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Author: Morgan Stanley

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モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。


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弊社インド・リサーチ責任者兼チーフ株式ストラテジストのリダム・デサイが、「2025年に他の新興国市場をアンダーパフォームしたインド株は、回復に向かうのか」という大きな論点についてお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社インド・リサーチ責任者兼チーフ株式ストラテジストのリダム・デサイが、今年のアジアにおける大きな論点のひとつ、歴史的な低迷のあと、インド株式は強さを取り戻せるのか、についてお話しします。このエピソードは1月14日 にムンバイにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。インド株は2025年、他の新興国市場に対して、1994年以来およそ30年ぶり にの大差でアンダーパフォームして1年を終えました。その理由としては、サイクル半ばでの成長減速、割高なバリュエーション、インドにはAI関連の明確な投資テーマが存在しないことが挙げられます。さらに、米国との通商協議の遅れや、世界的な強気相場におけるインドの「低ベータ」も、アンダーパフォーマンスの要因となりました。しかし、潮目は変わりつつあります。バリュエーションは大幅な調整が入り、おそらく10月に底を打ったと考えられます。さらに重要なのは、インドの成長サイクルが予想以上の上振れに向かっているとみられることです。政策当局は景気の勢いを取り戻すために、リフレに全力で取り組み、積極的な政策を次々と実施しています。インド準備銀行は利下げを行い、預金準備率を引き下げ、市場に流動性を供給し、さらには銀行規制の緩和を進めるなど、景気を後押しする施策を展開しています。政府も公共投資を前倒し、1兆5,000億ルピー規模の大幅なGST減税を発表し、国民がモノやサービスへの支出を増やせるよう後押ししています。こうした一連の動きに加え、インドと中国の関係改善、中国政府の新たな「反内巻き」政策、包括的なインド・米国通商協定の可能性などが、回復に向けた着実な基盤となっています。要するに、パンデミック後には厳しかったインドの経済スタンスが緩和に向かっているのです。こうした変化は、今後の市場に対する投資家の見方に大きな変化をもたらす可能性があります。インドのマクロ環境も進化しています。GDPに占める原油比率の低下、特にサービス分野における輸出比率の上昇、財政健全化の進展などは全て、貯蓄の不均衡が縮小していることを示しています。これは、構造的に今後、金利が低下することを意味します。柔軟なインフレ・ターゲティングのもと、インフレ率と金利の変動幅もさらに縮小するでしょう。高成長、低ボラティリティ、金利低下が揃えば、株式のP/E倍率は上昇するでしょう。加えて、家計の資産構成が株式にシフトしている点も重要です。国内ミューチュアルファンドへの継続的な資金流入が、こうした傾向を裏付けています。投資家の懸念は理解できますが、文脈の中で捉える必要があります。企業の資金調達が増えているのは、バリュエーションの高さだけではなく、将来の成長を示している場合も多いのです。株式への資金シフトが続く中、国内投資は引き続き堅調です。インド株式のプレミアムは、堅固な長期成長期待と、実質金利の低下見通しを反映したものです。政策面でも成長押し上げに向けた取り組みは力強く、実質成長率は上振れる可能性があります。インドは現時点でAI分野をリードしているわけではありませんが、2月に予定されているAIサミットは、技術イノベーションにおけるインドの役割についての懸念を和らげるかもしれません。投資家が注目すべき重要なカタリストは何でしょうか。企業収益の上方修正、インド中銀のさらなるハト派姿勢、民営化などの政府の改革、長らく待たれている米国との通商協定などが挙げられます。一方で、世界の成長減速や地政学的環境の変化といったリスクにも注意が必要です。では、15か月にわたる相対的な苦境を経て、インドは構造的な再評価の入り口に立っているのでしょうか。成長率が予想を上回れば、2026年のストーリーは「インドの復活」になるかもしれません。弊社は成長率の上振れを予想しています。続報をぜひお楽しみに。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
複数の指標がすべて同じ方向を指し、市場と経済が今後力強い成長を遂げることを示唆しています。弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツがご紹介します。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日はコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、グローバルな景気サイクルへの楽観的な見方を示す複数の指標がこぞって同じ方向を指し示すという珍しい現象と、なぜそれが重要な注目点になるのかという2点についてお話しします。このエピソードは1月9日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。2026年が始まりました。予測というものは難しく、惨めな思いをさせられる行為でもあります。2025年はまさにそうで、市場が好調な年であっても大きな変動が起こりうることを思い知らされました。しかし総じて言えば、モルガン・スタンレー・リサーチでは、今年は株高と債券利回りの小幅な低下が共存する良い年になるとの見方を変えておりません。たしかに、新年早々いろいろな事件が起きていますが、メッセージの中核部分は依然有効だと弊社では考えています。しかし、今回は向こう1年間の弊社予想を再度ご紹介するのではなく、グローバルな景気サイクルの先行指標に長らく位置付けられている数々の資産を幅広く検討してみたいと思います。私はこれらの資産を重要だと考えています。特筆したいのは、今はこれらがすべて同じ方向に動いていること。景気の循環的な拡大を示唆していることです。たしかに、今日の市場では一部で投機的な動きや過大なバリュエーションも見受けられますが、これらの資産が同じ方向を向いていることは、もっと本質的な何かが起きている可能性を示唆しているのです。まず、銅の価格です。ボラティリティが高いものの景気の変化に敏感に反応することが多い指標ですが、この1年間でおよそ40%上昇しています。また。ガラスから錫(すず)に至る非取引型工業原料を網羅する重要な指数は、投資家の活動の影響を受けにくいため有用なのですが、それもこの1年で10%上昇しています。また韓国株は、景気変動に非常に敏感に反応することが多く、投資家からはグローバル経済の楽観度の代理指標と以前からみなされていますが、こちらは 去年 昨年80%も上昇し、主要市場の中では最高のパフォーマンスを記録しました。小型株も景気変動に敏感に反応する傾向がありますが、これもこのところ大型株をアウトパフォームしています。そして、最後になりましたが、欧米の金融株です。これも景気に敏感なことが多いセクターであり、市場全体をかなり大幅にアウトパフォームしています。これらの異なる地域の異なる資産はすべて同じことを告げているようにうかがえます。すなわち、グローバルな景気サイクルの見通しは改善してきており、このところは経済活動自体も実際に良くなっていることを、これらの資産は示しているように見えるのです。個々の指標が誤っていることはあり得ます。しかし複数の指標すべてが同じ方向を向いているとなれば、これは十分注目に値します。しかも私が思うに、この現象は同僚のマイク・ウィルソンが1月5日付の配信でお届けした重要なメッセージ、すなわち、米国株に対する強気な見方は経済の基礎的な活動の改善としっかりリンクしているのだというメッセージに見事につながっています。具体的に言えば、企業の利益の伸びは認識されている以上に大幅かもしれないという弊社の見方には裏付けがあるのです。もちろん、データは今後変動します。値が低下すれば、それは経済や景気サイクルの悪化を示唆している可能性があります。しかし今のところ、景気サイクルの様々な指標は良好な値を示しています。この状況が続けば、中央銀行の政策をめぐる疑問や、グローバル経済の成長拡大を示すこれらのしるしと釣り合う追加利下げ幅はどの程度かといった疑問が、さらに浮上してくるかもしれません。今回の市場のサイクルにはまだ上昇余地がある。そしてこの弊社の見方の中核を支える証拠はまだ健在である。弊社は今のところそうみています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
2026年の米国株を押し上げる公算が大きいものの、投資家が見落としているかもしれない主な材料について、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンがお話しします。このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  本日は弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、市場に作用する諸々の力がひとつにまとまり、2026年に対する弊社の強気な見通しを補強していることについてお話しします。このエピソードは1月5日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。新年を迎えるときには、将来のことに目を向けるのが普通です。ですが今日はあえて一歩戻り、市場が見落としていることについてお話ししたいと思います。いくつもの強気な材料が勢ぞろいしているのに、それらが一つにまとまってもたらす総合的な影響を、市場はまだ過小評価しているからです。堅調な増益基調、FRBによる追加利下げなど、個々の好材料は大いに注目されています。しかし弊社がみる限り、本当に重要なのはこうした力がお互いを強めあっていることです。規制の緩和、プラスの営業レバレッジ、緩和的な金融政策、そして景気を下支えする性質をますます強めている財政政策。これらはすべて、同じ方向に作用しています。今年の後半には中間選挙も予定されており、こうした政策手段は今後も景気を支える方向に維持されそうです。重要なのは、私が思い描く展開がまだ相場に織り込まれていないことです。循環株の売買ポジションは比較的軽いままで、景気敏感株に対する投資家の心理は熱狂には程遠い――。この組み合わせ、すなわちファンダメンタルズの改善と慎重なポジションという組み合わせは、回復の初期段階の特徴そのものであることが多いのです。私は引き続き、こうした追い風が最も過小評価されているのは循環株だとみています。業種でいえば一般消費財、金融、資本財・サービス、そして中小型株です。弊社が追跡している指標の多くは、まさに上向き始めたばかりです。私にはもう、これはサイクルの終盤には見えません。むしろ、私が「ローリング・リカバリー」とみなしているものの初期に見えるのです。投資家が躊躇(ちゅうちょ)してしまう理由の一つは、従来型の景気循環指標、とりわけ米供給管理協会(ISM)による製造業購買担当者景気指数(PMI)がさえないことに求められます。これらの指標が明らかに再加速するまでは、循環株の売買の推進がためらわれるのです。そしてこの躊躇の根底には、米国経済が「グロース・スケア(成長失速への警戒)」に逆戻りしないだろうかという根強い不安感があります。私は違う見方をしています。私は、3年間に及んだローリング・リセッションは 去年 昨年4月の「解放の日」をもって終わったと考えています。もしその通りであれば、伸び悩む雇用関連統計におけるいくぶん弱い動きは、株式にとっては前向きな材料となります。FRBのハト派的なスタンスがその分長期化し、かつ強化されるためです。まさに株価にとっては好材料です。