Discover漢詩歳時記
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2013年の4月から始めたこの番組、5回目の春が巡ってきました。始めた当初は
こんなに長く続くとは思っていませんでした。私が知っている季節にちなんだ漢詩
なんて、そう多くはなかったからです。でも、始めてみると枯れることの無い泉のよ
うに次から次へと漢詩に出会いました。本の中で、ネットで、旅先で。漢詩に興味
を持ったおかげで、中国を旅していても、「ここであの漢詩がつくられたのか・・・」
と、今までよりも深く旅を楽しむことができました。漢詩の世界とホンモノの世界を
旅するうちにゴールが近づいてきたようです。今回で、この番組も最終回となりま
す。先日、四川省の成都にマラソン参加のためにでかけました。ここには、有名な
詩人杜甫が暮らしたと言う草堂があります。もう20年以上前ですが以前も観光し
たことがある場所ですが、漢詩の番組を担当している今はその時とは違って、なんだか杜甫という友達の家に行った様な感じがしました。「春望」「春夜
雨を喜
ぶ」「客至る」、番組でも紹介した作品が頭をよぎります。今回は、杜甫の「春の日
李白を憶う」を紹介します。
今年の北京はいつになく春の訪れが早いように感じています。暦の上でも春分を過ぎ、朝も明るくなるのが早くなってきました。私にとっては、いよいよ早起きランニングのシーズン到来です。この時期、日本では卒業式なども行われ旅立ちのシーズンでもありますね。私が大学を卒業する頃は、卒業旅行にペンションに泊まるのが流行でした。今は、ペンションなんていう言葉も死語になっているかもしれません。先日、北京空港で卒業旅行風の2人の男子大学生を見かけました。「指差し中国語会話」なる本を片手に、苦労しながらタクシーに乗るところでした。お手伝いしようかなとも思いましたが、若い2人のこと。きっと何とかなると思い、心の中で「頑張って!」とつぶやいて通り過ぎました。収穫の多い、旅になりますように。さて、今日は温庭筠の「商山の早行」を紹介します。
春の気配が濃くなってきました。北京は最低気温が氷点下になることはなくなり、最高気温は20度近くまで上がる日もあります。晴れて風のない日の日中は、東京と同じか、東京以上に暖かいかもしれませんね。それでも、用心深い北京の人は、まだ冬用のブーツを履いている人もいます。寒い間は、ついつい背中を丸めて足元ばかり見て歩いている間に、街路樹は春の装いに変わっていました。楊樹と呼ばれる北京の街路樹、ポプラの一種ですが、枯れ枝にいつしかミノムシのようながくが付き始めました。これが落ち尽くすと若い芽が顔を出します。そして、北京の春の風物詩、白い綿毛の柳蕠を飛ばすのです。公園の池の厚かった氷もすっかり溶けて、柔らかい日差しを受けてキラキラしています。春の装いに着替えているのは、花だけではないようです。さて、今日は前回と同じ岑参の作品を紹介します。「春夢」です。作者、岑参は盛唐の詩人。湖北省の人。湖南省出身と言う説もあります。
今日、3月8日は国際婦人デー。中国では女性は半日休みの日です。ただ、実際は、半日休みを取れない職場もあったり、中には女性のみ健康診断を受けさせてくれる職場もあったりと、過ごし方は様々です。私は外国人専門家局の招待で、人民大会堂へ行き、ティーパーティーを楽しみました。女性の集まりに相応しくジャスミン茶とお茶菓子の取り合わせ。世界各国の女性専門家がいて華やかで賑やかでした。外に出ると、北京の街の景色もだいぶ春めいてきました。枯れ枝のようだった木々は遠くから眺めると、ライムグリーンのもやに覆われているように見えます。芽吹きが始まっているのでしょう。公園に行けば、早くも黄色い迎春花が咲き始めています。まだ、満開とは、いきませんがこの花を見ると北京の春を確信します。いつもの年ならこの迎春花が咲き出すのは、3月下旬。今年は、いつになく春の訪れが早いように感じます。そういえば、私たちの放送局の庭の桜も、もう蕾をつけています。
