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本おたくとよもやま話
本おたくとよもやま話
Author: えなり&たかしお
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今日のテーマとなる本は──という切り出しから始めるPodcast。
1冊の本をテーマによもやま話。「考えながら延々と話すことが好き」な、えなりとたかしおの雑談から、ちょっとした気づきが得られたり、本との向き合い方を考えるきっかけになれば。
※毎週(だいたい)金曜日更新
【パーソナリティ】
📕えなり / ライター
年120冊以上の読書量を活かした記事執筆。求人広告営業および求人ライティング、採用担当を経てライターに。採用広報記事のほか、イベントレポートを執筆。独自に取材記事の執筆も行う。読書と観劇とフランス語学習が趣味。
▼X
https://x.com/enari_fr
▼ポートフォリオ(本に関係するお仕事募集中です!)
https://waiting-jumbo-6c9.notion.site/Enari-Kanna-e578dea6fb2f45a28a6aa9a444de34f7
▼選書サービスはじめました(2025年7月追記)
https://note.com/enari_fr/n/n835b702081ec
🐱たかしお(Takashi Okubo)|『薄明』
その人だけの「言葉」や「物語」を──。オリジナルサービス『薄明』創ります。記事コンテンツ制作支援・Podcastなどマルチに活動中。フリーランスコミュニティ『湖はんリトリート』主宰🏡猫とアニメとお酒が好き🐱🍻日録駄文家✒️
▼薄明
https://aboard-stock-fd7.notion.site/2520ada621e480d286ade4c360b524a8
▼X
https://x.com/takashi_okb313
▼活動内容まとめ
https://my.prairie.cards/u/takashio
▼たかしお主宰コミュニティ『湖はんリトリート』
https://aboard-stock-fd7.notion.site/9da643665c36438ba2b88968d647dee2
1冊の本をテーマによもやま話。「考えながら延々と話すことが好き」な、えなりとたかしおの雑談から、ちょっとした気づきが得られたり、本との向き合い方を考えるきっかけになれば。
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📕えなり / ライター
年120冊以上の読書量を活かした記事執筆。求人広告営業および求人ライティング、採用担当を経てライターに。採用広報記事のほか、イベントレポートを執筆。独自に取材記事の執筆も行う。読書と観劇とフランス語学習が趣味。
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111 Episodes
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今年も一年、本おたくとよもやま話を聴いていただき、本当にありがとうございました。
2025年は1月3日の新年挨拶から始まり、えなりがフランスで読んだ洋書の紹介、日本語や言語をテーマにした本が多く並んだ一年でした。
たかしおが読んだ『パーティーが終わって、中年が始まる』の回は気合いが入っていた、久保みのりさんをゲストにお迎えした読書回も印象深ったなど、今年もたくさんの本をもとによもやま話ができて楽しかったです。
また、Spotifyで最も再生されたのは『世界99』の回でした。村田沙耶香ワールドの面白さを語り合った回、ぜひ聴いてみてください。
あと最後には、えなりとたかしおの個人的な振り返りも少々。
今年も一年、本当にありがとうございました。
▼関連エピソード
#085 「読書」について語る【前編】 ゲスト:久保みのりさん
https://stand.fm/episodes/6854f27d293e6d3d25d69595
#086 「読書」について語る【後編】 ゲスト:久保みのりさん
https://stand.fm/episodes/685e70ec7d8b3ab9102a546e
#067 パーティーが終わって、中年が始まる
https://stand.fm/episodes/67b033fb0576303b91614621
#074 世界99
https://stand.fm/episodes/67efcb505617397c39b7c8ce
▼最後にちょこっと触れている、たかしおの日記もよければ…
https://sizu.me/takashio
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #2025年の振り返り #ご挨拶
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今回の本は『日本語の謎を解く―最新言語学Q&A―』。
著者:橋本陽介
https://www.shinchosha.co.jp/book/603784/
7カ国語を自由に操る言語のプロが徹底解説する日本語の謎。
学校などで日本語に対して受ける質問をもとに、著者が答えているQ&A形式の本。
言語学的な話から日本語の起源、古文、現代日本語まで幅広いトピックが網羅されています。
母国語なのに難しい日本語の不思議を、いろんな角度から解き明かします。
【話すこと】
・日本語は母国語なのに難しい。表現も難しいし、合ってると思ってたけど間違ってることもある
・「は」と「が」の違い。「が」は主語、「は」はテーマを表す
・「は」と「が」を使い分ける言語は日本語と韓国語くらいしかないらしい
・「全然」は、実際に観察すると大半は否定の気持ちで使われている
・ただ、全然大丈夫、全然可愛いなど肯定で使われるようにもなってきているよね
・全然○○ないの否定の感情っぽいものが残っていて面白い
・頭痛が痛い。頭痛の「痛」は漢語だから「つう」を痛いと認識していない
・違和感を感じるは問題ない。違和感の「感」は感じるではなく違う感覚という意味
・頭痛が痛いはひどめの頭痛なんですよという意味
・言語は生き物。お互いの間で通じ合っていればそれは正解じゃない?
