Discoverヒダテン!ボイスドラマボイスドラマ「美女と天狗〜奥飛騨温泉郷・上宝の平湯温泉にある天狗橋と天狗岩の伝説?」
ボイスドラマ「美女と天狗〜奥飛騨温泉郷・上宝の平湯温泉にある天狗橋と天狗岩の伝説?」

ボイスドラマ「美女と天狗〜奥飛騨温泉郷・上宝の平湯温泉にある天狗橋と天狗岩の伝説?」

Update: 2025-09-18
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Description

愛は呪いを解く鍵となるのか。

奥飛騨の伝承「天狗岩」と「天狗橋」をモチーフに描かれる、幻想的で切なくも温かい“嫁入り譚”。

親を亡くし、絶望の中で人柱となった少女・箏と、山の神の怒りによって姿を変えられた大天狗。二人の出会いは、呪いと運命を変える大きな転機となる──。

現代の高校生・マコトとストーリーテラー・シズルの会話を通じて語られる、どこか懐かしくて、新しいファンタジー。終盤に訪れる“静かな奇跡”に、あなたもきっと心を奪われることでしょう。

【ペルソナ】

・シズル(35歳)=道の駅 奥飛騨温泉郷上宝のストーリーテラー(CV=日比野正裕)

・マコト(17歳)=高根町の高校生。郷土史研究部=部員1名の部長(CV=山﨑るい)

・箏(こと=17歳)=伝承の中で天狗に嫁入りする美女(CV=山﨑るい)

・天狗(年齢不詳=35歳)=奥飛騨温泉郷上宝に住む天狗=もののけ(CV=日比野正裕)

【参照:天狗岩/奥飛騨温泉観光協会】

https://www.hirayuonsen.or.jp/article.php?id=10170

<プロローグ/道の駅  奥飛騨温泉郷上宝>

◾️SE/奥飛騨温泉郷の環境音

「むかぁし、むかし。

君が生まれるより、ずう〜っとずっとずっとむかし。

この奥飛騨温泉郷・上宝には天狗が住んでいました」

「(ゴクッ)」※唾を飲み込む音

「天狗って知ってるかい?」

「うん。知ってるよ。

顔が赤くて、鼻がこ〜んなに長い妖怪でしょ」

「妖怪?

まあ、間違ってはいないけど・・」

「妖怪じゃないの?」

「妖怪、っていうよりも

どっちかって言うと、神様に近いかな」

「神様!?だから神隠しとかするんだ」

「ああ〜。そうかもね。

でもほら、京都の鞍馬寺とか栃木の古峯神社(こぶじんじゃ)とかは有名でしょ」

「ふうん。知らないけど」

「『天狗』って、元々は中国から伝わった言葉なんだよ。

天(あま)かける狗(いぬ)と書いて、隕石や流れ星のことだったんだ」

「すご〜い!シズルさん物知り〜」

「大人をばかにするんじゃないの。

今日はね、『天狗の嫁入り』というお話だよ」

「やった!」

道の駅 奥飛騨温泉郷・上宝で毎月1回開催される「昔話の読み聞かせ」。

奥飛騨温泉郷・上宝の施設が持ち回りで担当している。

今月は、新穂高温泉の、うちの施設がストーリーテラー。

で、私が、読み聞かせするってわけ。

まあ、昔、仕事でよくプレゼンをしてたから、

人前でしゃべる、ってのは嫌いじゃないんだけど。

今日は初日で平日だから、第一部のお客さんはたった1人。

高根村から来た17歳の高校生マコトくん。

なんでも、郷土史研究部の部長なんだって。

部員は一人だけど?

