府生まれ。2018年3月、九州大学大学院地球社会統合科学府博士後期課程修了。博士(学術)。大韓民国・朝鮮大学校外国語大学助教授を経て、2022年4月より日本学術振興会特別研究員(PD)。 現在、『東京裁判・BC級戦犯裁判と帝国陸海軍軍人〜裁判対策、戦犯釈放運動、靖国戦犯合祀、歴史修正主義』と題した学術書の刊行を目指している。またアジア・太平洋戦争期の陸軍の対外政策について研究しており、1938年の東亜新秩序声明と汪兆銘工作が、陸軍内にあった対中政策の相違を収斂させるために打ち出された理念・和平かつ謀略工作だったという事実を明らかにしようとしている。
今回は2022年に法政大学出版局より出版された『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』の著者である崎濱紗奈さんにお話を伺いました。インタビュアーは二井彬緒さんです。 【著作概要】本書は、近代沖縄を代表する思想家・伊波普猷(1876-1947)のテクスト分析を通して、その「政治」と「哲学」の可能性と限界を明らかにするものである。 伊波の思想は「日琉同祖論」として知られ、これまで様々な解釈がなされてきた。大日本帝国が推進した同化主義を正当化する言説として厳しく批判されてきた一方で、帝国下における「琉球・沖縄」の個性を保つための戦略的同化主義として評価する読解も根強い。 これに対し本書は、先行研究が「日本」「琉球・沖縄」という二つの主体を前提として伊波の「日琉同祖論」を読解してきたことの限界を指摘し、<原日本>=<原沖縄>という全く別の場所を開くための試みとして、これを理解することを試みる。 伊波のこのような試みには、天皇を中心とする大日本帝国の国家主義を批判する回路が秘められていたが、同時にそれは、「政治」を徹底的に抹消しようとする「政治神学」としての側面も併せ持っていた。 本書は、このような伊波の思想的限界を指摘するとともに、伊波が消去しようとした「政治」が、実は伊波のテクストの内部に常に・既に書き込まれていたことを、脱構築的読解によって読者に提示することを試みる。 【ゲスト:崎濱紗奈プロフィール】1988年沖縄生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)博士課程単位取得退学。博士(学術)。東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任助教。専門領域は沖縄・日本近現代思想史、ポストコロニアル研究。主な論文に、「第三次反安保運動下的沖繩基地問題:從SEALDs談起」(馮啓斌・崎濱紗奈共著、『文化研究』第21期2015年秋季、交通大學出版社)、“‘Political Philosophy’ of Ifa Fuyū: the Limits of Identity Politics” (Identity and Movements, EAA Booklet No. 17, East Asian Academy for New Liberal Arts, the University of Tokyo)、「『東アジア』において理論を希求するということ〜沖縄の『復帰』をめぐる考察を出発点として」(『日本學論集』第44号、グローバル琉球沖縄研究所・慶煕大学大学院日本学研究会)などがある。 【インタビュアー:二井彬緒プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍(超域文化科学専攻表象文化論コース「人間の安全保障」プログラム所属)。専門は社会思想史、ハンナ・アーレント研究。関心は難民問題、ユダヤ人問題、イスラエル・パレスチナ紛争。主論文として「ハンナ・アーレントの『ユダヤ軍創設論』〜初期におけるシオニズム論と後年に対する影響」(『Arendt Platz』7号)。プロフィール詳細:https://researchmap.jp/akio-futai21
今回は2023年に晃洋書房より出版された『墓の建立と継承〜「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』の著者である辻井敦大さんにお話を伺いました。インタビュアーは林凌さんです。 【著作概要】「家」なき時代において、墓を建て、それを継承することの背景には、何があるのだろうか?本書は、社会的アクターとしての地方自治体・石材店・仏教寺院に注目し、それらが参与することによって、墓を建て、継承するという営みの意味が変容する過程を、社会学の観点から明らかにしたものである。 【ゲスト:辻井敦大プロフィール】1993年神奈川県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/A-TSUJII 【インタビュアー:林凌プロフィール】1991年生まれ。 東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学、博士(社会情報学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は消費社会論、歴史社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/hayashiryo