・日本人ファーストについて。ファースト以前に「日本」という国名が漢語で和語ではないっていう
・つまり外国語。第一も多分漢語。大和言葉だとひー・ふー・みーだよね
・外国語を取り入れてこそ日本語。フランス語や英語由来の言葉は最近増えてきている
・漢字は約3300年前の古代中国で使われていた甲骨文字が最初の形
・えなりの実体験。フランス人に日本語を教えると「また英語なの?」と言われる
・ある意味、一番多様性のある言語、柔軟性がすごい
・日本語は三人称だけど誰かの視点にすごく寄っている。虫の目の言語
・「かしら」は女性、「だろう」は男性。小説でも「誰々が喋った」が少ない
・英語やフランス語、中国語は「彼が言った」「ジェームズが言った」がないと分かりづらい
・著者も中国語訳の日本小説を読んで誰が喋っているのかわからなかった
・ヨーロッパは物事を客観的に見る神の視点を使う
・日本の方が主観。感覚の違いで翻訳者も間違えて誤訳になることがある。言語というか文化が溶けている気がする
・ちょっと脱線して、空耳ワードの翻訳の難しさについて
・翻訳は編集みたい。原文に忠実かエッセンスを伝えるか、どちらが尊重しているか
・アニメや映画は口が動いている時間の間にどうにかしないといけない
・いいものをいろんな人に伝えたい熱量がすごいよね。何かにめっちゃ一生懸命になるのはいい
一言
日本語は雑食の言語。外国語を吸収し続けて進化する柔軟性がある
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #新潮社
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今回の本は『ナショナリズムとは何か』。
著者:中井 遼
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2025/11/102880.html
政治思想の専門家が、社会学や心理学の知見も踏まえながらナショナリズムを解説する一冊。
副題は「帰属・愛国・排外主義の正体」。えなりはナショナリズムが薄いタイプだからこそ興味があり、入門書として情報量が多くすごくまとまっている良書だと感じました。
フランスから帰国直後の収録で、自分のナショナリズムについても深く考えさせられた一冊。
【話すこと】
・愛国心や帰属意識はあった方がいい?恋愛と同じでプラスとマイナスがある。愛さねばならないは微妙
・エビデンスで感覚を覆してくれる。俗説をデータで修正してくれる
・「経済が悪くなると排外主義になる」は関係ないとのこと。実際は経済格差の大きい国が排外主義になりがち
・格差が大きいと下の人が不満を持つ。政治が解決できない時に排外主義が有効手段になる
・政治家が経済でアピールできない時に排外主義を選挙で使う
・ナショナリズムは帰属意識、愛国心、排外主義の3つで構成される
・ポピュリズムは大衆vsエリート。ナショナリズムは国家や民族の一体感を重視
・ワールドカップ予選をギリギリ勝った国の方が数年以内に戦争を始める確率が高いらしい
・勝ったことがナショナリズムを高めて気が大きくなる。そんなことを調べる人がいるのがめちゃ面白い
・ナショナリズムはフィクション。想像の共同体を身を持って感じられた
・えなりは帰属意識を全部フランスに対して思っている
・フナショナリズムというフィクションの中のフィクションを生きている。フィクションを現実で生きている面白さ
・税金や福祉が機能するのもナショナリズムがあるから。同じ国の人だから分配しようと考える
・国歌や「国民のみんなが知ってる歌」がナショナリズム形成に重要
・世論調査は見え方を気にして答える“歪み”がある。本当の自分の思想とは違う答えをしている
・メディアが排外主義勃興と報道すると「みんなそう思ってるから合わせとこう」となるのでは
・予告?たかしおは最近中国に興味がある。そのために本を買ったので、いつかよもやまで取り上げたい
一言
ナショナリズムはフィクション。でも自分で選び取ったフィクションを生きるのは面白い
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #中央公論新社
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今回の本は『マチズモの人類史』。
著者:イヴァン・ジャブロンカ
訳:村上良太
https://www.akashi.co.jp/book/b644154.html
フランスの歴史学者が、男らしさを歴史的観点でたどり、家父長制と決別して新しい男性性を作ろうと提案する一冊。
男性性・女性性について深く考えさせられました。
【話すこと】
・男性性と女性性とは?生物学的性別ではなく、社会的規範によって作られるイメージ
・支配する男性性と支配しない男性性。ジェンダー論について
・収入に合わせた家事分担問題。女性の収入が低い→女性の負担増→構造が再生産される
・24時間は誰にとっても平等な価値。仕事、趣味、寝る、何をしていても対等だと思っている
・大人になってから変えるのは難しい「あるべき論」。社会をよくする視点と個人の視点だと最適は変わる気がする
・男性の方が「男はこうあるべき」に縛られている気がする。女性は解放運動の歴史があって柔軟
・たかしおの思い出「男なのに弱っちい」「守れるのか」と言う声が多かった
・男性の平均寿命の短さに男性性が影響している可能性。支配的・暴力的男性性は自分にも向く
・「あるべき論」の根深さ。そうじゃない方がいいのはわかっていても、自分たちの周りにそういう声が少ないと主張するのは難しい
・男性性は今後どうなるのか?支配的男性性はどんどん機能しなくなっている
・強さやエネルギッシュさは男らしいではなく、人間としての美徳。男女は単なる性別。性別と一緒くたにしない方がいいよね
・そんなニュートラルな世界になったら創作活動や文芸作品はどうなるだろう?
