Discoverオーディオドラマ「五の線」
オーディオドラマ「五の線」
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オーディオドラマ「五の線」

Author: 闇と鮒

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ある殺人事件が身近なところで起こったことを、佐竹はテレビのニュースで知る。
容疑者は高校時代の友人だった。事件は解決の糸口を見出さない状況が続き、ついには佐竹自身も巻き込まれる。石川を舞台にした実験的オーディオドラマです。
※この作品はフィクションで、実際の人物・団体・事件には一切関係ありません。
※不定期ですが地味に更新してまいります。こちらはポッドキャスト専用ブログですので、テキストデータはウェブサイトにあります。http://yamitofuna.org
99 Episodes
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66.mp3【お知らせ】このブログは「五の線リメイク版」https://re-gonosen.seesaa.netへ移行中です。1ヶ月程度で移行する予定ですのでご注意ください。【公式サイト】http://yamitofuna.org【Twitter】https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVMご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。すべてのご意..
65.mp3【お知らせ】このブログは「五の線リメイク版」https://re-gonosen.seesaa.netへ移行中です。1ヶ月程度で移行する予定ですのでご注意ください。【公式サイト】http://yamitofuna.org【Twitter】https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVMご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。すべてのご意..
【お知らせ】このブログは「五の線リメイク版」https://re-gonosen.seesaa.netへ移行中です。1ヶ月程度で移行する予定ですのでご注意ください。【公式サイト】http://yamitofuna.org【Twitter】https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVMーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー64.mp3本多慶喜は12畳ほどの広さの専務室にある革張りの自席に座った。ため息をついたところで懐にしまっていた携帯電..
63.2.mp3【お知らせ】このブログは「五の線リメイク版」https://re-gonosen.seesaa.netへ移行中です。1ヶ月程度で移行する予定ですのでご注意ください。【公式サイト】http://yamitofuna.org【Twitter】https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVMご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。すべての..
63.1.mp3「何で電話かけてくるって?そりゃあお前、おたくの理事官さんが帳場のことはお前に聞けっておっしゃっていらっしゃったからやわ。あ? ほんなもん知らんわいや。こっちが聞きてぇわ。お前こそあいつにいらんことちゃべちゃべ喋ったんじゃねぇやろな。あ?…喋っとらん?…そうなんか…。」会話の内容から電話の相手は岡田であることがわかる。片倉は県警で松永と出くわした。出くわしたというよりも、松永が片倉をつけていたと言った方が表現が適切かもしれない。松永の口から岡田の名前が出たため..
【お知らせ】このブログは「五の線リメイク版」https://re-gonosen.seesaa.netへ移行中です。1ヶ月程度で移行する予定ですのでご注意ください。【公式サイト】http://yamitofuna.org【Twitter】https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVMご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。すべてのご意見に目を通さ..
【お知らせ】このブログは「五の線リメイク版」https://re-gonosen.seesaa.netへ移行中です。1ヶ月程度で移行する予定ですのでご注意ください。62.1.mp3「失礼します。」木製の重厚感ある扉を開いて佐竹は入室した。彼の目の前には仕立ての良いスーツを見に纏い、窓から外を眺める本多善昌の姿があった。本多善昌は衆議院議員本多善幸の実子である。本多善五郎が築き上げた裕福な生活基盤を受け継いだ善幸は一人息子である善昌を殊の外かわいがった。ありとあらゆるものを買い..
61.mp3松永は自席に座って右脚を小刻みに動かしていた。「連れてきました。」一見するとヤクザかと思われる迫力の風貌をもった男が松永の前に立たされた。「組織犯罪対策課の十河と申します。」「そこに掛けろ。」松永の向かい側の座席に座った十河は、そこに広げられている穴山と井上に関する資料に目を通し始めた。「どうだ。なにか分かるか。」十河は資料にさっと目を通して松永の問いかけに即座に答えた。「ポンプ(注射器)が確認されますね。突きですからシャブ(覚醒剤)です。シャブとなるとこの辺りで..
60.mp3店の奥にある畳敷きの文子の部屋で古田と片倉は彼女と向かい合っていた。「当時のことは剛志さんからお聞きしました。」「そうですか。」「単刀直入にお聞きします。文子さん。あなたは500万の口止め料を貰いましたね。それは誰からのものですか。」「剛志から聞いたでしょう。コンドウサトミという人です。」「いえ、私がお聞きしたいのはあなたが口止め料を振り込むようにと依頼した人です。コンドウサトミさんではありません。」文子は古田の言葉に黙ってしまった。「忠志さんは口止め料の受け取り..
59.mp3金沢の南町に居を構える金沢銀行。大正期に当時の著名な建築家の手によって建てられた石造りの重厚な外観は権威的でもあり、その中も当時の面影を色濃く残した作りとなっている。10メートルほどの高さを持った一階営業店フロアは圧巻であり、中でもその背後の中央から左右に別れるように広がる階段は翼を広げた鷹を彷彿させ、来店する皆を圧倒する迫力を持っていた。金と権力が集まる石川県の第一地銀金沢銀行の中枢には、この階段を登って行かねばならない。赤絨毯が敷かれた階段の先には役員と関係者..
58.mp3「何だって?お前はその刑事にそんなこと言ったのか。」「ああ。」「まったく何てことしてくれたんだ。」「なんだよ。聞かれたことをその通り話して何が悪いんだ。」「あのなぁ。俺はお前とは連絡とって無いって言ってしまったんだぞ。あぁ辻褄が合わなくなってるじくるじゃないか。」「はぁ?なんでそんな嘘をつく必要があるんだよ。」「いや…。」確かに佐竹のいう通りだ。村上は佐竹に余計な面倒をかけたくないとの気持ちから片倉に嘘の答弁をした。警察から事情を聴取されたという佐竹からの連絡もな..