私は、主要なマクロ経済指標は2025年下半期に底を打ち、2026年がその再加速の年になるとみています。より長いサイクルの分析もこの見方を支持しています。具体的には、ISM製造業PMIの45ヵ月サイクルが反転を示しています。この指標の回復は遅れていますが、取り消されたわけではありません。もうひとつ、十分に注意が払われているとはとても言えない追い風として、エネルギー価格をあげることができます。特にガソリン価格はほぼ5年ぶりの安値水準にあり、低中所得の消費者には経済面の大きな救いとなっています。こうしたクッションは重要です。経済のほかの部分が堅調な時は特にそうです。この週末にベネズエラで起きたことも、長期的には原油価格を押し下げそうです。次はセクターごとに見ていきましょう。規制緩和の恩恵を享受するセクターの筆頭は金融です。こうした変化を見越して、金融株は過去1年間、高パフォーマンスをあげてきました。2026年に入ってもこの上昇は続くだろうと私は見ています。 住宅も回復局面の重要な要素になり得ます。賃金の伸び悩みと賃料相場の下落は住宅価格を押し下げるかもしれませんが、一部の住宅建築業者は利益率よりも量を重視しています。そのため、これらの業者の利益は頭打ちになるかもしれませんが、住宅取引の回転を高め、よりハト派的なインフレ環境を形成することにつながる可能性があります。当然ながらリスクも存在します。弊社では9月以降、流動性を最も懸念していますし、それは投機的な資産の弱さという形で相場にも反映されています。ただ、FRBがこれに対応して量的引き締めを先に終了させ、準備金管理プログラム(RMP)を通じて資産購入を再開したことは好材料です。このプログラムは、ストレスが加わっている気配をここ数ヵ月間見せていた金融システムの流動性を効果的に増やしています。AI関連の設備投資が減速するのではとの懸念の再燃というリスクもあります。借り入れた資金による投資の見返りがどうなるのかもっと明確に知りたいと市場が要求する場合は、特にそうです。また地政学的には、米国によるベネズエラへの介入が新たな問題を引き起こしています。戦略的には、この一件によって西半球に対する米国の影響力は強まりますし、弊社の「景気を過熱させる」という仮説も支持されますが、中国が対応策を取るか否かという大きなワイルドカードが残ります。まとめますと、現在はサイクルの回復局面の初期段階にあると考え2026年の米国株を強気にみている弊社の見方は、リスクとリワードのバランスから見てもやはり支持されると弊社では考えています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社チーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが、モルガン・スタンレーの2026年グローバル見通しに対するお客様からのフィードバックにお答えします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社チーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが、2026年の弊社見通しに関して、特に議論を呼んだテーマを選んで、お寄せいただいた御意見について考察します。このエピソードは12月16日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。数週間前に、弊社はグローバル経済および市場に関する2026年の見通しを掲載したOutlook(アウトルック)を発行しました。その後、アウトルックで示した重要なテーマについて、世界中のお客様と幅広い会話や意見交換、議論を重ねてまいりました。いただいたご意見は、強い賛同から鋭い反論まで多岐にわたり、その間には多くの微妙に異なるご意見がありました。こうした対話、特に反論は、弊社の前提を再検証し、思考を磨く上で非常に重要であると考えています。AIおよびデータセンター関連の設備投資に対する前向きなスタンスと、クレジット市場の役割が極めて重要であるとの弊社見解は、特に注目を集めました。弊社の2026年の設備投資予想は、今後数年間、コンピューティング需要が供給を大きく上回るという強い確信に基づいています。弊社は引き続き、公募、私募両方の無担保、仕組み債、証券化商品を含むクレジット市場が、次なるAI主導の投資の波を支える資金調達の中心になると確信しています。ここで重要なのは、この支出がマクロ経済の状況、つまり金利や経済成長率の水準に対して比較的鈍感であると考えられる点です。AI投資の規模については、弊社の経済予想に対して「もっと高い成長になるのではないか?」というご指摘がありました。これは複数年にわたるプロセスであることから、成長への影響も長期にわたると弊社は考えています。米国クレジット・ストラテジストは、投資適格債、いわゆるIG債の供給について、発行総額が前年比25%増の2兆2,500億ドル、純発行額が前年比60%増の1兆ドルと予想しており、大きな注目を集めました。この発行額の弊社予想に対して反論がありました。設備投資が売上高の成長を上回るペースで拡大し、フリーキャッシュフローを圧迫するため、その間はクレジットが資金調達の重要な手段となるためです。なお、弊社が予想している発行増の主因はAIだけではありません。M&A活動の活発化と、それに伴う買収資金調達を目的としたIG債の供給増加も重要な要因になると考えています。また、信用スプレッドが小幅に拡大するとの弊社予想にも反論がありました。IG債のスプレッドは15bp前後拡大すると弊社は予想しており、供給の急増にもかかわらず、過去のレンジの下限付近にとどまると考えています。より大幅な拡大を予想する声もありましたが、AI関連の新規発行の大半は、現在、株式市場におけるウェイトに比べてクレジット市場における構成比が小さい、ダブルA格からトリプルA格の高格付けの発行体によるものになると弊社は見ています。さらに、今後2回の利下げによる金融緩和政策の継続、景気の緩やかな再加速、利回りを重視する投資家からの需要の持続が、スプレッドを下支えると考えています。弊社のマクロストラテジストは、2026年を、各国中央銀行が均衡点に近づく中、協調的な引き締めから非協調的な正常化に向かう、世界の金利にとっての移行の年ととらえています。この見方は、概ね好意的に受け止められました。また、国債利回りが概ね総じてレンジ内で推移するとの見通しも同様です。ただし、FRBの政策がハト派寄りに傾くことを市場が織り込むという見方は、かなりの議論を呼びました。イールドカーブのスティープ化については広く合意がありましたが、スティープ化がブル・スティープニングなのかベア・スティープニングなのかについては依然、意見が分かれています。米国以外については、ECBが2026年に追加で2回利下げを行うとの予想に対して最も大きな反論がありました。弊社エコノミストは、「ディスインフレのプロセスは終わった」とするラガルド総裁の見解に同意していません。ドイツの財政拡張によってユーロ圏の緩やかな成長が続いても、他の諸国が財政再建を進める中、依然として需給ギャップが存在し、インフレ率はいずれECBが目標とする2%を下回ると弊社は見ています。中国についても活発な議論がありました。最大の論点は、ミクロとマクロのどちらの視点で見るかという点です。言い換えると、「市場は経済そのものではなく、経済も市場そのものではない」ということになります。今年、中国への投資に対する市場のセンチメントは好転し、弊社ストラテジストもこの見方に賛同しています。ただし、経済面ではデフレが続き、政府の財政政策の規模では目先、リフレーションを促すには至らないと見ています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
FRBが毎月400億ドルの米国債購入を再開することを決定しましたが、その意味について、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストの マイク・ウィルソンがご説明します。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、先週のFRBの決定と、それが株式にとって何を意味するかについて、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストの マイク・ウィルソンがご説明します。このエピソードは12月15日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週のFRBの会合は、弊社の前向きな2026年株式見通しをさらに後押しするものとなりました。FRBは予想通りタカ派的な利下げを実施しましたが、労働市場がさらに軟化すれば、追加の措置を取るとも示唆しました。利下げ以上に重要だったのは、FRBが資産購入の再開を決定したことです。具体的には、FRBは金融市場の円滑な運営を確保するため、毎月400億ドルのTビルの購入をすぐに開始する予定です。発表前に投資家と話をした限り、この購入額とタイミングは、コンセンサスや私自身の予想を上回るものでした。また、これは私が数ヶ月間議論し、来年の見通しでも強調してきた重要な洞察を裏付けるものです。まず、FRBは市場から独立しているわけではなく、市場の安定性が、完全雇用と物価安定という定められた二つの使命を超えて、FRBの政策において主要な役割を果たすことがよくあります。次に、債務と赤字の規模を考えると、FRBには財務省が政府資金調達を行うのを支援する追加責任があり、この関連で今後も財務省とより緊密に連携していく可能性が高いでしょう。最後に、予想よりも早く、より積極的に資金調達市場に介入するという決定は、FRBの定義する「量的緩和」ではないかもしれません。しかし、これは債務の貨幣化の一形態であり、特に財務省が長期国債よりも短期国債を多く発行する中で、依然として増加している米国債発行によるクラウディングアウトを直接的に緩和するものです。FRBの10月の会合では、流動性の引き締まりについて若干の懸念が示されましたが、私はこのポッドキャストで、これが株式の強気相場にとって最大のリスクであると述べてきました。流動性の引き締まりの証拠は、暗号資産や利益の出ていない成長株など、流動性に最も敏感な資産価格の動きに見られます。FRBはこれらの資産クラスのパフォーマンスにはあまり関心がないかもしれませんが、債券、信用、資金調達市場の金融安定性には関心があります。これが、FRBが大方の予想よりも早く、より大規模な形で資産購入を再開した理由でしょう。先ほど述べたように、短期国債の発行を今後増やすという財務省の目的を踏まえ、弊社はこれを債務の貨幣化の一形態と見ています。さらに重要なのは、これらの購入が市場に追加の流動性を提供し、利下げと組み合わせることで、FRBがインフレ目標の未達をそれほど心配していないことを示唆している点です。これは「経済を過熱させる」という2021年初頭から続く弊社のシナリオに極めて合致しています。念のため申し上げると、インフレ加速は、FRBが2022年のように「パンチボウル」を取り上げざるを得なくならない限り、資産価格にとってポジティブな要因です。皮肉なことに、短期的なリスクは、このように予想よりも大規模な資産購入プログラムであっても、市場が円滑に運営されるために必要な準備金の水準をFRBが大幅に過小評価していた場合、不十分になる可能性があるということです。これは2019年に起こったことであり、FRBがそもそもスタンディング・レポ・ファシリティ(常設レポファシリティ)を作った理由です。しかし、これはどちらかというと必要に応じて使われるツールです。FRBが円滑に機能する金融市場に必要な準備金の水準を過小評価していた場合、市場が求めたり、必要としたりするかもしれないものは、より大きなバッファーです。はっきり言っておきますが、それがどれほどの水準かは私には分かりません。しかし、市場が今回のFRBの措置で十分かどうかを教えてくれると信じています。この点に関しては、流動性に敏感な資産クラスや株式市場の分野に注目することが重要でしょう。特に、先週の金曜日と今朝の取引でこれらの相場がどれほど低迷していたかを考えるとなおさらです。結論として、FRBは過去数か月間にわたり市場の揺れに対応してきました。もし市場が再び不安定になれば、FRBは状況が落ち着くまで再び反応するだろうと弊社は強く確信しています。先週のFOMC会合を受け、そうした確信はさらに強まり、弊社は今後6~12か月間について強気の姿勢を維持しています。S&P500の目標価格は7800です。短期的な調整は買いの機会として歓迎します。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 
