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Author: 政策起業家プラットフォーム

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Description

政策起業家プラットフォーム(Policy Entrepreneur's Platform, PEP)が運営するポッドキャストチャンネルです。
以下の二つの番組を配信しています。
PEP Talk : 社会課題や政策を取り扱った書籍の著者にお越しいただき、書籍の背景等について伺う番組です。
PEP Think : 海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考える番組です。
40 Episodes
Reverse
ホルムズ海峡の混乱は、日本にとって中東のニュースではなく、東アジアの未来のストレステストなのかもしれません。今回のエピソードでは、イラン紛争の日本への波及、日本の台湾有事への関与、そして台湾の電力・LNGの脆弱性を扱う3本の記事を通じて、ホルムズ海峡の危機を台湾有事のリハーサルとして読む視点を考えます。今回の3本に共通しているのは、エネルギーを含む安全保障はもう別々に語れないということです。原油や燃料高だけではなく、海運、保険、重要物資、電力、半導体、日米同盟の運用までが同時に揺れるとき、日本は何を平時から制度化し、どこまで備えておくべきなのか。遠い戦争が近い経営判断、政策判断、そして生活の問題へと変わっていく過程を見ていきます。今回のエピソードでは、海外シンクタンクの記事をもとに以下の三つの論点を考えます。①ホルムズ海峡危機が、日本の原油・LNG調達、海運、為替、家計、重要物資、日米同盟運用まで波及する中で、エネルギー安全保障を石油の話ではなく、医療、物流、化学、農業まで含む「重要機能の供給危機」として捉え直す視点②台湾有事で問われるのは兵器の数だけではなく、どの条件で、どの速度で、どの範囲まで日本が動くのかを平時に定義できるかという「抑止の事前設計」の視点③台湾のエネルギー問題を、脱炭素や反原発の国内論争ではなく、LNG在庫、夏場の電力需要、半導体生産、海上交通路まで含む産業・安全保障インフラの問題として捉える視点日本でも、エネルギー政策、産業政策、防衛政策を別々の課題として切り離すのではなく、備えと制度と運用を平時からどう繋いでおくのかが問われています。■キーワードホルムズ海峡危機:チョークポイント/輸入依存/重要物資の供給危機台湾有事の抑止設計:段階別関与/法的トリガー/意思決定の速度台湾の電力事情:LNG在庫/電力レジリエンス/半導体供給■今回のトピック[02:08] ホルムズ危機は日本のストレステスト — 原油価格だけではなく国家運営が揺さぶられるCSIS の記事をもとに、イラン紛争が日本の燃料調達、海運、保険、備蓄、家計、企業活動、日米同盟の運用まで同時に揺るがしている構造を取り上げます。本エピソードでは、日本の脆弱性はエネルギー輸入依存そのものだけでなく、安い輸入燃料と海上輸送、そして米国関与に依存した国家運営全体にあること、短期の備蓄放出や代替調達だけでなく、制度の切り替え、日米エネルギー協力、アジア域内の融通や共同調達まで見据えたレジリエンス設計が必要であること、さらにエネルギー安全保障を石油だけではなく、医療、物流、化学、農業まで含む「重要機能の供給危機」として捉え直す視点が議論されました。出典: CSIS, "What Are the Implications of the Iran Conflict for Japan?" https://www.csis.org/analysis/what-are-implications-iran-conflict-japan[28:00] 抑止の事前設計 — 台湾有事で日本はどの局面で何をするのかRAND の記事をもとに、台湾有事で日本がどこまで関与を事前に言語化すべきかという論点を取り上げます。本エピソードでは、問われるのは装備の量ではなく、どの条件で、どの速度で、どの範囲まで動くのかを政治として決め切れるかどうかであることを議論しました。中国の侵攻艦隊が海峡を渡る局面に焦点を当てた記事の提案と、私的コミットメント、兵器の前倒し供与、共同生産、共同演習の議論、封鎖・検疫・法執行の偽装、情報と目標捕捉、国内政治と国会承認、世論形成まで含めた段階別の関与モデルが必要であることが議論されました。出典: RAND, "Japan Should Help Sink China's Invasion Fleet" https://www.rand.org/pubs/commentary/2026/03/japan-should-help-sink-chinas-invasion-fleet.html[51:55] 台湾の電力の脆弱性 — LNG在庫と半導体供給は切り離せないAtlantic Council の記事をもとに、イラン紛争が台湾の輸入依存、とりわけLNG依存と夏場の電力需要の弱点を先に露呈させている点を取り上げます。本エピソードでは、工場補助金や輸出管理だけでは半導体安全保障は語れず、電力が不安定なら半導体の生産も止まること、短期のスポット調達や契約見直し、中期の供給先分散と柔軟性強化、長期の再エネ加速と原発再稼働を含む電源構成の再設計が必要であること、さらに台湾の問題を隣国の事情ではなく、日本を含む東アジアのエネルギー安全保障、経済安全保障、防衛計画の共通課題として捉える視点が議論されました。出典: Atlantic Council, "The Iran war tests Taiwan’s energy resilience" https://www.atlanticcouncil.org/blogs/energysource/the-iran-war-tests-taiwans-energy-resilience/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTube でも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
攻撃を受けない前提で制度やインフラを組む時代は、もう現実に合わなくなっているのかもしれません。今回のエピソードでは、ウクライナのサイバー・レジリエンス、攻撃下のエネルギー供給、外国干渉のネットワーク分析という3本の記事を通じて、「攻撃される前提」でのレジリエンスの設計図を考えます。安全保障というと、敵をどう防ぐか、どう抑止するかという話になりがちですが、今回の3本に共通しているのは、被害をゼロにすることではなく、攻撃や介入を受けても機能と信頼をどう維持するかという視点です。危機を一つずつ個別対応でしのぐのではなく、平時から制度、組織、運用をどう組んでおくのか。その問いが、サイバー防御、エネルギー、外国干渉を横断して立ち上がってきます。今回のエピソードでは、海外シンクタンクの記事をもとに以下の三つの論点を考えます。①ウクライナの経験を手がかりに、侵入を防ぎ切ることよりも行政、金融、通信、市民サービスを継続できるかを問うサイバー・レジリエンスの発想②イランによる湾岸施設への攻撃を踏まえ、エネルギー安全保障を調達先や価格変動の管理ではなく、復旧の速さ、予備品、代替経路、分散化まで含む設計の問題として捉える視点③外国干渉を違法な個人の摘発ではなく、制度に浸透するネットワークとして見直し、透明化、審査資源の配分、ベースライン・ネットワークマップをどう設計するか日本でも、サイバー防御、エネルギー、外国干渉を別々の政策分野として扱い続けるのではなく、平時の備え、危機時の権限、官民連携、情報共有を横断的に組み直していく必要があるのではないでしょうか。■キーワードサイバー防御:国家機能の継続/能動的サイバー防護/レジリエンスKPIエネルギー:復旧速度/代替経路/分散電源・マイクログリッド外国干渉:ネットワーク分析/透明化と構造責任/ベースライン・ネットワークマップ■今回のトピック[01:46] ウクライナのサイバー・レジリエンス — 侵入を防ぐより、国家機能を継続できるかAtlantic Council の記事をもとに、戦時下のウクライナから見えてくるサイバー・レジリエンスの発想を取り上げます。本エピソードでは、攻撃を防ぎ切ることよりも行政、金融、通信、市民サービスを継続できるかが本当の勝負になっていること、NIS2 や DORA、NIST CSF 2.0、人材育成、サイバー予備役、地方行政の能力底上げまで含めて、レジリエンスを技術論ではなく国家運営の設計として捉える必要があること、さらに侵入防止率だけでなくサービス継続時間や復旧訓練をKPIとして見る発想、そしてウクライナを支援対象であるだけでなく実践モデルの供給源として学ぶ視点が議論されました。出典: Atlantic Council, "Wartime Ukraine offers global lessons on the future of cyber resilience" https://www.atlanticcouncil.org/blogs/ukrainealert/wartime-ukraine-offers-global-lessons-on-the-future-of-cyber-resilience/[23:30] 攻撃下のエネルギー — 復旧速度と代替経路が安全保障になるAtlantic Council の記事をもとに、イランによる湾岸施設への攻撃を受けて、エネルギー供給をどう継続するかを考えます。本エピソードでは、エネルギー設備が単なる経済インフラではなく戦場の目標になっていることを踏まえ、脆弱点のマッピング、ローテクでも有効な物理防護、予備品の前置き、緊急オペレーションセンター、代替経路の確保が重要になること、さらに分散電源、マイクログリッド、水、サイバー、物流まで含めてインフラ全体のレジリエンスとして見直す必要があること、日本にとっても備蓄、海運・保険、調達の柔軟性、分散電源の設計に直結する話であることが議論されました。出典: Atlantic Council, "Energy under attack: What the Gulf can learn from Ukraine and Iraq" https://www.atlanticcouncil.org/dispatches/energy-under-attack-what-the-gulf-can-learn-from-ukraine-and-iraq/[44:20] 外国干渉をネットワークで捉える — 個人摘発では見えない構造Macdonald-Laurier Institute の記事をもとに、カナダの文脈から外国干渉をネットワークとして捉える視点を取り上げます。本エピソードでは、現行制度は外部からの資金や明示的な働きかけは捉えられても、影響力を生む関係の構造そのものは捉えにくいこと、透明化とネットワーク単位の責任は分けて考える必要があり、まずはベースライン・ネットワークマップを整え、審査や監視の資源配分に生かすべきだということ、さらにディアスポラ全体を疑うのではなく、どの関係構造がどの具体的行為と結びついているのかを証拠に基づいて見る必要があることが議論されました。あわせて、大学や研究機関との連携、政治周辺へのアクセス、企業や団体のデューデリジェンスまで含めて、日本にも関係する論点として考えています。出典: Macdonald-Laurier Institute, "Hiding in plain sight: W.A. Rivera for Inside Policy" https://macdonaldlaurier.ca/hiding-in-plain-sight-w-a-rivera-for-inside-policy/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
