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宇宙ビジネスラジオ
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このエピソードでは、ドイツのATMOS Space CargoとルクセンブルクのSpace Cargo Unlimitedによる、欧州のLEO(低軌道)エコシステムを確立するための戦略的提携を深掘りします。ATMOSは独自の膨張式ヒートシールド技術を用いたPHOENIX帰還カプセルを提供し、SCUは微小重力研究・製造用のBentoBoxプラットフォームを提供します。両社は2026年に、BentoBoxを搭載したPHOENIX 2のミッションを計画しており、これは欧州の顧客にISSに依存しない信頼性の高い往復ロジスティクスを提供する鍵となります。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、軌道上での映像制作を商業的に分析します。ロシアの『The Challenge』は、ISSで俳優が撮影した史上初の長編フィクション映画として「世界初」の称号を獲得し、興行的に成功しました。VFXの限界と青天井の追加コストのリスクを回避するため、本物の微小重力環境での撮影が戦略的な「品質保証」投資となる価値を検証します。また、トム・クルーズ氏の民間EVA計画 や、ISS退役後の商業宇宙ステーション(CSS)がメディア制作に特化した環境をどう提供するか、そして宇宙撮影ビジネスの将来的な課題について議論します。
このエピソードでは、東京大学の戸谷友則教授が、天の川銀河のハローから発見した高エネルギーガンマ線放射(約20 GeV付近)を解説します。フェルミガンマ線観測衛星の最新データに基づき解析されたこのハロー状にぼんやりと広がる放射は、長年探し求められてきた暗黒物質(WIMP)の対消滅によるシグナルと性質がよく合致しています。これが立証されれば、天文学・物理学における最大の問題の一つがついに解明される可能性があります。参考文献東大のプレスリリース発表論文
このエピソードでは、土星の衛星エンケラドゥスから過剰な熱が流出しているという最新の研究結果について解説します。これは、2005年と2015年のカッシーニ・ミッションのデータから、北極が予想よりも7℃(45℉)暖かいことが判明したものです。エンケラドゥスの全表面で失われている熱量(54ギガワット)は、潮汐加熱によって投入されるエネルギーとほぼ一致しています。この注意深いエネルギーバランスは、地下の海が凍結せずに非常に長い期間安定していたことを示唆しており、水、熱、適切な有機化学を持つエンケラドゥスが、地球外生命探査の主要なターゲットであることをさらに確固たるものにしています。参考文献:Space.com
このエピソードでは、中国が2025年に年間軌道打ち上げ回数の記録(70回)を更新したニュースを取り上げます。この記録達成の契機となった2件の固体ロケット打ち上げに注目し、その内容を解説します。一つは、新しい宇宙技術の検証を目的とするShiyan-32衛星群を搭載したミッションです。もう一つは、超低地球軌道(VLEO)コンステレーションのテストを行うChutian-2衛星群です。VLEOは高い地上解像度を実現しますが、大きな大気抵抗に対処するため、この衛星は抗力低減のために弾丸型をしていると見られています。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、衛星の急増によりデータ収集よりも管理が難しくなっている宇宙領域認識(SDA)の現状を探ります。オペレーターは情報過多と一貫性のないアラートに直面しており、解決策として、共有データ標準に基づく相互運用性のあるシステムや協調体制(宇宙の航空管制のようなもの)が求められています。業界は、多様なデータストリームを融合し、AIを活用して迅速なインサイト抽出を目指すことで、この複雑な問題に対応しようとしています。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、衛星に対するサイバー攻撃の脅威が増大している現状を掘り下げます。2025年には宇宙関連のインシデントが118%急増しており、国防総省幹部がサイバーを「最大の懸念事項」と呼ぶほど、宇宙は係争領域となっています。コンサルティング会社Deloitteは、地上だけでなく軌道上に防御を置く必要性を実証するため、サイバー侵入検知システム「Silent Shield」を搭載した衛星を打ち上げました。このシステムは、既存の衛星向けのソフトウェア型防御策(マスレスペイロード)や、将来的なAIを活用した自動防御 など、宇宙インフラの安全を確保するための最新の取り組みを紹介します。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、ドイツの衛星メーカーReflex Aerospaceによる欧州NewSpace史上最大級となる5000万ユーロのシリーズA資金調達 を解説します。同社は、従来の衛星開発の3~4年に対し、積層造形を活用し、12ヶ月でカスタム衛星を提供する「NextSpace®」哲学 に基づき、欧州の戦略的自律性 の鍵となるISR(情報・監視・偵察)コンステレーションの展開を加速させます。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、トランプ大統領によるジャレッド・アイザックマン氏のNASA長官への再指名(2025年11月4日)の背景と、それに伴う政策論争を深掘りします。一旦撤回された指名が5ヶ月ぶりに復活し、宇宙産業界からの歓迎を集める一方、「プロジェクト・アテナ」と呼ばれるNASA改革のビジョンを概説した62ページの文書が注目されています。この文書には、SLSプログラムの廃止検討や商業データの活用拡大など、NASAの再編に関わる大胆な提案が含まれており、アイザックマン氏による文書の擁護と誤解の否定についても詳しく解説します。参考文献:SpaceNews1SpaceNews2