2026年にはクレジット・サイクルが燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるかもしれない――そう考えられる理由を、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者の アンドリュー・シーツがご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者の アンドリュー・シーツが、2026年のグローバル・クレジット市場の見通しについてお話しします。、クレジット・サイクルが燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるかもしれないと弊社が考える理由をご説明します。このエピソードは12月12日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。まさかこんな状況が続くはずはない――2026年のプランを練っているグローバル・クレジット投資家の多くは、おそらくそうつぶやいているでしょう。米国とアジアでは、クレジット・スプレッドが25年以上前に見られた水準にまで縮小しています。社債の発行はますます活発になっており、企業の設備投資も急増しています。格付けが最も低い社債の市場では、プレッシャーの兆候がはっきりうかがえます。そして、クレジット投資家は心配するように教育されています。こうしたことはすべて、いやこれ以外の現象も、クレジット・サイクルが自らの重みに耐えられなくなりひび割れし始めている兆候なのではないか、というわけです。まだそこまでは達していない、というのが弊社モルガン・スタンレーの見方です。弊社はむしろ、2026年にはクレジット市場が燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるだろうと考えています。その理由の一部は、異例なほど景気刺激的な環境に求められます。まず、中央銀行が金利を引き下げています。政府は支出を増やしており、規制も緩和されつつあります。おまけに、人工知能(AI)関連の投資サイクルは一世代に一度あるかないかの巨大な投資サイクルかもしれません。こうしたことが相まって、リスクを取ることができる企業セクターはさらにリスクを取りにいく公算が大きいと思われるのです。そのため、来年のクレジット投資の方針は2005年や1997-1998年のそれによく似たものになるだろうと弊社ではみています。どちらの時期も設備投資、企業買収活動、金利、そして失業率という4種類の指標の水準が、弊社の来年の予想値にかなり近いのです。そして2026年を展望するにあたっては、これら2つの時期が相反する2つの見方を提示してくれます。2005 年は、低所得の消費者が本当に苦労し始めているものの、すなわち、当時は中国でしたが、今日ではAI投資がそれにあたるかもしれませんが、別の力が作用して市場全体は好調を維持しているという時期に近いのかもしれません。一方、1997年や1998年は、新しいテクノロジーは本当に世界を変えていくと投資家が確信を強めている時期に近いと言えるでしょう。当時の新しいテクノロジーはインターネットでしたが、今日のそれはAIです。この状況が変わっていくうえで重要になるのは社債の発行状況だろう、と弊社では考えています。これは各地域にとって大きなテーマであり、米国、欧州、そしてアジアのクレジット市場全体に対する弊社見解の重要なポイントのひとつでもあります。来年の米国市場における投資適格社債の純発行額は2025年に比べて60%以上多くなり、計1兆ドル前後に達すると弊社では予想しています。この発行額増加の原動力は、設備投資と企業買収が幅広いセクターで増えることに加えて、テクノロジー企業によるAIへの投資が増え続けることにあります。これらの社債がすべて市場で売りに出されれば、それに応じて米国のスプレッドは拡大せざるをえなくなるでしょう。高利回りのおかげで社債購入需要が非常に旺盛な場合でも、そして景気が最終的に持ちこたえる場合でも、スプレッドは拡大するのです。欧州やアジアの投資適格社債、そしてグローバル・ハイイールド債など、発行額が比較的少ない地域や分野では、米国よりも若干良い状況になると思われます。弊社では、これらはいずれも米国投資適格社債をアウトパフォームすると予想しています。トータル・リターンについては、これらの市場すべてが4~6%前後のリターンを産むと考えています。実際にそうなれば、例えば米国株式などに対してはアンダーパフォームとなるでしょうが、現金に対してはアウトパフォームすることでしょう。2025年や2005年とある程度同じように、2026年には個別銘柄とセクター分散が主要なテーマであり続けると弊社ではみています。そして、保有する債券の残存期間も重要になる公算が大きいでしょう。クレジットのイールドカーブはスティープ化していますし、弊社の米国金利ストラテジストは、米国債のイールドカーブがさらに大幅にスティープ化すると予想しています。つまり、いわゆるキャリーとロールダウン、そしてイールドカーブのどこにポジションを置いているかが最終的な運用成績に非常に大きく影響することになるでしょう。弊社では、米国と欧州の両方で期間5年から10年までの社債のリスク・リワードが最善だろうと考えています。グローバル・クレジットにとって最も重要なリスクは、引き続きリセッション(景気後退)です。リセッションになれば、景気悪化という側面でも需要の弱まりの側面でも、スプレッドは拡大するでしょうし、利回りの低下につれてクレジットへの投資需要も減るでしょう。その場合、弊社によるスプレッドの予想は楽観的過ぎることになり、ハイイールド債が投資適格債をアウトパフォームするという弊社予想も誤りになるでしょう。また、この弱気シナリオのマイルド・バージョンもあります。それは、企業の動きと社債の供給が弊社予想以上に活発になり、1998年後半や1999年に近い状況になるというシナリオです。あの当時、米国の投資適格債のスプレッドは現在よりもざっと30ベーシスポイント大きい状態にありました。景気が良く、株式相場も上昇を続けていたのに、スプレッドは拡大していたのです。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社の南アジア・エネルギー担当アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、AIによる前例のない電力需要が今後数年間で電力業界をどのように変革するかについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社の南アジア・エネルギー担当アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、AIと電化が世界の電力のルールをどのように書き換えているかについてお話しします。このエピソードは12月2日 にシンガポールにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。もし最近、電気料金が上昇していると感じたり、AIに関する話題がニュースで頻繁に取り上げられていると感じている方がいらっしゃれば、それはあなただけではありません。私たちの電力の使い方、そして必要性は急速に変化しており、一般家庭から大手テック企業まで、すべての人に影響を及ぼしています。世界の電力消費は、過去10年余りで最も速いペースで急増しています。年間需要は2030年まで毎年1兆キロワット時以上増加する見込みであり、その成長の5分の1近くはAI主導のデータセンターによるものです。弊社では、2028年までにデータセンターへの投資額が およそ約3兆ドル、2028年までの3年間で電力消費の伸びがおよそ約126ギガワットに達すると推計しています。これはカナダの年間電力消費量にほぼ匹敵します。このような状況下で、電力価格はさらに上昇する見通しです。2024年の最新データによると、世界の電力セクターへの投資は過去最高の1兆5,000億ドルに達し、消費者の電力価格はおよそ約15%上昇しました。2030年までには、米国の電力市場が世界のデータセンター電力消費の半分を占めるようになるでしょう。また、アジアでも米国のハイパースケーラー需要のおよそ約15%が波及し、アジアの一部の電力市場がさらに逼迫する要因となります。電力消費が増加する中、電力の販売価格と発電コストの差、いわゆる「パワースプレッド」は15%近く拡大すると予想されます。この利益率の拡大は、発電会社の業績予想を押し上げ、電力サプライチェーン全体で3,500億ドルの価値創出につながる可能性があります。一方で、長年にわたる電力網への投資不足がボトルネックを生み、新たな投資の波を引き起こしています。業界は、天然ガスやエネルギー貯蔵、その他の新技術への依存を強めるとともに、再生可能エネルギーの選択肢も支援しています。2024年にはガスへの投資が過去最高を記録し、2026年以降はガスが新たな世界的な発電源となる見込みです。今後、天然ガスは中国を除く世界の新たな電力需要のおよそ約5分の1を担うと予想されます。また、原子力も投資拡大の好機を迎えており、(エネルギー貯蔵である)バッテリーもデータセンターや中国などの市場で新たな投資が進んでいます。今後、電力業界は予想外の変化と機会に満ちた数十年にわたる変革期を迎えます。化石燃料と非化石燃料の協業増加、段階的な価格設定の導入拡大、スポット市場やビハインド・ザ・メーター(BTM)市場における販売急増などにより、長期的かつ高水準のパワースプレッドが続くでしょう。ガス、原子力、エネルギー貯蔵、燃料電池のサプライチェーンは、特にアジアと米国で価格決定力が強まり、新たな成長機会を得る見通しである一方、電力網運営者は投資増加と収益改善の恩恵を受けます。逆に、純粋な太陽光・風力発電事業者は、アジアでコスト上昇が続く可能性がありますが、これは米国や欧州でも既に見られる傾向です。世界の電力網がバッテリーや安定した化石燃料供給への依存を強め、AIや製造業の国内利用など、電力サプライチェーン全体の需要増加に対応していくためです。結局のところ、AIと電化が電力需要を加速させる中で、本当の課題は再生可能エネルギーを増やすことだけではありません。強靭で柔軟な電力網を構築し、新しいエネルギー経済を乗り越えていくことが重要です。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社米国チーフエコノミストのマイケル・ゲイペンが、2026年に成長・インフレ・AI革命がどのように展開するかを解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社米国チーフエコノミストのマイケル・ゲイペンが、2026年の米国経済見通しについて、成長・インフレ・雇用・米連邦準備制度理事会にどのような影響があるのかを解説します。このエピソードは11月25日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。2025年が急速かつ大胆な政策変更の年だったとすれば、2026年はその余波が落ち着く年です。去年 昨年、主に厳しい貿易・移民政策の影響で、成長が低迷し、インフレ率がなかなか下がらないと弊社は予測しましたが、これは的中しました。しかし今年は状況が変わりつつあります。米国経済はようやく高い不確実性の段階を脱しつつあり、2026年には1.8%、2027年には2%の緩やかな成長に戻ると見込んでいます。インフレ率は落ち着くものの、FRBの目標である2%には届かない見通しです。2026年末までには、ヘッドラインPCEインフレ率が2.5%、コアインフレ率が2.6%となり、いずれも2027年を通して2%を上回る水準が続くと予想しています。