・男性か女性かは一番に来なくていいんじゃない?個人を見る時の粒度としては後の方でいい
一言
男性も女性も「あるべき論」に縛られずに生きられるように
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #明石書店
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今回の本は『Q&A 共産主義と自由』。
著者:志位和夫
https://www.shinnihon-net.co.jp/general/product/9784406068109
共産党が開催する民青学生オンラインゼミを収録した一冊。
学生からの質問に志位和夫さんが答える形式で、共産主義や社会主義について分かりやすく解説しています。
えなりはこの本とYouTube動画を見て「めっちゃいいじゃん!」とテンション爆上がりしました。
▼参考
https://youtu.be/ujLjyXg0n1A?si=8emkYVitRxpJOa2a
【話すこと】
・資本主義は全然自由じゃない?8時間労働のうち自分の生活に必要な分を稼ぐのは3時間42分程度
・残りの4時間以上は資本家が私腹を肥やすために働かされている。それは自由の対局じゃないか
・共産主義は自由じゃないイメージがあるけど、資本主義も自由じゃない
・時短勤務で給料が減るのはおかしい。余剰分が減っているだけなのに
・そもそも時給という考え方が間違っているのでは?時間そこにいたってことでしかない
・生産手段を資本家が持っているのが資本主義。わずか1%の超富裕層が富を独り占めし、50億人が苦しい暮らしをしている
・「人間は資本主義で終わっていいのか」という志位さんの言葉が熱い
・量から質へ。資本主義は量的な競争だった感。資本主義が成熟しきっているからこそ次の段階へ行くべきでは?
・ソ連は資本主義が成熟していない段階で失敗した。生産者を弾圧したから社会主義ではない
・様々な経験をした人類がいて、テクノロジーが発達した今なら昔と同じ失敗にはならないのでは?
・志位さんは人間をいいものだと思い過ぎている?共産主義は性善説がベース
・性善説に立っていたら陰謀論にはまらない。陰謀論は悪の組織がいる前提
・日本人は性善説で動きつつ陰湿。表立っては言えないけど裏なら言える
・同調圧力が強い日本。社会主義で管理されたら同調圧力が強まる可能性も?
・でも比較対象がなくなればデフォルトになって、圧力を感じないという考え方はある?
・共産主義の思想にロマンを感じた
一言
資本主義で終わっていいのか。次の段階に進むロマンを感じた
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #新日本出版社
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今回の本は『たとえば「自由」はリバティか』。
著者:渡辺 浩
https://www.iwanami.co.jp/book/b10146261.html
「西洋の基礎概念とその翻訳語をめぐる六つの講義」
自由、社会、自然、正義、権利、公共といった言葉が明治維新で日本に輸入された際、どのように翻訳され、どんなねじれが生まれたのか。政治思想史の専門家が、西洋思想と日本語の間に生じた誤解を解き明かす。
【話すこと】
・えなりは子供の頃からヨーロッパに憧れて西洋思想を学んできた。本を読んで、自分の理解が正しかったと確認できた気がする
・憧れのきっかけは「赤西仁」。いつの間にか「ヨーロッパ人っぽくなりたい」に変わっていた
・「目が不自由」「お金に不自由しない」という日本語の使い方。西洋では「アンフリーダム」とは言わない
・日本語の「自由」は思い通りになるという意味っぽい。西洋の「自由(リバティ)」は奴隷じゃない、解放や独立というニュアンス
・自由はもともと日本語にあった言葉。「自由(リバティ)」を輸入する時に既存の言葉を使ったから意味が混ざった
・キリスト教のフレームワークを理解しないと西洋思想は理解できないと思った
・自然(nature)も神によって作られた被造物。自然法は神が定めた法則という意味
・権利も神が全員に同じものを与えているという概念。どこにもキリスト教の神が出てくる
・日本も、多くの人が仏教的作法を身につけているように、国ごとにフレームワークとなる宗教があるのかも
・新しい言葉を作っても漢字の意味に影響される。「社会と世間」は混同されていることがわかるいい例
・漢字は表意文字だから字面から来る印象が強い。アルファベットやひらがなは表音文字
・カタカナやひらがなの方がいいのでは?でも「じゆう」と書かれても違和感があるよね
・結局は教育。正しい意味を教えるしかない。特に歴史を知ることが大事じゃないか
・科学はキリスト教的。その話から急に思い出したアニメ「チ。」
・天動説と地動説。結果を知った現代人は天動説を間違いと見るが、順番が逆だと捉え方が全然違う
・前提知識が違うだけで話が通じなくなる。時系列で理解することの重要性
・結果だけ知ればいいではダメ。AIに使われて終わる人生はリバティじゃない
一言
翻訳のねじれが生んだ誤解。歴史と前提を知らなければ、本質は理解できない
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #岩波書店
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今回の本は『言語化するための小説思考』。
著者:小川 哲
http://kodansha.co.jp/book/products/0000418874
小説家・小川哲さんが、小説を書く時に何を考え、どんな風に書いているのかを言語化した一冊。