さて、今日は岑参の「山房春事」を紹介します。
三月の声を聞くと、外の天気と関係なく春だなぁと思ってしまいます。用心深い北京の人たちは、まだ厚手のコート姿の人も多く、皆が春の装いになっている訳ではありませんが、それでも地下鉄内をみまわすと1ヶ月前よりは軽装の人が目立って来ました。そんな、姿を見て自分自身もそろそろ長いコートから、少し短めのコートに
しようかと思ったりします。長いコート、手袋、マフラー。少し前までは出掛ける時の必需品でした。よくみると汚れも目立ってきました。「一冬、ありがとう」と思わず、声をかけたくなります。冬と夏が長い北京。春服の期間は短いので、早めに着始めないと出番が少なくなってしまいます。今度の週末は、春の服を出してみましょう。そういえば、今度の日曜日は「啓蟄」。虫たちもいよいよ地面から這い出してくる頃です。
さて、今日は暦の上ではちょうど今頃の様子を詩にした、
賈至の「春思」を紹介します。
「二月は逃げる」なんて日本では言いますが、こちら中国でも春節休みが明けていよいよ本格的に新しい年がスタートと思ったら、もう2月も残り1週間となりました。百花繚乱の花の季節までは、まだまだですが北京でも「花の兄」と呼ばれる梅の花だよりが届くようになりました。決して派手な花ではありませんが、独特の香りが存在感を際立てます。さて、今日はちょうど今頃の詩、蘇軾の 「正月二十日、岐亭に往く。郡人 潘、古、郭の三人 余を女王城東の禅荘院に送る」を紹介します。
中国では先週の土曜日が、旧暦の1月15日にあたり一連のお正月行事が終了しました。今週に入ってから、街が本格的に動き出した感じです。日本に較べれば相変わらずの寒さの北京ですが、ここに暮らす人間からすると、幾分春めいてきたように感じます。木々の芽吹きや花の蕾などは、まだ見つからないものの人の心が春節を境に春という新しい季節に突入しています。もちろん、暦の上でも春を迎えていますが、中国では旧暦1月15日の元宵節を過ぎて、新しい年、新しい季節が始まるのです。年ごとに伝統的な行事が減っているのは日本も中国も同じかもしれません。先週までは五月雨式にあちこちで爆竹や花火の音が聞こえましたが、元宵節の夜を境にその音はぴたりと止んだ感じです。賑やかに爆竹などを鳴らして、正月気分に区切りをつける。そんな習慣が私は好きです。さて、今日は元好門の「京都元夕」を紹介します。
春節の長い連休も終わり、今週から本格的に仕事がスタートした職場が多いようです。それでも、まだ学校などはお休み中で、いつもの街の賑やかさが戻ってくるまでは、もう少しかかりそうです。春節休みでのんびりしているうちに立春を過ぎ、暦の上では春になりました。北京はまだまだ日中の気温が氷点下という日もありますが、降り注ぐ陽ざしには優しさがあって確かに春を感じます。いつの間にか日が伸びていて、少し前ならもう暗かった夕方5時頃はまだ日差しがあります。一足早く陽ざしだけ春を迎えているようです。でも、公園などの木々はまだ葉を落として寒々としています。池や川の氷も厚く、もうしばらくは厚手の長いコートが手放せません。自然の景色に彩りが添えられるのは、もう少しかかりそうです。さて、今日は羅隠の「京中正月七日立春」を紹介します。
いつの間にか街角の大通りだけでなく、スーパーやパン屋さんなど身近な場所も赤い大小の提灯で飾られていました。間もなく春節。お正月の賑やかで楽しい雰囲気が厳冬の北京の街を暖めています。春節は故郷に帰り、家族団欒を楽しむのが中国人にとっては伝統的な過ごし方。でも、13億を越える人が一度に移動するのは困難なので、休みの取れた人から徐々に帰省しています。この40日ほど続くお正月の帰省ラッシュを春節の運輸、略して春運というのですが、文字をみると春を運ぶ。なんとも微笑ましい感じがします。さて、今日は白居易の「殷協律(いんけいりつ)に寄す」を紹介します。