つまり、インフレとの戦いは終わっていませんが、最悪期は過ぎたと言えるでしょう。 従って、2025年が「成長低迷と粘着するインフレ」だったとすれば、2026年と2027年は「緩やかな成長とディスインフレ」と表現できます。貿易・移民政策の影響は薄れ、経済環境は改善する見通しです。現在、いくつかのリスクも残っています。関税が消費者価格を一時的に押し上げる可能性があり、企業が関税分を価格に転嫁できなければ追加のレイオフが懸念されます。しかし、2026年後半以降は、これらのリスクが好転し、成長にプラスのサプライズが期待できる状況になると考えています。結局のところ、AI関連の設備投資は引き続き堅調で、富裕層の消費も好調です。楽観的な見方ができる理由がある一方で、最も可能性が高いシナリオは「緩やかな成長への回帰」です。米国の消費者は立ち直り始めますが、そのペースはゆっくりです。関税の影響で2026年前半は物価が高止まりし、低・中所得層の購買力が圧迫されます。これらの層は主に労働市場からの収入で消費を行うため、インフレが落ち着き始めるまでは購買力が制約されるでしょう。実質消費は2026年に1.6%、2027年に1.8%増加する見込みですが、急成長とは言えません。主な要因は、移民制限や関税の影響で雇用が抑えられ、雇用市場が依然として「低採用・低解雇」モードにあることです。失業率は2026年第2四半期に4.7%でピークを打ち、年末までには4.5%へと低下すると予想しています。雇用は存在しますが、労働市場は活況とは言えません。関税の影響が吸収されるまでは、雇用が上向くのは難しいでしょう。雇用が冷え込むと、FRBが動きます。FRBは利下げを進めていますが、これはコストを伴います。9月と10月にそれぞれ0.25%の利下げを行った後、2026年半ばまでにさらに0.75%の利下げを実施し、目標レンジは3.0~3.25%になるとみています。これは労働市場の弱さに備えるための措置ですが、その分インフレ率が目標を上回る期間が長くなります。つまり、FRBは綱渡りのような状況で、雇用重視に傾きすぎればインフレが長引き、インフレを重視しすぎれば成長が鈍化します。今のところ、FRBは雇用重視の姿勢を選択しています。AIによるマクロ経済への影響はどうでしょうか。AIは確実に主要な成長ドライバーです。AI関連のハードウェア、ソフトウェア、データセンターへの支出は、2026年・2027年ともに成長率を0.4ポイントほど押し上げます。これは全体の成長のおよそ20%に相当します。ところが、輸入によってその効果は希薄化します。輸入技術を考慮すると、AIの正味の寄与は大きく減少します。それでも、2027年までの予測期間でAIが生産性を25~35ベーシスポイント押し上げると見込んでおり、新たなイノベーションサイクルの始まりとなります。つまり、AIは今、将来の大きな成長の種をまいている段階です。もちろん、弊社の見通しにはリスクもあります。重要なものを3つ挙げます。1つ目は需要の上振れリスクです。財政刺激策や企業の楽観が成長を押し上げる場合、インフレが高止まりし、FRBは利下げを停止します。経済が本格的に回復すれば、FRBは現在進めているリスク管理型の利下げを撤回する必要が生じる可能性があります。そうなれば市場にショックを与えるでしょう。2つ目は生産性の上振れリスクです。AIがより大きな生産性向上をもたらし、ディスインフレが再開し、金利が徐々に低下するシナリオです。3つ目は緩やかな景気後退のリスクです。関税や金融引き締めの影響が強まり、2026年初めにGDPがマイナスとなり、FRBが金利を1%近くまで大幅に引き下げる可能性があります。要するに2026年は、ドラマ性は減るものの、より微妙な変化が見られる移行期となりそうです。成長が戻り、インフレが落ち着き、AIが経済の新たなプレイブックを書き換え続ける年になるでしょう。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
モルガン・スタンレーの最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、ポートフォリオの見直しを提案する理由について、マーケットの動きと金融政策のギャップに留意しながら解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、短期的にも、中期的にもFRBが今後の株式市場のパフォーマンスの鍵を握る可能性がある理由について解説します。このエピソードは11月24日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。9月末に弊社は、政策金利と流動性の両面で、FRBと市場の間の緊張が高まっており、これが短期的な調整につながる可能性があると説明しました。実際にそのシナリオが進行しています。9月には高モメンタムの低クオリティ株が、流動性の引き締まりにより大きく反応した一方で、S&P500やナスダック100といった高クオリティ株は、10月29日のFOMC会合で示された利下げに対するタカ派的見方の強まりにより大きく反応する形で、このシナリオが実現しています。S&P500の下落幅は5%にとどまっていますが、水面下ではより大きな痛手を受けており、上位1000銘柄のうち3分の2が10%以上、4分の1が20%以上下落しています。同様に、ビットコインは30%近く下落し、モメンタム株よりも早くピークを迎えました。金もやはりS&P500よりも早く流動性の引き締まりから影響を受けています。私たちは金融政策に関連したこの動向を引き続き注視しており、短期的には株価指数がさらに下落する可能性も否定できません。特に市場の広がりが弱い状態が続く場合は注意が必要です。ただし、水面下の弱さは、市場の一角で低迷が始まったのではなく、今回の調整が終わりに近づいているサインと考えています。過去の例を見ても、調整の終盤には主力銘柄が最も大きく下落する傾向があります。9月のポッドキャストでも述べたように、このような調整や期待値のリセットは、コンセンサス予想と依然、異なる弊社の「ローリング・リカバリー」シナリオに基づく投資を強化する好機と考えています。民間部門の労働市場データには、FRBのより積極的な利下げを示唆する、低迷の兆しが見られます。これは、今年4月に株価の底打ちとともに労働市場データの変化率が底を付けたと見る私の中核的見解とかなり一致しています。FRBが待っている政府の公式な労働データの発表は遅れており、弊社や市場がすでに知っていることを後から確認するだけです。10月の公式の雇用統計は政府閉鎖のため発表されず、11月分も12月16日まで発表されません。そのため、株式市場はFRBの重い足取りと利下げの遅延を相手に引き続き格闘する可能性があります。良いニュースとしては、政府再開に伴い、今後数週間で財務省一般口座(TGA)残高が大幅に減少する見込みです。これは、FRBによる量的引き締めの終了と同じタイミングで、待望の流動性拡大を助ける見込みです。問題は、これらの変化が流動性環境を持続的に改善するのに十分かどうかです。私の見解では、最も明確なサインとなるのは、今後2週間で、こうした動向に最も敏感な株式や資産クラスに改善が見られるかどうかです。つまり、株式市場では低クオリティで利益の出ていない成長株が最も大きく上昇するはずです。結論として、私は今後12カ月のS&P500および株式全体に対する弊社の強気見通しに引き続き確信を持っています。最近発表した2026年の見通しに対する投資家からの初期反応を見ると、弊社の中核的見解のいくつかは依然としてコンセンサスとは異なります。具体的には、弊社は「初期サイクル」局面にあると考えており、コンセンサスが「後期サイクル」と見ているのとは異なります。利益成長率も弊社は17%と見ており、コンセンサス予想の14%を上回っています。さらに、弊社は小型・中型株や一般消費財株をオーバーウェイトに引き上げています。FRBの対応が市場の期待より遅れていることによる目先の押し目を利用し、過去数年、出遅れていたセクターや銘柄にポートフォリオを再配分することをおすすめします。これらは、今後予想されるFRBのより積極的な行動から最も大きな恩恵を受けると見られます。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
市場でAIバブルの可能性が取りざたされています。今回は弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、債務証券需要の増加がもたらすインパクトについて、ひとつの見方をご紹介します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、クレジット市場が直面するかなり異例な困難についてお話しします。このエピソードは11月21日 にシンガポールにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。クレジット市場を芯まで揺さぶった世界金融危機から15年を優に超える歳月が流れました。あれがどれほど極端な時期であったか、言い表すのは容易ではありません。普通に見られた関係やバリュエーション・アプローチが数多く崩れました。クレジット損失は80年ぶりの規模に膨らみました。私は、この記録は次の80年間も破られずに残ると思いますし、そうであることを希望しています。ただこのショックは、クレジット市場の光明を伴ったものでした。銀行のバランスシートが膨張しすぎ、かつ複雑になりすぎたことで生じた危機が過ぎると、バランスシートは縮小し、簡素化されました。資本市場が突然閉鎖される事態を目の当たりにした企業は、手元の現金を積み増しました。保守的な資金運用に自ら乗り出すケースも少なくありませんでした。米国における債務の残高を長期にわたって増やし続ける原動力だった住宅市場は、貸出基準が著しく厳格になったことで、借入額が全体に減少することとなりました。これらのトレンドには共通するテーマがひとつありました。それは債券の供給減少です。クレジット市場はその後、ボラティリティの急上昇に何度も見舞われました。しかし、それらは総じて言えば、ユーロ圏危機とか新型コロナウィルスのパンデミックなど、マクロ経済に関する懸念により引き起こされたものでした。また、2010年代半ばにおける石油関連セクターの不振や、2023年のシリコン・バレー銀行の破綻など個別企業の問題によって起こされる場合もありました。需要の水準に比べて借入額が多すぎる、だからクレジット市場が下落するという考え方自体が、問題になることはありませんでした。たしかに、今まではそうでした。このプログラムでも以前お話し申し上げたように、足元ではテクノロジー企業による設備投資額のとてつもない増加が進行中です。クラウドや人工知能(AI)の分野における各社の目標を支えるインフラを整備しようとしているのです。モルガン・スタンレー・株式リサーチの推計によれば、最大級の投資を行う企業は合計およそ4700億ドルの支出を年内に決定し、来年にはその額が6200億ドルに増えるそうです。合計1兆ドルを超える投資がたった2年のうちに行われる計算です。おまけに、その額はまだ伸びています。この支出には非常に強い勢いがあります。投資主体の企業は莫大な金融資源を有しており、この投資を会社の将来にとって非常に重要なものとみなしているからです。しかし、こうした投資の原資は、どこかから調達しなければなりません。投資主体は多額の利益を計上している企業であることが多いため、弊社では、投資額のおよそ半分は各社のキャッシュフローから捻出されるとみています。残りの半分については、債務市場が大きな役割を担うでしょう。これらの企業は高い格付けを得ていることが多く、その分借り入れ余力も大きいとなれば、特にそうです。そしてここ数週間で、債務市場の蛇口は開かれました。ハイパースケーラーと称される巨大テクノロジー企業数社が一度に数百億ドルの資金を、それも続けざまに借り入れています。ここでよい知らせがあります。この新規借り入れはディスカウントで発行されており、発行体は既存の債務の場合よりも少し多い金額を投資家に返済するつもりなのです。そのため、この債務に対する投資家の引き合いも非常に旺盛です。そのうえ、今回の借り入れは、格付け見直しの引き金になりうる水準までかなり余裕がある場合がほとんどなのです。しかし今回の起債は、しばらく見ることがなかった、かなり異なる種類の問題ももたらしています。総じて言えば、これまでは投資家が供給過剰を懸念することはまれでした。ところが今回は、非常に大きな規模の起債がかなり大幅なディスカウントで行われており、市場を動かしています。もしダブルA格の企業がシングルA格の企業と同じ金利を支払うつもりで市場に乗り込んできたら、シングルA格の既発債は魅力に乏しいと思われてしまうのです。これらの問題に関する限り、市場にとってそれほど恐ろしい話ではないと弊社ではみています。ただ、これは新しい種類の困難です。私たちはこのような事態に久しく直面していないのです。先にご紹介した投資計画の規模を踏まえて考えると、この状況はまだしばらく続くかもしれません。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 
