この瞬間に全部決めたくないノベーション(1649回)
Description
日本人で初めてフランスでフレンチの三ツ星を獲得され、さらに継続して撮り続ける小林圭さんの、新しいメニュー創りの秘訣に触れたようで感動しました
試作メニューを作り続けて突然辞めた圭さん曰く
"とにかく食べる
食べてみて記憶に残す
もしかしたらそれがわかんないけど
一カ月後、二週間後、二日後に
その形で何かに出てくるかもしれないし
もっともっと何かできるかもしれないっていうところを、この瞬間に全部決めたくない"
ここから私は思いました
1、量をこなす
2、熟成させる
3、納得いくまで決めきらない
1、量をこなす
フレンチの本場のフランスで、日本人としてもの凄い過酷な環境で生き抜き、そして、フレンチで三ツ星を獲得し継続されている小林圭さんの、ヒリヒリするような生き方とスピリッツにめちゃくちゃ感動しました
いかにイノベーティブなメニューを開発し提供するかの秘密をこの場面と言葉に感じました。まず思ったのは、とにかく試作を創る、試行錯誤を重ねるという、量が圧倒的なんだなと思いました。
イノベーションの世界では、量が質を超える、という話は、ある意味、セレンディピティの発生数を確保するということにもつながるのかなと思ってます
イノベーションは、他の人が思いもよらない異質な新結合なので、その発生はなかなかコントロールできるものではないとすると
発生確率は同じであれば、母数を増やすことによって、イノベーションの数を確保することができる確率は高まる、ということになるのであれば、量をこなすということは、イノベーションには必須なのだと改めて思いました
2、熟成させる
圭さんが、試作を作ってて突然やめる、ということをされていることは、ある意味、アイディアを熟成させる時間を設けているかなと思いました
ジェームスヤングさんの、アイディアの作り方、という名著の中でも、"生まれたアイディアが素晴らしい子供ではないことに気づく"そして少しずつ手を加えていく、というようなことを言われています
また、京都大学名誉教授の苧坂直行さんが言われるデフォルトモードネットワークのように、仕事から一旦離れて、散歩や別なことをする、それによってこれまでのアイディアが結びつくような脳が活性化する、というお話もあります
圭さんの頭の中では、たくさんの試味アイディアの味の量が半端なく蓄積し、そしてそれがデフォルトモードネットワーク上で更なる新結合をさせる、そんな仕掛けを自然と身につけられているのかもしれないなと思いました
3、納得いくまで決めきらない
タイパやコスパと言われる世界では、とにかく早く結論を、早く答えに辿り着く、ということに重きを置かれている気がしますが
自らが納得するまで、他の人が何と言おうと追求し続ける、逆に言えば、ギリギリまで決めきらない、そういう姿勢が、イノベーションをこおこすにはとても大切だということを、教えて頂いた気がします
詩人のジョンキーツさんが言われている、ネガティヴケイパビリティのように、早く答えに辿り着きたい、気持ちの悪い状況を抜け出したい、というのが人間の本性のような気がしますが、それをあえて超えられる、気持ち悪い状態を粘り続けることができる、そんな力が強いのかもしれないなあと思いました
今の時代で、ネガティヴケイパビリティを発揮するためには、自分自身との戦いもありますが、周りからのタイパ、コスパ圧力というのも、半端ないかと思います
企業活動のイノベーション活動にしても、すぐに成果、売り上げを求められるというのも、全く同じプレッシャーだと思いますが
その中で、圭さんは、納得いくまで自身のネガティヴケイパビリティを最大限に発揮し、そして周囲からの同調圧力にも屈しない、そんな生き方、スピリッツを持たれているのかなあと、だからこそ、ここまで到達されているのかもしれないなあと、勝手にださ感動してしまいました
ということで、一言で言えば
この瞬間に全部決めたくないノベーション
そんなお話をしています^ ^
参考:NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 フレンチシェフ 小林圭 三つ星の、もっと先へ初回放送日:2025年9月23日 https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/GL6VNX5RM8/


