「そもそも小説って何なんだっけ」という問いから始まり、小説家の思考プロセスを解き明かしています。ライターである二人にとっても参考になる考え方が満載でした。
【話すこと】
・小川哲さんの思考。登場人物に共感したことがない、情景を思い浮かべない
・人によって全然違う小説の読み方。文字を文字として処理するか、映像として想像するか
・たかしおは完全に映像化タイプ。登場人物に感情移入して頭の中で映画を再生
・えなりは紙芝居タイプ。基本は言語処理、印象的な場面だけ静止画でイメージ
・小説家に必要な想像力とは?物語を考える力ではなく、読者に伝わるように書く想像力
・小説は読者とのコミュニケーション──赤の他人が何を知っていて、どう書けば分かるのかを想像する
・抽象化と個別化の技術。自分の体験を一段抽象化して、別のケースに個別化して物語に使う
・「これめっちゃ自分のことだ」と思える小説は、抽象化と個別化に成功している証拠かも
・本の値段の決まり方が不思議。内容に関わらず、コスト(紙代など)で値段が決まる?
・専門書が5000円でも、学者の研究内容を考えたら安すぎる。著者のクリエイティブな部分はゼロ円評価ってこと?
・デジタルなら投げ銭で価値に応じた支払いができるよね。紙の本にもQRコードとかで投げ銭システムがあってもいいのに
・印税だけでは厳しい構造。(出版に限らず)名誉や憧れがある仕事は報酬が安くなりがちだよね
・クリエイティブな仕事は中途半端が一番良くないのかも。売れるために書くか、とにかく趣味として自由に書くか
一言
小説家の思考法はライターにも使える。抽象化と個別化で、自分の体験を誰かの共感に変える
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #講談社
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今回の本は『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話』。
著者:カトリーン・キラス=マルサル
翻訳:山本 真麻
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309231372/
イノベーションとジェンダーをテーマに、経済の中で見過ごされてきたアイデアを掘り下げる一冊。
車輪付きスーツケースが1970年代まで開発されなかった理由や、AI開発の偏りなど、具体的なエピソードを通じて、ジェンダー観が発明や技術革新にどのような影響を与えてきたかを論じています。
【話すこと】
・車輪が発明されてから5000年経って、やっと1970年代に車輪付きスーツケースが登場
・宇宙には行けたのにスーツケースは思いつかなかった不思議。ジェンダー観が発明を阻害
・「荷物は男性が運ぶもの」という圧力。ショッピングカートも男性客から「侮辱だ」と批判された
・安全なものがなぜか「女性向け」と見なされる不思議。電気自動車も同じ運命をたどった
・論理的思考は男性的、肉体労働は女性的という二分法が技術開発の方向性を歪めたのでは?
・思い込みが発明を阻む。マウスが使えなくて外付けトラックパッドを買ったけど、ノートPCを動かせば良かった話
・AI開発は思考ばかりに偏り、肉体的な動きの研究が遅れている背景にもジェンダー観が?
・AI時代に感情労働の価値が上がる?それとも男性がまた乗っ取る?プログラミングで起きたことの再来
・宇宙ロケットは開発できるのに傘は変わらない。フランスでは雨でも傘をささない文化
・ホモサピエンス(賢い人)なのに全然賢くない?環境や思い込みに縛られ続ける人類
・雨に濡れるのが嫌なのも人間の勝手な価値観。動物は気にしない
一言
思い込みが未来を奪う。柔軟に考えられたら、もっと便利な世界が待っているかも
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #河出書房新社
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今回の本は『La pensée nazie』。
著者:Laurence Rees
https://editionsarpa.com/products/la-pensee-nazie
日本語に訳すと「ナチス的思想」。イギリスで出版された英語の本をフランス語に翻訳したもので、えなりがフランス語で読んだ一冊。
BBC歴史番組に関わる歴史学者が、神経心理学の観点からナチスを分析。第一次世界大戦後から時系列で追いながら、脳科学と歴史のハイブリッドな視点で描かれた本です。
【話すこと】
・脳科学が発達していないはずなのに、脳科学をハックしているような動きをしていてやばい
・ナチスは理論ではなく感覚で人間を観察し、脳の作用にクリーンヒット
・扁桃体(恐怖・不安・怒りを司る部位)への効果的なアプローチ
・「彼らと私たち」の二項対立は脳に深く根付いていて完全に取り除けない
・悪臭や腐った食べ物への嫌悪と道徳的嫌悪は同じ脳の部位(島皮質と扁桃体)が働く
・吊り橋効果も脳の同じ部位が働いている?根拠のある恋愛テクニック説
・ドーパミンは目標達成時ではなく報酬を予期する時に放出される
・旅行も計画している時が一番楽しい理由。でっかい目標を追い続けるのが幸せ
・ゲマインシャフト(血縁・地縁の共同体)を重視する感覚が本当に分からない
・ゲマインシャフトとゲゼルシャフト(利益・契約・思想の共同体)
・民族で分ける感覚がしっくりこない。共産主義のような思想で分かれる方が理解しやすい
・家族だから、血が繋がっているから、という理由づけへの違和感
・差別が生まれる理由。何もしなくても得られる所属への安心感を求めている?