来年にはマクロのショックよりもミクロのトレンドに注目が集まりそうなのはなぜなのか、弊社のアジア太平洋サミットの会場からチーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、グローバル債券市場の2026年の見通しと主要テーマについて、弊社チーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが、シンガポールで開かれているモルガン・スタンレー・アジア太平洋サミットの会場からお話しします。このエピソードは11月20日 にシンガポールにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。昨年は政策の予測が難しく、私たちの仕事も本当に複雑になりました。今年は今年でまた困難が巡ってくるわけですが、弊社では、今年はミクロのトレンドが市場を動かす、それもリスクに対する全般に前向きなスタンスに適応する形でそうなるとみております。弊社エコノミストによる予測のベースケースでは、ディスインフレが続き、経済成長率は2027年までに潜在成長率に収斂していく、そしてその潜在成長率自体も改善する可能性があるとされています。特筆されるのは、需要の増大と生産性の向上を検討した上振れシナリオをあわせて示す一方で、下振れシナリオが比較的穏やかなものにとどまっていることです。米国は2026年も世界の中心であり続け、米国主導のショック、良いショックと悪いショック両方がグローバルな経済・市場の成り行きを左右することになりそうです。 2025年の米国経済は、健全なバランスシートと富の増加に支えられた堅調な消費と人工知能(AI)への活発な設備投資という2つの要因が経済成長を下支えし、通商政策の向かい風にもかかわらずリセッション(景気後退)の危機を回避することに寄与しました。2026年については、平坦な道のりにはなりそうにないものの、上記と同じ構図がべースケースの見通しを支え続ける公算が大きいと思われます。FRBは、労働市場の軟化と堅調な消費支出が併存するおなじみの難問に直面しています。弊社の基本シナリオでは、失業率の上昇につれて景気を中立にするような利下げが行われ、下半期に回復がみられると想定しています。米国外では、ほとんどの国で経済成長率が潜在成長率に、政策金利が景気に影響を及ぼさない中立金利に、それぞれ2026年末までに向かうと思われますが、そのタイミングと軌道は異なるでしょう。また近年みられるように、グローバル経済の様子は米国主導の行動の効果と副次的影響に左右されることになりそうです。弊社のマクロ・ストラテジストは、国債利回りは一定のレンジ内で推移するが2つの局面に分かれるだろうと予想しています。具体的には、FRBによる計50ベーシスポイントの利下げを受けて債券価格が上昇し、10年物米国債利回りが年央までに押し下げられる局面と、その後第4四半期にかけてじりじり上昇する局面を見込んでいます。イールドカーブがスティープ化するとの見通しには引き続き強い確信があり、特に、2年10年カーブにその傾向が現れるとみています。米ドル相場も同様な展開になり、年央に下落してから年末にかけて反発するとみています。AI投資の資金調達が重視されるようになり、クレジット市場に関心が集まっています。私がシンガポールでこれまでに参加したいずれの会議でも話題になっていたほどです。したがって、次のAI関連投資の波を可能にするにあたって、クレジットは中心的な役目を担うことになりそうです。無担保のクレジットから証券化されたストラクチャード・クレジットに至るまで、そして公開市場と非公開市場(プライベート市場)の両方でそうなるでしょう。弊社のクレジット・ストラテジストと証券化クレジット・ストラテジストは、2026年に行われるデータセンター建設資金の調達はIG債の発行が中心になると見込んでいます。社債と証券化クレジットのファンダメンタルズは依然堅調ですが、今後の発行規模が大きくなるため、IG債とデータセンター関連のABSではスプレッドが拡大します。キャリーは引き続きクレジットのリターンを決める主因になりますが、ばらつきは大きくなるでしょう。AI関連のクレジットの供給から比較的守られているセグメント、具体的には米国ハイイールド債、エージェンシーMBS、非エージェンシーCMBS、非エージェンシーRMBSなどがアウトパフォームしそうです。弊社では米国投資適格債よりもエージェンシーMBSと証券化商品のシニア・トランシェを選好しています。バーゼルⅢ(スリー)最終化後の国内銀行のエージェンシーMBS需要復活がその大きな要因です。2025年は先が見通しにくい年でした。弊社は2026年について前向きな見方をしていますが、公園の散歩のように穏やかな年にはならないでしょう。これまでとは異なる困難が待ち構えているように見受けられます。マクロのショックというよりは、ミクロの変化や市場のニュアンスにかかわるものです。詳しくは数日前に発行されたばかりの弊社の見通し、「アウトルック」をご覧ください。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、短期的なリスクがあるにもかかわらず、2026年の成長についてコンセンサスから外れる前向きな見方を持ち続ける理由を解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、今週初めに発表した2026年の見通しについて解説します。このエピソードは11月19日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。2026年も、弊社がこの1年間語ってきたストーリーが続きます。1年前を振り返ると、弊社の米国株式見通しは、上期は厳しく、下期は力強い展開になるというものでした。当時、この見方はコンセンサスから外れていました。多くの方は、トランプ大統領が2期目に就任したことで上期は好調となり、その後インフレ再燃で下期は厳しくなると予想していました。コンセンサスとは違う弊社の見解は、新しいトランプ政権下における政策の順序は、まず成長へのマイナス要因となる政策から意図的に着手するという考えに基づいていました。これは、新任のCEOが「キッチンシンク」戦略をとり、最初に悪材料を出し切ってから新たな成長戦略に移行するのに似ています。その転換点は年央頃になると考えていました。2期目のトランプ大統領就任時、米国経済のスラックは1期目の時よりもはるかに小さい状態でした。これが、政策の順序が異なる可能性が高いと考えた主な理由です。2024年末時点では、業績予想修正の幅や他の景気循環指標も減速局面にありました。対照的に、2017年初頭(当時弊社は強気の見方でコンセンサスから外れていました)は、2015~2016年の製造業・コモディティ不況から回復し、業績予想修正の幅や多くの循環指標が再加速し始めていました。今年を振り返ると、この政策の順序は概ね実現しましたが、予想よりも速く、劇的に進行しました。政策面での弊社の見解は、今もコンセンサスから外れているようです。今年実施された政策が今後、最終的に成長加速、特に平均的な銘柄の押し上げにつながるのか、多くの業界関係者が疑問視していますが、弊社はこの政策選択が2026年に向けて成長へのプラス要因になると考えており、「経済を過熱させる」というテーマとも概ね一致しています。さらに、弊社がより前向きな見方をするもう一つの要因があります。4月には、3年前から続いていたローリング・リセッションが終わりました。最終段階は、政府効率化省(DOGEドージ)がもたらした政府部門のリセッション、AI設備投資の伸びや貿易政策に対する期待の変化率の底打ち、そして現在も続いている消費者サービス分野のリセッションでした。要するに、4月に新たな強気相場とローリング回復が始まったと弊社は考えており、これはまだ初期段階で、特に経済の中でも遅れている多くの分野や市場では明確に認識されていません。ここにチャンスがあるのです。新たな景気循環で株価パフォーマンスが広がる際に通常必要となる「利下げ」が、今回は欠けています。通常であれば、このように労働市場が弱まる中でFRBはもっと早く利下げを実施していたはずですが、コロナ禍による不均衡や歪みのため、FRBの政策緩和は通常より遅れています。そしてこれが、初期サイクルの勝者への本格的な資金シフトを妨げてきました。皮肉なことに、政府機関の閉鎖は経済をさらに弱めましたが、雇用統計の発表が見送られたことでFRBの行動も遅れています。もしこのデータ遅延が続いたり、遅れて発表される雇用統計が非政府部門の雇用データに見られる最近の弱さを裏付けない場合、弊社の強気な12か月予想には短期的なリスクとなります。このような労働市場の弱さと「経済を過熱させる」という政府の方針が組み合わさることで、最終的には、FRBは現在の市場予想よりもハト派的な政策をとる可能性が高いと考えています。問題はタイミングだけです。ただし、これは短期的には株式市場のリスク要因であり、多くの銘柄が最近下落しているのもこのためです。要するに、4月にローリング・リセッションと弱気相場が終わり、新たな強気相場が始まったと弊社は考えています。S&P500は4月時点で20%下落し、平均的なS&P銘柄は30%以上下落していました。このシナリオはまだ十分に評価されていません。回復が広がり、経済の多くの分野で取引量や価格が改善する中で営業レバレッジが戻れば、今後1年で利益の大幅なアップサイドが期待できると弊社は見ています。弊社の予想はこのアップサイドを反映しており、これが、市場の一部領域がやや過熱気味であることを認めつつも、多くの銘柄は見かけほど割高ではないと考えるもう一つの理由です。S&P500については、12か月後の目標値を7,800としており、来年の利益成長率は17%、バリュエーションは現在の水準からわずかに縮小すると想定しています。弊社が注目するセクターは金融、工業、ヘルスケアなどです。一般消費材セクターをオーバーウェイトに引き上げ、2021年以来初めてサービスよりもモノを選好しています。もう一つの相対取引として、半導体よりもソフトウェアを選好しています。現時点で両者のパフォーマンス格差とポジショニングが極端になっているからです。最後に、2021年3月以来初めて、小型株を大型株よりも選好しています。初期サイクルで利益が広がり、FRBがより緩和的な姿勢をとることで、弊社が長らく待ち望んでいた環境が整いつつあります。今週初めに発表した詳細なレポートが、多くのレベルで変化しつつある市場環境を乗り越えるうえでお役に立てば幸いです。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 
弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、FRBの政策金利、政府機関の一部閉鎖、関税といった不確実要因がある中でも、株式が底堅さを保つと考えられる理由について、詳しく解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、最近の株式市場に関する懸念と、その変化の兆しについてお話しします。このエピソードは11月10日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 現在、決算シーズンの真っ際中です。表面的には銘柄ごとのばらつきが大きいように見えるかもしれませんが、実際には成長の裾野が広がるポジティブな動きが見られます。具体的には、中央値の銘柄が過去4年間で最も高い利益成長率を記録しており、S&P500構成企業の売上高の予想超過率も過去平均の2倍に達しています。これらは、業績回復が広がり、価格決定力が関税の影響を相殺するほど強まっている明確な兆候です。市場の弱含みを示す他の予兆にも注目しています。この1週間で、業績予想修正の季節的な軟調局面は終わりを迎えたようです。参考までに言うと、この指標は10月21日に6%まで落ち込みましたが、現在は11%に回復しています。特に、ソフトウェア、運輸、エネルギー、自動車、ヘルスケア分野が回復を牽引しています。こうした業績予想修正の回復が見られる一方で、先週の市場全般は他の2つのリスクによって重い展開となりました。1つ目のリスクは、10月のFOMCで示されたFRBのハト派姿勢の後退です。FRBは12月の追加利下げは既定路線ではないと示唆しました。そのため、米国株式市場がこの会合当日にピークを打ったのは偶然ではありません。同時に、投資家は第3四半期の成長データにも注目しています。もし予想以上に強い結果となれば、市場が期待するほどのハト派的な対応がFRBから得られず、株価の高止まりに必要な後押しにならない可能性があります。私はFRBのハト派姿勢の後退が株式市場のリスクであることを強調してきましたが、労働市場にも次第に不調の兆候が広がっているという点は重要です。これは、政府機関の一部閉鎖に直接関係する部分もありますが、民間の雇用データを見ると、政府部門以外でも雇用市場が減速しつつあることは明らかです。このため、市場には「FRBの利下げが遅れる」という緊張感が生まれ、4月以降の回復が失速するリスクが高まっています。労働市場の弱さと、「景気を過熱させる」という政権の方針が重なることで、最終的には市場が現在予想している以上にハト派的な政策をFRBが打ち出す可能性が高いと考えています。しかし、政府の雇用統計でこの傾向が確認されない限り、FRBは株式市場が望むほど速いペースでは動かないでしょう。市場が注目してきたもう1つのリスクは、政府機関の一部閉鎖そのものです。これらの要因が株価に影響を与えている主な経路は2つあると思われます。1つ目は、銀行準備金の最近の減少に見られる流動性の引き締まりです。政府機関の閉鎖により、政府職員や各種プログラムへの支払いが減少しています。閉鎖が間もなく終われば、これらの支払いが再開され、流動性拡大につながります 。政府機関の閉鎖による2つ目の影響は、多くの労働者が一時帰休となり、SNAP(補助的栄養支援プログラム)などの給付が停止されたことで、消費支出が減少したことです。その結果、一般消費材企業の業績予想修正が相次ぎました。幸い、政府機関の閉鎖がまもなく終わり、こうした市場の懸念が和らぐ可能性があります。最後に、関税について、最高裁判所の判断が近いうちに発表されます。先週、関係する銘柄がこの展開にどう反応するかが話題となりました。全体的には、最も影響を受けるとみられる銘柄の株価の反応はごくわずかでした。これはいくつかの要因によるものと考えています。まず、トランプ政権は既存の関税に代わる措置を講じるために他の多くの権限を利用する可能性があるということです。次に、仮に最高裁が関税を覆した場合でも、払い戻しにかなりの時間がかかり、2026年までずれ込む可能性があるということも要因でしょう。では、これらすべてのことは何を意味するのでしょうか。季節的な業績不振と政府機関の閉鎖は終わりを迎えつつあり、最近軟調だった株式市場に一定の安堵感をもたらすはずです。しかし、景気過熱を目指す政府の方針にFRBが完全にコミットするまで、ボラティリティーは続くとみています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
今週初め、米国最高裁判所は現政権の関税政策に異議を唱える訴訟の審理を行いました。弊社のグローバル債券・公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスが、この裁判の結果から予想される市場への影響について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードは、グローバル債券および公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスが、米国最高裁判所で審理された関税政策への異議申し立てと、その市場への影響について解説します。このエピソードは11月6日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。今週、米国最高裁判所は、トランプ政権が実施した関税の大半についてその合法性を審理しました。最高裁が政権に不利な判断を下した場合、今年4~5倍に引き上げられた米国の関税のかなりの部分が撤回される可能性があることから、投資家はその結果に大いに注目しています。このため、今回の口頭弁論と早ければ今月中にも出る可能性がある判決は、明らかに市場のカタリストになると見られます。しかし、経済や市場に影響を与える政策課題の多くと同様に、現実はより複雑です。ここで押さえておくべきポイントを解説します。まず、裁判所がどのような判断を下すかについては、専門家の間でもかなり議論が分かれています。裁判官の構成を考えると意外に思われるかもしれません。9人の裁判官のうち3人はトランプ大統領によって任命され、6人は共和党の大統領によって任命されています。しかし、大統領の権限行使が、行政府にこの権限を付与している法律、すなわち、国際緊急経済権限法(IEEPA)に矛盾しないと裁判官が認めるかどうかは不透明です。大まかに言えば、この法律は、経済危機や敵対する外国勢力への対応を目的としており、伝統的な同盟国に対する関税には当てはまらないと裁判所が判断する可能性があります。しかし、次に重要な点は、仮にトランプ政権側が敗訴したとしても、米国の関税水準が大きく変わらない可能性があるということです。なぜでしょうか?それは、政権には他にも必要とあらば関税を執行できる権限があり、こちらの方が長く継続できる可能性もあります。例えば、通商法301条は、大統領が貿易相手国の不公正な貿易慣行を認定する広範な裁量権を与えており、この権限をIEEPAの代わりに使うことが可能です。301条の適用には調査報告の提出が必要なため、時間を要すると見られますが、他の一時的な権限で空白を埋めることができます。つまり、米国は現行の関税水準を維持しようと思えば、継続できる公算が大きく、弊社予想における関税は引き続き「変数」よりは「定数」に近い要素となっています。もちろん、弊社予想が外れる可能性も考慮しなければなりません。例えば、政権が敗訴を機に、通商法232条を使って特定製品ごとの関税に注力する方針に転換する可能性もあります。その場合、米国の実効関税率はやや低下し、弊社エコノミストが予想する消費者や輸入企業への圧力が緩和され、リスク資産への支援材料となるでしょう。ただし、政権が一時的に高い関税率を提示する必要があると考えた場合は、より受け入れやすい水準に落ち着くまで、今年の4月のようなボラティリティが生じる可能性もあります。結論として、今年は、関税政策に関するさらなるノイズの中を進む必要があります。このため、ある程度の市場の乱高下や、場合によっては若干の上昇につながる可能性はありますが、概ね現在と同じ水準に戻る可能性が最も大きいと考えます。2026年に向けては、関税水準そのものよりも、企業が関税や設備投資のインセンティブにどう対応するかという議論の方が、市場見通しに重要な影響を与えるでしょう。弊社ではこれらのテーマ全てについても掘り下げて最新情報をお届けしてまいります。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンは、米国の通商政策と米連邦準備制度理事会が折り合うことから、年末に向けて買いの好機が訪れるとみています。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 本日は、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、最近のマクロ経済のイベントと第3四半期決算についてお話しします。このエピソードは11月3日 にニューヨークロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週にはマクロ経済に関係する重要なイベントが2つありました。ひとつはトランプ大統領と習国家主席による米中首脳会談。もうひとつは米連邦準備制度理事会(FRB)の10月の会合です。貿易面では、米国が中国に課す関税を10%引き下げることと、新たに提案されたテクノロジー関連の輸出規制を1年延期することに同意しました。そして中国側は、提案されていたレアアース(希土類)の輸出規制を停止し、大豆の購入を再開するとともにフェンタニルの取り締まりを行うことに同意しました。数週間前に急にエスカレートした対立を受けて起こり得た展開に比べれば、これは大きな好材料ですし、市場もそのように反応しています。FRBの会合については、パウエル議長が12月の利下げは既定路線ではないと示唆したことから、債券市場が見込む12月利下げの可能性が会合前の92%から現在では68%に低下しています。株価も小幅に調整し、相場の広がりは非常に弱いままです。経済成長が持ちこたえてもFRBが小幅な利下げしか行わないのであれば、上昇相場のけん引役は比較的少数の、そしてクオリティの高い銘柄に限られたままになりそうだ、と市場は告げているように私には思われます。向こう半年から1年の見通しについては、遅行指標である労働関連のデータが小幅に悪化する一方で、企業業績は予想以上に好調になり、最終的には株式相場のけん引役が増える舞台が整うだろうと弊社ではみています。ただ、弊社では、市場が近い将来発するシグナルも重視しています。つまり、FRBが状況に先んじて行動する意思を明確にするまでは、小型株/低クオリティ株/景気動向に強く影響されやすい循環株へのローテーションを進めるのは時期尚早です。ひょっとしたら市場にとっては、そのようなFRBの意思と同じくらい、量的引き締め(QT)を12月で終了するという決断が重要だったのかもしれません。ジェイ・パウエル議長は先日、短期金融市場でストレスが高まる恐れがあることを認め、QTの終了を遅らせるのではなく逆に早めることもありうると示唆しました。ここ1ヵ月間、QTが終わるタイミングの予想は「直ちに」から「来年2月」までまちまちでした。パウエル議長は先週の会合でその中間を取ったように見えるため、一部の市場参加者がそれに失望したのかもしれません。この展開を観察し続けるために、私は今後、短期金融市場の動きに目を向けることになるでしょう。具体的には、翌日物のレポ取引が増加していることから、もしその増加が担保付翌日物調達金利(SOFR)とフェデラル・ファンド(FF)金利とのスプレッド拡大とともに続くことになれば、株式市場はさえない展開になりそうだと私はみています。一部の投機色の強い銘柄群では特にそうなりそうです。端的に言えば、この動きが落ち着くまでは、クオリティの比較的高い銘柄群がアウトパフォームし続けそうだと弊社では考えています。一方、今は決算発表シーズンの真っただ中ですが、こちらは売上高の予想以上の上振れが際立つ展開になっています。増加率は今のところ、これまでに見られたペースの2倍を超えています。弊社では、米国の景気はローリング・リカバリーに入っており、企業業績は大方の予想をかなり上回ることになるとみていますが、売上高の上振れはこの見方をさらに補強する可能性があると思われます。結論を申し上げますと、米国では4月にローリング・リセッションが終了して新しいサイクルが始まっており、それとともに株式市場も新たな強気相場に入ったという中心的な見方への確信を、弊社では強めつつあります。これはつまり、2026年には企業業績がより大きな伸びを見せ、かつその動きがほかの銘柄にも広がっていくということです。株式相場のけん引役の交代もあるかもしれません。クオリティが比較的低い小型株にも株価上昇の勢いが広がることは、今のところ、インフレとの戦いを続けているFRBによって妨げられています。ひょっとしたら、足元のローリング・リカバリーが満開になるためには民間経済と平均的な消費者のためにどこまで金利を下げればよいのか、FRBは理解できていないのかもしれません。その点から見るなら、先週のFRBの会合は株式市場にとって短期的に失望を誘うものだったかもしれません。したがって、FRBがよりハト派的な政策を講じるタイミングがもっとはっきりするまでは、クオリティの高い銘柄に重きを置くのがよいでしょう。また年末にかけては、短期金融市場にストレスが加われば株式購入のチャンスが訪れるかもしれませんので、注目したいところです。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