今回は2023年に以文社より出版された『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』の著者である林凌さんにお話を伺いました。インタビュアーは辻井敦大さんです。 【著作概要】戦後消費社会の出現とともに語られる〈消費者〉は、戦前期からすでに知識人の構想のなかに蠢いていた。戦後の生活協同組合を支える論理を生み出した賀川豊彦・奥むめお・本位田祥男、流通行政の礎を築いた向井鹿松・谷口吉彦・福田敬太郎らの戦前・戦中期の思想=活動に肉薄し、近代日本に通底する社会改良主体/庇護対象としての〈消費者〉像を掘り起こす。これまで黙殺されてきた/にも関わらず私たちの生を根底から規定する、消費者主権の思想史。 【ゲスト:林凌プロフィール】1991年生まれ。 東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学、博士(社会情報学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は消費社会論、歴史社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/hayashiryo 【インタビュアー: 辻井敦大プロフィール】1993年神奈川県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/A-TSUJII。
今回は2023年に晃洋書房より出版された『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』の著者である松村淳さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】本書は、コロナ禍によって人々が住宅の内と外の双方に居場所を失っているという状況を契機に、現代日本における身体と空間を問い直すことを目的とした。その際、排除/包摂という議論ではなく、「疎外」という視角から光を当てた。そうすることで、排除/包摂論からは見えてこない、人々と居場所の多様な状況を検討していくことが目的である。 公園や図書館等の公共空間は、リスク回避のために禁止事項が増え、気軽に利用することが難しくなっている。そうした公共空間の機能不全は、人々を住宅の中へと撤退させてしまう(住宅への疎外)。一方で、日本における住宅の大部分を占めるnLDKタイプの画一化された住宅は、自宅でのテレワーク、感染者の隔離といったコロナ禍による非常事態に対応できず、人々は住宅からも疎外されている。 このような状況にあって、「私的な空間へのコモンズ的な要素の埋め込み」という試みが各地で看取できる。こうした私的空間を公的にアップデートすることでコモンズをつくるというボトムアップ型の展開は、機能不全を起こしている公共空間としての機能を代替し、さらに、その限界が顕在化しつつある住宅の機能も補完していく契機を含むものである。 【ゲスト:松村淳プロフィール】関西学院大学・同志社大学非常勤講師。立命館大学客員研究員。神戸市地域協働局アドバイザー。1973年香川県生まれ。関西学院大学社会学部・京都造形芸術大学通信教育部建築デザインコース卒業。設計事務所勤務を経て、関西学院大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(社会学)、二級建築士、専門社会調査士。 専攻は労働社会学・都市社会学。現在、建築を社会学的に問うための視角としての建築社会学を構想中。2021年からは神戸市の山間部の休耕田を借りて里山環境の再生に資する農業を学生たちと実践中である。 【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】ブック・ラウンジ・アカデミア事務局。神戸学院大学教員。 学歴・経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda
今回は2022年に新教出版社より出版された『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』の著者である相川裕亮さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。 【著作概要】国葬にされた、ただ一人の牧師。アイゼンハワーからオバマに至る歴代大統領と親密な関係を結び、「アメリカの牧師」として彼らの政策に有形無形の影響を及ぼしたビリー・グラハムの、主に冷戦下70年代までの思想と行動を<福音伝道者>という観点から解明した俊英の力作。<預言者>でも<祭司>でもないこの独特な宗教者の類型は、いかなる意味をもつのか。 【ゲスト:相川裕亮プロフィール】1988年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。広島大学大学院人間社会科学研究科助教を経て、現在は、金城学院大学国際情報学部講師。主要論文に「冷たい戦争と魂の危機――大衆伝道者ビリー・グラハムの見た共産主義、自由、原罪」『アメリカ研究』50号(2016年)、共訳書にマイケル・ウォルツァー『アメリカ左派の外交政策』(風行社、2018年)などがある。 【インタビュアー: 倉本敬司プロフィール】広島大学大学院人間社会科学研究科博士前期課程2年。