・フランス語の読書筋力がついた。3ヶ月かけて読了
・日本語の面白い本がたくさんあるから楽に流れてしまう
・ゾーンに入るまでが難しい。自分でハードルを上げている
一言
脳科学を知らずに脳をハックした恐ろしさ。人間理解の深さが悪用された歴史
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #洋書
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今回の本は『「あの戦争」は何だったのか』。
著者:辻田 真佐憲
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000417459
講談社現代新書の一冊。太平洋戦争をはじめとする「先の大戦」について、日本はどこで間違えたのか、いつ始まったのか、掲げた理想はすべて誤りだったのか、大東亜の国々は日本をどう見ていたのか、という4つの疑問に答える本。
著者が各国の歴史博物館を巡った経験も交えながら、歴史との向き合い方を考えさせられる一冊です。
【話すこと】
・解釈された物語としての歴史。歴史は後世の人が検証して作るもの
・フランス語で歴史(histoire)と物語(histoire)は同じ単語。英語もhistoryとstory
・過去は変えられないが、歴史はいかようにも変えられるものだなと思った
・記録をどう解釈するかは今を生きている人次第。政治的レトリックとして使われやすい
・各国の歴史博物館で同じ事象でも表現の仕方が全く違う
・歴史のifを考えるのは難しい。小林秀雄「ifは必然というものに対する人間の復讐」
・えなりがマリー・アントワネットを死なせない方法を考えた結果、前代の王様が感染症にならなければという結論に
・歴史の必然性は恐ろしい。遅かれ早かれその事象にたどり着く
・ヒトラーは「器」。土壌があったものを受け止めた結果。人は社会において器のような存在
・日本人と災害。自然災害が多く「頑張る」「耐える」しかできない(深井さんの言葉から考える)
・日本の方が暑いのにヨーロッパより気候変動に対する意識が低い。自然災害として捉えている?
・空襲被害を自然災害のように捉えてしまう恐れがある(辻田先生の指摘)
・戦争も一般人にはコントロールできない自然災害と同じ、と考えると確かに
・日本人は大人になってから学ばない。終身雇用で教わったことだけやれば安泰だった構造
・災害の受け止め方と学ばない社会構造は関連しているのかも
・持っているストーリーの要素が違うから、他人との会話が面白い
・利害が絡むとインセンティブで目的が変わり、同じ人でも全く違うことを言うのだけれど
一言
歴史は解釈された物語。でも、学ばなければ同じ過ちを繰り返すだけ
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #講談社
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今回の本は『はたらかないで、たらふく食べたい』。
著者:栗原 康
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480437204/
【記念すべき第100回!いつも聴いてくださり、ありがとうございます】
えなりが何度も紹介している栗原康さんの本。今回は学術書ではなくエッセイ。
アナーキスト・栗原さんの無邪気さと素朴さが伝わってくる、赤裸々なエピソード満載の一冊です。
【話すこと】
・アナーキズム=無政府主義というよりも「支配をなくそう」という思想がしっくりくる
・アナーキズムを知ると楽になる。「働かなきゃ」という規範からの解放
・病気で働けない時の罪悪感も、支配者によって作られたものじゃないのか
・思想のつまみ食いでいいと思う
・1、2割は助ける・助けてもらう余白を持っておくことが大事
・行き過ぎた個人主義は全て自己責任でしんどくない?