今週末は二十四節気の大寒。字を見るだけで、寒い感じが伝わりますね。北京では日中の最高気温が氷点下の日があるものの3度くらいまで上がる日もあります。感覚は相対的なものですから、たった3度でもだいぶ寒さが緩んだように感じたりするから不思議です。北京の寒さは骨を刺すようだと形容されますが、今年の寒さはそれ程ではないようにも感じます。北京の冬も6回目。私が北京の寒さになれてしまったからでしょうか?二十四節気の大寒の次は立春。寒の明けが待たれます。さて、今日は真山民(しんさんみん)の「新春」を紹介します。
日本では鏡開きも終わって、お正月の雰囲気が少しずつ薄れて来るころでしょうか。こちら中国では旧暦の1月1日=春節まで2週間ちょっと。年末、年越しの雰囲気が盛り上がってきています。お正月を家族で過ごそうと、故郷へ向けての帰省ラッシュも始まります。私自身のこどもの頃のお正月の楽しみは、お年玉をもらうことや、晴れ着を着せてもらうこと、美味しいものを食べられることよりも、むしろ、同世代の従兄弟たちに会えることでした。一人っ子の私は普段、家の中では大人に囲まれていたので、子供同士でご飯を食べたり、テレビを見たり、そんな何気ない事がとても楽しかった記憶があります。従兄弟たちとトランプやゲームをやろうとハリキッテいたものの私が一番年下で、コテンパンに負かされたことさえ、何だか楽しかったので、大人たちの酒宴が終わり、みんなが帰る時は、とても寂しかったです。さて、今日は厳維の「歳初喜皇甫侍御至」(歳初、皇甫侍御の至るを喜ぶ)を紹介します。
今年も「もう幾つ寝るとお正月」と数えるほどの日数になってしまいました。北京では旧暦でお正月を祝うので、この時期でもお正月の準備はまだ、まだと言った感じです。それでも来年のカレンダーを用意していると、いよいよ今年も終わるんだなぁと実感してきます。みなさんにとって今年はどんな年でしたか?いろんなことがあったけれど、最後は静かに締めくくりたいなと思うのは日本人だからでしょうか。中国の旧暦大晦日は、賑やかな花火や爆竹の中、新年を迎えますから日本の大晦日の夜のイメージとはだいぶ違います。私の日本の大晦日のイメージは、深々と雪が降る中、ゴーンと除夜の鐘が静寂を破って鳴り響く感じです。108つの鐘の音に合わせて今年の出来事が浮かんでは消えていく。さて、今年最後のご紹介は白居易の「夜雪」です。
気が付けば今年も残り10日ほど。お正月の予定は決まりましたか?新暦、旧暦の違いはあれど中国も日本も新しい年を家族で迎えたいという気持ちは共通でしょう。お正月休みはレジャーよりも帰省の時期です。故郷に帰って、料理を作ったり、家事を手伝ったり普段はできない親孝行する人も多いのではないでしょうか。今日は狄仁傑 (てきじんけつ)の「帰省」を紹介します。
早いもので、12月も折り返しまで来ました。11月に少し雪が舞いましたが、それ以降は比較的穏やかな日が続いていました。でも、さすがにここに来て、寒さも本格化し北京の冬用のひざ下までの長いダウンコートを着ている人が増えました。セーターを脱ぐときにビリビリとする静電気の季節でもあります。さて、今日は暦を少し遡って袁枚(えんばい)の「小雪の日香亭弟が灰鼠裘を贈らる」を紹介します。
今日は二十四節気の「大雪」。雪が大いに降るころと言う意味です。北京では、大雪が降ることは少ないのですが、暦どおり屋外は深々とした寒さになって来ました。日中でも空気が冷たくなってきて屋外での活動もそろそろ限界が近づいて来ている感じがします。北京の公園には、ほとんどと言っていいくらい池がありますが、厚い氷が張る前に水を抜いて掃除をしているところも多いようです。だんだんと公園の表情が変わってきているようです。一方室内は、どこも集中暖房がしっかり効いていて、屋外とは対照的です。こうなると室内で過す時間が増え、本でも読もうかという気持ちになりますね。北京は、これからが読書の季節かもしれません。さて、今日は菅茶山(かんさざん)の「冬夜書を読む」を紹介します。
