
【ひなたのこども】第10回 子供時代を追体験する。
Update: 2018-06-29
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Description
「子どもの頃の感情の記憶」
大人に「どうする?」と聞かれた時の私の感情を思い出しました。
うまく生きられなかったあの頃の感情の記憶です。
子供のころの感情の記憶
最近自分が子供のころの感情を、色鮮やかに思い出すことが多くなりました。
ぴよととんの子育て中であることはもちろん、演技のワークショップで小学生~中学生を間近で見る機会を得たこともあると思います。
つい最近蘇ったのは、「大人に質問されたとき」の感情。
これは、先日のワークショップで風邪気味で体調悪そうな女の子がいて、先生に「具合悪い?できそう?」と聞かれたんだけど何も答えず、先生もほかの子たちもちょっと困ってしまった、というシーンがありまして。
その場は、日頃から気配りができて女子力の高い中学生のお姉さんが優しくサポートし、「見学してる」という答えを本人から導き出してくれて収まったのですが。
(こういう資質のある女の子、今でも本当に憧れます。)
私はといえば、大人なのに、ただ見守ることしかしなかったわけですが。
あー、大人なのにね・・・。
そんな自己嫌悪な感情もありつつ、ワークショップが終わって帰路につきました。
いつものように演技レッスンで得た充実度満点、目から鱗の内容を脳内で反復していると・・・、なぜかあの体調悪かった女の子の立場に私は入り込んでいました。
大人から、「どうする?」と聞かれたとき。
子供のころの私は、何も答えられませんでした。
なぜかというと、自分が大丈夫かどうか、考えても本当に分からないから。
やればできそうな気はする、だけどいつもと違う体調であることは確かで、これが「大丈夫」に当てはまるのか、「やめたほうが良い」に当てはまるのか。
このままやったらどうなるのか。やらなかったらどうなるのか。
先生は、ほかの子たちは、母親はどう思うのか。
・・・・そんなことをぐるぐる考えて。
普通なら、適当な見切りをつけて答えるわけです。
「大丈夫」とか、「見学してる」とか、「帰る」とか。
大丈夫かどうかは、医者じゃないし、子供だし、分からないのは当然で。
どうしたいか踏ん切りをつけて、「適当に答える」ことができるわけです。大抵は。
でも、私は、自分で言葉を使って発信することは、本当に正しくなければいけない、責任の持てることでなければいけない、みたいに多分、思っていて。
責任の持てないことは言えないのです。
だから黙ってもじもじとしてしまう。
特に大人や集団に対して。
仲良しの友達との会話では、そんなことはありませんでした。
そこが幸いだったな。
そんなシーンを何回か体験しているのでしょうね。
「私の答え待ち」の、圧力に押しつぶされそうな、シーンと静まり返った空気を、その中でグルグルグルグルと考え続ける私を、なんだか鮮やかに思い出してしまったのです。
自分の中の問題なのだから、外から見て正しいかどうかなんてないはずなのですが、そこまでは分からなかった。
きちんと正しいことを答えなきゃ。
先生から、みんなから、親から、そうだね、正しいね、と思ってもらえる答えを言わなきゃ。
自分を適当に発信することはいけないことだと思っていた。
あ、今回のワークショップのあの女の子は、私とは違うと思いますけれどね。
たまたま具合悪くて答えられなかっただけ、かもしれない。
大人になって、やっと、良い意味での「適当」の大切さが分かるのです。
今でもまだまだ、適当に対するコンプレックスは持っているのだけれど。
一つ思い出した。
小学校5年生ぐらいのころ。
授業?HR?で、給食の白衣のたたみ方が議題になってて。
「普段どうやってたたんでいるか、前に出てきてやってみて」と先生が言い、私を含んだ数名が当てられて、みんなの前に出たのです。
もちろん、私は自分でいつもやっているたたみ方がありました。
でも、それが正しいたたみ方かどうか分からない!と思ってしまって。
ほかの子は適当にたたんでスムースにこなす中、私は白衣を持ったまま、どうしてもたたむことができなかった。
いつもやっていることなのに、どうしても手が動かない。
私だけ教壇に残され、みんなが「できないの~?!」とざわつき始めます。
業を煮やした先生が「もういいよ。普段やっていないとできないんだぞ。いつも丸めて入れてんのかー?家のお手伝いとかしないんだろー。」とか、ちょっと冗談めかして言い、私は席に戻ります。
みんなが笑う中、私はニヤニヤするしかない。
いや丸めたことなんてないし。
たたんでるし。
家の手伝いするし。
という思いの中。
悲しかったけど、悲しさを出してしまったらまたそれがクラス単位で問題になってしまう。
なんだどうした?となってしまう。
それはごめんだから、ただニヤニヤして、ほとぼりが冷めるのを待つ私。
当然先生からは「引っ込み思案」「自分では何もできない」「いつも人の影に隠れている」「お母さんは甘やかしすぎなのでは?」と評価され、通知表にも書かれるわけです。
今考えると、どうしようもなくアホですね。
結果的に自分が「できない子」レッテルを何重にも貼られていくことになるのに。
それぐらい分かっているだろうに。
このエピソードをはっきり覚えているということは、自分なりに精神的ショックが大きかったのかもしれない。
自分に対する評価を気にするが故の行動なのに、かえって自分の評価を下げまくってしまう、ままならない自分。
こんなことを思い出したから、どうってわけでもないのですが。