・「地図を捨てて歩くこと」栗原さんが尊敬する思想家の言葉
・地図──行くべき道が決まっている──支配の象徴
・フェミニズムの例:女性が家から外に出る=「家」という地図を破り捨てた
・一度地図を破った経験があれば、また破れる。成功体験が大事
・最速が至高とされている。マップアプリに支配されて方向感覚が退化している現代
・賃金労働の起源は奴隷制。労働力を商品化することで人間が交換可能に
・家や結婚の起源も奴隷制(伊藤野枝の指摘)
・恋愛中はお互いのために何かしたいのに、結婚したら役割で縛られる
・契約+世間の目=支配関係の発生
・ブラック企業で「ここでしか働けない」と思わされている人たち→アナーキズムを知ると楽になるのでは
・「働かないでたらふく食べたい」と言ったら怒られそうな日本社会。いかに私たちが「せねばならぬ」の中で生きているか
一言
支配に気づくことが自由への第一歩。もっと楽に、縛られずに生きてもいい
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今回の本は『はみだしの人類学』。
著者:松村 圭一郎
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000064072542020.html
約1年前にえなりが紹介した本を、たかしおが読んで再び取り上げる回。
NHK出版「学びのきほん」シリーズの一冊で、人類学の入門書として最適な本です。
▼前回
https://stand.fm/episodes/66ed7e5a476b68f1adec76b7
【話すこと】
・1年前にえなりが紹介した本。たかしおが最近読んで語りたくなった
・日本文化(着物、華道、わびさび)をイメージするが実際やってる人は少ない矛盾
・人類学は主観の学問って感じがする。同じ対象でも人によって描き方が違うから自分がやる意味がある
・「つながり」、関係性の意識。相手を通じて自分を捉え直すこと
・「はみだし」、相手の領域に積極的に入り込むこと。習うより慣れろの精神
・境界線の引き方でつながり方が変わる。男女、国籍、地域など様々な軸
・一緒のカテゴリーにいたはずなのに、境界線を引いたことで対立している
・近いもの同士ほど敵対心を持ちやすいのが人間の性質
・「地球人vs宇宙人」という究極の境界線で考えると人類は一つ
・改めて、たかしおが理解した人類学とは
・なぜ異文化に興味を持つ?極端な話、自己理解のため
・昔の人類学は西洋文化のフィルターを通した異文化理解だった
・同じ本でも切り取り方や引っかかる部分が違う面白さ
(今後もまた、過去に取り上げた本を取り上げることがあると思います)
一言
他者を知ることは、自分を知ること。境界線の引き方を変えれば、世界の見え方が変わる
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #NHK出版
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今回取り上げる本は2冊。
『YABUNONAKAーヤブノナカー』
著者:金原ひとみ
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163919683
『イン・ザ・メガチャーチ』
著者:朝井リョウ
https://info.nikkeibp.co.jp/books/campaign/121045/
本オタクとよもやま話、初の2冊同時紹介回。芥川龍之介「藪の中」のオマージュとして複数視点で現代社会を描いた金原ひとみの小説と、推し活をテーマにした朝井リョウの最新作。
えなりが続けて読んで感じた「繋がり」から見える現代人の生き方について。
【話すこと】
・なぜ2冊同時紹介?続けて読んで感じた「繋がり」とは
・現代社会の病理と複雑さ。人と分かり合うことの難しさ
・エコーチェンバーが強化する現代の分断
・視野を狭くする。視野を“広く”するのは“いいこと”ではあるかもしれないが“幸せ”なのか
・社会のことを考えると鬱々とするが、推し活で視野を狭めると楽しくなる現象
・分かり合えなさと孤独。人間は本当に分かり合えるのか?
・「分かり合いたい」という言葉に込められた祈りのような気持ち
・完全に分かり合ったらつまらなくなる?究極、自分のコピー人間は最も興味のない他人
・知ってしまったら興味がなくなる人間の性質。旅行も買い物も「行くまで」「買うまで」が一番楽しい
・結果主義と過程重視。人生はゆっくり死んでいくプロセス
一言
分かり合えないからこそ分かり合いたい。その矛盾こそが人間らしさなのかもしれない
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #文藝春秋 #日経BP再試行
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今回取り上げる本は『書店怪談』です。
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000416469
著者:岡崎 隼人
モキュメンタリー形式で描かれるホラー小説。
著者自身が登場人物として、全国の書店で起こる怪談を100話集めようとするが、次第に同じ幽霊が原因らしき現象に巻き込まれていく。
書店員さんの手書きコメントが装丁に散りばめられた、見た目から素敵な一冊。
【話すこと】
・幽霊っていると思いますか?という根本的な問い
・たかしおの幼少期の鏡での不思議体験。のっぺらぼうの人影が見えた記憶
・幽霊という概念は一人一人の中に存在する?「いる/いない」で論ずるよりもロマンを大切にしたい
・えなりの高校時代の金縛り体験。枕元に塩を置くようになったエピソード
・金縛りの体験談。頭は起きてるけど体が起きてない状態
・ちょっと話題は変わって“本の特別視”について。なぜ「本を読む人は偉い」という空気があるのか
・書店のルーツは宗教施設。僧侶や修道院での知識管理が起源(という話題がこの本の中でも出てくる)
・聖書やコーランなど宗教的テキストとしての本の神聖性
・ビジネス界隈での本ヒエラルキーについて。読書量や読む本のジャンルでの序列
・自己啓発書は「お腹いっぱい」になるが、小説は繰り返し楽しめる不思議
・本好き同士なら読書量に関係なく同じ目線で話せる
・純文学好きとビジネス書好きの対談は見てみたいが噛み合わなそう
一言
幽霊も本の特別性も、すべては人の心が作り出したもの。証明より想像を楽しもう
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #講談社
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今回取り上げる本は『文化が違えば、心も違う?』です。
https://www.iwanami.co.jp/book/b10140107.html
著者:北山 忍
文化心理学の冒険と副題にある通り、人間の心理を文化や地域の違いから読み解く学問を研究する著者による一冊。
アメリカで研究活動をする日本人研究者が、日本・アメリカ・アフリカを軸に文化と心理の関係を探る。
【話すこと】
・日本人がお酒に弱いのは稲作の影響?8000年前の遺伝子変異と文化的背景
・遺伝子の突然変異体が中国の稲作地域で生まれ、東アジアに広がった説
・アフリカ系アメリカ人の肥満率の高さと奴隷船時代の生存競争の関係性
・環境が文化を作り、文化が遺伝子の進化に影響するサイクル
・ボブ・ディランの歌詞「Let others do for you」の翻訳による意味の違い
・使役動詞が示すアメリカ的な主体性と日本的な受動性
・今の日本は民主主義に向いていない?主体性と議論文化の欠如
・東アジアと欧米は文化心理学的に両極端。議論への捉え方の違い
・韓国にとってのキリスト教、台湾の中国への意識と民主主義
・日本人の安定志向と協調性重視が民主主義実践の障壁?