日本は、信頼される国でありながら、武装を進めていけるのか。今回のエピソードでは、豪州・NZの世論、米中の戦略的小康状態、高市政権の対外戦略という3本の記事を通じて、信頼と武装の両立を考えます。国際関係における信頼は数値化しづらく、目に見えにくいものですが、いざという時に「あの国なら大丈夫だろう」と思われるかどうかで、できることは大きく変わります。3本の記事に共通しているのは、信頼が移動していることです。米国への信頼が揺らぎ、中国への信頼も崩れる中で、日本がどう動くかによって、この地域の形が変わるかもしれません。今回のエピソードでは、①豪州・NZで日本がアジアで最も信頼される国と見られている背景を、予測可能性、価値観の近さ、旅行・食・アニメ・ゲームといった文化的接点の重なりから捉えつつ、その信頼がより武装する日本にも続くのか、②米中の一時的な静けさを和解ではなく次の競争の仕込み期間として捉え、レアアース、磁石、重要鉱物、防衛産業基盤、エネルギー安全保障まで含めて、どのボトルネックを先に整えるべきか、③日米同盟を離れるか従うかではなく、米中交渉の中で日本の利益が後回しにされないよう、米国を軸にどの国との連携をどの分野で重ね、日本を不可欠な同盟国にしていくのか、という論点を見ていきます。信頼される国は、武装してもなお信頼され続けるのか。そして、その信頼をどう供給網、産業、同盟の設計に変えていくのかを考えます。■キーワード日本への信頼:予測可能性/平和国家ブランド/文化的接点供給網:戦略的小康状態/レアアース・磁石/止まらない調達日米同盟:不可欠な同盟国/多層的ネットワーク/共同生産■今回のトピック[01:50] 豪州・NZで高まる対日信頼 ― 安心して組める日本は続くのかLowy Institute の記事をもとに、豪州・NZの世論調査で日本がアジアで最も信頼される国になっている背景を取り上げます。本エピソードでは、中国不信と米国への安心感の低下の中で、日本が予測可能で、価値観が近く、文化的にも親しみやすい国として選ばれ始めていること、その一方で平和国家ブランドの上に成り立つ信頼が、より武装する日本にも引き継がれるのかが問われていること、さらに観光、教育、研究協力、供給網連携まで同時に走らせる設計が必要になることが議論されました。出典: Lowy Institute / The Interpreter, "Japan is now the most trusted Asian power in Australia and New Zealand" https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/japan-now-most-trusted-asian-power-australia-new-zealand[24:30] 米中の戦略的小康状態 ― 和解ではなく、次の競争の仕込み期間Foreign Affairs の記事をもとに、米中の戦略的小康状態を、和解ではなく次の競争に向けた準備期間として捉える視点を紹介します。本エピソードでは、レアアース、磁石、重要鉱物、防衛産業基盤、備蓄、長期購入保障といった論点を通じて、握手や会談よりも在庫、加工、国家能力の方が重要だという見方、日本にとってもエネルギー安全保障や自動車、電機、化学、医薬、物流に直結する話であること、そして安い調達ではなく止まらない調達への転換が求められていることが議論されました。出典: Foreign Affairs, "Trump, Xi, and the Case for Strategic Calm" https://www.foreignaffairs.com/united-states/trump-xi-and-case-strategic-calm[46:35] 日米同盟の再設計 ― 日本は必要とされる同盟国になれるかForeign Affairs の記事をもとに、高市政権の戦略を踏まえたこれからの日米同盟戦略を考えます。本エピソードでは、カナダのマーク・カーニー首相の中堅国連携路線と対比しながら、米国から離れるか米国に従うかではなく、米国を軸に欧州、インド、豪州などとの連携を重ね、日本を依存する同盟国から依存される同盟国へ移していく発想が取り上げられました。あわせて、FOIPの継続、ミサイル共同生産、重要鉱物、AI、司令・調達・保守整備を含む同盟運用と、そこから生まれる対中報復リスクや財政の持続性も論点になっています。出典: Foreign Affairs, "How Takaichi Can Triumph" https://www.foreignaffairs.com/japan/how-takaichi-can-triumph■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■登壇者馬田(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
国際秩序を支えるコストは、誰がどう負担するのか。今回のエピソードでは、貿易、防衛、ジェンダーという一見離れた3つの論点を、お金と制度の負担という観点から読み解きます。自由貿易も、安全保障も、成長の担い手を広げる制度も、黙っていれば誰かが提供してくれるものではなくなりつつあります。共通しているのは、理念や必要性を語るだけでなく、そのコストをどう分かち合い、どのような制度として持続させるのかが問われている点です。今回のエピソードでは、①WTOが動きにくい中で、中堅国の有志連合が持続可能な通商ルールをどう先行させ、多角的通商体制へつないでいけるのか、②欧州の防衛費増額をめぐって、借金・増税・歳出再設計のどれで負担を組み、公平感や長期ビジョン、政府への信頼をどう支えるのか、③ジェンダー平等を社会政策ではなく成長とレジリエンスの制度設計として捉え、安全、ケア、資本アクセスをどう実装し、中堅国がそれをどう広げていくのか、という3本の記事を紹介します。自由のコストを誰がどう負担するのか、そしてその負担をどう制度化するのかを考えます。■キーワード通商:持続可能な通商改革/WTO改革/建設的な漸進主義防衛:防衛費の財源/負担の公平感/長期ビジョンジェンダー:ジェンダー平等な成長/ケアと成長戦略/中堅国の制度展開■今回のトピック[02:08] 持続可能な通商改革 ― 中堅国の小さな合意をどう多角的通商体制へつなぐかBrookings の記事をもとに、WTO の全会一致が動きにくい中で、中堅国や有志国の小さな合意を積み上げ、多角的通商体制へ接続していくという通商改革の発想を紹介します。本エピソードでは、72%の貿易がなおWTOベースで動いていることを踏まえ、自由貿易を公共財として維持するコスト、気候関連措置を罰ではなく移行政策パッケージとして捉える視点、そして日本が既存ルールの受け手ではなく接続者・設計者になれる可能性が語られました。出典: Brookings, "A constructive path to sustainable trade reform" https://www.brookings.edu/articles/a-constructive-path-to-sustainable-trade-reform/[23:19] 防衛費の負担設計 ― 誰がどの順番でどこまで払うのかRUSI の記事をもとに、オランダの「自由への貢献」という構想を入り口に、防衛費の増額を誰がどう負担するのかという問題を取り上げます。本エピソードでは、財源を借金、増税、歳出再設計の三択として捉えるだけでなく、公平感、長期ビジョン、政府への信頼が支持を左右すること、さらに共同調達や競争力改革、レディネス指標の可視化まで含めて、防衛費を持続させる政治の技術が議論されました。出典: RUSI, "Who Will Pay the Cost of Freedom in Europe?" https://www.rusi.org/explore-our-research/publications/commentary/who-will-pay-cost-freedom-europe[49:52] ジェンダー平等と成長 ― 中堅国は制度をどう広げるのかAtlantic Council の記事をもとに、ジェンダー平等を道徳や福祉の話ではなく、成長、競争力、安全保障に関わるマクロ経済の課題として捉える視点を紹介します。本エピソードでは、法律・実装・執行のギャップ、安全・ケア・資本アクセスを束ねた制度設計、中堅国が国内の実績を国際標準へ結びつける役割が語られました。あわせて、日本では参加率の向上だけでなく、賃金、正規雇用、昇進、父親の育児参加といった質の改善が次の論点になることも議論されています。出典: Atlantic Council, "Middle powers are rewriting the playbook for gender-equal growth" https://www.atlanticcouncil.org/blogs/econographics/middle-powers-are-rewriting-the-playbook-for-gender-equal-growth/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
産業政策は、補助金や支援策の中身だけでは整理できません。今回のエピソードでは、政府がどのように企業に関与するのか、産業の競争がどのように成り立っているのか、そして何を戦略的な産業と定義するのかを一体で考える必要がある、という問題意識から、「経済ナショナリズム時代の生存戦略」を取り上げます。共通しているのは、産業政策を個別の支援策ではなく、ルール、供給構造、測定の仕組みを含む全体設計として捉えている点です。今回のエピソードでは、①ルール型の産業政策から個別案件ベースの介入へ重心が移る中で、市場の競争や規制の独立性がどう揺らぐのか、②中国の太陽光発電産業の混乱を、失速ではなく再編と選別の局面としてどう読むか、③輸出に表れる比較優位と対中依存を組み合わせた指標で、戦略的に見るべき産業の基準をどう測るか、という三本の記事を紹介します。関与の方法、競争の構造、対象の定義をどう一体で設計するのかを考えます。■今回のトピック[01:29] 国家資本主義の問題 ― ルール型からディール型への移行をどう抑えるかForeign Affairs の記事を手がかりに、地政学競争と経済安全保障の圧力の下で、各国政府がルールを課すだけでなく個別案件ベースの介入を強めている、という論点を紹介します。本エピソードでは、日本の太陽光FITの高価格設定が長期負担を残した例にも触れながら、ルール型、資本配分型、ディール型の介入を分けて考える必要や、対象分野の限定、審査基準の公開、出口条件、政治と執行の切り分けといったガードレールが議論されました。出典: Foreign Affairs, "The Trouble With State Capitalism" https://www.foreignaffairs.com/united-states/trouble-state-capitalism[26:12] 中国太陽光発電産業の再編 ― 失速ではなく選別と再武装として読むCSIS の記事をもとに、中国の太陽光発電産業の赤字や人員削減を、失速ではなく、少数の強い企業群、海外展開、次世代技術基盤を生む再編として読む視点を紹介します。本エピソードでは、中国がポリシリコンやウェハー、モジュールで圧倒的な供給シェアを持ちながら、次の技術世代に向けた学習速度と量産移行でも優位を築こうとしていること、競争の単位が企業対企業ではなくエコシステム対エコシステムになっていること、そして脱炭素の速度、産業主権、供給網の安全保障のトリレンマが議論されました。出典: CSIS, "China’s Solar Industry Is in Upheaval—The Effects Will Be Global" https://www.csis.org/analysis/chinas-solar-industry-upheaval-effects-will-be-global[45:42] 戦略産業の定義 ― 輸出力と対中依存をどう測るかITIF の記事をもとに、輸出に表れる比較優位と対中依存を組み合わせた clout index で、国家パワー産業の強みと脆弱性を測る発想を紹介します。本エピソードでは、強い産業が5、やや強い産業が18、弱さが示された産業が25あるという分析を踏まえ、工作機械や化学、電子実装のような地味でも失うと再建コストが高い中間層をどう見るか、危機感ではなく測定と継続監視に議論を移すこと、同盟国との役割分担やポートフォリオで考える必要があることが語られました。出典: ITIF, "Assessing the Clout of US National Power Industries vs. China" https://itif.org/publications/2026/03/09/assessing-the-clout-of-us-national-power-industries-vs-china/■こんな方におすすめ産業政策を、補助金の話ではなく、関与のルールや行政能力の問題として見たい方中国太陽光発電産業の現在について理解を深めたい方工作機械や化学など中間層の産業を含めて、経済安全保障を測定の観点から整理したい方企業戦略と政策対応力がどう結びつくのかを考えたい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
