逆境に負けない心「レジリエンス」という力について
Update: 2023-08-29
Description
今日は、逆境に負けない心、「レジリエンス」という力についてお話します。
ITや人工知能などのテクノロジーの進化、グローバル化の進展など、社会環境が大きく変わり続けている中、私たちビジネスパーソンは常に大きなストレスにさらされています。しかし、同じストレス下で働いていても、心が折れる人と折れない人がいます。複雑化する社会環境の変化に適応化する力として近年注目されているのが「レジリエンス」という力です。今日は折れない心を作るためのキーとなる「レジリエンス」についてお話します。
「レジリエンス」とは、回復力・復元力などの自発的な治癒力を表す言葉です。元々は心理学の世界で、「困難や脅威に直面した時に上手く適応できる能力」を意味する言葉として使われてきました。現在では、ビジネスにおいても困難を乗り越える力として非常に注目をされています。
レジリエンスが高くて心が折れない人の特徴を3つご紹介します。
1. 柔軟で多面的な思考力を持ち、目の前の状況に一喜一憂しないという特徴
レジリエンスの高い人は、ある一面から見ると悪いと思えるようなことであっても、あらゆる側面から考えることによってポジティブに解釈し、最適なアクションを見出だします。そのため、目の前の出来事に一喜一憂することなく、感情が常に安定しているという傾向にあります。
2. 周囲との信頼関係を築くことが得意という特徴
レジリエンスが高い人は、柔軟且つ多面的な思考をすることから、周囲から様々な意見を集めることができます。一方的なコミュニケーションではないため、周囲との信頼を上手く構築していきます。その信頼をベースにして、周囲に任せたり頼ったりすることができます。
3. 失敗や困難なことがあっても、チャレンジし続けるという特徴
困難なことがあったり失敗したりすると次の挑戦が怖くなるということは珍しいことではありません。ただし、レジリエンスが高い人は困難や失敗があっても次はどうすれば良いか、他にできることはなかったかなど多面的に捉えて、そこから学び・成長しようとします。
以上のように、レジリエンスが高い人は、どういう逆境があっても多様な角度から捉えて一喜一憂せずにチャレンジし続ける特徴があります。
では、「レジリエンス」は一体どのように高めていったら良いのでしょうか。
レジリエンスの高低には、ある程度の遺伝要素があるとも言われていますが、誰もが多かれ少なかれ内面に持っている特徴でもあり、後天的に高めていくことも可能です。そこで、レジリエンスを高めるための方法を3つご紹介します。
1. 自己効力感を高める
自己効力感とは、困難な出来事に対して、「自分ならできる」と思える認知状態のことを言います。この自己効力感の高め方については、過去の放送で松岡先生が詳しく紹介しているため、是非過去の放送分をご確認ください。
2. 思考パターンを変える
多くの人が自分の思考を変えるのは難しいと思うかもしれませんが、正しいやり方を理解し、実践することで思考を変えることができます。そこで、臨床心理学の博士アルバート・エリスが提唱した「ABCDE理論」という論理療法をご紹介します。
A「Activating Event」:出来事や事実のこと。
B「Belief」 :信念や考え方(価値観・思い込み)のこと
C「Consequence」 :結果や解釈により生じる感情や行動、身体反応のこと
人は、出来事「事実A」に対して、自らが持っている「信念B」によって解釈をします。その結果として、「感情や行動・身体反応C」が引き起こされます。
例えば、「職場で上司に怒られた」という「Activating Event(出来事)」がありました。その時の「Belief(考え方)」として、「上司の期待に応えることができず、仕事ができないと思われてしまったに違いない」と捉えてしまうと、「Consequence(結果)」からくる感情としては、「自分は何をやっても上手くいかない」となります。しかし、こうした時こそ「ABCDE理論」で考えてみてください。
上司の期待に応えることができず、「仕事ができないと思われてしまったに違いない」という「Belief」は果たして正しいのでしょうか。
D「Dispute」 :反論のこと
「反論D」を加えてみます。上司に怒られたという「Activating Event(出来事)」に対して、「上司は期待してくれているからこそ指摘をしてくれたのだ」というように新たな捉え方をしてみると、今回の指摘を反省点にして次回同じようなミスをしないようにしようという「Consequence(結果)」からくる感情を変化させることができます。
E「Effect」 :効果のこと
「反論D」により、自分自身の「Belief(考え方)」を修正したことで「Effect(効果)」が変えられることから、『ABCDE理論』と言われています。出来事に対する自分自身の捉え方や解釈を変えることで、出来事に対する意味を変えていくということです。「A」という出来事や事実は変えられなくても、「B」という自分の信念に「D」反論を加えてみて、好ましい捉え方・解釈をすることで思考パターンを変えることができます。『ABCDE理論』を日常の中で取り入れてみると、「レジリエンス」が高まり、物事を多面的に捉えてポジティブに解釈できるようになります。
3. 周囲との繋がりを持ちサポートを得る
まずは自ら周りをサポートすることで周囲からの信頼を築いておくことが大事です。多くの人は、人から何かをしてもらったら何かお返しをしてあげたいと「返報性の原理」が働くものです。なにより一人でできることには限界があります。周囲と協力することによって複雑で困難な問題にもチャレンジすることができるようになります。
では、今日のまとめです。
今日は「レジリエンス」についてビジネスに求められる背景や、レジリエンスが高い人の特徴・高める方法をお話しました。時代の変化が激しい中、私たちビジネスパーソンには困難や逆境が今後もたくさん訪れるはずです。そんな時でも心折れることなくチャレンジを続けていきたいと思います。今、苦しいことを経験している方は、それはきっといつか誰かを助けることになるのではないかと思います。レジリエンスを高め、変化の激しい時代を生き抜いていきましょう。