・今回の話は、案外、自分たちの日常生活に活かせることもあるかも
一言
文化の違いを知ることで、自分たちの「当たり前」が当たり前じゃないと気づける
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #岩波書店
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今回取り上げる本は『スナック キズツキ』です。
https://magazineworld.jp/books/paper/7112/
著者:益田ミリ
本おたくとよもやま話、初のコミック回!2021年にドラマ化もされた作品。
アルコールを置かない不思議なスナックを舞台に、傷ついた人だけがたどり着ける癒しの空間を描いた心温まる漫画文庫です。
【話すこと】
・アルコールを置いていないスナック「キズツキ」。傷ついた人だけがたどり着ける不思議な場所
・マスターの独特な接客方法。エアギター始めたり、踊りながら話したり非日常的な空間作り
・えなりは悩みを自己解決する派。言語化して客観視、SNSの身内アカウントでのつぶやき
・利害関係のない他者に悩みを話すことの難しさ。気を使ってしまって本題に集中できない
・実際、急にエアギターを渡されたらどうする?フィクションと現実のギャップ
・「人生の成功って何だ?商売みたいじゃねえか」というおじさんの言葉
・成功と幸福の違い。幸福な人生で終われればそれでいいのでは?と思う、たかしお
・登場人物たちが実は全員つながっている、という構成の巧さ
・クレームを言う客とコールセンターの女性、それぞれに事情がある
・反射的に人を判断せず、背景を考える大切さ
・心の中にスナック・キズツキのような場所を持っておこう
一言
みんなそれぞれ傷ついている。背景を想像すれば、もっと優しくなれる
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #マガジンハウス
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今回取り上げる本は『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』です。
https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000614648/
著者:ピーター・ターチン(訳:濱野 大道)
クリオダイナミクス(歴史動力学)の第一人者による、国家危機の法則を解明した一冊。
タイトル通りの内容だけれど、数式は一切出てこず文系にもわかりやすく書かれた興味深い本。
【話すこと】
・国家危機は約200年周期で発生。背景にエリート過剰生産がある
・エリート志望者が増加するが椅子(ポジション)は限られている。エリートになれなかった人々が反エリート勢力となる
・大衆の貧困化と組み合わさることで国家が不安定化。フランス革命が典型例
・ブルジョワ=貴族ではないがお金を持つ平民。彼らが貴族を倒そうとした
・アメリカ系著者の書き方の巧さ、具体例の豊富さ、世界史の様々な事例
・一夫多妻制の国は一夫一妻制より危機サイクルが短い(100年程度)
・日本も同じ状況では?大学卒業者増加(エリート過剰生産)、大衆の貧困化、AIによる椅子の減少
・1800年代の危機から200年が経過している現在、新たな危機が来る可能性
・社会の脆弱性を過小評価してはいけない。フランス貴族も革命を予想していなかった
・「大事にはならないだろう」は通用しない時代。トランプ現象なども予測不能
・エリートに対する日本人のイメージ。ドラマやアニメで嫌な役として描かれがち(主観です)
・フランスでもマクロン大統領など、エリートは嫌われている傾向あるかも
・AIなど新技術をうまく活用しながら、これからの時代に対応していこうね
一言
エリート過剰生産と大衆の貧困化が生む国家危機の法則。今まさに200年周期の転換点?って思うとちょっとこわい
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #早川書房
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今回取り上げる本は『日本語という外国語』です。
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000210499
著者:荒川 洋平
日本語教育の専門家による、外国人の視点から日本語を捉え直す一冊。
「日本人のための日本語再入門」として、普段当たり前に使っている日本語の特徴や難しさを再発見できると思います。
【話すこと】
・えなりがユーロ圏で日本語教師をやるために読んだ実用的な一冊
・日本語教師に大事なこと:当たり前を説明可能にする。私たちは文法を意識せずに使っている
・外国人向けの文法は日本人が習う文法と違う:形容動詞→な形容詞、連体形→ます形など覚えやすい名前に
