特別編|自由集会「労務管理と産業保健研究会」2025@徳島
Update: 2025-12-04
Description
先日、徳島で開催しました、自由集会の音源を公開します!直近のセミナーで質問された内容について、取り上げました。
告知
【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】
https://peing.net/ja/takaomethod
【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】
https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210
議論した内容
看護職の復職と合理的配慮の限界
- 能力不足を「特性」や「病気」として扱い、現場が過度な配慮を続けることは、問題の解決にならず本人への指導も難しくなる。
- 早期に業務遂行能力の不足を指摘し、改善が見られなければ休ませることが必要であり、配慮という名の業務免除は避けるべきだ。
職務限定制度・時短勤務と就業制限の混同
- 就業制限(医学的判断)が外れないことを理由に、職務限定制度(人事制度)の適用を迫るのは論理的に誤りである。
- 復職時に育児介護用の時短勤務制度を流用して賃金を減額すると、本人に甘えが生じ、組織全体の生産性を下げる要因となる。
- 体調の問題と人事的な処遇は明確に切り分けて考える必要があり、安易な制度適用は差別と捉えられるリスクがある。
現場上司の役割とラインケアの再定義
- 組織が定めた原職復帰の原則を無視し、現場上司が独自の配慮で裏引きすることは、組織運営上のリスクとなる。
- 上司には部下を休ませる義務と権限を持たせ、具体的な対応シナリオを用意させるなど、役割を明確に定義すべきだ。
再休職判断と復帰基準の明確化
- 「通常勤務」の定義や復帰基準が曖昧なため、労務担当が休職判断を下せず、なし崩し的に勤務が続く問題がある。
- ストップ要件(再療養の基準)を事前に合意形成し、ルールに基づいて淡々と判断できる仕組み作りが重要だ。
人材不足への対応と復職支援の原則
- 人手不足を理由に不完全な状態で復職させることは、結果として本人も組織も疲弊させる。
- 全員を救おうとする曖昧な対応を捨て、ルールベースで対応することが、結果的に多くの従業員を戦力として復帰させることに繋がる。
メンタルヘルス以外の傷病と産業医面談の目的
- 高尾メソッドの考え方は、メンタルヘルスに限らず、身体的な疾患(腰痛、がん等)にも同様に応用可能だ。
- 産業医面談の目的はガス抜きではなく「就業の可否判定」であり、目的不明瞭な面談は形骸化するため避けるべきだ。
リハビリ出勤の運用と公的機関での適用
- 実際の勤務内容と乖離したリハビリ出勤は復職可否の判断材料にはならず、スロースタートを前提とすることは避けるべきだ。
- 人事権が現場にない組織であっても、周囲が連携して働けていない事実を本人に認識させるプロセスは構築できる。
質問について
- メソッドを単なるマニュアルや正解として求めるのではなく、その背後にある原理原則(フィロソフィー)を理解する必要がある。
- リバース・ブレインストーミングなどを用いる際は、組織にとっての最悪のシナリオを前提条件として設定し、本人に想像させることが重要だ。
編集後記
高尾
どうなんでしょうね。耳障りはいいけど解決力のない助言と、ちっとも寄り添ってはくれないけど解決力のある助言。
また、「労務管理の泥濘」。連載原稿にまとめましたので、お楽しみに!人事の労務管理能力が低下したと表現してしまいましたが、20年前と今では求められる労務管理の「解像度」が異なり、緻密な労務管理には、読み上げ文(面接シナリオ)は必須であり、逆に面接シナリオの複数人での添削・共有により、かなり速やかに体制構築できる、というポジティブ表現もできると思いました!
前園
模擬裁判は、法学部や法科大学院で行われるものは、学生がロールプレイをして各当事者の視点と手続きの流れを学ぶものです。しかし今回のような講演で取り扱うとなると、その目的は何なのかから問い直す作業が必要でした。ご参加頂いた方に、少しでもなにかプラスとなっていたのであれば幸いです。
森
現地収録の際は、いつも会場の音響機材に頭を悩ませていたのですが、今回のように有線マイクを1本でもご準備いただける会場であれば、おおむね問題なく収録できるようになりました。
Comments
In Channel














