Ep.728 DeepSeekが放つ年末の衝撃弾「V3.2-Speciale」──GPT-5超えを謳う“純粋思考”モデル(2025年12月4日配信)
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2025年も残すところあと1ヶ月となった今日、12月1日。中国のAI企業DeepSeekが、またしても業界を震撼させるニュースを投下しました。Hugging Faceで公開されたのは、彼らの最新シリーズ「DeepSeek-V3.2」。その中でも特に注目すべきは、「Speciale(スペチアーレ)」と名付けられた特別版の存在です。
この「DeepSeek-V3.2-Speciale」が掲げたベンチマーク結果は衝撃的です。なんと、OpenAIの「GPT-5」を上回り、Googleの「Gemini-3.0-Pro」と対等に渡り合える推論能力を持っているというのです。特に、今年の国際数学オリンピック(IMO)と国際情報オリンピック(IOI)の両方で「金メダル」相当の成績を叩き出したとされており、その論理的思考力は、もはや人間のトップ層すらも凌駕しつつあります。
技術的なブレイクスルーの鍵は、「DSA(DeepSeek Sparse Attention)」と呼ばれる新しいアーキテクチャにあります。これは、膨大なデータの中から必要な情報だけを効率よく拾い上げる技術で、これによって長い文脈を理解する際の計算コストを劇的に下げつつ、精度を維持することに成功しました。
しかし、このSpecialeには非常にユニークな「割り切り」があります。それは、「ツール機能を持たない」ということです。最近のAIは、Web検索をしたり、コードを実行したりと「手足」を使う方向に進化していますが、このSpecialeはあえてその機能を削ぎ落とし、ひたすら「脳みそ」の深さを追求しました。DeepSeekのモデルカードには「深層推論タスク専用であり、ツール呼び出し機能はサポートしていない」と明記されています。
つまり、DeepSeekは「何でもできる便利屋」ではなく、「部屋に籠もって難問を解く天才数学者」のようなAIを世界に公開したわけです。米国勢が汎用性を目指す中で、あえて「純粋思考」に特化して性能競争を挑む中国勢。この年末、AIの覇権争いは新たなフェーズに入ったと言えるでしょう。




