第87回|ワーク・ライフバランスについて
Update: 2025-11-19
Description
今回はワーク・ライフバランスについて議論しました。
告知
第35回日本産業衛生学会全国協議会
模擬裁判「裁判のソコが知りたい」
- 3人が登壇予定です
- 11月28日(金)16時30分〜18時10分
- あわぎんホール5階大会議室
Podcast公開収録・懇親会
- 11月27日(木)17時30分〜19時(予定)
- とくぎんトモニプラザ 大会議室
- 終了後、19時30分〜懇親会予定です。下記からお申し込みくださいませ。
https://peatix.com/event/4621660/view
【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】
https://peing.net/ja/takaomethod
【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】
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近況報告
- 高尾: 中高の同期会を開催したが、ビュッフェは誰も食べないため、今後は会議室での集まりで十分だと感じた。
- 前園(ゾノ): ソフトバンクホークスが日本一になったが、街中の大規模セールは減少し、失われた30年の後半の変化を反映しているようだ。
- 森: ロードバイクのオンラインフィッティングサービスを受け、元プロ選手の経験に基づく的確な調整から、事例対応における数をこなす重要性を再認識した。
議論した内容
ワークライフバランスの背景と定義
- 高市総裁の働き過ぎを戒める発言が、ワークライフバランスに関する議論を盛り上げるきっかけになった。
- ワークライフバランスの起源は産業革命時代の8時間労働・8時間休息の考え方にあり、その後1970〜80年代にアメリカで女性の社会進出に伴い仕事と家庭の両立が議論された。
- 日本での普及は2007年のワークライフバランス検証が大きな転機となっている。
立場とリスク管理
- 代表取締役など使用者・事業者の立場の者は、自己のワークライフバランスを保護される必要はないだろうが、一方で他者にワークライフバランスを求める際は、使用者側の立場を考慮しないと誤解を招く可能性がある。
- 医師などにおいては、長時間労働が医療ミスや事故を増やす可能性があるため、適切に休んで良いアウトプットを出す必要がある。
- 安全に働くための時間的制限は一定の規制があって良いだろう。自主規制が難しい場合は、労働条件の交渉や規制が必要だ。
労働文化とバケーションの課題
- 外資系企業には、普段は力を抑えて働き、バケーションを十分に取り、必要時に集中して働くメリハリのある働き方があった。
- 日本では常に上司の期待に応えようと頑張る風潮があり、バケーション制度があっても急に長期間の休みを取る日本人は少ない。
- バケーションは1年前から計画し、終了したら次の計画を立てるのが理想だが、こうした文化の浸透が今後の課題である。
健康への影響と科学的根拠
- 長時間労働が健康に及ぼす悪影響について、エビデンスは十分に整っているわけではない。
- 月60時間を超える時間外労働が基準として挙げられるが、科学的根拠は曖昧であり、具体的な研究はまだ不足している。
- 長時間労働の健康リスクは、単純な時間の長さだけでなく、社会的信頼性の維持や社会関係の維持の問題とも深く関係している。
「ライフ」の多様性と産業保健の役割
- ワークライフバランスの「ライフ」は遊び、家事、育児など多様な要素を含み、人によってバランスの取り方が異なる。
- 家事育児に長時間取り組む人が大きなストレスを感じる場合もある。
- 産業保健の領域が関与できるのは、主に労働時間や職場環境のストレス管理に限られる。
- 長時間労働はWHOの有害職場リスクランキングで19番目に位置付けられており重要だが、ストレス対策などはまだ科学的に確立されていない部分が多い。
報酬と社会的な評価の重要性
- 働く環境の改善や労務管理は人事の役割が大きいという認識だ。
- 労働時間問題の背景には、労力と報酬のバランスが崩れている点がある。
- 家事育児のような日常生活の活動も、やりがいや社会的評価を得ながら行えるような環境づくりが重要だ。
- 男性が家事に取り組む際の社会的評価の低さや、育児・家事の貢献についての偏見を見直す必要がある。
- 仕事の楽しさややりがいを感じられれば、ワークが多くても負担に感じにくい。
編集後記
- 高尾
1日8時間の労働は、「労働組合とは何か」(木下武男著,岩波新書)の、アメリカ労働運動の歴史のなかで「労働騎士団」に関する紹介のなかで出てきた、「第一の八時間は仕事のため、第二の八時間は休息のために、そして残りの八時間はおれたちの好きなことのために」という歌を歌った(ボイヤー他、1958)というくだりを引用したものでした。ロバート・オーウェンは1817年ですから、論文の参考文献でいえば、「孫引き」みたいなものでしたね!
これは、よく言及している「労働は商品ではない」について、1944年のフィラデルフィア宣言を引き合いに出す方が多いところ、これは「再確認」であって、1919年のヴェルサイユ条約に尽力したサミュエル・ゴンパースまできちんと知っておくべきということと重なるものでした。 - 前園
仕事の時間を減らし、残った時間で何をするのかというのは、実は現代人にとっての一つの大きな悩みなのではないかという思いがあります。
私も当然、長時間労働については否定派ですが、労働に対して、「経済的対価を得る」という意味を超えて自己実現的な価値を見出している人は、どうやって生きていくのがよいのか。
最近、「仕事は、昔は為事だった」というくだりを、複数の書籍で目にしました。人間が面する多種多様な時間の使い方の中で、働くことに使う時間というのは、わかりやすく生き甲斐に結びつけやすいという側面もあったはずです。
結局は、バランスをどう取るかという問題に収斂していくのかもしれません。 - 森
過重労働も、周囲の同僚と一緒いることができるという点で、良い影響があるのかもしれませんね。人との繋がりについて、もっと意識してみようと思いました。
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