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Author: YY Music Channel
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© YY Music Channel
Description
プロのフルーティストとピアニストが好きな曲を好きに演奏して好きに喋り倒すチャンネル。
毎週水曜深夜か、木曜のゆるふわ更新。クラシックはもちろん、あらゆる音楽を端から端まで食い尽くしていきましょう!
演奏曲のリクエストはTwitterにて、#yymcl または #YYMCL をつけて呟いてね。人類皆音楽雑食!
■フルート 竹森ゆきえ
桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学研究科を経て渡仏し、フランス国立サンモール地方音楽院を満場一致で卒業。
フランスにて、クレドールコンクールソロ部門最高位を受賞する他、様々なコンクールに入賞を果たす。
2018年、庭に遊びに来ていた愛嬌のあるかわいい野良猫を家族に迎え入れる。
2020年、新しく迎え入れた保護猫に壁という壁で爪研ぎをされ、家を破壊されるも幸せに暮らしている。
■ピアノ 金井裕
桐朋学園大学音楽学部を卒業後、パリ地方音楽院に入学。DEMSを取得し、リュエイユ=マルメゾン地方音楽院に入学。留学中はソリスト・室内楽奏者としてパリを中心に活動。フランス・ブレストにて第17回ブレストピアノ国際コンクール第3位。帰国後はソロ、室内楽、子どものための企画公演、ゲーム音楽祭に参加するなど幅広い活動を行っている。
今欲しいものは体力と午前中。それなりに苦労してきたような気もするが何でも忘れるので毎日幸せに暮らしている。
毎週水曜深夜か、木曜のゆるふわ更新。クラシックはもちろん、あらゆる音楽を端から端まで食い尽くしていきましょう!
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■フルート 竹森ゆきえ
桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学研究科を経て渡仏し、フランス国立サンモール地方音楽院を満場一致で卒業。
フランスにて、クレドールコンクールソロ部門最高位を受賞する他、様々なコンクールに入賞を果たす。
2018年、庭に遊びに来ていた愛嬌のあるかわいい野良猫を家族に迎え入れる。
2020年、新しく迎え入れた保護猫に壁という壁で爪研ぎをされ、家を破壊されるも幸せに暮らしている。
■ピアノ 金井裕
桐朋学園大学音楽学部を卒業後、パリ地方音楽院に入学。DEMSを取得し、リュエイユ=マルメゾン地方音楽院に入学。留学中はソリスト・室内楽奏者としてパリを中心に活動。フランス・ブレストにて第17回ブレストピアノ国際コンクール第3位。帰国後はソロ、室内楽、子どものための企画公演、ゲーム音楽祭に参加するなど幅広い活動を行っている。
今欲しいものは体力と午前中。それなりに苦労してきたような気もするが何でも忘れるので毎日幸せに暮らしている。
103 Episodes
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Today's List◾️ Händel: Sonate flote und Basso Continuo G dur HWV363b 1.Adagio 2.Allegro 3.Adagio 4.Bouree 5.Menuetto -- ヘンデル: フルートと通奏低音のためのソナタト長調 HWV363b
こんな話しぶりだと、まるで通奏低音以外のピアノ(チェンバロ)パートは全部自力で考えた、みたいに聞こえますね!
当時はそういうものでしたが、現在は一例としての譜面が発売されており、今回はもちろんそれを見て弾いています。
が、それだけを弾くのではダメなんですね…OKなバージョンを書いといてくれよ…売ってないんかよ…とぼやきながら考える、という作業を経てレコーディングしました。
さて前述の通り当時は本当に即興で弾いていたというのが通説ですが、いや可能なのか?という疑問が湧いてきます。
というのも、2人で合わせてみると旋律楽器(フルート)との音型ぶつかりや装飾被りが発生してくるわけですね。そこで代案を差し込んでいくのですが、これは瞬発的にはできないのでは…え、できたの?すごすぎない…?流石に打ち合わせ(結構綿密なやつ)はしてたよね?ねぇ、そうであってくれ?