国家能力は、予算総額や政策目標だけで決まるように見えますが、実際には予算をどう点検するか、人材をどう育てて定着させるか、新しい技術をどう契約まで届けるかといった制度設計が結果を左右します。今回取り上げる三つのテーマは、ジェンダー予算、防衛産業の技能人材、防衛調達という一見ばらばらなものですが、理念や研究開発だけでは足りず、継続する仕組み、需要、契約が国家能力を形づくるという共通点があります。今回のエピソードでは、①ジェンダー予算を法制化し、予算配分の根拠やアウトカムを観察可能にするという論点、②防衛生産力を技能人材、需要保障、修理能力まで含めて捉え直す視点、③防衛スタートアップの成長を左右するのは研究費だけでなく調達制度と契約の設計だという論点、をそれぞれ紹介した3本の記事を取り上げます。予算、人材、契約という三つの制度を通じて、国家能力をどう持続可能な形で作るのかを考えます。■今回のトピック[00:54] ジェンダー予算の法制化 ― 予算の公平性をどう続く仕組みにするか予算の意思決定にジェンダー分析をどのように制度として埋め込むべきか、という論点を紹介した The Interpreter の記事を取り上げます。オーストラリアは1984年の Women’s Budget Statement によってジェンダー予算の分野で先行しましたが、法制化しなかったため、連邦レベルでは2013年にその仕組みが消えたと整理されています。単にいくら支出したかではなく、誰の時間や所得安定、就業継続がどう変わったかというアウトカムを見る必要があること、日本も法的裏付けを欠いており他人事ではないことを議論しています。出典: Lowy Institute, "Australia needs to put gender-responsive budgeting into law" https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/australia-needs-put-gender-responsive-budgeting-law[10:51] 防衛生産力と技能人材 ― 兵器の数ではなく、作って直す人を見る防衛力の議論は兵器や予算に寄りがちですが、戦時の増産で本当にボトルネックになるのは技能人材だと論じた The Interpreter の記事を紹介します。COVID-19時の人工呼吸器増産でも、生産が軌道に乗るまでには数か月かかっており、溶接工や配管工の不足が現在進行形の制約になっていると整理されています。さらに、防衛産業政策は需要保障付きの労働市場設計でもあるという視点から、訓練、定着、修理能力まで含めて考える必要や、日本にとっての修理、部材、周辺技術の機会も議論しました。出典: Lowy Institute, "Can the US train enough welders to win a war?" https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/can-us-train-enough-welders-win-war[27:44] 防衛調達とスタートアップ ― 問題はアイデア不足ではなく契約不足新しい技術やスタートアップが注目されても、それが実際の装備として採用されるとは限りません。今回紹介する Bruegel の記事は、欧州では上位10社が調達の67〜90パーセントを占め、既存の取引関係や承認手続き、市場の分断が新規参入の壁になっていると整理しています。そのうえで、研究開発や資金だけでは足りず、試作から量産までの契約のラダー、再発注率、現場配備までのリードタイム、非トップ10企業への調達比率などを見ながら、需要と契約をどう設計するかが重要だと議論しました。出典: Bruegel, "Reforming European defence procurement to boost military innovation and startups" https://www.bruegel.org/policy-brief/reforming-european-defence-procurement-boost-military-innovation-and-startups■こんな方におすすめ予算や産業政策を、理念だけでなく続く制度の設計として見たい方防衛生産力を、兵器や予算だけでなく人材、訓練、修理能力から考えたい方スタートアップ政策や公共調達を、研究開発ではなく需要と契約の観点から整理したい方ジェンダー、ケア、防衛、気候といった分野を横断して国家能力を考えたい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
新しい技術や資源の開発が現実味を帯びてくると、先に動き始めるのは企業や国家の競争です。ただ、その競争が広がるにつれて前面に出てくるのが、どのような活動を、どのようなルールで運営するのかという問いです。月面資源、深海採掘、デジタル市場という三つのテーマは一見別々に見えますが、この観点から見ると共通の構造を持っています。今回のエピソードでは、①月面資源開発をめぐる国際ルール、②深海採掘をめぐる太平洋地域の環境・主権・地政学、③EUのデジタル規制における執行体制の設計、の3本の記事を取り上げます。技術や資源そのものだけでなく、アクセス、透明性、正当性、監査、説明責任まで含めて制度をどう整えるかという観点から整理します。■今回のトピック[01:06] 月面資源競争 ― 月面資源をめぐる競争と国際ルールの空白月面資源の競争は、単なる採掘技術や所有権の話ではなく、誰がどこに着陸できるのか、どのような運用ルールを設定するのかという制度設計の問題として議論されています。水氷などの資源が集中する地点では、安全区域や排他区域が将来の摩擦の火種になる可能性も指摘されています。月面環境の保全や科学研究との両立を含め、主要宇宙国のあいだでどのようなルールを整備するのかを論点として取り上げた記事を紹介します。出典: RAND, "The Race to Mine the Moon Is On—And It Urgently Needs Some Clear International Rules" https://www.rand.org/pubs/commentary/2026/03/the-race-to-mine-the-moon-is-on-and-it-urgently-needs.html[21:21] 深海採鉱の地政学 ― マンガンノジュール資源と太平洋の政治電気自動車や再生可能エネルギーの拡大で、ニッケルやコバルトなどの重要鉱物の需要が高まる中、海底のマンガンノジュール資源への関心が強まっています。ただ深海採鉱は、資源開発の機会だけでなく、深海生態系への影響や太平洋島嶼国の政治関係にも影響を及ぼします。今回紹介した記事では、環境保全、地域外交、資源戦略のあいだでオーストラリアが難しい判断を迫られている状況が分析されています。出典: Lowy Institute, "Deep-sea mining: Australia’s dilemma in the Pacific" https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/deep-sea-mining-australias-dilemma-pacific[38:23] デジタル規制の実装 ― ルールより執行体制が問われる段階へEUではデジタル市場法(DMA)やデジタルサービス法(DSA)など新しい規制枠組みが整備されていますが、議論の焦点はルールの内容だけではありません。規制をどのような体制で執行するのか、政治的圧力からどのように独立性を確保するのかが重要な課題になっています。特にDSAについて、欧州委員会とは別に独立した執行機関を設ける案を論じた記事を紹介します。出典: Bruegel, "The case for a European Union digital enforcement authority" https://www.bruegel.org/policy-brief/case-european-union-digital-enforcement-authority■こんな方におすすめ新しい資源開発や市場競争を、技術だけでなく制度設計の問題として理解したい方宇宙、海洋、デジタルといった異なる領域に共通する政策課題を整理したい方国際ルールや規制の形成がビジネス環境をどのように変えるのかに関心のある方政策やスタートアップの視点から、新しい市場を支える制度設計を考えたい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
気候変動の議論では、気温目標や排出量の数字が中心になりがちです。しかし実際の政策やビジネスの現場では、もっと具体的な形で課題が現れています。冬季オリンピックでは人工雪への依存が大会の開催モデルそのものを変えつつあります。脱炭素政策では、大排出企業をどのように改革の側に動かすのかが実装の鍵になります。そしてインフラ整備では、開発と自然保護を同時に進める制度設計が問われています。 今回のエピソードでは、①人工雪への依存が進む冬季五輪の開催モデル、②メタン規制を例に大排出企業が規制への反対から条件付き支持へ転じる条件の検討、③インフラ整備と生息地保全を同時に進める制度設計、の3本の記事を手がかりに、「気候変動時代の新たな制度設計の潮流」を具体的に考えます。 ■今回のトピック [01:32] 冬季五輪の制約 ― 気候変動による雪不足と、人工雪が生み出すインフラ整備の問題 冬季五輪では人工雪への依存が急速に進んでいます。北京大会では競技用の雪のほぼすべてが人工雪となり、ミラノ・コルティナ大会でも人工雪用の大規模な貯水地が整備されています。人工雪のための水資源やエネルギー、インフラ投資の問題、温暖化による開催可能都市の減少、既存会場の再利用や開催地ローテーションの議論などを整理しながら、冬季五輪の開催制度がどのように変わりつつあるのかを紹介します。 出典: Lowy Institute, "Manufacturing Winter: The Olympic Games in a Warming World"https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/manufacturing-winter-olympic-games-warming-world 参考(コメンタリー内で言及のある Reuters 記事): https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/snowmakers-feel-heat-climate-change-tests-milano-cortina-winter-games-2026-01-27/ [16:09] 産業脱炭素の政治学 ― 大排出企業を条件付き支持に動かす要因 脱炭素政策では、排出の多い産業の協力が実装の鍵になります。米国のメタン規制を例に、石油・ガス企業の一部が規制反対から規制支持へと態度を変えた背景を紹介します。削減技術のコスト低下、投資家やNGOなどの圧力、そして産業自身の戦略的判断がどのように組み合わさって企業行動を変えるのかを整理しながら、脱炭素政策を実行段階に移すための条件を議論します。 出典: Lowy Institute, "The Hard Part of Net Zero: Mobilising Big Emitters Behind Reforms"https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/hard-part-net-zero-mobilising-big-emitters-behind-reforms [36:36] 保全と建設の両立 ― インフラ整備と自然保護を同時に進める制度 道路や送電線などのインフラ整備と自然保護は対立する課題として語られがちですが、制度設計によって両立を進めることが可能です。コロラド川の絶滅危惧魚類回復プログラムやミティゲーション・バンキングなどの制度を紹介しながら、開発と保全を同時に進める仕組みを整理します。また、許認可の遅延や制度設計の摩擦がどのようにインフラ整備と保全の双方を遅らせているのかについても議論します。 出典: Niskanen Center, "We Can Build Infrastructure and Habitat at the Same Time"https://www.niskanencenter.org/we-can-build-infrastructure-and-habitat-at-the-same-time/ ■こんな方におすすめ 政策や企業戦略の立場から、気候変動を「環境問題」ではなく「制度の制約条件」として理解したい方 インフラ投資、エネルギー政策、大規模イベントなどで、気候条件が制度設計や投資判断をどのように変え始めているのかを知りたい方 脱炭素政策が実際に進むときに、企業の行動や産業構造がどのように動くのかを具体例から理解したい方 環境保全とインフラ整備の対立を、制度設計によってどう解くことができるのかに関心がある方 ■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg ■PEP Thinkとは PEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。 ■登壇者 馬田 隆明(PEP ディレクター) ■主催者 政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
