Ep.751 ZTE×ByteDanceの異色タッグ──AI「Doubao」がOSを乗っ取る? 次世代スマホの実験場(2025年12月11日配信)
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本日は2025年12月6日、土曜日です。今週、スマートフォンの世界に少し変わったニュースが飛び込んできました。中国のZTEが展開するブランド「nubia」から、非常にユニークな限定モデル「nubia M153」が発表されたのです。
提示された情報によると、この端末の最大の特徴は、ハードウェアのスペックではありません。もちろん、心臓部には最新の「Snapdragon 8 Elite」を搭載し、メモリ16GB、ストレージ512GBという、現行最高峰のモンスターマシンではあるのですが、真の注目点はその「中身」にあります。なんと、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)の人気AI「Doubao(ドゥバオ)」が、OSレベルで統合されているのです。
通常、私たちがスマホでChatGPTやGeminiを使うときは、アプリを開いて質問をしますよね。しかし、この「nubia M153」におけるDoubaoは違います。OSの深い部分に組み込まれているため、例えば画面上のあらゆる情報を認識して提案を行ったり、複数のアプリをまたいで複雑な操作を代行したりといった、従来の「AIアシスタント」を超えた振る舞いが可能になると見られています。製品名に「Technical Preview(技術プレビュー版)」とある通り、これは一般向けの量産機というよりは、開発者やギークに向けた「未来のスマホ体験」の実験機と言えるでしょう。
競合他社を見渡すと、GoogleのPixelやSamsungのGalaxyもAI機能の統合を進めていますが、今回のような「SNSの巨人がハードウェアメーカーと組んで、OSごとその世界観に染め上げる」というアプローチは非常に珍しいものです。価格も3499元(日本円で約7万7000円)と、Snapdragon 8 Elite搭載機としては破格の設定になっており、ByteDanceがいかにこの「AI×ハードウェア」の実験に本気であるかが伺えます。
もしこの実験が成功すれば、将来的には「どのメーカーのスマホを買うか」だけでなく、「どのAIが載ったスマホを買うか」で機種を選ぶ時代が来るかもしれません。TikTokで世界を席巻したByteDanceが、今度はスマホの使い勝手そのものを再発明しようとしている──そんな野心的な一台です。