などとバロック初心者の金井は白目を剥いていたのでありました。
Today’s List◾️ Charles-Marie Widor: Suite op.34 -- シャルル=マリー・ヴィドール: 組曲 op.34
言い忘れてしまいましたが、長年このチャンネルをご愛聴くださっている方は薄々お気付きでしょう…この曲もまた、フルート界の神、タファネルに捧げられているということに…
フルートにはタファネルが、オルガンにはカヴァイエ・コルが、そしてヴィドールがいる時代でした。
ヴィドールはあまりにもオルガン一筋のキャリアであったせいか、作曲家としては一般的にそこまで知名度は高くありませんが、後年にはパリ音楽院の作曲科で教鞭を取り、オネゲル、ミヨーなどの作曲家を輩出し、後にナディア・ブーランジェが指導者として名を馳せたアメリカ音楽院でも、更には海外でも数多くの作曲家の卵たちに教えました。そしてそして、私たちの推し、リリ・ブーランジェの師でもあります。
オルガニストとして知らぬ者はいないほど輝かしい人物であっただけでなく、どれだけ作曲家としての力に信頼を寄せられていたか、よくわかる経歴です。
パリ音楽院の学生として学んでいるうちから華々しく活躍していく後の世代の作曲家とは少し趣が違いますが、確かに重要な役割を果たした音楽家のうちの一人です。
Today's List◾️ Lili Boulanger:Nocturne/Cortege -- リリ・ブーランジェ: ノクチュルヌ/行列
夏休みと冬眠が合体しました!もう筋肉が衰えてヨボヨボです。
ポッドキャストの作業に関する全ての記憶を失った私たちはレコーディングのセッティングに焦り、遠隔トークのセッティングに涙し、全て終わる頃には深夜、クッタクタ。
こんな大変なわけなかったよね…?
101回目の初心者です。
そもそもコロナ禍で練習の必要に迫られなくなった私たちが、サボりすぎて危機感を感じ、練習を継続するために始めたようなチャンネルだったのですが、仕事が戻ってきてもいつの間にか音楽筋力維持のために不可欠な存在になっていました。
したがって活動中のリハビリで得た筋力を、休止中に失い(何故)、そして再開とともに再リハビリ…再リハビリ????そう、今は「リ・リハビリ」中なのです(??????)人生は、リハビリとリ・リハビリのエンドレスループなのです(???????????)
果たして待ってて下さった方がいらっしゃるのか自信はありませんが、引き続き、聴けば楽しい!チャンネルを目指してまいります。
今後は不定期更新となりますので、X(twitter)@YY_MusicChannel をフォローして、お知らせを待ってくださいね❤️❤️
今後ともどうぞよろしくお願い致します!
Today's List■ 石川さゆり: 天城越え/ 津軽海峡・冬景色
100回!祝!100回!
いやーここまで来られるとは思っていませんでした。大した努力もしませんで再生回数が爆伸びすることなどあり得ないのですが、それでも今聴いてくださっているあなた、あなたが居なければ随分前に放り出していたと思います。本当にありがとうございます。大好きです。いや本当に。
そ、し、て. . .
10/6(金)18:30開場、19:00開演 代々木上原けやきホールにて
竹森ゆきえ 金井裕 デュオリサイタル
もうスケジュールに入れて下さいましたか?!待ってます!!そうですよ!!ホールですよ!あなたが来てくれないとほんとガラガラですよ!!どうすんだ!!どうしよう!!!
チケットご購入のお問い合わせは、twitter…じゃなくて、改め X の私たちのアカウント(https://twitter.com/YY_MusicChannel)へ、DMを下さいませ!
または、トップの投稿よりQRコードを読み込んで頂けますとスムーズにご購入いただけます。
去年よりさらにグレードアップして、二人で様々な音楽をお届けできること、嬉しく思います。
それではどうぞ夏の思い出をたくさん作って下さいね!またお会いしましょうー!
