Discover
アート秘話 〜名画に隠された世界〜

76 Episodes
Reverse
5歳の時、偶然見つけた1枚の写真が、天才画家ダリの人生を永遠に変えることになる。両親から「お前は死んだ兄の生まれ変わり」と告げられた衝撃は、彼の心に消えない傷を残した。その体験がダリを突き動かし、独自の芸術スタイルを確立させ、奇行や型破りな表現へと駆り立てていく。誰にも真似できない唯一無二の「ダリ」になることで、兄の影から必死に逃れようとした天才画家の知られざる素顔に迫る。
溶けた時計で知られる20世紀を代表する芸術家、サルバドール・ダリ。しかし彼は、作品を生み出す画家であることよりも、「ダリ」というブランドを世界に広めることに執着していました。TV CMやロゴデザイン、そして白紙にサインを施すという驚きの商法まで。卓越した画力と奇抜な発想を持ちながら、なぜダリは実業家への道を選んだのか。ダリのエピソードを展開していきます。
江戸時代、わずか10ヶ月で150点もの傑作を残して姿を消した謎の天才絵師・写楽。その正体について、能役者の斎藤十郎兵衛説が定説とされる一方で、浮世絵師の歌麿や北斎説など、諸説紛々。なぜ蔦屋から突如デビューし、なぜリアルすぎる役者絵にこだわり、なぜ突然姿を消したのか。東洲斎写楽の正体に迫ります。
江戸時代、突如として浮世絵界に登場した謎の絵師・写楽。当時最大手の版元・蔦屋から、いきなり豪華な大判作品をリリースし、歌舞伎役者の素顔をあまりにもリアルに描き出して世間を驚かせました。しかし、その圧倒的な画力と独特の写実的表現は、逆に当時の人々の反発を招くことに。わずか10ヶ月という短い活動期間の後、姿を消した写楽の真の正体とは?江戸時代最大の美術ミステリーに迫ります。
絵画、科学、工学など、あらゆる分野で傑作を残した万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。その最期の言葉が意外にも「スープが冷めてしまうから」だったという驚きの事実をご存知でしょうか。フランス王フランソワ1世に深く愛され、悠々自適な生活を送った最後の3年間。世界最高の知性は、研究ノートに日常的な一言を残して、静かにその生涯を閉じました。天才と呼ばれた人物の、あまりにも人間味あふれる最期の真実に迫ります。
商人の妻の肖像画として依頼されたモナリザは、なぜダ・ヴィンチによって15年もの歳月をかけて描き続けられたのか。輪郭線を極限まで消し込む独自の技法「スフマート」や、筋肉の動きまでも計算された究極の表情表現など、ダ・ヴィンチの探究心と芸術への情熱が詰め込まれた傑作の誕生秘話に迫ります。依頼主にも渡されず、死の間際までアトリエに置かれ続けた謎多き肖像画。そこには、人体表現における"美の極限"を追い求めた芸術家の軌跡が刻まれていました。
古代ギリシャ以来、詩や音楽が芸術の頂点とされてきた時代に、絵画と彫刻の価値を巡って真っ向から対立したダ・ヴィンチとミケランジェロ。フィレンツェ政府が仕掛けた別居宮殿での壁画制作は、芸術表現の優位性を賭けた歴史的な対決となるはずでした。互いの信念と技法の違いが浮き彫りとなった未完の傑作から、ルネサンス期における芸術観の大きな転換点を読み解きます。
今日の番組は、「アート秘話」とはどんな番組なのか、モネ作品の「積みわら」が122億円で落札されたのはなぜか、です。番組の感想は#アート秘話でSNSに投稿してください。
《大ガラス》を入り口に、「美術館にあるのは“思考”か“物”か、それとも“創作(プロセス)”か?」という核心に迫ります──設計図とメモの束〈グリーンボックス〉が“デュシャンの思考そのもの”を作品化し、アイデアは物と同等にアートたり得るのかを突きつけます。MoMAにあるオリジナルは輸送事故で入ったヒビを“完成”として受け入れた経緯があり、物質の状態さえ概念の一部となり得ることを示します。さらに、この“説明書つきアート”はハミルトンや東大チームらによる再制作を生み、レプリカでも“作者の思考”に準拠すれば作品と認め得るのかをめぐる価値判断を揺さぶりました。 番組では、ブランクーシ裁判に触れつつ「タイトルや見た目と“アート性”は必ずしも一致しない」という現代の前提を踏まえ、創作における“何に価値を置くか”というデュシャンの考えに触れます。
1917年、デュシャンは市販の男性用小便器に“R. Mutt 1917”と署名し、6ドル払えば誰でも出せるアンデパンダント展へフィラデルフィアから届いた体で送りつけ、「これはアートか?」という根源的な問いを投げかけました。会場では拒否されスキャンダル化、のちに『The Blind Man』誌で理論戦を仕掛け、「選ぶこと」自体を作品化するレディメイドの思想が広がり、20世紀の美術観をひっくり返します。さらに“R.Mutt”の正体や発送地をめぐって、バロネス関与を示唆する「デュシャン何もしてない説」まで浮上し、作者性と価値の源泉そのものが揺さぶられました。本編では、この事件の“仕掛け”と余波を手がかりに、ルールを逆手に取る発想、ネーミングと物語の力、そして「価値はどこで生まれるのか」というビジネスにも通じる視点を読み解きます。
