Discover就職・転職の扉をひらく「ことばランド」EP#106「僕的には…」使うことばに、その人の常識が現れる
EP#106「僕的には…」使うことばに、その人の常識が現れる

EP#106「僕的には…」使うことばに、その人の常識が現れる

Update: 2024-06-17
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いまどきのエントリーシートは、パソコンでつくって会社に送付するのが一般的でしょうか。
僕のころは、すべて手書きだったので、結構しんどい思いをしました。字も丁寧に書かなくちゃいけないし。

校閲の試験を受けたときは、面接担当者から「君の字は読みやすいね」と言われました。くせ字だし決して上手くはないのですけどね。
その質問の趣旨を入社後に聞いたら「校閲は乱雑な字を書くに人には向かないから」と 言われました。パソコンでエントリーシートを作成すると、字の丁寧さは測れないですね。その点、少し負担は軽くなっているのかもしれません。

それでもそこに書かれている文章となると、常識が噴き出してくるんです。
最近気になったニュースは何ですか」という質問項目に「僕的には・・・」と書いてきた受験者がいました

僕も「ことばランド」や本では、「僕」を使うことがあります。ちょっと視聴者や読者に親しい感じを持ってもらいたいと思うからです。それでも、正式な場では「僕は」は使いません。

もう一つ「僕的には」の「的」の使い方なんです。「僕的には」は「私としては」「私の意見としては」という意味だと思うんです。「的」を辞書で見てみると、主に物や人を表す名詞に付いて、それそのものではないが、それに似た性質をもっていることを表すんです。「百科事典的な知識」といった具合に使います。

もう一つが、「ある観点や側面から見て」という意味を表すときに使われます。「学問的に間違っている」「事務的な配慮」っていう具合です。元々「的」は、中国の宋・元時代の俗語で、「の」の意味を表す助辞だったのです。明治以降、英語の -ticを有する形容詞の訳語に用いたことに始まる用法なんです automaticを「自動的に」と訳すような感じです。
つまり、「僕的」は、どちらにも当てはまらない俗用なのです。

俗用を使うことが悪いのではなく、公式の場に俗用を使う、あるいはそれが俗用であることを知らない、というのが問題なんです。つまり「常識がないな」と思われてしまうということです。知っていることばでも辞書を引いて確認することはとても重要なのです。ことばの常識は、未来の扉を開いてくれますから。

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安正 前田