Discover名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストEp.757 中国政府、「バッテリー価格戦争」に強制介入──“内巻き”終了で笑うのは誰だ?(2025年12月11日配信)
Ep.757 中国政府、「バッテリー価格戦争」に強制介入──“内巻き”終了で笑うのは誰だ?(2025年12月11日配信)

Ep.757 中国政府、「バッテリー価格戦争」に強制介入──“内巻き”終了で笑うのは誰だ?(2025年12月11日配信)

Update: 2025-12-10
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本日は2025年12月8日、月曜日です。EV(電気自動車)市場の心臓部であるバッテリー業界で、中国政府がついに「待った」をかけました。The Informationの記事や現地報道を統合すると、中国政府は長らく続いてきた過酷な「バッテリー価格戦争」に対し、強力な取り締まり(Crackdown)を開始した模様です。


これまで中国のバッテリー業界は、まさに「戦国時代」でした。地方政府の補助金を背景に工場が乱立し、需要を遥かに上回る生産能力(オーバーキャパシティ)を抱えたメーカーたちが、生き残りをかけて採算度外視の安売り合戦、いわゆる「Involution(内巻き)」を繰り広げてきました。しかし、この消耗戦は企業の体力を奪い、品質低下や安全性の懸念すら招いていました。


そこで動いたのがMIIT(中国工業情報化部)です。政府は「単なる安売りは許さない」という姿勢を鮮明にし、技術基準の厳格化や、質の低いリチウム採掘プロジェクトへの規制強化に乗り出しました。実際、世界最大のバッテリーメーカーであるCATLが保有する一部のリチウム鉱山でさえ、環境基準や戦略物資管理の観点から操業停止を命じられるなど、その本気度が窺えます。


では、この規制強化で誰が勝ち、誰が負けるのでしょうか? 結論から言えば、「勝者」はCATLやBYDといったトップ企業です。彼らは既に高い技術力と圧倒的な規模を持っており、政府が求める厳しい基準をクリアできます。むしろ、安値攻勢でシェアを奪おうとしていた「うるさいハエ」のような中小ライバルたちが淘汰されることで、彼らの市場支配力はより強固なものになるでしょう。記事では、これを「サバイバル・オブ・ザ・チーペスト(安さ競争)」から「クオリティ・グロース(質の高い成長)」への転換と表現しています。


一方で**「敗者」は、技術力が低く、安さだけを武器にしていた中小メーカー**たちです。彼らは梯子を外された形となり、今後は倒産や吸収合併の嵐に見舞われるでしょう。


我々IT業界の視点で見ると、これは単なる「中国国内の話」では済みません。中国発のバッテリー価格下落が止まれば、世界のEV価格競争にも底打ち感が出る可能性があります。また、生き残った中国の巨人がより筋肉質な体質になって海外市場へ攻め込んでくることも予想されます。航空宇宙業界でも電動航空機への応用が期待されるバッテリー技術ですが、そのサプライチェーンの覇権争いは、新しいフェーズに入ったと言えるでしょう。

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ikuo suzuki