今回は2022年に千倉書房より出版された『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』の著者である湯川勇人さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。 【著作概要】1930年代、東アジアの新秩序建設に邁進する日本で、それに強く反対する米国との関係維持を目標として外務官僚たちの苦闘と挫折の歴史を描く。第39回大平正芳記念賞〈正賞〉受賞(2023年2月) 【ゲスト:湯川勇人プロフィール】広島大学大学院社会科学研究科准教授。1988年生まれ。甲南大学卒業、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。アイオワ大学客員研究員、ひょうご震災記念21世紀研究機構研究戦略センター研究調査部主任研究員などを経て2019年より現職。2017年、本書の基礎となった論文「東アジア秩序をめぐる日米関係:1930年代の外務省による東亜新秩序の模索」で第16回アジア太平洋研究賞佳作を受賞。 【インタビュアー: 倉本敬司プロフィール】広島大学大学院人間社会科学研究科博士前期課程2年。
今回は2023年にCambridge University Pressより出版された『Science for Governing Japan’s Population』の著者である保明綾さんにお話を伺いました。インタビュアーは藤本大士さんです。 【著作概要】現在の日本は「2040年問題」等の言葉にもあるように「人口危機」に晒されていると言われており、政府はこれら人口問題に関し何らかの措置を施すことを期待されている。しかし、そもそも「人口」がなぜ「危機」として捉えられるようになったのだろうか。また、なぜ政府に人口危機を解決することを求めるのだろうか。 本書は、明治期以降に新たに出現した「人口」という概念をめぐる科学と国家の営みを歴史的に検証し、「人口」を科学する学術領域の形成と明治期から近代統治国家として日本が変貌することは共生関係にあったことを示す。さらに、その共生関係がうまれる過程で、「人口」が国家の管理の対象となった結果、現在の人口をめぐる言説が当然のこととして人々に受け入れられていると論じる。 【ゲスト:保明綾プロフィール】2003年マンチェスター大学科学技術史・医学史研究所(Centre for the History of Science, Technology and Medicine)博士課程修了(科学技術史・医学史)、Ph.D。2004〜2008年、同研究所でポスト・ドクター・リサーチフェロー、2008〜2009年、ケンブリッジ大学・ニーダム研究所でリサーチ・アンド・ティーチング・フェロー、2009〜2015年、マンチェスター大学でウェルカム財団ユニバーシティ・アワード研究員を経た後、現在、マンチェスター大学人文言語文化学科(School of Arts, Languages and Cultures)で講師を務める。2023年3月現在、立命館大学で客員研究員。専門は近代日本医学史・科学史で、主に生殖や人口をめぐる政策や力学の社会史を研究。主要著書に、今回紹介したScience for Governing Japan’s Population (Cambridge: Cambridge University Press, 2023)。 【インタビュアー: 藤本大士プロフィール】2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。
今回は2022年に明石書店より出版された『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』の編者である外村大さんにお話を伺いました。インタビュアーは木下直子さんです。 【著作概要】戦争・植民地支配、内乱等の過程で発生した人権被害はしばしば、被害それ自体を語ることもできないままとなる。その史実を掘り起こし、被害者の尊厳回復、関係者間の葛藤を解きほぐしていくうえで、重要な役割を果たすのは市民の自発的な活動である。日本と近隣諸国、あるいはそれぞれの国内で起きた様々な事例についての市民運動を事例に、歴史学・社会学・政治学の研究者がそれを跡付けるとともに、分析を加えている。そこからは、国家レベルでの外交的解決や司法判断、行政施策では生み出さしえない、市民レベルの共感や相互理解を含む和解の可能性を見出すことができる。と同時に、それを実現する条件が何であるのかや現実に立ちはだかる障害や限界についても考えさせることになっている。 【ゲスト:外村大プロフィール】1966年、北海道で生まれる。1984年早稲田大学入学、学部卒業後、同大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻で学ぶ。その後、早稲田大学社会科学研究所助手、韓国高麗大学外国人研究員、一橋大学非常勤講師などを経て、2007年より東京大学大学院総合文化研究科准教授、2015年より同教授。専門は日本近現代史、日本と朝鮮との関係についての研究。著書に、『在日朝鮮人社会の歴史学的研究〜形成・構造・変容』(緑蔭書房、2004年)、『朝鮮人強制連行』(岩波書店、2012年)。 【インタビュアー: 木下直子プロフィール】山口県生まれ。2012年、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学。2013年、博士(比較社会文化)。2016〜2018年度、日本学術振興会特別研究員PD(大阪大学)。2013年から現在まで、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。専門は社会学、ジェンダー研究。著書に『「慰安婦」問題の言説空間〜日本人「慰安婦」の不可視化と現前』(2017年、勉誠出版)。
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