Today's List■ 八代亜紀: 舟唄/ 梅沢富美男: 夢芝居
以前、昭和歌謡の特集を組みました(#33 昭和は失恋を歌い上げる)が、今回の3回に渡る演歌を録音していてちょこちょこ思ったのは、これは演歌なのか…?歌謡曲では…?ということです。
なんやかんやと真剣に歌い回しを相談しちゃったりして、こっちの方が演歌っぽいんじゃないか!なーんて盛り上がったりしている私たちですが、あんまり演歌の定義をわかっていません。
そこで調べてみたところ、演歌は歌謡曲の中の1ジャンルであって、歌謡曲の中で日本伝統の要素が強い(民謡的であったり、特定の音階を使っているなど)ものを演歌と呼ぶらしいです。つまり演歌は漏れなく歌謡曲であるというわけですね。どっちなんだ…などと思うこと自体が間違いでした。浅薄。
Today's List■ 五木ひろし: よこはま・たそがれ/ 石田あゆみ: ブルーライト・ヨコハマ
ちなみに同じ横浜住まいである私たちの家も近所と言えることは全くなく、免許のない金井が時間をかけて電車を乗り継いで竹森の家まで行くと、翌日ブッ倒れるくらい異常に負担のかかる旅となります。
あのつらさは、まさに演歌にうってつけ…
なーんて考えたりしていると、横浜市民が市内の人々とも、外界の人々とも、生涯交流を継続するにはかなりの労力が要されるということがわかります。港があろうとなかろうと、別れが多い町なのも当然ですね。
「横浜市内のアクセスを快適にして下さい」というやるせない心情を誰かが歌いあげたら、これこそ大ヒット、ご当地ソングになること間違いなしでしょう。
Today's List■ Damase: Sonate en Concert -- ダマーズ: 演奏会用ソナタ
こんな音楽は、馴染みがなくても一回耳にしたらフワーッと引き込まれて大好きになってしまうのではないでしょうか。
自分より前に生まれて活躍した作曲家のエッセンスは取りこぼさないというように、ダマーズの音楽には様々なフランス音楽の手法や精神が見受けられ、ふとした歌い回しにはプーランク、異国風味の取り入れ方にはミヨー、音のぶつけ方にはフランセなどの影響を感じられます。そんな歴史の受け皿としてのオープンな姿勢は、そのまま彼の作風として活写されていますね。
また、ハープ奏者の母はラヴェルやフォーレの作品を初演していますから、幼い頃から自然にそういった音楽に触れてきて、着実にルーツが形成されていったことでしょう。作曲においてはビュッセルの弟子でしたが、心の師はたくさんいたんじゃないでしょうか。ダマーズの音楽には20世紀のフランス音楽の魅力がパンパンに詰め込まれています。
CCSS■ Saint-Saens: Pavane de Proserpine / Romance op.37 -- サン=サーンス: オペラ "プロゼルピーヌ" より パヴァーヌ/ ロマンス op.37
実はたくさん書いていたサン=サーンスのオペラの中に、『黄色い姫君』という作品がありまして、これはプッチーニの『蝶々夫人』より30年も前に作られた、日本が舞台のオペラです(こちらも台本はルイ・ガレ)。当時は東洋趣味が大流行中、当然といえば当然の流れかも知れませんが、流石に情報のキャッチとアウトプットが早いなぁと感嘆してしまいます。
彼の音楽も演奏もコントロールの行き届いたものです。フルートにおいてはタファネル、ヴァイオリンにおいてはサラサーテというように、一流の演奏家との交流を経て考え抜かれた楽器に対するアプローチには、図書館でバッハやベートヴェンの楽譜を読み漁ってきた学生時代となんら変わりなく、自分に必要な情報を貪欲に求め続ける姿勢がよく現れています。
晩年、ベル・エポックへの芸術の流れにサン=サーンスが賛同しなかったことは残念だという見方もありますが、狂騒や偶然性を取り入れ始めた時代の音楽と、彼のコントロールが不可欠な音楽が乖離していくことは、ごく自然なことだったのかも知れません。
CCSS②■ Saint-Saens "Danse Macabre" op.40 -- サン=サーンス "死の舞踏" op.40
美術的モチーフとして人気だった『死の舞踏』を描いた絵画がどれもポップに見えるのは、単純にガイコツというビジュアルにちょっとひょうきんな印象があるからかも知れませんね。ヨーロッパにおけるガイコツは幽霊みたいなものだそうです。
ペストが流行った頃、死者がおびただしい数に上ったのは、ペストそのものに罹った人に加えて、看病する人や神に祈りを捧げる人、死体を処理する人、大黒柱を失って食べ物に困る人…そういった疲労に倒れた人の数も加えられることも原因にあるようです。それこそ「踊れば」ペストに罹らない、という噂まであったそう。