日米同盟が守ってくれる、工場を移せばリスクは下がる、最先端AIを開発する側が勝つ——こうした前提を一段掘り下げると、足元に別の脆弱性が見えてきます。今回のエピソードでは、①元国家安全保障局長が「アメリカ・ファースト」の構造的定着を前提に日本の安全保障戦略の総点検を論じた Foreign Affairs の記事、②中国人民解放軍の調達要求を数千件分析し、AIの軍事統合(智能化)が「点」ではなく「面」で進んでいることを示した Foreign Affairs の記事、③日本のレゾナックを含む3社のケーススタディから、生産拠点を米国に移しても知的財産やノウハウが中国に残り続ける「リショアリングの盲点」を実証した ITIF の報告書、④中堅国はAIの開発競争ではなく導入競争で勝つべきだとして5本柱の英加パートナーシップを提案した RUSI の記事、の4本を手がかりに、「戦略的自律」の条件を具体的に考えます。■今回のトピック[01:59] 日本の安全保障の総点検 ― 同盟依存からの戦略的自律へ元国家安全保障局長の岡野正敬氏がForeign Affairsに寄せた論考を紹介します。「アメリカ・ファースト」が構造的に定着する中で、日本の安全保障戦略をどこから設計し直す必要があるのか。本エピソードでは、日米関税合意の脆弱性、ウクライナ戦争が示すドローン主導の消耗戦リスク、北朝鮮のドローン実戦経験の危険性、WTOの機能不全と経済安全保障推進法の位置づけなどを整理した上で、多層的パートナーシップの構築、Brave1モデルに学ぶ調達・実験サイクルの必要性、財政制約下での優先順位設定と国民への説明責任、デュアルユース技術の市場拡大、グローバルサウス外交の重要性についても議論しています。出典: Foreign Affairs, "Japan's National Security Reckoning — How Tokyo Is Adjusting to a More Dangerous World"https://www.foreignaffairs.com/japan/japans-national-security-reckoning[28:01] 中国PLAの智能化 ― AIは兵器だけでなく意思決定と認知戦に入り込むジョージタウン大学の研究チームが中国人民解放軍の調達要求を数千件分析し、AIの軍事統合が無人機やサイバーだけでなく、意思決定支援やディープフェイクによる認知戦まで広がっていることを示した記事を紹介します。本エピソードでは、経験不足の将校団をAIで補うことの誤算リスク、偽情報によるAI判断の撹乱と意図せぬエスカレーションの危険性、米中が反復改良のサイクルを競い合う構図、米国の調達改革やAnthropicとの交渉失敗の背景、軍事AIに必要な秘匿データの制約、マルチベンダー設計の重要性、そして日本における防衛転用ルールの整備やディープフェイク検知のビジネス機会についても議論しています。出典: Foreign Affairs, "China's AI Arsenal — The PLA's Tech Strategy Is Working"https://www.foreignaffairs.com/china/chinas-artificial-intelligence-arsenal[47:41] リショアリングの盲点 ― 工場を移しても「知的依存」は残る台湾Inventec、日本Resonac、韓国LS Cable & Systemの3社を事例に、「チャイナ・プラスワン」が地理的分散は進めても依存の中身を減らさないことを実証したITIFの報告書を紹介します。本エピソードでは、中国が誘因と強制でノウハウ・人材・知財を国内に留める構造、対内投資の成功基準を雇用やCAPEXではなく工程の移転度で測るべきという提案、二次依存(同盟国企業経由の間接的依存)の問題、少数持分取得まで踏み込んだ攻勢策の是非、China Plus Oneの歴史的経緯(日本発の概念)、標準・認証のロックイン問題、そしてレゾナックの「研究は進めるが製造は動かさない」戦略の含意についても議論しています。出典: ITIF, "Internal Value Chains Remain Dependent on China Even as Multinationals Shift Production to America"https://itif.org/publications/2026/02/23/internal-value-chains-dependent-china-multinationals-shift-production-to-america/[1:05:44] 中堅国のAI導入競争 ― 開発ではなく展開で勝つための5本柱英国RUSIが提案する、中堅国がAIのモデル開発競争ではなく導入(デプロイメント)競争で勝つための英加パートナーシップ5本柱を紹介します。本エピソードでは、防衛AI導入加速機構、共同調達・標準・検証、共同テスト・評価、運用テストベッドとウォーゲーム、人材循環の各柱を整理した上で、先日紹介したECFRのCapability Club構想との比較、安全性を「ブレーキ」ではなく「線路」として位置づける発想、ハイパースケーラー依存と主権のバランス、共同調達が仕様の固定化を招くリスク、データ整備や権利処理のボトルネック、そして日本が同盟国市場を見据えて相互運用性を設計段階から組み込むことの重要性についても議論しています。出典: RUSI, "Middle Powers Must Win the AI Deployment Race"https://www.rusi.org/explore-our-research/publications/commentary/middle-powers-must-win-ai-deployment-race■こんな方におすすめ日本の安全保障戦略を、軍事だけでなく経済・外交・技術を含む統合的な視点で考えたい方中国のAI軍事化の具体像と、日本の防衛産業・調達プロセスへの含意を知りたい方リショアリングやチャイナ・プラスワンの「見えない依存」を経営・政策の両面から理解したい方中堅国のAI戦略を、モデル開発ではなく導入・展開の制度設計から考えたい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
AI をめぐる国家戦略は、「規制をどう設計するか」「フロンティア AI へのアクセスをどう確保するか」「開発競争に参加するのか、それとも活用で価値を出すのか」という配分問題になりつつあります。今回のエピソードでは、①AI政策を「国家安全保障・経済安全保障・社会的安全」のトリレンマとして整理する Foreign Affairs の記事、②米中優位の中で中堅国がフロンティア AI へのアクセスを確保するための「Capability Club(能力クラブ)」構想を提案する ECFR の記事、③ EU がフロンティア開発競争ではなく、規制の公正な執行と AI 活用(Apply AI)で強みを活かすべきだと論じる Bruegel の記事、の3本の記事を手がかりに、AI 時代の国家戦略と制度設計の論点を整理します。■今回のトピック[01:46] AI 政策のトリレンマ ― 国家安全保障・経済安全保障・社会的安全は同時に最大化できないForeign Affairs の論考では、AI政策の目標を「国家安全保障」「経済安全保障」「社会的安全」の3つに整理し、これらは同時には最大化できないというトリレンマとして説明しています。記事では、現実的な制度設計として、AIのリスクに応じた課税と安全研究への税額控除、政府データを活用した高品質な評価・テスト環境(National Data Repository)、危険なモデル公開を止めるための規制枠組みなどが提案されています。本エピソードではさらに、オープンウェイトモデルの扱い、モデル評価の標準化、監査やログ管理など実装面の課題を整理するとともに、日本の含意として評価・監査基盤やデータ管理など周辺領域の制度整備とビジネス機会についても議論しています。出典: Foreign Affairs, "The AI Trilemma"https://www.foreignaffairs.com/united-states/ai-trilemma[20:46] AIミドルパワーの戦略 ― 「依存か主権AIか」を超える Capability Clubフロンティア AI の開発が米国と中国を中心に進むなかで、中堅国がどのように AI へのアクセスを確保するかという戦略課題を扱います。ECFR の論考では、フロンティア AI を自国で完全に開発する「主権AI」と、大国に依存する戦略の二択ではなく、中堅国同士の連携による「Capability Club(能力クラブ)」という第三の道を提案しています。提案の柱は、共同研究開発や新しい技術アプローチへの投資、計算資源やデータなど AI インフラの共同整備、そしてグローバルサウスに対する第三の選択肢の提示です。本エピソードでは、クラブの加盟条件や費用負担、輸出管理やセキュリティ審査など実装上の課題、さらに計算資源だけでなくデータや顧客基盤、電力・冷却などの物理インフラが次のボトルネックになる可能性についても議論しています。出典: ECFR, "Capability Club: How the EU Can Lead the Fight for AI Middle Powers"https://ecfr.eu/article/capability-club-how-the-eu-can-lead-the-fight-for-ai-middle-powers/[41:34] 欧州 AI 戦略の選択 ― フロンティア競争か、Apply AI かEU は AI 規制の先導者である一方、フロンティアモデル開発では米国や中国に後れを取っています。Bruegel の論考は、欧州がフロンティア AI 開発競争に全面的に参入するよりも、規制の公正な執行と AI 活用の拡大によって競争力を高める戦略を提案しています。本エピソードでは、規制の公平な執行が市場の信頼を高める可能性や、AI 活用を進めるうえでのデータアクセスやインフラ投資の重要性について整理するとともに、オープンソース AI の利点とリスク、規制執行に必要な監査人材や評価基盤といった実装上の課題についても議論しています。また、AI を重要サービスの基盤技術として捉え、計算資源の確保をレジリエンスの観点から考える必要性についても触れています。出典: Bruegel, "Europe's Artificial Intelligence Strategy Should Be Built on European Strengths"https://www.bruegel.org/first-glance/europes-artificial-intelligence-strategy-should-be-built-european-strengths■こんな方におすすめAI 政策を、倫理や理念だけでなく制度設計や実装の観点から整理したい方フロンティア AI へのアクセスをめぐる国際連携や同盟の設計に関心がある方AI 規制と AI 活用の関係を、産業政策や競争力の視点から理解したい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
