アジアとヨーロッパの文化差と消費行動
Update: 2023-08-24
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今日はアジアとヨーロッパの文化差と、それによってもたらされる消費行動に違いについて話します。古典的でかつ今も頻繁に研究で参照されているものとしては、マーカスと北山という2人の共同研究があります。この2人の1991年の論文で東洋と西洋の心理的、あるいは文化的な違いについて研究がされています。東洋と西洋、どういった点が最も際立って異なっていると思いますか。
東洋と西洋で異なっているのは自分自身の捉え方です。西洋文化では、専門用語で相互独立的自己観と言う、自分とそれ以外の組織や社会とはそれぞれあくまで別々のものだという考え方が中心とされています。周囲との関係でもまず自分自身の考え方や、あるいは自分なりの意見を表すという事が重視されています。それに対して東洋文化では、相互協調的自己観と言い、自分と自分に関わる組織や社会はお互いに切り離せない、結びつきの強いものだという考え方が中心です。つまり自分の考えも大事ですが、それに加えて周囲との協調性や調和を重視する考え方が非常に強いということです。実を言うと、こういった自分と社会との関わり方の考え方の違い、捉え方の違いが大きな消費行動の違いを生んでいると考えられています。
ハンとシャビットという2人の研究者の韓国人とアメリカ人の広告への反応の違いを調べた共同研究があるので紹介をします。この研究では色々な商品やサービスの広告をアメリカ人と韓国人に提示して、自己観の違いがどのような広告への反応の違いを生むかという事について調べました。その結果、アメリカ人は自分自身を表現する事を強調するような広告、例えば自分らしくだとか、化粧品だと自分らしい肌にという、そういったキャッチフレーズに非常にポジティブに反応する傾向がありました。反対に韓国人は、自分に加えて自分が所属するものの利益になるという事を強調する広告に非常にポジティブに反応する傾向が見られました。例えば、家族と喜びを分かち合おう、ビジネスパートナーとの本当の友好関係を築いていきましょうといったメッセージです。
もう1つ、意外な東洋と西洋の違いについても紹介します。ジャックとブレーズという人達の5人の研究者による調査で、日本人、中国人といった東アジアの人とドイツ、イギリスといった西ヨーロッパの人とでは、相手の表情を読み取るための手がかりが大きく異なっていました。それは目と口です。まず、ドイツとイギリス人は、顔の表情を読み取るのに主に口の動きに注目していました。口が笑っていると、この人は笑っていると判断しました。それに対して中国人と日本人は、目に注目して相手の表情を判断していました。北海道大学の結城先生は、日本人とアメリカ人を対象にして同様の研究をしています。その中では、日本人は目が笑っていれば口が笑ってなくても笑顔だと判断しました。それに対してアメリカ人は、口が笑っていれば目が笑ってなくても笑顔だという判断する傾向があったようです。
例えばアメリカのキャラクター、マーベルシリーズみたいなそういったキャラクターは、顔はマスクしていても口は隠れずに見えるようにしている場合が多いです。ですが、日本だと忍者や、あるいはアニメのキャラクターでも口元をマスクして隠しているキャラクターも多いです。これは東洋と西洋の顔の表情を読む時に、どのパーツを使うのかという違いからきたものだという事も言えます。
アジアでは化粧品は目元を際立たせてくれるというものがすごく人気ですが、ヨーロッパと北米では、それほどでもないです。これはこの東洋と西洋の表情の読み取り方の違い、これをマーケティングに活かす一つの例だと言えます。どうしてアジアでは、目元で表情を判断しようとするようになったのでしょうか。
あくまで沢山ある研究の中で主張されている説ではありますが、自己主張するという事がポジティブに評価される文化と、自己主張より周囲との調和を図るという事が推奨されている文化との違いが関係していると言われています。目は口に比べて嘘がつきにくいパーツだそうです。目の周囲の筋肉は意図的なコントロールが難しいとされています。心からの笑顔と作り笑顔はこの筋肉の動きに大きな違いが表れるそうです。反対に口は口角を上げれば、多少無理やりにでも笑顔に出来ます。周囲との調和を図るような文化圏ですと、本心をあまりオープンにしないという事もあります。そのため、コントロールの難しい目に注目するという事で、相手の本心を探ろうというそういった性質が備わったと考えられています。