「死」と「踊り」をモチーフにした音楽といえばもう一つ、タランテラが思い浮かびますが、タランテラの場合、生きている人間が死ぬまで踊り狂う、というテーマなので、狂気から来る笑いや、恐怖、切迫感があります。それに比べて死の舞踏では、踊る者は既に皆死んでいます。鑑賞者に与える不気味さとは関係なく、踊る者には恐怖らしい恐怖がありません。単に朝が来れば各々、元いた墓場に戻るだけです。そういう事情が、こういった音楽にどことなく漂う呑気さや優雅さみたいなものの表現に繋がるのかも知れません。
CCSS①■ Saint-Saens: Odelette op.162 -- サン=サーンス: 叙情小詩 op.162
サン=サーンスは、パリ音楽院の教授にはなっていません。教育的な音楽の作曲に精を出すこともなく、「音楽的な」音楽ばかり作っていたことが、後世の音楽学生たちには演奏が難しかった一因かも知れません。しかしニデルメイエール音楽院で教鞭を取った時には、面白く、意義ある授業をする先生だったようです。
サン=サーンスがワーグナーの影響を受け過ぎる若手を危惧したというお話をしましたが、ちなみにドビュッシーは割と早い段階で脱ワーグナー宣言(?)をしています(しかしその後しばらく、彼の音楽にはやはり継続してワーグナーの影響が見られます)
フランスらしい、また作曲家独自の音楽を模索して足掻く中で、これという道をそれぞれ見つけるのがとても難しかった時代ですが、パリジャンであったサン=サーンスの音楽にはっきりとした哲学が軸として通っていたことは、振り返ってみればフランスにとって幸運であったといえるでしょう。
Today's List■ Gerges Hue: Fantasie -- ジョルジュ・ユー: ファンタジー
ガンダムは、オタク第二世代でした!
そもそもオタクの素養があれば二人とももう少し音楽オタクになっていたはずなので、まあ語ってもこの程度ですが、好きなものは好きだからということで…
さてコンクールもの最後は、東洋とギリシャ神話的な雰囲気を融合させたようなユーの世界でした。この曲だけが有名ということは、フルートの歴史の点から見るとやはり欠かせない重要なものを何か持っているということでしょう。フルートのきらめく音楽を押し出していくここ数週間でお届けした音楽は、演奏者には対してコンクールの役割を担っていながら、聴衆に対して演奏の楽しみ方を教えてくれるようなラインナップだったように思います。アニメも音楽も楽しみ方は色々ですよね。また次回からは別の楽しみ方をきっとご提案できるはず…と信じております!
FRENCH COMPOSERS④■ Ganne: Andante et Scherzo -- ガンヌ: アンダンテとスケルツォ
さてさてタファネルへの捧げ物を続け様にお届けしましたが、この曲は少し毛色が違ったような気がします。
ガンヌのオペラは今ではほとんど上演機会がありませんが、その数の多さから見るに、当時は気軽に観られるものだっただろうと思われます。まだ映像が普及する前の日常的な娯楽であったオペラは、かなり量産されるものでした。「誰もが楽しめる」という種類のものは実はそんなに発展していなくて、そこからはみ出したものが革新的な作品として後世に残り、ジャストフィットしたものが淘汰されていく運命にあります。 しかし現在に残らなかったといって、その時代に人々が最も楽しんでいたものが価値のないものかというと、そんなはずはないですよね。
この曲は運良く生き残ってくれた、誰でも心地よく、程よくドラマを感じられる、ジャストフィット型の一曲であったように思います。
FRENCH COMPOSERS③■ Enesco: Cantabile et Presto -- エネスコ: カンタービレとプレスト
エネスコのピアノ作品で知名度が高いピアノソナタの中で、その録音は同じくルーマニア出身のピアニスト、リパッティのものが一番有名でしょう。なんとエネスコはリパッティの名付け親だったそうです。優しい笑みを浮かべたエネスクと、その顔をちっちゃな幼児のリパッティが見上げている、二人の心温まる写真が今でも残っています。この写真では二人ともそれぞれヴァイオリンを抱えているのですが(エネスコがヴァイオリンを教えていたことは想像に難くない)、やがて格式高いピアニストとなったリパッティと一緒に演奏して残したエネスクのヴァイオリンソナタの録音は端的に言って、すごい名盤です。