エネルギー大国の条件が変わりつつあります。地下に何があるかではなく、電力インフラをどう設計し統合できるかが重要になる、という構造変化を、中国・アメリカ・EUの3つの視点から読み解きます。中国のクリーンエネルギー・サプライチェーン支配、AIの電力制約を捉える「ワットの法則」、EUのエネルギーガバナンスの断片化。3本の記事を通じて、日本のエネルギー安全保障と産業競争力の課題を考えます。■今回のトピック[01:02] 中国型エネルギー・ドミナンス ― サプライチェーン統合とシステム一括輸出エネルギー覇権の条件が、化石燃料の産出量ではなく、発電・送電・蓄電のシステム全体を設計し、融資や保守まで含めて一括輸出できる能力に移りつつあるという問題提起です。中国はクリーンエネルギーのサプライチェーンを高密度に統合し、グローバルサウスへのシステム丸ごとの提供で影響力を拡大しています。一方、米国はトランプ政権下で化石燃料中心のエネルギー政策を採り、送電網の老朽化や中国依存がAI競争や軍事の電化におけるボトルネックになりつつあると指摘されています。エピソードでは、中国側の脆弱性(過剰投資・過剰設備)にも触れつつ、同盟国間での分業・標準化・ファイナンスの設計、重要鉱物の調達多元化、そして日本の電化サプライチェーンにおけるビジネス機会についても議論しています。出典: Foreign Affairs, "Energy Dominance With Chinese Characteristics"https://www.foreignaffairs.com/united-states/energy-dominance-chinese-characteristics[23:44] 「ワットの法則」の台頭 ― 電力供給がAIイノベーションの天井になる構造変化AIの競争力は、誰が良いGPUを作れるかだけでなく、誰が電力を確保して無駄なくAIの出力に変換できるかで決まるという「ワットの法則」を提唱した記事を紹介します。半導体の微細化とデナード・スケーリングによる自動的な効率改善が崩れた今、AI時代のスケーリングは電力制約下でのフルスタック最適化(メモリ・ネットワーク・ストレージ・スケジューラ)による効率、すなわち「トークン/ジュール」で決まると主張されています。エピソードでは、AIファクトリーという視点でピーク性能よりも稼働率・運用効率を重視すべきこと、輸出規制を時間稼ぎと位置づけ国内構築とセットにすべきという提案、水や変圧器など電力以外のインフラ制約、そして「電力同盟」という同盟再編のロジックについても議論しています。出典: CSIS, "The Rise of 'Watt's Law' and Why Power Could Put a Ceiling on American Innovation"https://www.csis.org/analysis/rise-watts-law-and-why-power-could-put-ceiling-american-innovation[46:45] EUエネルギー統合の課題 ― 断片化したガバナンスが投資を阻害する構造問題EUのエネルギーシステムには莫大な追加投資が必要であるにもかかわらず、データの不透明性・インフラ計画の分断・政策調整の弱さという三つの構造的欠陥が投資を阻害していると分析した記事を紹介します。非公開の専有モデルへの依存、需要予測の食い違い、ENTSO-E主導の閉鎖的な計画プロセス、NECPの形骸化が具体的に指摘されています。エピソードでは、透明な参照シナリオによる資本コスト低下の可能性、調整の失敗を解決するための配分問題の補償メカニズム、オープン化の限界(セキュリティ・市場操作リスク)、そして日本の地域間連系の制約やデータ整備の遅れとの構造的類似性についても議論しています。出典: Bruegel, "Better Coordination for a More Efficient European Energy System"https://www.bruegel.org/policy-brief/better-coordination-for-a-more-efficient-european-energy-system■こんな方におすすめ電力系統・変圧器・蓄電池など「電化のボトルネック」周辺でビジネス機会を探っている方AI政策やデータセンター誘致を、GPU確保の先にある電力・立地・冷却の実務まで含めて設計したい方エネルギー安全保障を原油・LNG調達だけでなく、重要鉱物・製造・保守運用まで一体で捉え直したい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回は、ロボット化・デジタル規制・デジタル主権という3つの領域で、政策議論が見落としがちな「死角」に焦点を当てます。■今回のトピック[01:37] ロボット導入がキャリアの上昇経路に与える影響ロボット化の影響を雇用や賃金の変動だけで捉えると、見落としてしまう変化があります。Brookingsの研究チームが着目したのは、より良い職種へ移動する確率、すなわちキャリアの上昇経路が細くなるという現象です。この研究は、「キャリアバリュー(キャリア価値)」という新しい指標を用い、移動確率と賃金を組み合わせた期待生涯獲得の代理指標として分析しています。キャリア価値の低下の3分の2は賃金、3分の1はキャリア経路の劣化によるものとされ、その影響は住宅投資、教育投資、政治行動にまで及ぶ可能性が示されています。日本への含意として、製造業のロボット密度が世界5位(従業員1万人あたり419台)という高水準にある中で、失業率や賃金だけでなく、職業移動やキャリアの隣接性を定点観測する統計設計の必要性、離職せずに学べるリスキリング支援の拡充、企業内のキャリアの梯子の再設計などを取り上げました。出典: Brookings, "Robotization and occupational mobility"https://www.brookings.edu/articles/robotization-and-occupational-mobility/[23:56] 規制の「非関税攻撃」化──韓国クーパンの事例から考える通商リスク韓国の競争規制をめぐり、米国議会がアメリカのテック企業への差別的攻撃として調査を開始した事例を取り上げます。ITIFが提唱する「Non-Tariff Attacks(非関税攻撃的措置)」という概念を軸に、国内規制として正当に見える措置が特定の外国企業に集中したとき通商カード化する構造が論じられます。GDPRの罰金の8割が米国企業であるという数字や、セクション301の適用、相互措置の制度化といった実務的ルートも提示されています。一方で、差別的意図の立証の困難さ、報復の常態化が同盟国間の規制協力を傷つけるリスク、クーパンが米国企業か韓国の巨大プラットフォームかという見え方のずれについても批判的に検討しています。日本への示唆として、デジタル規制の設計における透明性・比例性・一貫性の実装、規制の通商化を前提とした経済安全保障との整合性の点検、省庁縦割りの克服などが語られています。出典: ITIF, "Washington Should Draw a Line in the Sand on Korea to Defend U.S. Tech Leadership"https://itif.org/publications/2026/02/06/washington-draw-line-korea-defend-tech-leadership/[44:14] 「デジタル主権」の前に生産性を──カナダの議論から考える優先順位デジタル主権の確保を急ぐ前に、デジタル技術の活用能力を底上げすべきではないかという問題提起です。カナダでは国産クラウドやデータの国内保管、半導体の内製化といった供給側の議論が盛り上がる一方で、企業のデジタルツール導入率そのものが課題になっています。記事は、デジタル主権を国内基盤の構築と同一視するのではなく、グローバル市場のベストインクラスの技術を国内企業や機関が統合して生産性を上げる方向で設計すべきだと主張しています。エピソードではさらに、主権をアクセス制御・監査・暗号鍵・法域といった設計要件として捉え直す視点や、需要側の生産性を基盤とした3層構造の考え方が議論されています。出典: Research Money, "Productivity, not flag waving, should drive Canada's digital strategy"https://www.researchmoneyinc.com/article/productivity-not-flag-waving-should-drive-canada-s-digital-strategy■こんな方におすすめロボット化やAI導入を、雇用の「数」だけでなくキャリア経路の観点から考えたい方デジタル規制の設計が同盟国との通商摩擦にどうつながるか把握しておきたい方デジタル主権と生産性向上を両立する政策・事業戦略を整理したい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回は、地政学リスクの長期見通し、脱炭素を動かす「資産と政治力」の設計、そしてスケールした施策がなぜ止まるのかという実装の条件を、3本の記事から考えます。■今回のトピック[01:28] 2036年の世界像──専門家調査が示す10の主要論点72か国447人の地政学・将来予測の専門家への調査をもとに、2036年の世界を10の論点で整理した記事を取り上げます。63%が「世界は今より悪化する」と回答するなか、米中パワーバランス、台湾有事リスク、NATOの将来、ウクライナ戦争の凍結紛争化、AIとAGI、核拡散、気候変動と水リスク、多国間主義の弱体化、ドル体制と暗号資産などが同時に語られます。専門家の属性や直近ニュースの影響といったバイアスにも触れつつ、リスクが高まる一方でそれを抑える制度の筋力が弱まっているという見取り図が示されます。出典: Atlantic Council, “Welcome to 2036: What the world could look like in ten years, according to nearly 450 experts”https://www.atlanticcouncil.org/content-series/atlantic-council-strategy-paper-series/welcome-to-2036/[27:20] 排出量から資産へ──脱炭素を動かす政治力の設計Noema Magazine に掲載されたトロント大学の政治学者ジェシカ・グリーンの論考をもとに、気候政策を排出量の技術的管理ではなく、化石燃料資産オーナーとグリーン資産オーナーの政治力という観点から捉え直します。国際課税やISDSの見直し、産業政策や補助金、保護主義の設計などを通じて、化石燃料側の政治力を制約し、グリーン資産側の政治連合を育てるという提案が語られます。資産を軸にした政策設計の意義と、副作用としての政治対立や国際制度との整合性の難しさにも触れます。出典: Noema Magazine, “It’s Time to Target the Political Power of Polluters”https://www.noemamag.com/its-time-to-target-the-political-power-of-polluters/[46:12] スケールしても続かない──国のオーナーシップと実装の条件Stanford Social Innovation Review の記事をもとに、グローバルヘルスの現場で一度スケールしたデジタル施策が数年後に止まる現象を取り上げます。政府とのパートナーシップは必要だが十分ではなく、意思決定権、データ統制、予算、人員、業務プロセスの組み替えまで含めた「国のオーナーシップ」がなければ持続しないという主張です。6つのシフトによる段階整理、タンザニアの事例、調達や予算化だけでは所有にならないという指摘、信頼と運用能力の重要性などが語られます。出典: Stanford Social Innovation Review, “Scale That Lasts: A framework for moving from government partnership to country ownership”https://ssir.org/articles/entry/scaling-global-health-innovations■こんな方におすすめ台湾有事や米中競争の長期シナリオを前提に、自社のリスク設計を見直したい方GXや脱炭素投資を、排出量ではなく“資産と政治力”の観点で再整理したい方社会実装がなぜ続かないのかを、制度や運用設計の観点から整理したい方■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回のエピソードでは、経済安全保障を実装していくうえで、国家と市場の境界線がどのように引き直されつつあるのかを取り上げます。