日本画の「王道」を築いたエリート絵師集団・狩野派。幕府や武将に仕え、巨大な組織として日本美術の基盤を形づくった一方で、「型にはまりすぎてつまらない」と評されることもあります。そんな中、狩野派の祖・狩野正信が描いた《蓮池蟹図》は、枯葉や水の質感、蟹の重みまでも表現した異彩の一枚。室町時代にこれほどのリアリティが生まれていたことに驚かされます。本エピソードでは、狩野派の歴史と《蓮池蟹図》が放つ独自の輝きに迫ります。
ピカソは遺書を残さずにこの世を去り、3万点以上の作品や不動産が遺族の間で大混乱を巻き起こしました。相続額は1兆円規模に膨れ上がり、フランスはついに「美術品を相続税として物納できる」という特例、いわゆる“ピカソ法”を制定。こうしてピカソ美術館が誕生し、死後も社会を動かし続ける存在となりました。芸術を超えて法律までも変えた巨匠、その圧倒的な影響力の物語を掘り下げます。
ピカソ最晩年の傑作《アルジェの女たち》は、80歳を迎えた巨匠が描き上げた“完成形”とも言える作品です。ドラクロワやベラスケスといった過去の巨匠たちを咀嚼し、自らの解釈で塗り替えていく姿勢は、まさに「だから私はピカソになった」という言葉に重なります。絵画だけでなく陶芸や彫刻にまで挑み、あらゆる表現を飲み込んで「ピカソ」という唯一無二の存在となった彼の到達点。その最終形態に込められた意味を探ります。
世界的巨匠ピカソの数多い恋愛遍歴の中で、唯一彼を振った女性――フランソワーズ・ジロー。画家としての才能を持ちながら、ピカソの影と束縛に翻弄され、自らの道を切り開いた彼女の人生は波乱に満ちていました。本エピソードでは、ジローとの関係がピカソの作品にもたらした変化や、「花の女」と呼ばれる謎めいた作品の誕生、さらにはマティスとの色彩勝負までを紐解きます。天才と共に生き、最後には自立を選んだジローの物語から、アートと人生の深い交差点を探ります。
マリー=テレーズとドラ・マール――二人の女性がピカソの絵に与えた影響は、愛の形そのものだった。安らぎと柔らかな線をもたらしたマリー=テレーズは、ピカソから切った爪や髪まで託されるほど信頼された存在。一方、激情と鋭い色彩を引き出したドラ・マールは、初対面でナイフの曲芸を披露し、ゲルニカ制作時の唯一の同伴者となった。画布に刻まれた微笑みと涙は、二人の愛の軌跡であり、ピカソの筆を大きく変えていった。
46歳のピカソが地下鉄で一目惚れした17歳の少女マリー・テレーズ・ワルテル。彼女をモデルに描かれた「夢」は、オークションで1億5000万ドルという破格の値がつくも、出品者の肘が絵に当たり穴が開くという前代未聞の事件でキャンセルに。7年後、修復された同作品は再び競売にかけられ、さらに高値で落札されました。キュビズムでも新古典主義でもない、ピカソの全時代を通じて最も美しいとされるこの時期の作品群に隠された、禁断の恋の物語とは。
ピカソとジョルジュ・ブラックがタッグを組み、絵画を“分解”し再構築するという前代未聞の試みに挑んだ、それがキュビスムの誕生です。目はあっち、鼻はこっち、まるで画面がバグを起こしたような肖像画が生まれた背景には、恋愛模様やセザンヌの理論、そしてピカソ自身の飽くなき探究心がありました。芸術と理論の実験室から生まれた新たな表現が、なぜ人々の心をざわつかせ、笑わせ、そして考えさせたのか? キュビスム誕生の裏にある、複雑でユーモラスな人間ドラマをお届けします。
ピカソの代表作の一つである『アビニョンの娘たち』は、完成後すぐに「意味がわからない」と酷評され、約30年もの間アトリエの片隅で眠り続けました。なぜ当時の人々はその価値を見抜けず、そしてなぜ後に傑作として世界的評価を受けるようになったのでしょうか。このエピソードでは、作品が生まれた背景となったアフリカ彫刻との出会い、ピカソ自身の絶え間ない変化への欲求、さらには評論家アンドレ・ブルトンによる再発見のドラマを紐解いていきます。リスナーは、時代を超えて評価が逆転する芸術の不思議と、ピカソがいかにして「現代美術の革命」を起こしたのかを深く理解することができるでしょう。
浣腸による覚醒で人生が始まった?わざと下手になっていった?その出だしから普通ではなかった巨匠中の巨匠、ピカソ。多くの人が上手くなるために修練を積む中、これ以上上達しようがない技量で人生が始まった画家は、どのように「下手になっていった」のか?その出生から最初に個性が確立された「青の時代」について、美術史上最高の天才の生涯を見ていきます。
この回では、ひとつの枠組みに収まらず常に変貌を続けたピカソの生涯と創作活動に焦点を当てます。青の時代、キュビスム、陶芸などジャンルを横断し、革新と模倣を巧みに織り交ぜながら、常に市場のトップを維持し続けた彼の創作の秘密に迫ります。また代表作《ゲルニカ》制作の裏にあったスペイン内戦だけでなく、私生活における離婚調停など個人的な背景にも触れ、ピカソの創作を支えたエネルギーの根源を紐解きます。変化し続けることを恐れず、自らをアップデートし続けたピカソの生き方は、ビジネスや日常生活においても新たな視点と刺激を与えることでしょう。