アホだったなあ、と思うしかないのですが。
大人になった今、子育てをする今、子供に触れる機会の多い今、
私は子供の世界を追体験しているわけです。
大人に「どうする?」と聞かれた時の私の感情を思い出しました。
うまく生きられなかったあの頃の感情の記憶です。
子供のころの感情の記憶
最近自分が子供のころの感情を、色鮮やかに思い出すことが多くなりました。
ぴよととんの子育て中であることはもちろん、演技のワークショップで小学生~中学生を間近で見る機会を得たこともあると思います。
つい最近蘇ったのは、「大人に質問されたとき」の感情。
これは、先日のワークショップで風邪気味で体調悪そうな女の子がいて、先生に「具合悪い?できそう?」と聞かれたんだけど何も答えず、先生もほかの子たちもちょっと困ってしまった、というシーンがありまして。
その場は、日頃から気配りができて女子力の高い中学生のお姉さんが優しくサポートし、「見学してる」という答えを本人から導き出してくれて収まったのですが。
(こういう資質のある女の子、今でも本当に憧れます。)
私はといえば、大人なのに、ただ見守ることしかしなかったわけですが。
あー、大人なのにね・・・。
そんな自己嫌悪な感情もありつつ、ワークショップが終わって帰路につきました。
いつものように演技レッスンで得た充実度満点、目から鱗の内容を脳内で反復していると・・・、なぜかあの体調悪かった女の子の立場に私は入り込んでいました。
大人から、「どうする?」と聞かれたとき。
子供のころの私は、何も答えられませんでした。
なぜかというと、自分が大丈夫かどうか、考えても本当に分からないから。
やればできそうな気はする、だけどいつもと違う体調であることは確かで、これが「大丈夫」に当てはまるのか、「やめたほうが良い」に当てはまるのか。
このままやったらどうなるのか。やらなかったらどうなるのか。
先生は、ほかの子たちは、母親はどう思うのか。
・・・・そんなことをぐるぐる考えて。
普通なら、適当な見切りをつけて答えるわけです。
「大丈夫」とか、「見学してる」とか、「帰る」とか。
大丈夫かどうかは、医者じゃないし、子供だし、分からないのは当然で。
どうしたいか踏ん切りをつけて、「適当に答える」ことができるわけです。大抵は。
でも、私は、自分で言葉を使って発信することは、本当に正しくなければいけない、責任の持てることでなければいけない、みたいに多分、思っていて。
責任の持てないことは言えないのです。
だから黙ってもじもじとしてしまう。
特に大人や集団に対して。
仲良しの友達との会話では、そんなことはありませんでした。
そこが幸いだったな。
そんなシーンを何回か体験しているのでしょうね。
「私の答え待ち」の、圧力に押しつぶされそうな、シーンと静まり返った空気を、その中でグルグルグルグルと考え続ける私を、なんだか鮮やかに思い出してしまったのです。
自分の中の問題なのだから、外から見て正しいかどうかなんてないはずなのですが、そこまでは分からなかった。
きちんと正しいことを答えなきゃ。
先生から、みんなから、親から、そうだね、正しいね、と思ってもらえる答えを言わなきゃ。
自分を適当に発信することはいけないことだと思っていた。
あ、今回のワークショップのあの女の子は、私とは違うと思いますけれどね。
たまたま具合悪くて答えられなかっただけ、かもしれない。
大人になって、やっと、良い意味での「適当」の大切さが分かるのです。
今でもまだまだ、適当に対するコンプレックスは持っているのだけれど。
一つ思い出した。
小学校5年生ぐらいのころ。
授業?HR?で、給食の白衣のたたみ方が議題になってて。
「普段どうやってたたんでいるか、前に出てきてやってみて」と先生が言い、私を含んだ数名が当てられて、みんなの前に出たのです。
もちろん、私は自分でいつもやっているたたみ方がありました。
でも、それが正しいたたみ方かどうか分からない!と思ってしまって。
ほかの子は適当にたたんでスムースにこなす中、私は白衣を持ったまま、どうしてもたたむことができなかった。
いつもやっていることなのに、どうしても手が動かない。
私だけ教壇に残され、みんなが「できないの~?!」とざわつき始めます。
業を煮やした先生が「もういいよ。普段やっていないとできないんだぞ。いつも丸めて入れてんのかー?家のお手伝いとかしないんだろー。」とか、ちょっと冗談めかして言い、私は席に戻ります。
みんなが笑う中、私はニヤニヤするしかない。
いや丸めたことなんてないし。
たたんでるし。
家の手伝いするし。
という思いの中。
悲しかったけど、悲しさを出してしまったらまたそれがクラス単位で問題になってしまう。
なんだどうした?となってしまう。
それはごめんだから、ただニヤニヤして、ほとぼりが冷めるのを待つ私。
当然先生からは「引っ込み思案」「自分では何もできない」「いつも人の影に隠れている」「お母さんは甘やかしすぎなのでは?」と評価され、通知表にも書かれるわけです。
今考えると、どうしようもなくアホですね。
結果的に自分が「できない子」レッテルを何重にも貼られていくことになるのに。
それぐらい分かっているだろうに。
このエピソードをはっきり覚えているということは、自分なりに精神的ショックが大きかったのかもしれない。
自分に対する評価を気にするが故の行動なのに、かえって自分の評価を下げまくってしまう、ままならない自分。
こんなことを思い出したから、どうってわけでもないのですが。
アホだったなあ、と思うしかないのですが。
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