補助金や融資に加えて、政府が株式を持つこと、重要鉱物を官民で備蓄すること、そして中堅国としての産業ポジションの確保戦略という論点を、制度設計とガバナンスの観点から整理します。■今回のトピック[01:54] 政府が戦略企業の株主になる──エクイティ投資のガバナンス設計CSIS の論考を手がかりに、米国の産業政策が補助金・融資中心から、政府が株式を取得する段階に入っている、という論点を扱います。政府が株主になると、配当を取りにいくのか、経営にどこまで関与するのか、失敗時の責任をどう置くのかといった論点が一気に増えます。Intel への投資(約100億ドル、持分約9.9%)を例に、政治化やえこひいき、規制当局としての役割との利益相反をどう避けるか、議決権や取締役会の扱い、出口の条件、成功指標の設計、さらに同盟国や第三国からどう見られるかまで、実装上の論点を確認します。出典: Center for Strategic and International Studies (CSIS), Understanding Federal Equity Investments in Strategic Companieshttps://www.csis.org/analysis/understanding-federal-equity-investments-strategic-companies[25:50] 重要鉱物の官民備蓄を保険にする──Project Vault の制度設計と論点Project Vault に関する CSIS の 記事をもとに、重要鉱物の供給途絶リスクを、単なる在庫ではなく保険型の仕組みとして扱う発想を紹介します。国防備蓄ではなく民生製造業の経済安全保障を想定し、OEM が必要な品目や品位、量を定義し、コミットメントとフィーで費用を分担するという制度の形が提示されます。放出条件を事前の合意に基づく透明な基準で運用することや、在庫回転を制度に組み込むこと、初期は現実的にグローバル調達を前提にする点、同盟国にも拡張し得る枠組みである点が論点になります。あわせて、ガバナンス、損失負担、価格や保管費のリスク帰属、60品目を運用する現場の複雑さ、大手中心になりやすい構造、中小サプライヤーへの波及、モラルハザードをどう抑えるかといった実装上の課題も検討します。出典: Center for Strategic and International Studies (CSIS), Project Vault: A Pillar of Economic Securityhttps://www.csis.org/analysis/project-vault-pillar-economic-security[45:16] 中堅国の産業戦略──戦略的不可欠性と選択の制度化ITIF の論考をもとに、中堅国が自給自足でも資源依存でもない形で、同盟国から見て不可欠な地位をどう築くかを扱います。あらゆる機能を国内で複製する誘惑(包括的なデジタル主権や国内クラウド義務化など)と、資源だけを掘って外に出す資源依存の道の両方を避け、少数の領域に集中して交渉力をつくるという整理が中心です。重要なのは、何を作るかだけでなく、何を作らないかを明確な基準で決め、声の大きい分野に資金が流れる事態を避けることです。さらに、レアアースなど重要鉱物の中流工程を担う場合に必要になる国家の実装能力(許認可、電力、技能人材、社会的合意など)や、調達・契約で統制を効かせる発想も確認します。日本にとっても、戦略分野の選定を「指定」だけで終わらせず、基準とプロセスを制度として組み込めるかが焦点になります。出典: Information Technology and Innovation Foundation (ITIF), Strategic Indispensability or Strategic Irrelevancehttps://itif.org/publications/2026/02/03/strategic-indispensability-or-strategic-irrelevance/■こんな方におすすめ経済安全保障を、補助金や規制の是非だけでなく、資本・備蓄・調達を含む実装として捉え直したい方政府の株式出資に伴うガバナンス、利益相反、説明責任、出口設計に関心がある方重要鉱物の供給途絶リスクを、官民でどう分担し、どんなルールで備えるかを検討したい方中堅国として、同盟国との分業の中で不可欠な産業ポジションを取りにいく戦略に関心がある方政策資本が入りやすい市場環境で、企業・スタートアップとしてのコンプライアンスと事業戦略を考えたい方■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていくポッドキャストシリーズです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回のエピソードでは、「"グリーン転換の三重苦"が国際秩序の再考を促す」をテーマに、気候適応への投資、EU の気候目標と対中デリスキングのジレンマ、そして気候正義と排出責任をめぐる3本の記事を取り上げます。■今回のトピック [01:46] グローバルサウスの気候適応投資──コストではなく安全保障と成長の投資 Atlantic Council の「Climate adaptation: The investment the Global South cannot afford to delay」をもとに、気候ショックが医療・電力・物流・食料などを止める「安全保障リスク」になっている現状と、それに対する適応投資の重要性を紹介します。1ドルの適応投資が平均10ドル超の便益を生むとされるにもかかわらず、民間気候ファイナンスのうち適応向けは最大でも5%程度にとどまり、保険カバー率も約10%と低いこと、気候ショックが財政悪化と信用力低下を通じて借入コストを押し上げる悪循環を生んでいることを整理します。そのうえで、都市・システム単位での連鎖的な便益に着目した案件形成、ブレンデッドファイナンスやリスクシェアを通じた民間資金動員、適応を「人道支援」ではなく財政安定・成長・信用コストの観点からの投資と捉え直す意義、日本のODAや民間金融が果たし得る役割について議論します。 出典: Atlantic Council, “Climate adaptation: The investment the Global South cannot afford to delay”https://www.atlanticcouncil.org/blogs/africasource/climate-adaptation-the-investment-the-global-south-cannot-afford-to-delay/ [19:11] 欧州の対中デリスキングとクリーンテック依存──「重力」からどう抜け出すか ECFR の論考を手がかりに、中国が世界の製造業の28%、とくに太陽光パネル・EVバッテリー・風力発電部品などクリーンテック分野で圧倒的な供給力を持つなかで、欧州グリーンディールの「船体」が Made in China になっているというパラドックスを取り上げます。脱炭素を進めるほど中国依存が深まり、依存を減らそうとするとコストと政治的反発が増えるというジレンマ、EU内部で気候目標・産業競争力・対中観が異なる4つの陣営(懐疑派・移行推進派など)に分かれている構図を紹介します。その上で、長期リスクの可視化、レジリエンス・プレミアムのコスト負担を誰が担うのかという透明な議論、対立する陣営それぞれの「言語」で説得する必要性、といった論点について議論します。日本においても、どのようにして脱炭素と経済安全保障を切り離さずに設計し、クリーンテック供給網の多様化・リサイクル・代替材開発をどう進めるか、といった議論の必要性があることを確認します。 出典:European Council on Foreign Relations, "Don’t look down: How Europeans can escape China’s clean-tech gravity"https://ecfr.eu/publication/dont-look-down-how-europeans-can-escape-chinas-clean-tech-gravity/[45:38] 32社が世界排出の半分──気候正義と企業責任・国際支援 Lowy Institute の「Climate change is a shared problem that needs shared solutions」をもとに、2024年の世界のCO2排出の半分がわずか32社の化石燃料企業に由来し、そのうち上位20社の17社が国有企業であるという分析を紹介します。責任を「みんなの問題」としてぼかすのではなく、特定の生産者・国有企業に引き寄せることで企業責任・課税・規制・訴訟など具体的な政策ツールに結びつける視点、同時にUNFCCCの「共通だが差異ある責任と各自の能力」の原則に立ち返り、歴史的排出・一人当たり排出・能力の違いを踏まえた負担配分が必要だという議論を整理します。そのうえで、化石燃料企業への責任追及と、先進国による気候ファイナンス・技術移転・損失と被害への拠出を「抱き合わせ」で進めないと政治的に持続可能な移行にならないという提案、日本がエネルギー安全保障や開発戦略と結びついた国有企業問題をどう捉えるべきかを考えます。 出典:The Interpreter, "Climate change is a shared problem that needs shared solutions"https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/climate-change-shared-problem-needs-shared-solutions■こんな方におすすめ 気候適応への投資を「コスト」ではなく安全保障・財政・成長の観点から捉え直したい方欧州の対中デリスキングやクリーンテック産業政策の議論から、日本のGX・経済安全保障を考えたい方少数の化石燃料企業・国有企業に集中する排出責任と、気候ファイナンス・企業責任の設計に関心がある方 脱炭素、エネルギー安全保障、開発金融を一体の政策課題として捉え、日本のビジネス・政策の前提を見直したい方 ■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズです。 ■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者 馬田 隆明(PEP ディレクター) ■主催者 政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回のエピソードでは、「産業政策と通商の新局面」をテーマに、産業補助金の条件設計、通商秩序の転換、関税ショック後の貿易再編に関する3本の記事を取り上げます。■今回のトピック [01:13] 産業政策の条件設計──ミッションと公共リターン Foreign Affairs 掲載の「Making Industrial Strategy Great Again」を手がかりに、産業政策の成否は補助金の規模ではなく、ミッションの明確さと公的投資のリターン設計で決まるという議論を紹介します。インターネットやGPS、製薬産業など、リスクは公的部門が負いながら果実は民間に独占されてきた歴史を振り返りつつ、バイデン政権のCHIPS法とインフレ抑制法が、自社株買い制限や労働基準、職業訓練、保育支援、利益分配条項などの条件を補助金に付けた意義と限界を整理します。そのうえで、トランプ政権でインテル出資の条件が緩和され、「創造なき収奪」と批判されるモデルに変質したプロセスを検討し、日本の半導体・経済安保投資で「家計への成果」「生活への成果」をKPIに組み込む必要性を議論します。 出典: Foreign Affairs, “Making Industrial Strategy Great Again” https://www.foreignaffairs.com/united-states/making-industrial-strategy-great-again [20:10] 通商秩序の転換──ルールベースからディールベースへ 同じく Foreign Affairs 掲載の「The Case for Upending World Trade」をもとに、WTO に代表される普遍的なルールベースの通商秩序は、冷戦終結と米国覇権、新自由主義的コンセンサスが重なった1990年代の歴史的例外にすぎない、という視点を紹介します。