代償を払っても問い続けられるかノベーション(1637回)
Description
魚豊さん原作の「チ。一地球の運動について一」の舞台の、振付家エラ・ホチルドさんの言葉に震えました
曰く
"この作品が描き出すのは、新たな発見がいかに認識を揺るがすのか、信念がいかに人を惑わすのか
その核にあるのは、たとえ代償を伴っても、問い、疑い、真実を求めることの意味です。
この作品を舞台に立ち上げることは、私にとってとてつもない冒険でした"
"私たちが生きるこの時代でも、情報が溢れ、真実は脆く、争われ、歪められています。
私たちもまた変化より安定を、疑いより従順を選ぶ仕組みの中にいます。
しかし歴史が示すように、進歩はいつも、たった一つの声や歩み、流れに逆らう一つの考えから始まるのです。"
ここから私は思いました
1、信念のありか
2、発見と信念の逆転
3、問い続ける力
1、信念のありか
本原作は、天動説と地動説、そして宗教と科学、さらには、知性と暴力について、激しく心を揺すぶられる壮大な漫画で、私はアニメを見させてもらってましたが
本舞台は、その世界観を、踊りや歌や舞台演出により相当芸術的に昇華されていて、かつ、わかりやすく、そして感動的なエンターテイメントな舞台となっていて、心が震え鳥肌が立つほど感動しました
そこで思ったのは、自らの信念の拠り所はどこにあるんだろうということでした。果たして、自分が信じていることは、本当に自分自身の中で腑に落ちていることなのか、それは、誰かの話を鵜呑みにしているだけなのではないか
自分自身の考えも所詮は誰かの考えの焼き直しではありますが、改めて自ら納得できているのかどうかということを、考え直すということもとても重要だなあと思いました
2、発見と信念の逆転
コペルニクス的転回とよく言われるように、それまでの自分自身の信じていたことや信念が覆るということが、もしあった時に、自分はどうできるのだろうというとも考えさせられました
朝ドラの"あんぱん"でも描かれてたように、日本でも価値観がひっくり返ることは、数十年前には起こっているので、その時、自分だったらどうだったんだろう、それがこれから起こったらどうするんだろう
その可能性はいつの世の中にもありうることで、常に信じてることでさえ、ひっくり返ることは、ありうるし、ありうる前提で常日頃考え続けるということが大切だなあと思いました
3、問い続ける力
山口周さんのアジェンダシェイパーのように、今の世の中における当たり前を問い続ける姿勢がとても必要だし
ジョンキーツさんのネガティヴケイパビリティのように、答えが見つからないことを、すぐにわかりやすい解に飛び付かずに、問い続ける姿勢や力が、とても大事だなあと思いました
その上で、ダニエルカールマンさんのファストアンドスローのシステム1に通じる何かおかしいと思った第一印象、糸井重里さんの"ボールのような言葉"で言われている、理由がなくても、いやんと言っていい、ことなど
自らのパッションの源を大切にすること、それがひっくり返ることもあるとしても、その前提がある中で大切にすること
そんなことを思いました
一言で言うと
代償を払っても問い続けられるかノベーション
そんなお話をしています^ ^
参考:舞台 チ。地球の運動について プログラムより 出演 窪田正孝、三浦透子、大貫勇輔、吉柳咲良/吹越満、成河/森山未來他 原作 魚豊「チ。一地球の運動について一」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊) 脚本 長塚圭史 演出アブシャロム・ポラック 音楽 阿部海太郎 2025年10月8日(水)~11月30日(日)東京・愛知・広島・大阪・福岡にて 企画制作 ホリプロ https://horipro-stage.jp/stage/chi2025/