自分の好きなことを追求し、生きる喜びになるノベーション(1647回)
Description
博物学者の荒俣宏さんの、生き方に通じるのではないかというお話に、感動して共感しました。
曰く
"こういう好きなことを自発的にやりつづける人のことを、西洋では「amateur(アマチュア)」と呼ぶ。
学問することを心から喜び、いっさいの利益を期待せず、また自分の挙げた成果を他人とも無償で共有できる人たちだ。
いっぽう、学問することで給料を支給され、論文を書くと学位を授与され、学会の権威ともなる専門家を、プロフェッショナルと呼ぶ。"
"日本ならば東大の教授あたりが最高のプロだろうが、西洋で尊敬されるのは、じつは無私の精神で純粋に学問を愛するアマチュアのほうなのだ。"
"「自分の好きなことを追求し、それが生きる喜びになる」"
".わたしは幼児のころからそうしてきた。"
ここから私はおもいました
1、マズローの誤読
2、クレイトン・アルダファーのERG理論
3、デシ&ライアンの内発的動機と外発的動機
1、マズローの誤読
マズローの5段階(1.生理的欲求2.安全の欲求3.社会的欲求4.承認の欲求5.自己実現の欲求)はとても有名ですが、下位の欲求が満たされないと、上の欲求が生まれないとの誤解があるように思います
マズローは、後年「人間は、すべての欲求をある程度ずつ同時に持っており、相対的にどの欲求が強いかが変動する」(出典:Maslow, A.H. Motivation and Personality, 1954)と言われているようです
なので、まずは生活基盤がないと好きなことだけで食っていけないし、とかいうのは、実は自己実現欲求よりも生理的欲求などが強いだけで
特に、自己実現欲求が強い人は、アーティストやイノベーターなのかもしれないなと思いました。寝食を忘れて没頭してしまう、そんな人たち、それが真のアマチュアなのかもしれないなと思いました
2、ERG理論
エール大学・ルートガーズ大学教授として組織行動学を研究クレイトン・アルダファーは、マズローの考えを推し進めて、3つの欲求カテゴリに再構成しています
1、E(Existence:生存欲求)、2、R(Relatedness:関係欲求)、3、G(Growth:成長欲求)のERG理論と言われていて、ここでも、各々個々の特性に合わせて強さが違うとも言われています
荒俣さんが言われるアマチュアは、この中では、Gが最も強くて、それにつれてRも高まる、そんな人なのかとも思います
3、内発的動機と外発的動機
ロチェスター大学教授のデシ&ライアンは、さらにこれを進めて、自己決定理論として、自律性(Autonomy)、有能感(Competence)、関係性(Relatedness)が満たされると、内発的動機が発動すると言われています
実はこれは、いつも私がお話ししている、イノベーター3つのフレームとしての、Ripple modelの1.パッション→ 自律性(Autonomy) 2.仲間→関係性(Relatedness) 、3.大義→ 有能感(Competence)ととても響き合っています。
つまり、イノベーション活動を続けていくためにも、内発的動機は欠かせないものであり、かつ、イノベーション活動により、内発的動機が高められていく、というフィードバックループになってると思います
逆に外発的動機(給与、名誉など)がそこに加わってくると、内発的動機が損なわれてくるということもあることに、難しさを感じてしまう面もあります
いずれにしても、生きがいや生きる喜びに結びつくのは、内発的動機であり、アマチュアはまさにそのものであり、後天的に外発的動機、すなわちプロフェッショナルが加わってきても、その内発的動機を忘れずにいられるかということが大切なのかと思いました
と言うことで、一言で言えば
自分の好きなことを追求し、それが生きる喜びになるノベーション
そんな話をしています
参考:本: すぐ役に立つものは すぐ役に立たなくなる 2025年3月31日 電子書籍版発行 著者 荒俣 宏 発行所 株式会社プレジデント社
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