・日本語は語彙が圧倒的に多い:理解語彙4-5万語、使用語彙1万語。フランス語の使用語彙は5000語以下
・1000語覚えた時の日常会話カバー率:英語80%、フランス語83%、日本語60%
・語彙の少ない言語は比喩で補う。海外の人の表現力の豊かさはそのため
・雨の表現だけでも「にわか雨」「豪雨」など専用の語彙がたくさんある日本語
・日本語の正書法の緩さ:句点の位置、表記揺れ、ひらく/とじるの判断など決まりが曖昧
・フランス語は正書法が厳格。発音しないけど絶対つけなければならない活用など
・ライターとして表記が揃っていると気持ちいい。でも決めてほしいと思う複雑さ
・志賀直哉が「日本語は不完全だからフランス語を国語にしよう」と言った話
・曖昧だからこその豊かさもある。リズムや身体性を重視する日本語
・「私はスミス」と「私がスミス」の違い。新情報がどこにあるかで使い分ける
一言
当たり前に使っている日本語の奥深さ。語彙の多さと正書法の緩さが生む豊かさと煩わしさ
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #講談社現代新書
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今回取り上げる本は『PLURALITY』です。
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/books/plurality/
著者:オードリー・タン、E・グレン・ワイル、 ⿻コミュニティ
訳:山形 浩生 解説:鈴木 健
【話すこと】
・PLURALITYとは「多元性」。多様な人々が関係性を通じて価値を生成するエコシステム
・えなり的には「ブロックチェーンっぽい」って思った
・テクノロジーと政治の大きな可能性。0か1の投票ではなく、0~5点で全候補を評価する選挙システム
・より細かく民意を反映でき、投票モチベーションも向上しそう。ネット投票なら技術的にも実現可能では?
・既存の民主主義国家はシステムが出来上がっているため変更コストが高い。むしろ新しく民主化する国の方が導入しやすいかも
・SNSの普及で政治情報の見え方が激変したよね。最適化により偏った情報ばかり見てしまう問題
・「進化がすごすぎて扱う人間がついていっていない」。8~9割の人が使われている状態
・世界共通のフラットなSNSプラットフォームがあればいいのに
・理想的には一企業が運営する民間サービスではなく、Wikipediaのようなみんなでつくるイメージ
・出版の新しい可能性。この本の内容はネットで公開され、常に更新されている
・そもそも紙の本を買う理由って?装丁や質感などの身体体験、作り手の性格を感じ取れるからかな
・えなりはGPTと一緒に本を読んだ。新しい読み方、面白い体験ができた
一言
テクノロジーで民主主義をアップデート。本の形も進化していく。そんな未来への可能性を感じる一冊
#よもやま話 #本 #おすすめの本 #気づき #学び #ライター #podcast #サイボウズ
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今回取り上げる本は『日本語再定義』です。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09389813
著者:マライ・メントライン
日本で暮らすドイツ人の著者が、ワークライフバランス、外タレ、サボる、エモいなど様々な言葉を題材に、日本とドイツの文化の違いを分析した一冊。言葉から見える両国の価値観の違いが面白い
【話すこと】
・著者マライ・メントラインさんは長年日本で暮らすドイツ人。言葉を題材に日本社会とドイツの違いを語る
・「日本には四季があります。じゃあ外国にはないのかよ」というツッコミ
・バカンスに向いていない日本人:効率化で時間が空いたらドイツは休む、日本は更に仕事を増やす傾向
・「念のため」の先回り対応で結局休めない日本人。えなりも旅行時にパソコンを持参してしまう
・日本人は「頑張る」が評価される文化。成果よりもプロセスが重視されがち
・ドイツ語の「忖度」に該当する2つの表現:「発言なしの指示」と「先回りの服従」
・どちらが主体となって忖度が生まれているかがわかる、ドイツ語の分析力の高さ
・日本語の「理屈」もドイツ語では「理由」と「論理」に分かれる。日本語のあいまいさとニュアンスの豊かさ
・ドイツに生まれたのにドイツに居づらいマライさん。生まれ育った国が必ずしも心地よいとは限らない
・「憧れの人物がどの国の人か」と「住みやすさの感覚」
一言
言葉から見える文化の違い。当たり前に使っている日本語を、外国人の視点で再発見する面白さ
関連エピソード:「#078 日本語教師、外国人に日本語を学ぶ」
https://stand.fm/episodes/6815dc822f0cfc3f5f7169a5
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