日本の金融担当アナリストが、新たなステーブルコイン規制とデジタル決済の革新が、銀行業務、資産運用、そしてグローバルな資金の流れをどのように変革していくのかを解説します。トランスクリプト 「Thoughts on the Market」へようこそ。モルガン・スタンレーMUFG証券で日本の金融セクターの調査を統括している長坂美亜です。本日のテーマは「日本のステーブルコイン革命と、それがグローバル投資家にとってなぜ重要であるか?」についてお話させて頂きます。東京時間で10月31日 午後4時、日本の暗号資産市場の発展はまだ黎明期ですが、初の円建てステーブルコインの登場が目前に迫っており、国内外でのデジタルマネーの流通方法を静かに変革させる可能性を秘めています。ビットコインのようなデジタルマネーをご存じの方も多いでしょう。株式や債券などの伝統的な金融資産と比べて、価格変動が非常に大きいのが特徴です。一方で、ステーブルコインは異なります。円や米ドルなどの資産に連動することで、価値を安定させるよう設計されたデジタル通貨です。2023年6月、日本は資金決済法が改正され、ステーブルコインの法的枠組みが整備されました。日本国内外の市場関係者は、円建てのステーブルコインが、テザーのようなグローバルなデジタル通貨として定着できるかどうかに注目しています。ステーブルコインは、決済をより迅速に、低コストで、24時間365日可能にすることを可能とします。日本のキャッシュレス決済比率は2020年の約30%から2024年には43%に上昇しましたが、他国と比べてまだ成長の余地があります。政府によるフィンテックやデジタル決済の推進も加速しており、ステーブルコインは真のデジタル経済への架け橋となる可能性があります。ビットコインなどの暗号資産とは異なり、ステーブルコインは価格変動を抑えるよう設計されています。民間企業によって管理され、現金、国債、金などの資産によって裏付けられています。業界関係者は、ステーブルコインが現金の信頼性と、インターネットのスピードと柔軟性を兼ね備えたデジタル決済手段になると期待しています。日本の規制は厳格です。ステーブルコインは高品質かつ流動性の高い資産によって100%裏付けされる必要があり、アルゴリズム型ステーブルコインは禁止されています。発行者には透明性と準備金に関する要件が課され、月次監査が標準となっています。これは米国、EU、香港の新しい規制と類似している点です。では、実務レベルではどうなるのでしょうか。金融機関は、即時決済、資産運用、融資などにステーブルコインの活用を模索しています。例えば、通常数日かかる株式や債券の取引決済が、ステーブルコインを使えば数秒で完了する可能性があります。また、Banking-as-a-ServiceやWeb3との統合など、新たなビジネスモデルも可能になりますが、一方で規制コストや低金利が収益性の課題となっています。国際送金の基盤であるSWIFT取引を考えてみましょう。ステーブルコインがSWIFTを置き換えることはありませんが、補完することは可能だと考えられます。従来数日かかっていた送金が、数秒で完了し、手数料も最大80%削減される可能性があります。ただし、発行者への信頼やマネーロンダリング対策の遵守が重要です。投資家の関心が高いもう一つのテーマが、CBDC、つまり中央銀行デジタル通貨です。ステーブルコインとCBDCはいずれもデジタル通貨ですが、CBDCは中央銀行が発行する法定通貨であり、ステーブルコインは民間のイノベーションです。日本は世界第4位の経済規模を持ち、技術革新の分野ではリーダーと見なされていますが、金融変革には慎重な姿勢を取っています。CBDCの準備は進めているものの、発行を決定したわけではありません。仮に発行される場合、CBDCは公共インフラとして、ステーブルコインはイノベーションの担い手として共存することが可能であると考えられます。結論として、日本のステーブルコインの旅は始まったばかりですが、その影響は決済、資産運用、さらにはグローバル金融にまで波及する可能性があります。 ご視聴ありがとうございました。こちらの番組を気に入っていただけましたら、ぜひレビューを残していただき、「Thoughts on the Market」をご友人や同僚にシェアしてください。 
人工知能関連投資のブームはクレジット市場にとって警戒警報なのかという議論について、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者 のアンドリュー・シーツが鋭く斬り込みます。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、巨額にのぼる設備投資と人工知能(AI)の技術は、過大投資とクレジット市場の懸念への注意を促す典型的な警戒警報を発しているのではないかという議論について、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者 のアンドリュー・シーツがお話しします。このエピソードは10月23日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。確かなことが二つあります。ひとつは、AI関連投資はおそらくこの世代で最大の投資サイクルの一つになるということ。もうひとつは、クレジット市場には大型の投資サイクルがひどい頭痛をもたらしてきた長い歴史があることです。鉄道から電化、インターネット、シェールオイルに至るまで、巨額の投資がクレジット市場の下落を招いた例は枚挙にいとまがありません。きっかけとなった技術自体が大変な成功を収めていても、です。そこで、本日はこの点を掘り下げるとともに、今回のAI関連設備投資のサイクルは実際にはまだまだ続くと弊社が考える理由をご説明したいと思います。第1に、弊社モルガン・スタンレーは、AI関連設備投資を誰が行うのか、何がパイプラインにまだ残っているのかについて、複数の部署による詳細な共同調査を数多く行ってきました。そして、この点が重要なのですが、弊社が予想している投資のほとんどは、まだしばらく先の話です。投資ブームはまさに始まったばかりなのです。次に、地球上で最大級の規模と利益を誇る企業の一部は、AIを向こう10年間で最も重要な技術だとみなしていると思われます。そのため、一連の支出の見返りが最終的にどうなるかについてはかなりの不確実性があるとしても、投資を開始・継続しようという企業側の意欲はその分強まっていると弊社ではみています。第3に、近年のほかの大型設備投資サイクルの一部であった、1990年代後半のインターネットや、2010年代半ばのシェールオイルなどが思い出されますが、いずれもクレジット市場に困難をもたらしました――それらとは異なり、今日見られるAI投資の大半は、極めて強固なバランスシートとかなり大きな借り入れ余力を有する企業の後ろ盾を得ています。過去の投資サイクルには、そうでなかったものもありました。このバランスシートと借り入れ余力は、今回のAI関連投資が長続きすることに寄与すると思われます。そして最後の理由は、過去の一部の設備投資サイクルでは何がうまくいかなかったのかと考えると、過剰生産能力が最大の問題だったケースが多いということです。鉄道であれ電力であれインターネットであれ、新しい技術はそれまでの生活をがらりと変えてしまいます。そして、がらりと変えてしまうからこそ、投資をして作るものも多くなります。すると、作りすぎてしまう場合も出てきます。その技術に対する需要が姿を現す前に、前倒しで投資を行うからです。すると、投資のリターンが低下したり損失を招いたりする恐れが生じます。高水準のAI関連設備投資や、過去の大型投資サイクルの歴史が不安を引き起こす理由は、弊社にも理解できます。しかし、そうした動きを結び付けるときには、大型投資サイクルの歴史がまだら模様である理由を思い出すことが重要です。それは普通、技術自体がうまくいかなかったからではありません。有望な技術だけに需要に先んじて投資が行われ、その結果として生産能力が過剰になって投資のリターンが低下し、そのギャップを埋める資金力に乏しい事業者が出てきてしまう、ということなのです。今のところ、そのような状況にはなっておりません。データセンターの需要はいまだに旺盛で、投資案件の多くは極めて潤沢な資源を有する企業を後ろ盾に得ています。そのいずれかに変化がないかどうかを観察する必要はあります。ですが今のところ、AI設備投資サイクルはまだまだ続くと弊社ではみています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
S&P500が上昇を続ける中、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、近い将来に株式市場が調整し得る3つの理由について論じます。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが登場し、短期的にはおそらく調整するとしても、依然として新しい強気相場の中にある理由について説明します。このエピソードは10月20日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。私は、4月の「解放の日」後の株価急落が、事実上3年間続いた米国経済のローリング・リセッションの底だったと引き続き考えています。この見解については詳しく論じてきましたが、依然としてコンセンサスからは大きく外れています。2022年以降、民間経済のほとんどのセクターはそれぞれ異なるタイミングで個々の景気後退を経験しました。しかし、経済活動の変化率における最終的な底は4月であり、これはほとんどの人にとって予想外だった関税発表のタイミングと一致しました。少なくとも、その規模と範囲においては驚きでした。要するに、「解放の日」は景気サイクルにおける最後の悪材料に対する「降伏の日」であり、その後に底打ちが起こったのです。株式市場もこの見方に同意しているようであり、そのため4月以降、株価は一直線に上昇しています。これは、あらゆる景気サイクルの底打ち後に見られる典型的な動きです。この主張を裏付けるもう一つの証拠は、業績予想のリビジョン・インデックスのV字回復であり、これは弊社が数ヵ月にわたりリサーチやポッドキャストで議論してきたテーマです。弊社が投資家と行ってきた数多くの対話に基づくと、この見解は依然として非常に不人気です。むしろ、多くの投資家は、来年の経済および利益成長が予想よりも低くなるリスクがあると考えており、予想よりも高くなると考える弊社見解とは逆です。私の見解の核心は、コロナ禍以降、ヘリコプターマネーによる危機対応を経て、私たちは確実にインフレ期に入ったということです。政府は過去20年間に生じた巨額の債務と財政赤字問題を解決するため、経済を「高温状態」で運営する必要があります。その結果、投資家は1980年から2020年にかけてインフレが低下していた時期に経験したような10年単位の長期サイクルではなく、より短く熱いサイクルを想定する必要があります。つまり、米国株式市場では2年間の上昇期と1年間の下降期が繰り返されるということです。そして、これは2020年以降、実際に起こっていることです。私たちは現在、4月に始まった新しい上昇サイクルの真っただ中にいます。この新しい体制で理解すべき重要な点は、インフレが加速してもFRBが傍観しているか、あるいは2020-21年、2023年、そして現在のように緩和的であるならば、インフレは株式にとって必ずしも悪い要因ではないということです。