#95 派手な方といえばこれ!「死の舞踏」サン=サーンス②
Update: 2023-06-07
Description
CCSS②■ Saint-Saens "Danse Macabre" op.40 -- サン=サーンス "死の舞踏" op.40
美術的モチーフとして人気だった『死の舞踏』を描いた絵画がどれもポップに見えるのは、単純にガイコツというビジュアルにちょっとひょうきんな印象があるからかも知れませんね。ヨーロッパにおけるガイコツは幽霊みたいなものだそうです。
ペストが流行った頃、死者がおびただしい数に上ったのは、ペストそのものに罹った人に加えて、看病する人や神に祈りを捧げる人、死体を処理する人、大黒柱を失って食べ物に困る人…そういった疲労に倒れた人の数も加えられることも原因にあるようです。それこそ「踊れば」ペストに罹らない、という噂まであったそう。
「死」と「踊り」をモチーフにした音楽といえばもう一つ、タランテラが思い浮かびますが、タランテラの場合、生きている人間が死ぬまで踊り狂う、というテーマなので、狂気から来る笑いや、恐怖、切迫感があります。それに比べて死の舞踏では、踊る者は既に皆死んでいます。鑑賞者に与える不気味さとは関係なく、踊る者には恐怖らしい恐怖がありません。単に朝が来れば各々、元いた墓場に戻るだけです。そういう事情が、こういった音楽にどことなく漂う呑気さや優雅さみたいなものの表現に繋がるのかも知れません。
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