日本の11月は前半に文化の日、後半に勤労感謝の日があって秋の行楽シーズン真っ只中でしょうか。文化の日が「菊薫る」と形容されますが、ならば勤労感謝の日は「金木犀香る」と言った感じです。日本の我が家には小さな庭に金木犀の木があって、秋になると甘い香りを漂わせ季節の移り変わりを教えてくれます。遠く離れていても自宅の庭の景色を思い出すと、どこからともなく甘い金木犀の香りが漂ってくるようです。金木犀の香りは、それだけ印象深いものです。北京では、あちこちの公園で冬の支度が始まっています。10月上旬の国慶節から目を楽しませてくれた黄色い菊や紅いサルビアが枯れる前に抜かれています。街から色が無くなっていくようで寂しいのですが、抜いた花は公園に来ている市民に配られ、受け取った人は根に泥の着いた花の束を手にして嬉しそうな笑顔を浮かべていて癒されます。さて、今日は高啓の「桂花美人に題す」を紹介します。
11月中旬は日本なら秋たけなわ。北京は集中暖房も始まり、冬の準備完了。冬の足音がはっきりと聞こえてくる時期になりました。朝早く屋外を走ることが出来なくなったり、暖かい所で生まれ育った私は寒さに弱いのですが、冬には冬の楽しみもあります。冬本番が近づいて美味しくなる物。鍋物が一番に思い浮かぶかもしれませんね。街角の市場に並ぶ果物では柑橘類も旬を迎えます。夏の間の大きな西瓜やハミメロンに較べれば小さいのですが、この時期、存在感を示しているのは私の大好きな柚子。漢字では柚子と書く、日本で言うところのザボンです。皮を剥くのが大変なのですが、皮を剥く時に漂う柑橘の香り。なんだか南国の雰囲気があって大好きです。その季節、季節でそれぞれに美味しいものが楽しめる。中国中から果物が集まる首都、北京の魅力の1つかもしれません。さて、今日は許渾の「謝亭送別」を紹介します。
暦の上では、立冬を過ぎ「冬」になりました。今年は、10月下旬に厳しい寒波が北京を襲い、最低気温が氷点下になるなど暦よりも早く「冬」を実感しました。逆に、ここに来て少し厳しい寒さは緩んだようですが、日が沈むのがめっきり早くなり、やはり季節の移り変わりを感じます。冬を感じながらも、街中の街路樹の紅葉は今が見頃です。黄色く色づいた銀杏が北京の紅葉の主役です。少しずつ葉を落とし始めているとこもあり、足元に黄色い絨毯を敷いたような場所もあります。この葉が全て落ちきると北京は本格的な冬を迎えることになります。そんな冬本番になる前に、この人も紅葉狩りを楽しんだのでしょうか。今日は杜牧の「山行」を紹介します。
先週の北京は雨続きでした。夏の雨と違い、ザットではなくしとしと降る感じです。そして、一雨ごとに纏っていたものが剥がされるように寒さを感じる頃になりました。公園を走る人の姿も、めっきり減り、少し寂しい感じです。少し前までは顔見知りのランナーが何人かいたのですが。もっとも、最近は朝、なかなか明るくならないので私が走りに行く時間も遅くなっています。向こうは向こうで私のことを「いつもの日本人、見かけないなぁ」と思っているかも知れませんね。さて、今日はこんな季節に美味しくなるお酒をテーマにした陶淵明の「飲酒 其の七」を紹介します。
10月も下旬に差し掛かり、北京はますます秋の気配が濃くなってきました。街角では冬用のコートを着たり、薄手のダウンジャケットを羽織っている人もみかけます。晩秋であり、冬の入り口さえも見えて来たように感じることもあります。そして、気温の変化だけでなく、日が短くなったことにも驚かされます。朝、いつもと同じ時間に起きても外が暗かったり、夕方だと思っている時間なのに月が輝いていたり。こんな季節は部屋で本を読んだり、物思いにふけるのが似合いそうです。さて、今日は杜甫の「秋興」を紹介します。
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