レーガン政権期の日米自動車自主規制、半導体301条関税、プラザ合意など、個別案件を実務的に処理した通商プラグマティズムの系譜を振り返りつつ、トランプ関税の問題点を認めながらも、安全保障協力条項や重要鉱物を巡るセクター別ディールなど「実務的ツールボックス」として評価すべき点を整理します。そのうえで、ルール軽視・ディール偏重が中堅国の予見可能性を損ないうるリスクや、ルールの利点(報復連鎖の抑制、取引コスト低下)にも目を向けながら、日本がどのレベルでルールを維持し、どこからディールを標準化すべきかを考えます。 出典: Foreign Affairs, “The Case for Upending World Trade” https://www.foreignaffairs.com/united-states/case-upending-world-trade [38:28] 関税ショック後の貿易再編──デカップリングは貿易崩壊か Bruegel の分析「European and Chinese exports kept growing despite the 2025 Trump trade shock」をもとに、2025年のトランプ関税ショックが米中貿易と世界貿易に与えた影響を、月次データを用いた分析から読み解きます。米国の中国からの輸入が12カ月で45%減少した一方で、中国の輸出総額は2025年12月時点で前年比6.6%増となり、ASEAN・EU・その他市場向けの輸出増が米国向け減少を相殺したこと、EUも米国向け減少を英国・スイス・ノルウェー・トルコ等への輸出で補い記録的水準を維持したことを紹介します。さらに、鉄鋼での赤字縮小とリショアリングの可能性、自動車やアルミで関税が期待どおり機能していない点、金輸出など特殊品目が米貿易赤字の一時的改善を歪めている点を検討し、「デカップリング=貿易崩壊」ではなく「流路の再編」と捉えるべきだという含意を議論します。日本企業にとって、迂回貿易や原産地規則、サードカントリー経由のシフトを含めたサプライチェーン再設計と、関税ショックの早期警戒・コンプライアンス支援のビジネス機会についても考えます。 出典: Bruegel, “European and Chinese exports kept growing despite the 2025 Trump trade shock” https://www.bruegel.org/analysis/european-and-chinese-exports-kept-growing-despite-2025-trump-trade-shock ■こんな方におすすめ 半導体やGXなど、日本でも拡大する産業補助金の「条件設計」をどのように考えるべきか関心がある方 トランプ関税や重要鉱物クラブ化をきっかけに、ルールベースの通商秩序の今後とディール型外交の利点・リスクを整理したい方 米中デカップリング後の中国・EUの輸出動向や、関税ショックがサプライチェーンに与える影響をデータで把握したい方 産業政策、通商政策、サプライチェーン戦略を一体として捉え、日本の政策・ビジネスの前提を見直したい方 ■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズです。 ■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者 馬田 隆明(PEP ディレクター) ■主催者 政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
2026/02/10:音声に一部不備があったため、再投稿いたしました。今回のエピソードでは、「欧州産業政策の転換点」をテーマに、伊独連携、EU排出量取引制度(ETS)、ブリュッセル効果に関する3本の記事を取り上げます。■今回のトピック[01:02] 新しい欧州推進力としての伊独連携ECFR の記事「When in Rome: The Italian-German motor in action」を手がかりに、ローマ会談で合意された伊独の行動計画と安全保障協力の中身を紹介します。南欧・中東欧に政治資本を持つイタリアと、北欧・オランダなど財政規律を重んじる国々から信頼を得るドイツの組み合わせが、従来の仏独主導とは異なる地域横断的な連合構築力を持つとする議論を取り上げます。32ページの行動計画、外相・防衛相による年次2+2協議、防衛産業協力(レオナルド×ラインメタル、BROMO、Eurodrone、防空プログラム)、重要鉱物調達での対中依存低減など、伊独アクションプランの柱を解説し、日本にとっての外交・産業政策上の含意を考えます。出典: European Council on Foreign Relations, “When in Rome: The Italian-German motor in action”https://ecfr.eu/article/when-in-rome-the-italian-german-motor-in-action/[20:52] 炭素価格の再設計──ETSを産業投資の原資へBruegel の論考「Europe’s emissions trading system is an ally, not an enemy, of industrial competitiveness」をもとに、EU排出量取引制度(ETS)の見直し議論を整理します。2005〜2020年にETSがEU全体の排出を14〜16%削減しつつ、企業の利益や雇用への影響は限定的だったとする実証研究や、2008〜2019年に15セクターで260〜460億ユーロのウィンドフォール・プロフィットが生じた推計、電力部門の約30%に対し産業部門の排出削減が9%未満にとどまったというデータを紹介します。無償配分継続に厳格な条件を付すこと、ドイツの気候・変革基金(KTF)を例にオークション収入の使途を真の脱炭素投資に整合させること、EUレベルの収入取り分を拡大して産業転換への投資に充てることという3つの提案を取り上げ、ETSをキャップ・アンド・トレードからキャップ・アンド・インベストへ転換する構想と、日本のGX経済移行債や今後の国内ETS設計への示唆を議論します。出典: Bruegel, “Europe’s emissions trading system is an ally, not an enemy, of industrial competitiveness”https://www.bruegel.org/analysis/europes-emissions-trading-system-ally-not-enemy-industrial-competitiveness[35:08] ブリュッセル効果とグローバルサウスのイノベーションInformation Technology and Innovation Foundation の記事「How the Brussels Effect Hinders Innovation in the Global South」をもとに、GDPRなどのEUデジタル規制がグローバルサウスにもたらす影響を検討します。ブリュッセル効果を価値観の自発的共有ではなく「規制帝国主義」と位置付ける議論を紹介し、域外適用や十分性認定制度を通じてEU型ルール導入を迫るメカニズムを整理します。十分性認定16件のうちグローバルサウスはアルゼンチンとウルグアイのみであること、ケニアのデータ保護法とデータローカライゼーション要件が越境データフローやオープンガバメントデータ公開に与えた影響、南アフリカとインドネシアで総生産高がそれぞれ9.1%、7.8%減少した推計や、GDPR後に欧州企業のデータ保存量が26%減り利益が8.1%縮小した研究結果などを取り上げます。そのうえで、APEC越境プライバシールール(CBPR)システムのような柔軟で相互運用可能な枠組みを例に、グローバルサウスが自国の開発段階や実装能力に応じた規制を模索すべきだとする提案を紹介し、日本のデータガバナンスやデジタルパートナーシップ戦略への示唆を考えます。出典: Information Technology and Innovation Foundation, “How the Brussels Effect Hinders Innovation in the Global South”https://itif.org/publications/2026/01/26/how-brussels-effect-hinders-innovation-in-global-south/■こんな方におすすめ欧州の伊独連携や防衛協力、重要鉱物戦略など、政治と産業政策が結びつく新しい動きに関心がある方EU ETSの見直し議論や、無償配分、ウィンドフォール・プロフィット、オークション収入の使途といった制度設計の具体論を押さえたい方GDPRをはじめとするEUデジタル規制がグローバルサウスのイノベーションやデータガバナンスに与える影響を知りたい方欧州の産業政策・気候政策・デジタル規制の最新議論から、日本の制度設計やビジネス機会のヒントを得たい方■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズです。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回のエピソードでは、「AI時代のガバナンス設計」をテーマに、AIセキュリティ規制、AIコンパニオン市場、エントリーレベル雇用という3本の記事を取り上げます。■今回のトピック [00:56] AIセキュリティ規制の4つのモデル──ハードローとソフトローをどう組み合わせるかRANDのリサーチブリーフ「Four Governance Approaches to Securing Advanced AI」を手がかりに、高度なAIモデルのセキュリティ確保に関する4つのガバナンス・アプローチを整理します。原子力・化学・電力・医療情報など7つの高リスク産業のコンプライアンス制度を比較し、リーダーシップと専門組織、明確なセキュリティ要件、監査・報告による検証、違反時の執行メカニズムという4つの共通要素を抽出します。そのうえで、高リスクの汎用モデル開発者に厳格な基準を課す政府義務付けモデル、政府調達をテコにした認可モデル、業界コンソーシアムによる自主認証モデル、自主規制と官民協調を組み合わせたソフトな協働モデルという4類型を紹介し、セキュリティ強度・順守率・産業負担のトレードオフや、「高リスクAIをどう定義するか」「監査可能性をどう担保するか」といった実務上の論点、日本での制度設計やビジネス機会(監査・認証・モデルセキュリティサービスなど)も含めて議論します。 出典: RAND Corporation, “Four Governance Approaches to Securing Advanced AI”https://www.rand.org/pubs/research_briefs/RBA4159-1.html[14:26] AIコンパニオン市場とオンライン安全──孤独の緩和と依存リスクのあいだで Ada Lovelace Institute のブログ記事「The companionship market」をもとに、UKにおけるAIコンパニオン市場の現状とリスクを読み解きます。2024年時点で約13億ポンド規模・年30%超の成長と推計される市場が、孤独感の軽減や会話練習、恋愛的ファンタジーなど多様な用途を持ちながら、若年男性(男性77%、18〜24歳が約39%)に利用が偏っている点を確認します。ケア型・取引型・出会い型・混合型という4つのセグメントと、記憶への課金や連続利用を促すリテンション設計、ユーザーへの過度な迎合が信念や行動に与えうる影響、UK Online Safety Act のスコープの抜け穴や年齢確認の不備、対話データ・個人データの扱いといった課題を取り上げます。そのうえで、依存や搾取のリスクを抑えつつ孤独の緩和といった便益を生かすために、適用範囲の明確化や若年層保護義務、ブレイクメカニクスの導入、過剰な迎合を避ける設計、個人情報保護や国境を越えるデータ移転のルール、事業者ガイドラインや認証・監査・保険・メモリーバンクなど、日本で検討しうる制度・ビジネスの可能性を議論します。 出典: Ada Lovelace Institute, “The companionship market” https://www.adalovelaceinstitute.org/blog/the-companionship-market/ [33:30] エントリーレベル雇用のレジデンシーモデル──AI時代のキャリアラダー再設計 Brookingsの論説「To save entry-level jobs from AI, look to the medical residency model」をもとに、AIで揺らぐエントリーレベルの仕事と若手育成の課題を検討します。