メインMC:倉本拓、FJ。ゲスト:YNO。

　まるでBrat Summerが無かったことになっている極東の島国ニッポン。一方、「歴史の終わり」が終わり、「気分はもう戦争」状態の世界。大衆音楽（アメリカ）から聞こえてくる2020年代ははたして60年代なのか70年代なのか80年代なのか90年代なのか。そのような時代認識についてのコンセンサスを得ることが不可能なことを尻目にますますノスタルジー経済は加速。もうリバイバルする様式なんぞこの世に存在しないのではと訝しむ間にもスマートフォンに大量に押し寄せてくる新譜の波。

　届いた通知からデバイスの画面をスワイプしてやっとこさたどり着いた音源の数々。たしかにサウンドプロダクションは洗練されているしそれなりに宣伝費もかけられてはいるが全部同じに聞こえるのは私が哀しきモンスターだからなのでしょうか。それともコスト削減の成れの果てに美学の均一化（という錯覚）を齎したAIがすべて悪いのでしょうか。「否!AIは悪くない」と私のゴーストは囁きます。『SWAG』と『Prema』と『black british music』以外の音楽を聴くことを止めた一匹の野獣は美女と接吻するまでもなく無事正気に。が、「別にモンスターのままで困らないのだがな・・・」とも思ってしまうのもまた事実。

　2025年晩夏。私たちは人間なのかモンスターなのかはたまたAIなのか。山から降りてきた毛むくじゃらの一匹のモンスターとその他識別不明の個体二体が、今聴いている音楽を通して自身のルーツをテキトーに探る試み。

藤井風『Prema』（2025）

UMI『people stories』（2025）

ブルーノ・マーズ、アンダーソン・パーク、Silk Sonic『An Evening with Silk Sonic』（2021）

Jim Legxacy『black british music』（2025）

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