優秀なピアニストが側にいるということは、作曲家にとってはもはや資質の一つとも言えるくらい重要なことだと思われますが、側にリパッティがいたことは、エネスク自身がピアノをよく弾けたことを除いても、彼の非常に自然な指運びを促すピアノの譜面の理由の一つでもあったことでしょう。
FRENCH COMPOSERS②■Busser: Prelude et Scherzo op.35 -- ビュッセル: プレリュードとスケルツォ
調べてみると意外と曲数は多く、どれも小曲ではありますが、作品番号だけで見るとビュッセルは100曲ほどは様々な楽器のために曲を書いていました。
コンクール向けに作られたこの作品の方がむしろ特殊な方で、彼の音楽はあまり華やかに振った方ではなく、ロマン派の陰や重みの匂いを漂わせながらも、ふと風向きが変わるようなフランス的な和声感を感じさせる作風です。この曲で言うと、そんな特性はプレリュードの方によく現れています。成熟していく時期とフランス音楽界が加速する時期が重なり、若い頃によく聴いた音楽とうまく調和させていったのでしょう。
101年も生きた人だ…!と思いながらwikipediaを開いてみると、そこにはあどけなさの残る半笑いの青年の写真が表示されます。厳しい髭面を想像していた私たちは拍子抜けして、何故だか笑い転げてしまいました。失礼な話だ…
Today’s List■ 福田洋介: さくらのうた/ 夜桜 -- Yosuke Fukuda: Sakura Song/ YOZAKURA
吹奏楽と聞くとどうしても青春のイメージを持ってしまうのですが、この2曲は大人になるにつれ覚えていく感情が込められているようです。 重なっていく時間を感じさせる音楽の中に、ときめきとも焦燥感とも思える何かが迫ってくる時、ああこれが春だと感じます。
桜が咲く期間は本当に短く、桜を見ようと思う間もなく春真っ盛りを迎えてしまう大人の方は珍しくないのではと思います。それでもこんな曲を耳にすると、忙しい日々の中にふと、ぽっかりと、桜吹雪の舞う空間が生まれることでしょう。
しかしやはり、今回のレコーディングは青春でした。約10時間部活少女のようになった私たちは、録り終えるやいなや疲労困憊でお互いを労うこともなく、スンッ…と解散しました。どんな時代も青春は桜咲く日々よりも短いものなのでした。
FRENCH COMPOSERS①■ Taffanel: Andante Pastlal et Scherzettino -- タファネル: アンダンテ パストラールとスケルツェッティーノ
というわけで、タファネルの音楽人生は非常に大局的でした。フランス楽壇の中心であったパリ音楽院管弦楽団、オペラ座管弦楽団両方の首席奏者を務めた後に、この二つとものオーケストラの指揮者も務めました。今ではフルーティストがオーケストラを指導する立場に就くことはあまりありませんが、彼の活動の歴史を辿ると、その仕事を全うしたことは自然な流れのように思えます。
まだまだ「新しい」楽器であったフルートを多用する作曲家たちの、フランス音楽が盛り上がってくる時代において、タファネルの存在は大変重要なものだったでしょう。
Today's List■ Sancan: Sonatine pour flute et piano -- サンカン: フルートとピアノのためのソナチネ
お話した通り、この曲は1,2楽章間と2,3楽章間(そもそもこれらを「楽章」と呼ぶのかは定かでありませんが)が、それぞれピアノとフルートのカデンツによって繋がっています。カデンツというと元を辿れば協奏曲で使われていたもので、演奏者の即興的な要素が色濃く、それがテーマに収束されていく様子が鮮やかなものです。そんな技法がこの小さなソナチネという曲の中でも使われています。
即興-テーマは大きな揺り戻しのようなものですが、フランス音楽において「揺れ」は重要な表現のうちの一つです。ドビュッシーが大々的に用いた、連続するテクスチャーの交代とでも言えるような手法は、揺れないテンポの中で揺れを再現できる発明だったと言えるでしょう。フランスの作曲家たちはその遺伝子を脈々と引き継いでいます。サンカンも例外ではありません。たくさんの小さな揺れが、この曲には詰め込まれています。
それら全てが即興とテーマという揺れに包括されたことによって、形式美の中に身を置きながらも、風や水といった不確かな感触を感じられる一曲となっています。
Today's List■ Telemann : Drei dutzend Klavierfantasien TWV33:27 emoll / Zwolf Fantasien fur flote solo TWV40:2-13 no.1 Adur, no.12 gmoll -- テレマン: チェンバロのための36のファンタジー TWV33 第3巻 第3番/フルートのための12のファンタジー TWV40:2-13 第1番、第12番