ダボス会議での「エントリーレベル職の半分が数年で消えるかもしれない」といった発言を起点に、ジュニア職がルーチン業務の処理と実務を通じた訓練という二つの役割を担ってきたこと、前者だけをAIで置き換えると後者の訓練機会とタレントパイプラインが失われる危険を整理します。医療レジデンシーのように、若手を安価な労働力ではなく「育成を目的としたレジデント」として位置づけ、上級者の監督のもとクライアント対応・意思決定プロセスに段階的に参加させるモデルや、AIによる自動化で生じた余剰を原資とするAIワークフォース再投資基金、賦課金ベースの共同負担などの提案を紹介します。さらに、日本の新卒一括採用・ジョブローテーションや現行のリスキリング政策との違い、公共性の高い領域からの試行、標準カリキュラム・認定・仲介機関の必要性、費用負担や格差拡大の懸念、レジデンシーOSやレジデンシー案件運営などのビジネス機会も含め、AI時代の職業訓練・キャリアラダーをどう再設計するかを考えます。 出典: Brookings, “To save entry-level jobs from AI, look to the medical residency model” https://www.brookings.edu/articles/to-save-entry-level-jobs-from-ai-look-to-the-medical-residency-model/ ■こんな方におすすめ AIセキュリティ規制について、政府義務付け・調達・業界認証・官民協調といった複数のモデルとトレードオフを押さえたい方 AIコンパニオン市場の急成長と、若年層のオンライン安全・個人情報保護・依存リスクを制度設計の観点から考えたい方 AIでエントリーレベルの仕事が変わる中で、レジデンシーモデルや再投資基金など、若手育成と職業訓練の新しい設計に関心がある方 海外シンクタンクの最新論考を、AI時代のガバナンス・人材戦略・新規ビジネスのヒントとして押さえておきたい方 ■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズです。 ■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者 馬田 隆明(PEP ディレクター) ■主催者 政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回のエピソードでは、「テクノロジー競争と経済安全保障」をテーマに、Physical AI、レアアースの地政学リスク、AI競争に関する3本の記事を取り上げます。■今回のトピック 01:40 Physical AIの「実装ギャップ」──研究と現場のあいだにある深い溝 Andreessen Horowitz のニュースレターに掲載された「The Physical Deployment Gap」をもとに、最先端ロボティクス研究と実際の現場導入とのギャップについて議論します。ビジョン・ランゲージ・アクションモデルの進展や、シミュレーションから現実への転移の改善を紹介しつつ、倉庫のピッキングロボットが限定された環境でしか使えていない現状を整理します。その上で、分布シフトや最悪ケースでの信頼性、モデルの遅延と性能のトレードオフ、倉庫管理システムや監視・安全認証との統合、保守・メンテナンス体制といった運用上の課題を確認し、「ロボティクス版 DevOps」のような運用設計や、現場データ・工程設計・ビジネスモデル(サービス化・成果報酬など)まで含めたエコシステムづくりの重要性を、日本企業の強みや勝ち筋の可能性とあわせて考えます。出典: Andreessen Horowitz, “The Physical Deployment Gap” https://www.a16z.news/p/the-physical-ai-deployment-gap12:59 レアアース輸出規制と台湾抑止──中国の「経済的シグナリング」と日本の課題 CSIS(戦略国際問題研究所)の “China’s Rare Earth Campaign Against Japan” を手がかりに、中国によるレアアース輸出規制と日本への影響を読み解きます。2010年の尖閣沖衝突事件と世界向け輸出枠削減、その後の供給不安を振り返りつつ、2026年1月の対日輸出規制が台湾問題と結びついた新たな段階にあることを整理します。日本がライナスへの投資やベトナムとの連携などを通じて多角化を進めてきたものの、なお対中依存が大きい現実や、輸入比率だけでなく在庫日数・切り替えリードタイム・認証の取り直し・代替材の設計変更といった「とまりやすさ」の要因、中小・二次サプライヤーで詰まりやすい構造にも着目します。さらに、輸出規制が供給停止だけでなく、通関遅延や許認可の恣意性を通じて不確実性を高め、日本や同盟国の行動選択を事前に制約する抑止ツールとして機能しつつあるという視点から、精錬・磁石化能力の強化や、レアアース使用の周辺領域・代替材料でのビジネス機会について議論します。出典: CSIS, “China’s Rare Earth Campaign Against Japan” https://www.csis.org/analysis/chinas-rare-earth-campaign-against-japan25:05 AI競争という神話──非対称的な「AI二極化」と日本の立ち位置 Foreign Affairs 掲載の “The Myth of the AI Race” をもとに、米中AI競争を「単一ゴールのレース」とみなす発想に疑問を投げかけます。フロンティアモデル、計算資源、技術・標準の世界的普及、物理世界への統合という4つの次元に分かれた競争構造と、米国・中国それぞれの強みや、中国の産業用ロボット導入の規模について整理します。さらに、トランプ政権によるH200輸出規制緩和が米中の計算資源ギャップや「米国製チップの上で中国オープンウェイトモデルが動く」状況を生みうる点、AI二極化が国内格差や政治的ショックを増幅しうること、STEM教育や職業訓練、AIガバナンス整備の重要性などを踏まえ、日本が「どちらにつくか」ではなく米中双方から学びつつ、新興国向けインフラ支援や相互運用性のルールメイキングなどでどう独自のポジションを築きうるかを検討します。出典: Foreign Affairs, “The Myth of the AI Race”https://www.foreignaffairs.com/united-states/myth-ai-race■こんな方におすすめ ロボティクスや Physical AIの研究成果がなぜ現場導入に結びつかないのか、その技術・運用・ビジネス上のボトルネックを理解したい方 中国のレアアース輸出規制を、貿易報復ではなく台湾抑止やサプライチェーンリスクの観点から整理し、日本の資源・経済安全保障戦略を考えたい方米中AI競争を「AI覇権レース」としてではなく、多次元の二極化と国内外のガバナンス問題として捉え直し、日本のポジショニングやビジネス機会を検討したい方海外シンクタンクの最新論考を、テクノロジー競争・経済安全保障・産業政策のヒントとして押さえておきたい方 ■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズです。 ■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者 馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者 政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
今回のエピソードでは、「AI時代の格差是正に向けた新しい制度設計」をテーマに、AI雇用ショックとユニバーサル・ベーシック・キャピタル(UBC)、そして学位アプレンティスシップ(働きながら学位を取得できる仕組み)に関する2本の記事を取り上げます。 ■今回のトピック 00:59 「AI雇用ショック」とUBC──オーターが描く格差の未来 MITの経済学者デビッド・オーターが、中国からの輸入急増が米国製造業を直撃した「チャイナショック」と、これから本格化する「AI雇用ショック」の違いを語ったインタビュー/論考を手がかりに議論します。チャイナショックが特定地域・産業に集中して打撃を与えたのに対し、AIはタスク単位で広く浸透し、中間層の賃金分布や「仕事の質」に影響を与えるというポイント、介護・保育・清掃など自動化しづらいエッセンシャルワークが賃金上昇から取り残されかねないという逆説的な見立てを紹介します。また、単なる失業率の問題ではなく「適用可能な価値(applicable value)」として労働を捉え直す視点、AI導入によって企業利益が膨らむ一方で労働所得への分配が細くなっていく中で、UBIではなくユニバーサル・ベーシック・キャピタル(UBC)という形で資本所得へのアクセスを広げる構想を検討します。さらに、日本でAI関連法制やリスキリング支援を設計する際に、タスク単位の影響分析や中間層の厚み、非正規・高齢者・ケア職まで含めた支援設計をどう組み立てるべきかを考えます。 出典: Noema Magazine, “How the ‘AI Job Shock’ Will Differ From the ‘China Trade Shock’” https://www.noemamag.com/how-the-ai-job-shock-will-differ-from-the-china-trade-shock/23:11 学位アプレンティスシップ──働きながら学位を取る新しい教育モデル New America のレポート「Mapping the Landscape of Degree Apprenticeship: Expanding a Promising Model for Mobility」をもとに、米国で拡大しつつある「学位アプレンティスシップ」について議論します。学位アプレンティスシップを「有給の実務経験」「メンターによるOJT」「関連する高等教育での授業」「準学士・学士・修士などの学位と職業資格の両方を得る仕組み」という4要素から整理し、特に教師・看護師など人手不足で社会的に重要な職業で導入が進んでいる状況を紹介します。また、対象91職種の約半分は本来学位が典型的な参入要件ではないにもかかわらず、長期的なキャリアの選択肢や昇進の可能性を広げるために学位付きのアプレンティスシップとして設計されている点にも触れます。日本の状況に引き寄せて、教員・看護・介護・ITなどで「働きながら学ぶ」経路をどう増やせるか、産学連携や地方の人材育成にとってどのような含意があるかを議論します。出典: New America, “Mapping the Landscape of Degree Apprenticeship: Expanding a Promising Model for Mobility” https://www.newamerica.org/education-policy/reports/mapping-the-landscape-of-degree-apprenticeship-expanding-a-promising-model-for-mobility/■こんな方におすすめ AIが雇用や賃金分布、中間層にどのような影響を与えるのかを、チャイナショックとの比較で整理したい方 UBIではなくUBC(ユニバーサル・ベーシック・キャピタル)の発想に関心があり、格差是正や資本所得アクセスの観点から検討したい方教師・看護師・技能職などで「働きながら学位を取れる」キャリアパスや、学位アプレンティスシップの実態と日本への示唆を知りたい方 海外シンクタンクの最新論考を、日本の雇用政策・教育政策・リスキリング施策のヒントとして押さえておきたい方 ■PEP Think とはPEP Think は、海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズです。 ■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者 馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催者 政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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