57.mp3人気が少なくなったロビーの雑誌類を整理していた佐竹は、店内に設置されたデジタルサイネージに目をやって今の時刻を確認した。そろそろ休憩をとっても良い時間だ。一足先に休憩に入っている橘はもうしばらくすればここに戻ってくる。彼の帰りを確認して自分も休憩をとろう。そう思いながら佐竹はひと通り店内を見回した。彼が店内奥の職員通用口に目をやった時に、その扉は開かれた。「支店長。」山県は羽織っていたコートを脱いで、そばにあるコートハンガーにそれを掛けた。支店長の決裁を求める稟議..
56.mp3「松永…。」片倉の前方10m先にはコート姿の松永が立っていた。「お前、そこで何をしている。」そう言って松永はこちらに歩いてくる。「おい、片倉。松永か。まつ…。」電話の先で声を発する古田を遮るように、片倉はそれを切った。「やれやれ。ちょっとは大人しくしていてくれればいいものなんだが…。」松永は伸びきった自分の髪の毛を掻きあげた。「ちょろちょろちょろちょろネズミが動きまわって目障りなんだよ。何を調べていた。」「別になんでもいいだろ。あんたこそなんでこんな所におるんや。..
55.mp3携帯電話の音がなった。胸元にしまってあるそれを取り出して、片倉は画面に表示される発信者の名前を見た。そこには古田登志夫の名前があった。「おうトシさん。」「片倉。なんやら次から次とどえらいもんが出てきたぞ。」「そうか。ちょっと待ってくれ。」そう言うと傍らの職員にしばらく離席する旨を伝え、彼は捜査一課から喫煙室へと移動を始めた。熨子山連続殺人事件の捜査本部は北署に設置されているが、県警本部との連携をとるために、ここにも連絡室なるものが設置されている。そのため県警本部全..
54.mp3事業所融資の稟議書をパソコンに向かって作成していた佐竹は行内にある時計に目をやった。時刻は11時を回っていた。目、肩、腰に疲労を覚え始めていた彼はいったん手を止めて、両腕を天井に向けておもいっきり体を伸ばした。その時、自席の後方に位置する支店長席を見ると山県の姿は確認できなかった。彼は朝から店を出たきりだ。連絡も何もない。「支店長まだ帰ってこんな。」自分の隣に席がある橘がつぶやいた。「そうですね…。あれから次長に連絡ありましたか。」「いや、何にも。」「融資部からは..
53.mp3「そうですか。その小西とかという目撃者の話によると、穴山と井上は18時の段階ですでに一緒にいたってことですね。」部屋の一角に設けられた会議スペース。大きなテーブルに様々な資料が雑多に置かれ、その中心に位置する席は主である松永が外出中であるため空席であった。関はその空いた席の横に座り、捜査員から上がってきた情報の取捨選択に暇がなかった。「目撃された田上から現場までどれくらいの時間がかかるんですか。」「30分から40分といったところでしょうか。」「ならば事件発生時刻ま..
52.mp3「コンドウサトミって誰ねんて…。」赤松剛志は誰に言うわけでもなく、コーヒーをすすりながら呟いた。「自分の頭のなかだけで考えとっても整理できん…。」そう言うと彼は胸元からヘミングウェイやピカソがかつて愛用していたメモ帳のようなものを取り出して、ペンを走らせ始めた。ー6年前の事件のことをここに書き出してみよう。赤松は父親の忠志を中心にしてそこから放射状に人物を書き出し始めた。先ずは6年前の事件の相関関係。マルホン建設とベアーズデベロップメント、そして本多善幸。その構造..
51.mp3駐車場に停めてあった自分の車に乗り込んで片倉は胸元からタバコを取り出しそれに火を着けた。助手席側には先程まで一緒にいた岡田が座っている。松永率いる捜査本部とは別に自分と古田が独自の捜査を行なっていることは極秘だ。このことが露見すると松永の叱責が自分に飛んでくることはおろか、命令を出した朝倉の責任も追求されよう。一緒に行動している古田も同様だ。片倉は村上から聴取した内容を頭の中で整理しながらタバコをふかした。「お前、どう思う。」「どうって言われても、正直課長が何を聞..
50.mp3「少しだけお話をしたいんですよ。」本多事務所の受付の女性に名刺を渡して、片倉はその中の様子を伺った。名刺を受け取った女性はそれに目を落とした。そして怪訝な顔つきでその名刺と片倉の顔を何度か見合わせた。「どうしました。」「警察の方なら今村上が対応しています。」「は?私じゃなくて?」「ええ。」ーしまった。帳場の捜査とかち合った。…こうなったら一か八かだ。「それは失礼。」そう言うと片倉は女性の手にあった名刺を奪った。「私はその人間の監督をする立場の者です。事務所の前で待..
49.mp3文子は固唾を呑んだ。「忠志さんは知ってしまったんです。指定暴力団の仁熊会が公共事業に関する用地取得に深く関わっていることを。それもこの開発目覚しい田上地区に関する用地取得。そしてこれから本格着工される北陸新幹線沿線の用地取得についてです。用地取得にありがちな不正は、地権者が取得者に対して賄賂を送って、その査定に便宜を図るよう依頼するというものです。これだけなら話は簡単です。」彼女はだまって眼鏡の奥に光る一色の目を見ている。「忠志さんが知ったのは用地取得に関する複雑..
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