フルートのファンタジーにつけられた作品番号40というジャンルは「通奏低音のない室内楽」となっています。このジャンルには旋律楽器のアンサンブル曲なども含まれますが、フルート一本で演奏する作品であっても、室内楽(合奏、重奏)に分類されるというわけです。聞こえないアンサンブルが存在するという、旋律だけを演奏することの難しさが感じ取れますね。
ところでファンタジーという名を聞くと、咄嗟にそのままファンタジックなイメージ(邦題は「幻想曲」となります)を持ってしまうかもしれませんが、内実はいわゆるメルヘンなファンタジーとは少し趣が違います。
では何故そんな名前が使われ始めたのかというと、どうやらルネッサンスの頃には作曲家のアイデアを「神からの啓示」と捉えていたことから来ているようです。私たちが考えるよりもずっと霊的な感覚ですね。日本も西洋も関係なく、科学が発展する前の人の世はかなりスピリチュアルなものでした。またその頃は対位法的な音楽が主軸としてあったので、厳格なその方法論と、盛んだった即興演奏という化学反応がファンタジックであったのかもしれません。
Today's List■ Telemann: Flute Sonata TWV 41:G9 Ⅰ Cantabile/ Ⅱ Allegro/ Ⅲ Affettuoso/ Ⅳ Allegro -- テレマン: フルートソナタ TWV 41:G9 Ⅰ 歌うように/ Ⅱ アレグロ/ Ⅲ 愛情深く/ Ⅳアレグロ
ハンブルグは、港湾都市というそうです。海に面していませんが、海に続く川に沿って栄えていました。交易が盛んだと文化も方々から集まってきやすく、40歳からハンブルグに腰を落ち着けたテレマンも、異国の文化や音楽に触れる機会が多かったのではないでしょうか。
さてテレマンが自ら刊行した雑誌「忠実な音楽の師」は隔週で出版していたらしいのですが、その中にはテレマン自身の新曲や他の作曲家たちの曲なども載せられた、購入を続けると長大な曲集になるというものだったそうです。そりゃあ、みんな買いますよね。さすがの商売上手です。
また、在庫リスクを避けるため、楽譜を出版する際には予約制を取り入れたことも有名です。画期的だし、強気。抜け目のなさに感心しますが、一方で『食卓の音楽』の予約客リストの中にはヘンデルの名前があったそうです。20歳の時に出会った年下のヘンデルは、その頃すでに名の売れた作曲家でした。テレマンがこれを出版したのは46歳の時。無名時代から26年も続いた友情を示すかのような予約名です。なんとまあ、ほっこりするエピソードでしょう…
※金井のPC設定ミスにより、竹森の声だけが非常に神秘的な響きになっております。聞きづらくなってしまったこと、ご容赦ください。申し訳ありません。
Today's List■ Francois Couperin: Pieces de Clavecin - 3eme Ordre "L'Espagnolette"/15eme Ordre "La Douce et Piquante"/ 2eme Ordre "Canaries", "Double des Canaries"/ 13eme Ordre "Les Rozeaux"/ 14eme Ordre "Le Roissignol en amour", "Double du Roissignol" -- フランソワ・クープラン: クラヴサン曲集 より 第3オルドル "スペインの娘"/ 第15オルドル "温和と辛辣"/ 第2オルドル " カナリ"、"カナリのドゥーブル" / 第13オルドル"葦"/ 第14オルドル"恋のうぐいす"、 "うぐいすのドゥーブル"
クープランの家は、代々サン・ジェルヴェ教会のオルガニストを務めていました。この教会はパリのマレ地区にあります。そして若くして仕えた太陽王、ルイ14世はあのヴェルサイユ宮殿を建てました。クープランがいかにフランスの中心地で生活していたのかがよくわかりますね。非常にニヒルな感性、人や生活の裏側を暴くような攻撃性を備えながらも、その音楽からはずっとある種の余裕を感じ続けさせられる、というのはこうした独特の絢爛と長閑が同居していた時代背景からくるものではないでしょうか。
第21オルドルには、自身の名を冠した"クープラン"という曲があります。自画像のようなこの曲はけして底抜けに「明るく」はありません。彼が何を思ってこの時代を生きていたのか、もしかしたら音楽ともども糖衣していたのか、誰にもわかりません。