このエピソードでは、東京に拠点を置くアストロスケールによる軌道上サービスの加速に焦点を当てます。同社は、JAXA向けのADRAS-JミッションでH-2Aロケット上段に接近し画像を収集した他、デブリ除去、燃料補給、衛星検査などの多様なサービスを展開しています。ミッションの増加に伴い、人間の介在しない自律的な判断(オートノミー)を可能にするため、AIや機械学習の導入が求められています。また、同社は世界各国に拠点を持ち、同盟国間での技術協力と各国の主権的なニーズへの対応を両立させています。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、国際宇宙ステーション(ISS)での人類の継続的滞在25周年を前に、その後の低軌道(LEO)における未来を巡る議論を深掘りします。NASAはISS退役後、商業宇宙ステーション(CLDプログラム)への移行を目指していますが、政策変更により、ISS運用終了と後継機デビューの間に「空白期間(ギャップ)」が生じる可能性が浮上しています。このギャップは、科学的・外交的視点から「壊滅的」だとする懸念がある一方で、商業ステーションの持続可能性を重視し、ギャップを過度に心配しない意見もあります。NASAが「継続的な鼓動(Continuous Heartbeat)」を維持する目標から、30日間のミッションを最小要件とする方針に転換したこと、そして業界がこの変化にどう対応しているのかを解説します。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、ブルガリアのEnduroSatが推進する「Space-as-a-Service (SaaS)」戦略を深掘りします。同社は1億400万ドルの大型資金調達を経て、ソフィアの新施設で1日あたり最大2機のESPAクラス衛星を製造する能力を確立しました。この産業スケールのインフラと、「Shared Satellite Service」を通じた軌道上エッジAI(IBMとの提携など)の活用により、複雑な衛星産業をデータサービスへと変革するビジョンを解説します。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、欧州宇宙機関(ESA)がアジア初となる拠点を東京のX-NIHONBASHIに設立したニュースを取り上げます。これは、日本との長年にわたる信頼された協力関係を強化し、JAXAや日本の活気ある宇宙エコシステム(スタートアップを含む)との連携を深めることが目的です。この拠点の設立は、地球観測や惑星防衛といった分野を含む、日欧の宇宙協力における野心的な新たな章を築くものです。参考文献:ESA
このエピソードでは、SpaceXがカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地(SLC-4E)で達成した、同一発射台からの最短連続打ち上げ記録の更新について解説します。前回のミッションからわずか2日10時間22分59秒という驚異的な間隔 でスターリンク11-21ミッションが実施され、西海岸での新記録が樹立されました。この飛行では28基のV2 Mini衛星が低地球軌道に投入され、ブースターB1082はドローン船『Of Course I Still Love You』(OCISLY) への着陸に成功しています。
このエピソードでは、Airbus、Leonardo、Thalesの3社が宇宙事業を統合し、年間約65億ユーロ規模の巨大企業を設立する狙いを解説します。この再編は、SpaceX/Starlinkの攻勢に対抗し、欧州の「戦略的自律性」を確保することが最大の目的です。しかし、新会社は航空分野で激しく競合するFCAS(Airbus/Thales)とGCAP(Leonardo)のメンバーによって共同所有されており、この「宇宙での協調」と「航空での競合」という二律背反が、2027年の運用開始に向けた最大の課題となる点を深く分析します。
このエピソードでは、2024年11月に事業停止した超音速スタートアップExosonic(エクソニック) のポストモーテム分析を行います。同社は、長年の課題であったソニックブームを低減する技術 を用い、米国空軍(USAF)向けUAVを収益源とする「デュアルユース・ステッピングストーン」戦略 でマッハ1.8の民間旅客機「Horizon」 を目指しました。しかし、総調達額が競合の2~3% に留まり、研究契約から量産・調達契約 への移行に失敗した結果、「ディープテックの死の谷」 で資本が尽きた経緯を解説します。
このエピソードでは、欧州のデュアルユース防衛技術企業Destinusの二重戦略を分析します。同社は、マッハ5+の水素ハイパープレーン開発を長期目標としつつ、即時収益のために防衛ドローン(RUTAなど)と戦略的M&A(Daedalean社買収を含む)を駆使しています。スイスからオランダへの本社移転の理由 や、R&Dに専念し破綻した競合他社の教訓 に基づく、現実的な「防衛ファースト」のビジネスモデルを解説します。参考文献:SpaceNews
このエピソードでは、超音速旅客機Overtureの開発を進めるBoom Supersonic(Boom)の現状を分析します。Boomは、技術実証機XB-1で歴史的な超音速飛行に成功し、さらにトランプ大統領令により陸上超音速飛行の禁止が撤廃されるという規制上の大勝利を収めました。しかし、同社は、自社開発を余儀なくされたSymphonyエンジン、100億ドル以上とされる巨額の資金ギャップ、そして高コストかつ希少なSAF(持続可能な航空燃料) の経済性という、3つのクリティカル・リスクに直面しています。Boomがこれらの困難を克服し、2029年の商用運航という野心的な目標を実現できるのか、その成否を占います。
このエピソードでは、ポール・アレン氏の壮大な宇宙構想から極超音速試験プロバイダーへと転換したストラトローンチ社を解説します。世界最大の母機Rocから発射される再利用型Talon-A2は、マッハ5超の飛行と完全回収に成功。これにより、同社はX-15以来の再利用型試験を復活させ、米国防総省向けの不可欠な「空飛ぶ風洞」として防衛アーキテクチャ構築を支える存在となりました。参考文献:SpaceNews1SpaceNews2SpaceNews3SpaceNews4
このエピソードでは、2025年を転換点とする極超音速開発競争におけるHermeus社の戦略に迫ります。Stratolaunchがマッハ5飛行に成功し先行する中、英国のSABREエンジン開発元の経営破綻 が、この分野の極めて高いリスクを露呈しました。Hermeusは、既製品のエンジンを応用したChimera (TBCC) 技術 と「ハードウェア・リッチな反復開発」戦略 を武器に、運用可能な極超音速機(Darkhorse/Halcyon)の実現という困難な「死の谷」をいかに渡ろうとしているのか、その詳細を解説します。参考文献:SpaceNews





