Discoverソラジオトーク from OKAYAMA彗星と“パンスターズ彗星”
彗星と“パンスターズ彗星”

彗星と“パンスターズ彗星”

Update: 2024-04-19
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ソラジオトークfrom OKAYAMAへようこそ


鳥取市さじアストロパーク 織部です。


 


今回のテーマは、「彗星について」でしたね。


 


放送分で解説したように、


彗星と聞くと皆さんはどんなイメージがありますか?


ハレー彗星とか、ヘール・ボップ彗星とかの名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

彗星は「ほうき星」とも呼ばれ、主に氷でできた天体です。

太陽に近づくと、熱で溶けて、尾っぽを引いたりします。
写真で見ると、流れ星と似ているので、夜空をすーっと流れていくイメージがありますが、天体なので星空の中で止まっているように見えます。


「彗星のごとく現れる」という言葉の通り、
太陽に近づくと急に明るくなって発見されたりするので、
どのくらい明るくなるのかなど予測することがとてもむずかしい天体です。


 


昔、彗星は地球の空気の中での現象であると考えられたり、
太陽に近づいたら二度と戻ってこないと考えられたりしていましたが、
ニュートンが万有引力の法則を発表すると、彗星の軌道が計算され、
76年ごとに同じような軌道でやってくる彗星があることを発見。


 


エドモンド・ハレーは、ハレー彗星は、次に1758年に現れると予言しました。


そして、その通りに彗星が現れたことから、
彗星の中には周期的に太陽のまわりをまわっているものがあることがわかり、
ハレーの功績にちなんで、その彗星は「ハレー彗星」と呼ばれるようになりました。


 


ちなみに次回にハレー彗星が現れるのは2061年です。ぜひ見たいですね。


新しく発見された彗星が、次に地球の近くへ帰ってくるのを世界で最初に観測すると
「検出」と呼ばれますが、
鳥取市さじアストロパークでは、これまでに5つの彗星の検出に成功しています。


 


4月にポンス・ブルックス彗星が見ごろとなりました。


1812年にフランスのポンスが発見、その後、1883年にアメリカのブルックスが発見した彗星が、同じ彗星であることがわかり「ポンス・ブルックス彗星」という名前になりました。


約71年で太陽のまわりをまわる周期彗星で、
地球の軌道に対して大きく傾いた軌道を描く「ハレー型」とされる彗星ですが、
このタイプの彗星はどのように生まれたのか、まだよくわかっていません。


 


ポンス・ブルックス彗星の見ごろは、残念ながら終わってしまいました。
3月から4月中旬にかけて、日本をはじめ世界各地ですばらしい画像が
撮影されていますので、インターネットで検索していただくとご覧いただけると思います。


およそ3等級となりましたが、西寄りの低空だったため、
直接目で見てもわかりませんでしたし、望遠鏡で見てもぼんやりと見える感じで、
画像とのギャップにちょっとがっかりされた方もあるかもしれませんね。


彗星が目ではっきり見えることはなかなかなく、
日本から見えた大彗星は1997年春のヘール・ボップ彗星までさかのぼり、
もう27年も前のことになります。


実は今、地球に近づきつつあり、明るくなるかもしれないと期待されている
「紫金山・アトラス彗星」という彗星があります。
今年2024年10月に目でも見えるくらいに明るくなるのではと期待されていますので、
楽しみにしたいですね。


 


さて、鳥取市さじアストロパークで世界初観測の「検出」となった、
パンスターズ彗星についてです。


 


この彗星は2018年に発見され、周期5年ちょっとで太陽のまわりを周っています。


2023年12月下旬に再び太陽に近づき観測できるようになると軌道計算から予想されていましたが、11月15日、さじアストロパークの103cm望遠鏡での観測で、この彗星が再び戻ってきている様子を確認し、これが世界初観測、「検出」であることが認定されました。

この彗星の観測は2023年6月からはじめ、定期的に観測を続けました。
そしてやっと11月15日、とらえることに成功しました。
明るさは20.6等で、肉眼で見える最も暗い星6等星の100万分の1に近い、
かすかな輝きでした。


 


多くの彗星は、長い楕円軌道で太陽のまわりをまわっていて、「周期彗星」と呼ばれます。

周期彗星が新しく発見されると、太陽に近い間だけ観測されますが、
太陽から遠く離れると暗くなり、観測できなくなります。
そして再び太陽に近づくと観測できるようになりますが、これまでの観測期間が短いため、計算から予想される位置の精度悪く、場合によっては再観測されることなく、
行方不明となる場合もあります。


そのため、新発見された彗星が次に太陽付近へ戻ってきた時に
再び観測に成功することを特別に「検出」と呼び区別しています。
検出されることで、軌道がより正確に計算できるようになり、
以降、行方不明になる可能性が小さくなるのです。


 


鳥取市さじアストロパークでは、これまでに4つの彗星の検出に成功しています。
今回は5例目の検出となりました。


紹介しますと


串田・村松彗星


ミュラー彗星


ヘリン・ローレンス彗星


シューメーカー彗星


そして今回紹介したパンスターズ彗星です。


 


鳥取県の美しい星空、そして国内有数の望遠鏡103㎝反射望遠鏡により、
世界に通用する観測をおこなうことができるのです。


 


ぜひ機会がありましたら、鳥取市さじアストロパークへお越しいただき、
美しい星空を堪能いただければと思います。


 


以上解説は、


鳥取市さじアストロパーク 織部でした。

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