インフレ率が高いということは利益成長率が高いということであり、そのため現在の株価収益率は高水準にあります。来年はインフレが加速する可能性が高いため、株式は利益成長率の上昇を織り込みつつあります。つまり、株式はインフレヘッジになります。実際、金と比較して、高クオリティ株は、年初来および2021年以降の貴金属に対する劇的なアンダーパフォーマンスを踏まえると、現時点でより安価なインフレヘッジとなる可能性があります。最終的には、2022年のようにFRBが政策を引き締める必要があるとき、インフレは再び株式にとって問題になりますが、それはまた別の話です。以上を踏まえると、株式市場は現在やや過熱気味であるため、S&P500の10~15%の調整はあり得るし、新しい強気相場のこの段階では通常のことです。近い将来にそのような調整が起こり得る理由は主に3つあります。第一に、米中貿易関係が再び悪化しており、11月1日の期限に向けて、対中関税が解放の日の水準に戻る方向にゆっくりと進んでいます。4月のように最悪のタイミングで売りに巻き込まれたくないと考える投資家は多いですが、このリスクは現実であり、今後数週間で緊張緩和の兆しが見られなければ、株価の重しとなるでしょう。第二に、資金調達市場で最近ストレスの増加が見られます。これはFRBの量的引き締めプログラムにより銀行準備預金が減少していることが原因と考えられます。このストレスが増加すれば、株式市場に波及する可能性があります。第三に、業績予想のリビジョン・インデックスは4月以降の歴史的な上昇を経て、現在反転し始めています。これは業績発表シーズンにかけて続く可能性がありますが、非常に高い水準からの多少の調整は普通のことです。また、関税の影響が棚卸資産を経由して損益計算書に反映され始めるほか、貿易問題が短期的に企業ガイダンスの重しとなる可能性もあります。結論として、4月に始まった新しい強気相場は、異なるセクターの経済と企業業績が異なるタイミングで回復するローリング・リカバリーのごく初期の段階にあると考えています。しかし、新しい強気相場であっても途中で調整が入るのは自然なことであり、現在の状況は4月以降で初めて取引可能な調整リスクがあることを示唆しています。短期的には、調整が訪れた場合に備えてキャッシュを温存し、絶好の買い場に備えることをお勧めします。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社の米国公共政策ストラテジスト、アリアナ・サルバトーレが、中国によるレアアース輸出規制の発表と、米国の大規模な関税措置の示唆が、世界のサプライチェーン、市場、経済成長にどのような影響を及ぼす可能性があるかを解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回は、米国公共政策ストラテジストのアリアナ・サルバトーレが、市場や投資家の注目を集めている最新動向、すなわち米中貿易問題の再燃についてお話しします。このエピソードは10月17日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。4月以来、米国と中国は非常に微妙なデタント(緊張緩和)状態にあります。ご存じの通り、トランプ大統領は「解放の日」以降の追加の報復関税を一時停止しました。それ以降、弊社は、この一時停止が長期間維持され、その間に米中が本格的な貿易合意に至ることには常に懐疑的な見方をしてきました。しかし、現在のエスカレーションが二国間関係の実質的な分断につながるということにも同じくらい懐疑的です。では、先週何が起きたのでしょうか。中国はレアアース輸出規制の強化を発表しました。レアアースは、電気自動車から防衛装備、高度な電子機器に至るまで、あらゆる製品の製造に不可欠な資源です。これに対し、トランプ政権は10月10日、中国からの全ての輸入品に11月1日から100%の関税を課すと表明しました。この日付は重要です。ちょうどその頃、トランプ大統領と習近平国家主席が韓国で開催されるAPECサミットで会談する予定だからです。今回のエスカレーションは非常に重大です。なぜなら、中国は世界のレアアース採掘のおよそ70%、加工・精製の90%を担っているからです。米国、日本、韓国、ドイツなど、世界中の多くの国が中国からの輸入に大きく依存しています。したがって、新たな輸出規制が導入されれば、各国は中国と個別に交渉して供給を確保しなければならない可能性があり、アジア、欧州、米国全体でサプライチェーン分断のリスクが高まります。今後の展開について、弊社は現在の米中貿易問題がどう進展するか、4つのシナリオを想定しています。弊社が基本ケースと考える、最も可能性の高いシナリオは、APEC会議に向けて、しばらくの間レトリックのエスカレーションが続き、恐らく期待値がリセットされた後、直近の現状に戻るというものです。なぜなら、米中両国とも、突然のサプライチェーンのデカップリングよりも、現在の均衡状態の維持を望んでいると考えられるからです。この均衡状態とは、実質的には「チップとレアアースの交換」です。つまり、米国は中国からレアアースを受け取り、その見返りとして米国の半導体チップの一部を中国に輸出するという構図です。ただし、この均衡があるからといって必ずしも、関税引き上げや追加の輸出規制といった一時的な貿易障壁の導入が排除されるわけではありません。より広範な流れとしては、今後も競争的な対立が続くでしょう。これは、伝統的な貿易戦術だけでなく、直接の連邦政府支出か、重要産業に関わる企業への政府出資拡大による国内投資をも含む超党派戦略です。例としては、IRA(インフレ抑制法)、CHIPS法、その他の超党派法案などが挙げられます。したがって、短期・中期的には、こうした貿易障壁が継続され、米国が中国からの選択的なデリスキング(リスク低減)を進めるための超党派的な産業政策が推進されるでしょう。弊社の基本シナリオでは、短期的な緊張の高まりはあるものの、最終的には大きな構造変化を伴わない限定的な合意に落ち着くと予想しています。他のシナリオも検討しています。ひとつは、11月1日以降に一時的なエスカレーションが発生するというダウンサイドケースです。双方が提案した政策を一度は完全に実施するものの、経済的なコストが明らかになると現状に戻るという展開です。より深刻なダウンサイドシナリオでは、エスカレーションの長期化を想定しています。このケースでは、両国が長期間にわたり貿易障壁を維持します。結果的に、両国が均衡状態の計算を変える判断を下すため、均衡は崩れるでしょう。そうなると、デカップリングが進み、サプライチェーンに大きな負荷がかかるでしょう。最後のシナリオは、急速なデ・エスカレーションです。激しいレトリックが逆に交渉再開のきっかけとなり、新たな枠組み合意に至る可能性があります。この場合、一部の関税は残るものの、関税水準は当初の提案よりも低く抑えられるでしょう。では、以上のことは何を意味するのでしょうか。基本ケースでは、弊社のエコノミストは、中国の2025年下期のGDP成長率が4.5%割れに減速すると予想していますが、輸出は米国向け以外が堅調に推移することで支えられる見通しです。弊社の株式ストラテジストはこうした状況について、今年初めに始まったローリングリカバリーが続くとの見方から、ボラティリティーが高まることで実際には押し目買いの好機になるとみています。一方、エスカレーションが長期化した場合、中国のデフレが長引き、さらなる政策対応が必要となる可能性があります。同様に、米国でも初期サイクルにあるローリングリカバリーが頓挫するリスクが高まります。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
日本とフランスの政治動向が、国債市場にさらなるボラティリティをもたらしています。グローバル・エコノミストのアルニマ・シンハが、投資家が注視すべきリスクについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、グローバル・エコノミストのアルニマ・シンハが、世界各国の国債の見通しや選挙について解説します。このエピソードは10月15日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週、国債と財政の見通しの悪化についてレポートを出しましたが、まさにぴったりのタイミングで現実がシナリオ通りになりました。日本の選挙とフランスの政治的混乱を受け、長期金利が反応し、財政見通しが政治的な議論の一部となりました。市場は現在おおむね安定しましたが、こうしたボラティリティゆえに、債務と財政の見通しというテーマは引き続き注目されるでしょう。日本では、与党・自由民主党(LDP)が高市早苗氏を新しい党首に選出し、市場にとってはやや意外な結果となりました。高市氏の選出は、1885年に内閣制度が確立されて以来、初の女性首相誕生への道を開くものです。しかし、そうした結果が確定したわけではありません。最近の報道によると、最終決定は数週間後になる見通しです。日本の戦後政治におけるこの画期的な動きは、いくつかの点で日本の政治経済における変化の波をさらに揺るぎないものにしています。市場は、高市氏が日本のリフレトレードをさらに推進し、名目成長の回復を後押しすると見込んでいます。東京市場が再開すると、長期金利は14ベーシスポイント上昇し、日本のイールドカーブは急激にスティープ化しました。これは、財政懸念の高まりと選挙前のフラットニング・ポジションの巻き戻しによるものです。具体的には、インフレ救済措置、経済安全保障やサプライチェーンへの投資拡大、食料安全保障へのさらなる取り組みといった、より積極的な財政政策への期待が高まっているようです。弊社のストラテジストは恩恵を受ける分野として、ハイテク輸出企業や防衛・安全保障関連、インフラ・エネルギー企業などを挙げています。資本がこれらの分野に向かう可能性が高いからです。ただし、明確な立法の成熟度が欠けているため、財政政策の抜本的な転換は難しい可能性があるとエコノミストは警告しています。一方、金融政策への影響は限定的と見ています。高市早苗氏は日銀の植田総裁の慎重な姿勢に強く反対はしていないため、目先の利上げ期待は低下しているようです。しかし、特に円安が進めば、年内の利上げの可能性は消えていないことに注意が必要です。経済的には、弊社の基本シナリオは選挙結果によって裏付けられました。近い将来、日銀が利上げを行うとは予想していませんでした。実際、市場は次回会合での利上げ期待を織り込まなくなっています。フランスでも、弊社が債務持続可能性に関する分析レポートを発行して以降、長期金利が政治情勢の変化に反応しました。ルコルニュ首相は、市場が予想していたよりもはるかに早い時期に辞任し、しかも在任期間はわずか数週間でした。現在の議会では依然として過半数議席を持つ勢力はなく、膠着状態が続いています。数週間から数ヶ月以内に解散総選挙が行われる可能性も消えていません。拡大する財政赤字という動く標的に対し、財政健全化をどう進めるかについて意見が割れており、これが政治的不確実性の根本的原因となっています。フランスの財政健全化の遅れは、長年議論されてきたテーマです。ECBは、混乱につながるOATスプレッドの拡大を阻止するためにTPIという暗黙のバックストップを提供していますが、弊社の欧州エコノミストはTPIが発動される可能性は低いと見ています。フランスの財政持続可能性への懸念がスプレッド拡大の主因であり、これはファンダメンタルズを反映していると考えられるからです。弊社のかなり機械的な債務予測では、市場が最終的に何が持続可能で、何が持続不可能かを決定すると強調しました。ここでお話しした政治的イベントは、注視すべきカタリストです。今のところリスクは抑えられていますが、油断はいつでも高くつく可能性があるという明確なメッセージを伝えたいと思います。債務と財政のファンダメンタルズが悪化する中で、今後もリスクが増えると考えています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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