ババヤガノベーション(1630回)

ババヤガノベーション(1630回)

Update: 2025-10-08
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Description

2025年に英訳版"The Night of Baba Yaga"により英国推理作家協会賞(ダガー賞)の翻訳部門を日本人として初めて受賞した王谷晶さんの"ババヤガの夜"にめちゃくちゃイノベーションを感じました


小説丸から

"暴力の才能に秀でた新道依子と、不自由な生活を強いられている暴力団組長の娘・内樹尚子。性格も境遇も全く異なる女性二人の連帯を描き、読者の共感を呼んだ話題作"


ここから私はイノベーティブなポイントを思いました

1、掛け合わせの妙 

2、考えさせられる謎 

3、不器用な仲間の絆


1、掛け合わせの妙 

シュンペーターさん曰く、新たなイノベーションは、既存のアイディアの掛け合わせとのことですが、それがより離れていれば離れてるほど、意表をつくイノベーションが生まれると思います


"ババヤガの夜"の場合は、優しい女性と暴力という、ある意味対極的とも言えるほど離れた要素を、1人の新道依子という女性に、掛け合わせて同居させたところに、まずはイノベーションの面白さを頂きました


その強さは、圧倒的な強さで、暴力団員の何人もが一瞬で蹴散らされてしまうほどであり、かつ優しさは犬を人質に取られたら何もできなくなるほどの優しさを持っているという、まさに、ギャップ萌え満載の素敵な主人公で、そこからもう目が釘付けにされました


2、考えさせられる謎

英国の英国推理作家協会賞(ダガー賞)を取られたということ自体、衝撃なのですが、読んでいくうちに、考えさせられる謎がたくさん生まれてくるところも、目を離せなくなる一つの要素だったと思います


主人公の新藤依子は、女性にして、圧倒的な強さを持ってるのは、一体何者なのか?また、暴力団長の一見、超お嬢様の内樹尚子とは、どんな人物なのか?などのキャラの立っている登場人物の正体への興味


そして、最もトリッキーなのは、時代と人物がよくわからなくなる混乱を生み出す仕掛けづくり、しかしそれは最後にはスッキリさせる伏線の回収が、次から次へとページを捲りたくなる原動力になってました


また、最後には、とても考えさせられる、または、どう考えたらいいのかが、人によっては別れる作りになっていて、読み終わった後に、誰かと意見交換をしたくなる、そんな余白がある作りが余韻をずっと引きずらさせる仕掛けづくりにもなってるなあと思いました


3、不器用な仲間の絆

1番私の心に残ったのは、圧倒的な力を持ってしまった女性である新道依子や、暴力団組長のお嬢様として生を受けた内樹尚子、そして、暴力団員の中でも生い立ちが実は複雑な団員など


各々どうしようもない中で、それでも懸命に生きてきた、全く別の境遇の人物が、いつしか仲間として心が通じ合って絆が生まれる、そんな物語がめちゃくちゃ感動ポイントでした


イノベーターリップルモデルにおける、パッションから、仲間を作り支え合って、大義を実現していく。そのモデル自身も、仲間が自分と世界を繋ぐ大切な役割になっているので、この仲間との出会い、セレンディピティが、とても大切なメッセージとして込められているような気がして、爽やかで素敵な気持ちをいただきました


ということで、めちゃくちゃ一気読みしたこの物語は、タイトルの、ババヤガ(鬼婆)にこめられた、一見馴染めないけど、実はとても深い思想を持つ、そんな存在の素敵な物語に感じました


一言で言うと

ババヤガノベーション


そんなことを思いました


参考:本: ババヤガの夜  発行日 2023年4月30日  著者 王谷晶  発行所 株式会社河出書房新社

参考:小説丸 著者の窓 第4回 ◈ 王谷 晶 『ババヤガの夜』 https://shosetsu-maru.com/interviews/their-window/4

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