今日のまとめです。今回はアジアとヨーロッパの文化差とそれによってもたらされる消費行動の違いについて、自己観の違いを切口に話しました。こういった文化差の違いを考えながら広告やその他のマーケティングを考えていく必要性があります。
東洋と西洋で異なっているのは自分自身の捉え方です。西洋文化では、専門用語で相互独立的自己観と言う、自分とそれ以外の組織や社会とはそれぞれあくまで別々のものだという考え方が中心とされています。周囲との関係でもまず自分自身の考え方や、あるいは自分なりの意見を表すという事が重視されています。それに対して東洋文化では、相互協調的自己観と言い、自分と自分に関わる組織や社会はお互いに切り離せない、結びつきの強いものだという考え方が中心です。つまり自分の考えも大事ですが、それに加えて周囲との協調性や調和を重視する考え方が非常に強いということです。実を言うと、こういった自分と社会との関わり方の考え方の違い、捉え方の違いが大きな消費行動の違いを生んでいると考えられています。
ハンとシャビットという2人の研究者の韓国人とアメリカ人の広告への反応の違いを調べた共同研究があるので紹介をします。この研究では色々な商品やサービスの広告をアメリカ人と韓国人に提示して、自己観の違いがどのような広告への反応の違いを生むかという事について調べました。その結果、アメリカ人は自分自身を表現する事を強調するような広告、例えば自分らしくだとか、化粧品だと自分らしい肌にという、そういったキャッチフレーズに非常にポジティブに反応する傾向がありました。反対に韓国人は、自分に加えて自分が所属するものの利益になるという事を強調する広告に非常にポジティブに反応する傾向が見られました。例えば、家族と喜びを分かち合おう、ビジネスパートナーとの本当の友好関係を築いていきましょうといったメッセージです。
もう1つ、意外な東洋と西洋の違いについても紹介します。ジャックとブレーズという人達の5人の研究者による調査で、日本人、中国人といった東アジアの人とドイツ、イギリスといった西ヨーロッパの人とでは、相手の表情を読み取るための手がかりが大きく異なっていました。それは目と口です。まず、ドイツとイギリス人は、顔の表情を読み取るのに主に口の動きに注目していました。口が笑っていると、この人は笑っていると判断しました。それに対して中国人と日本人は、目に注目して相手の表情を判断していました。北海道大学の結城先生は、日本人とアメリカ人を対象にして同様の研究をしています。その中では、日本人は目が笑っていれば口が笑ってなくても笑顔だと判断しました。それに対してアメリカ人は、口が笑っていれば目が笑ってなくても笑顔だという判断する傾向があったようです。
例えばアメリカのキャラクター、マーベルシリーズみたいなそういったキャラクターは、顔はマスクしていても口は隠れずに見えるようにしている場合が多いです。ですが、日本だと忍者や、あるいはアニメのキャラクターでも口元をマスクして隠しているキャラクターも多いです。これは東洋と西洋の顔の表情を読む時に、どのパーツを使うのかという違いからきたものだという事も言えます。
アジアでは化粧品は目元を際立たせてくれるというものがすごく人気ですが、ヨーロッパと北米では、それほどでもないです。これはこの東洋と西洋の表情の読み取り方の違い、これをマーケティングに活かす一つの例だと言えます。どうしてアジアでは、目元で表情を判断しようとするようになったのでしょうか。
あくまで沢山ある研究の中で主張されている説ではありますが、自己主張するという事がポジティブに評価される文化と、自己主張より周囲との調和を図るという事が推奨されている文化との違いが関係していると言われています。目は口に比べて嘘がつきにくいパーツだそうです。目の周囲の筋肉は意図的なコントロールが難しいとされています。心からの笑顔と作り笑顔はこの筋肉の動きに大きな違いが表れるそうです。反対に口は口角を上げれば、多少無理やりにでも笑顔に出来ます。周囲との調和を図るような文化圏ですと、本心をあまりオープンにしないという事もあります。そのため、コントロールの難しい目に注目するという事で、相手の本心を探ろうというそういった性質が備わったと考えられています。
今日のまとめです。今回はアジアとヨーロッパの文化差とそれによってもたらされる消費行動の違いについて、自己観の違いを切口に話しました。こういった文化差の違いを考えながら広告やその他のマーケティングを考えていく必要性があります。
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