DiscoverZengyou.Netだれが「冷え症」にした?
だれが「冷え症」にした?

だれが「冷え症」にした?

Update: 2020-09-15
Share

Description















春めくと、庭でうぐいすが、ホーホケキョ他所では、ホケキョかもしれないけど、うちでは、ホーキケヨと鳴くんです。いや、うぐいすは、うぐいす語で鳴いているんだけど、聞く側が都合のいいふうに聞いちゃうんですね。法 聞けよ、法 聞けよ庭のうぐいすまでが、仏法を聞けよ、説法聞けよ、とのおすすめだ。法とは、真実の理法のことでありまして、おしゃかさまがお悟りになった真理そのものを、私たちは、法とか、仏法とかいっている。で、その法を聞くというのは、つまりは、正しいことを聞いて、目を開けということになるわけなんですが、例えば縁起の理法、「深く因果の道理をわきまえて、ありのままに世の中を見よ」とおしゃかさまはおっしゃる。そこで「ハイッ、左様でございますか」とチカッと目をさまして、次の日から占いもまじないも縁起かつぎもあさらばで、清く、正しく、美しい生き方が出来るのなら、いうことはありません。ところが、私たち、心の奥底をのぞいてみたら、ケイチツどころか、煩悩のうじ虫がウジャウジャうごめいて、おさまるきざしはまるでない。「そうそう、その通り!ホーキケヨ ホーキケヨ」さすが聞きなれたおばあちゃん、合いの手が胴に入っている。しかし、そういう煩悩を一つとしてなくすことの出来ない私だからこそ、智恵の目を開かさずにはおかん、救わずにおかんと、立ち上がり、手をさしのべ、抱きとって下さるお方が、阿弥陀如来というお方でございました。教えの親はおしゃかさま、救いの親はアミダさまなんですよねー。「ようこそ、ようこそ ナンマンダブ」月に二度のお講とよばれる法座も、寒い間はお茶の間説法。6,70人のお参り衆が、こたつとストーブを入れた22畳のお茶所に、ひざすり合わせてうなずいて下さる。なかにテカテカの顔した人が7,8人。午前中、すぐ近くにある老人福祉センターの風呂にはいって、お昼はお寺で出る精進料理を食べて、昼からゆっくり説法聞いて、3時になったらセンターで、もう一ぺんお湯につかって福祉バスで帰ろうという人たち。「センターでなら、体はあったまりますけど、心はあったまりませんがでね」わーすごい。ほんといいことおっしゃる。なんていうか、本質をついていますよね、福祉っていうものの。そういえば、役所はせっせと老人御殿を建てて、バスで送り迎えしてサービスこれつとめていらっしゃるようだけど、ちょっと二三歩さがってながべてみると、おとしよりのためというより、おとしよりをどこかへ隔離しておこうという「隔離福祉」になってるみたい。センターへ行けば、お風呂があって、テレビがあって、碁があって、リハビリがあって、カラオケがあって、なんでもあって結構ずくめのようだけど、いまのテカテカのおばあちゃんみたいに、体はヌクヌクでも心はスカスカなんじゃないかしら。でも、もっとすごいのは、そのおばあちゃんたち、家では心どころか、体もあったまらないんじゃないかしら。身心ともに冷え症のおばあちゃんにしたのは、一体、だれだ?















昭和52~53年にかけてサンケイ新聞婦人面に掲載された「お茶の間説法」の文章です。







「お茶の間説法」(37話分)>> https://www.zengyou.net/?p=5702>>「お茶の間説法」 プレイリスト>>「続・お茶の間説法」 プレイリスト

Comments 
00:00
00:00
x

0.5x

0.8x

1.0x

1.25x

1.5x

2.0x

3.0x

Sleep Timer

Off

End of Episode

5 Minutes

10 Minutes

15 Minutes

30 Minutes

45 Minutes

60 Minutes

120 Minutes

だれが「冷え症」にした?

だれが「冷え症」にした?

zengyou