そうですか〜。

今日の話、実は私の創作、フィクションなんだ。

平湯温泉にある、天狗岩や天狗橋にインスパイアされて作った物語。

ほら、さっきもマコトくんが言ってたじゃない。

天狗って妖怪だって。

神隠しとか、あまりいいイメージじゃないよね。

私が天邪鬼だから、ってわけじゃないけど、

ストーリーはそんなイメージを払拭するもの。

なんとファンタジー作品なんですが・・

「ちょっとシズルさん。早く続き、教えてよ」

「ああ、ごめんごめん。じゃあ続きね」

<『天狗の嫁入り』シーン1/人柱>

◾️SE/村の雑踏

「その村には20年前から天狗が住んでいました。

天狗に対して村人たちが一番恐れるのは、神隠し。

今まで何度も子供や娘が天狗にさらわれていたのです。

そのため、毎年1回、秋祭りのときに、天狗に人柱をひとり捧げていました。

人柱となるのは、村の最高齢の老人。

娘や子供の格好をして、人柱になっていたのです。

ところが今年、人柱になるのは、17歳の少女、箏(こと)。

この春、箏の両親は山崩れに巻き込まれて命を落としました。

それから箏は天涯孤独に。

自暴自棄となり人柱として名乗り出ました。

村人たちは箏を一生懸命説得しますが、無駄でした。

箏は、人柱として慣例通り天狗橋を渡り、天狗岩へ登っていきます。

岩の上に寝転ぶと、目を閉じました。

<『天狗の嫁入り』シーン2/箏と天狗>

◾️SE/深い山中のイメージ

横になった箏を包み込むように、いきなり風が吹きました。

目をあけると、そこは空の上。

天狗岩は笠ヶ岳の雲の上に浮かんでいました。

「なにこれ?」

そのときまた強い風が吹いて箏を吹き飛ばします。

「きゃあ〜!」

あまりの衝撃に、箏は気を失いました。

それからどのくらいの時間が経ったのでしょう。

どこかから声が聞こえてきます。

「ふん。情けない」

「え?」

驚いて目を開けると、そこには今までみたこともない怪物が。

身の丈は二間(にけん)近くあり、

赤い顔。天まで届きそうな長い鼻。

あ、二間というのはだいたい3〜4メートルくらいね。

「うわぁ!」

「またかよ」

3回目に気づいたとき、箏は布団の上に寝かされていました。

「ここは・・・どこ?」

「天界です」

「え?えっ!あなただれ?透明人間?どこにいるの?」

「目の前にいますよ。

姿を見せてもいいけど、また気絶しないでくださいね」

そういって姿を現したのは、何人、いえ何羽ものカラス天狗。

山伏の姿にカラスの嘴を持つ天狗の眷属です。

「うっ。気絶したい・・・けど、なんなの?一体」

「私たちは大天狗の眷属。カラス天狗です」

「私は・・・どうなるの?」

「まあ、大天狗の召使、ってところでしょうか」

「なにそれ?冗談じゃない。召使?掃除とか洗濯とかするの?

私、ひとりぼっちになって、一人で炊事洗濯するのが虚しくて、

こんな生活もういや!

って思って、黄泉の国へ行くつもりだったのに」

「そんなこと言われましても、あなた自身で選んだことですし」

「あんたはなんでそんな姿をしているの?」

「なんで、って言われましても。山の神様の罰というか、なんというか」

「山の神様?」

「はい。大天狗も我らカラス天狗も山の神さまの罰でこんな姿になりまして」

「めんどくさそう」

「とにかく、あなたも運命だと思ってお仕事に専念してください」

「やあよ。つまんないから帰る」

「え?え?そんな。無理ですって」

「いいわ、その大天狗にかけあってみるから」

「また、そんな、ご無体な」

なんていうやりとりをしていると、

山の上の空が一転俄かにかき曇り、あたり一面が夜の闇に。

「ちょっと。なにすんのよ」

「いや、これは私どもではありません」

「じゃあ大天狗の仕業?」

「いえ。大天狗でもありません」

「じゃあなに?」

「荒ぶる山の神。鬼神です」

「鬼神〜?私たちどうなるの?」

「体をバラバラにされますね」

「うっそぉ!冗談じゃないわ」

「運がよければ、腕の1本2本くらいで済むかも」

「勘弁してよ」

「いや、もう遅いし。

うわ!お先に失礼」

「ちょっとちょっと!逃げないでよ」

「がんばってください」

「このお・・・

はあ〜。ま、いっか。

これでこの世とおさらばできるんなら。

なんか、つまんない人生だったな」

箏があきらめて、目を瞑ったとき。

雲の中から大天狗が現れます。

「大天狗・・・」

天狗は鬼神に向かって立ちはだかったあと、箏の方を振り返りました。

「あ・・・」

大きな2本の腕で箏を包み込み、鬼神の攻撃を背中で受けます。

背中からは血飛沫が飛び散り、苦悶の表情。

それでも、微動だにしません。

「なんか・・そんなに怖い顔じゃない・・・かも・・」

まるでバリアーのように天狗の周りの空気が歪んで見えます。

知らず知らず、でもまたもや、箏は気を失っていました。

気がついたのは、だいぶんあとになった頃。

「あ・・・れ?」

箏は今回も布団に寝かされていました。

ただ、ひとつ違ったのは、目の前で大天狗がこちらを向いて座っていること。

でも、目は開いていません。

あぐらを組み、大きな体躯から覗き込むような格好で目を閉じています。

「眠ってる・・・?」


※続きは音声でご確認ください。

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Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会