Discover現代思想の世界 2012
現代思想の世界 2012
Claim Ownership

現代思想の世界 2012

Author: 堀 茂樹

Subscribed: 3Played: 15
Share

Description

SFCは実践を重視し、「問題発見・問題解決」を謳う学府であるが、何を、何故に「問題」と見なすのか、何をもって「解決」と判断するのかという、いわばメタレベルの「問題」は、科学や技術によっては「解決」できない。なぜならそこには主体(人間)の思想と価値観が関与するからである。早い話、なぜ人を殺してはいけないのか? なぜ自然を大切にすることが良いことなのか? なぜ個人の自由は尊重されるべきなのか? そもそも自由とは何なのか? といった問いを穿っていくと、われわれは常に、人間と世界をめぐる普遍的にして究極的ないくつかの問い ― 哲学的な問い ― に行き着く。この授業では、個人主義の先鋭化、技術主義の浸透、そしてグローバル化を三大特徴とするといってよいであろう現代世界の課題をいくつか取り上げ、関連する思想の背景と論点を紹介するとともに、討論をおこなう。
14 Episodes
Reverse
学期当初の「序論」で取り上げた愛の問題にも立ち帰り、授業全体を振り返りながら、いかにしてよく生きるか、いかにして共に生きるかというテーマで討論を行う。近代のプロセスを先鋭的に生きている存在としての現代人にとって、超越的価値 ― 自分の生命を超える価値 ― はあるのか否か、もしあるとしたらそれは何なのかという問いにも言及したい。
討論1

討論1

2013-01-1801:32:17

討論2

討論2

2013-01-1801:20:51

いわゆる「差別」および反差別運動に関連して、二つのレイシズムと二つの反レイシズムを見出し、そこから、同一性と差異、普遍性と多様性について深く考えてみる。フェミニズムをめぐる議論や、ナショナリズムをめぐる議論にも一石を投じることになるはずだ。
現代美術はなぜ「分かりにくい」のだろう?「分からない」のはセンスがないからか?そもそも「分かる」とはどういうことか?美は客観的なものか、主観的なものか、美を捉えるのは理性なのか、感覚なのか、美的感動は何に由来するのかといった思索を通して、個人を殺さずに個人を超える共生へのヒントを探る。
〈法・権利〉とはどういうものであり、何に基づくのか、法律とはどう異なるのかを明らかにする。人権の理念、定義、そして三つの「世代」を確認し、国家との関係を説明する。また、人権の両義性(個人の人権vs主体の人権)や、現代における人権の困難(平等vs差異)を指摘する。
まず、政治哲学 ― 政治(科)学ではない ― とは何であるか、過去にどのような問題に取り組んできたか、現在どのような問題に取り組んでいるかを述べ、ルソーの「一般意志」にも言及する。最後に、現代民主主義社会において、一方では個人主義のますますの進展を、他方では民族的or文化的or宗教的共同体の自己主張をどう扱うべきかという問題を取り上げる。
近代を義務論的倫理に最も厳密な形を与えたカントの道徳哲学の要諦を示し、解説した上で、現代世界においてはそのような克己的道徳は黄昏を迎えているという説を検討し、自律を目指す人間主義と、独立を目指す個人主義の違いに注目する。
米国を中心に現代世界で優勢になっているかに見える功利主義の道徳観を検討する。幸福を至上の価値とする古代の目的論的倫理(アリストテレス)と、それに対するカントの批判を要点を把握した上で、近代以降の功利主義に対するロールズらの批判を紹介する。
第1回〜第4回講義の補足説明。
古代哲学以来、唯心論と唯物論はせめぎ合ってきたが、現代では、生物学・古代哲学以来、唯心論と唯物論はせめぎ合ってきたが、現代では、生物学・脳科学に支えられる唯物論にほとんど軍配が上がっているようだ。それなら、人間の自由意思、意志の自律性は幻想なのだろうか。唯物論と「自由の哲学」の対立を検討する。
自覚的に思想し、行動しようとするならば、まず自らのことを、つまり主体および主体性を ― 他者との関係において ― 問い直し、意識について、さらに無意識について考えてみる必要があるだろう。さらに、他者をどう表象するかという現代的な課題も取り上げたい。
思想史家ツヴェタン・トドロフの所論を下敷きにしつつ、モンテーニュ、パスカル、サン=テグジュペリなどを援用しながら愛について考えてみる。唯一無二性、つまり「かけがえのなさ」とは何なのか?それはどこに在るのか?目的としての他者の発見、近代における個人の発見に言及する。
授業の趣旨、方針、計画を説明した上で、西洋思想史を振り返り、古代ギリシャ・ローマからキリスト教中世を経て、近代、そして近代の先鋭化としての現代へと、人間観・世界観・価値観がどのように大きく移り変わってきたかを大づかみに述べる。最後に、履修選抜のための手続きを行う。
Comments