ITや人工知能などのテクノロジーの進化、グローバル化の進展など、社会環境が大きく変わり続けている中、私たちビジネスパーソンは常に大きなストレスにさらされています。しかし、同じストレス下で働いていても、心が折れる人と折れない人がいます。複雑化する社会環境の変化に適応化する力として近年注目されているのが「レジリエンス」という力です。今日は折れない心を作るためのキーとなる「レジリエンス」についてお話します。
「レジリエンス」とは、回復力・復元力などの自発的な治癒力を表す言葉です。元々は心理学の世界で、「困難や脅威に直面した時に上手く適応できる能力」を意味する言葉として使われてきました。現在では、ビジネスにおいても困難を乗り越える力として非常に注目をされています。
レジリエンスが高くて心が折れない人の特徴を3つご紹介します。
1. 柔軟で多面的な思考力を持ち、目の前の状況に一喜一憂しないという特徴
レジリエンスの高い人は、ある一面から見ると悪いと思えるようなことであっても、あらゆる側面から考えることによってポジティブに解釈し、最適なアクションを見出だします。そのため、目の前の出来事に一喜一憂することなく、感情が常に安定しているという傾向にあります。
2. 周囲との信頼関係を築くことが得意という特徴
レジリエンスが高い人は、柔軟且つ多面的な思考をすることから、周囲から様々な意見を集めることができます。一方的なコミュニケーションではないため、周囲との信頼を上手く構築していきます。その信頼をベースにして、周囲に任せたり頼ったりすることができます。
3. 失敗や困難なことがあっても、チャレンジし続けるという特徴
困難なことがあったり失敗したりすると次の挑戦が怖くなるということは珍しいことではありません。ただし、レジリエンスが高い人は困難や失敗があっても次はどうすれば良いか、他にできることはなかったかなど多面的に捉えて、そこから学び・成長しようとします。
以上のように、レジリエンスが高い人は、どういう逆境があっても多様な角度から捉えて一喜一憂せずにチャレンジし続ける特徴があります。
では、「レジリエンス」は一体どのように高めていったら良いのでしょうか。
レジリエンスの高低には、ある程度の遺伝要素があるとも言われていますが、誰もが多かれ少なかれ内面に持っている特徴でもあり、後天的に高めていくことも可能です。そこで、レジリエンスを高めるための方法を3つご紹介します。
1. 自己効力感を高める
自己効力感とは、困難な出来事に対して、「自分ならできる」と思える認知状態のことを言います。この自己効力感の高め方については、過去の放送で松岡先生が詳しく紹介しているため、是非過去の放送分をご確認ください。
2. 思考パターンを変える
多くの人が自分の思考を変えるのは難しいと思うかもしれませんが、正しいやり方を理解し、実践することで思考を変えることができます。そこで、臨床心理学の博士アルバート・エリスが提唱した「ABCDE理論」という論理療法をご紹介します。
A「Activating Event」:出来事や事実のこと。
B「Belief」 :信念や考え方(価値観・思い込み)のこと
C「Consequence」 :結果や解釈により生じる感情や行動、身体反応のこと
人は、出来事「事実A」に対して、自らが持っている「信念B」によって解釈をします。その結果として、「感情や行動・身体反応C」が引き起こされます。
例えば、「職場で上司に怒られた」という「Activating Event(出来事)」がありました。その時の「Belief(考え方)」として、「上司の期待に応えることができず、仕事ができないと思われてしまったに違いない」と捉えてしまうと、「Consequence(結果)」からくる感情としては、「自分は何をやっても上手くいかない」となります。しかし、こうした時こそ「ABCDE理論」で考えてみてください。
上司の期待に応えることができず、「仕事ができないと思われてしまったに違いない」という「Belief」は果たして正しいのでしょうか。
D「Dispute」 :反論のこと
「反論D」を加えてみます。上司に怒られたという「Activating Event(出来事)」に対して、「上司は期待してくれているからこそ指摘をしてくれたのだ」というように新たな捉え方をしてみると、今回の指摘を反省点にして次回同じようなミスをしないようにしようという「Consequence(結果)」からくる感情を変化させることができます。
E「Effect」 :効果のこと
「反論D」により、自分自身の「Belief(考え方)」を修正したことで「Effect(効果)」が変えられることから、『ABCDE理論』と言われています。出来事に対する自分自身の捉え方や解釈を変えることで、出来事に対する意味を変えていくということです。「A」という出来事や事実は変えられなくても、「B」という自分の信念に「D」反論を加えてみて、好ましい捉え方・解釈をすることで思考パターンを変えることができます。『ABCDE理論』を日常の中で取り入れてみると、「レジリエンス」が高まり、物事を多面的に捉えてポジティブに解釈できるようになります。
3. 周囲との繋がりを持ちサポートを得る
まずは自ら周りをサポートすることで周囲からの信頼を築いておくことが大事です。多くの人は、人から何かをしてもらったら何かお返しをしてあげたいと「返報性の原理」が働くものです。なにより一人でできることには限界があります。周囲と協力することによって複雑で困難な問題にもチャレンジすることができるようになります。
では、今日のまとめです。
今日は「レジリエンス」についてビジネスに求められる背景や、レジリエンスが高い人の特徴・高める方法をお話しました。時代の変化が激しい中、私たちビジネスパーソンには困難や逆境が今後もたくさん訪れるはずです。そんな時でも心折れることなくチャレンジを続けていきたいと思います。今、苦しいことを経験している方は、それはきっといつか誰かを助けることになるのではないかと思います。レジリエンスを高め、変化の激しい時代を生き抜いていきましょう。
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