Discover名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストEp.738 AIの“予言者”が心変わり?──イリヤ・サツケヴァーが認めた「巨大化の限界」(2025年12月4日配信)
Ep.738 AIの“予言者”が心変わり?──イリヤ・サツケヴァーが認めた「巨大化の限界」(2025年12月4日配信)

Ep.738 AIの“予言者”が心変わり?──イリヤ・サツケヴァーが認めた「巨大化の限界」(2025年12月4日配信)

Update: 2025-12-03
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本日は、AI業界にとってある意味で「信仰の揺らぎ」とも言える大きなニュースを取り上げます。The Informationの報道によると、かつてOpenAIでGPTシリーズの開発を主導し、「モデルは大きければ大きいほど賢くなる」という“スケール則”を誰よりも信じていたイリヤ・サツケヴァー氏が、その考えを大きく転換させたようです。


イリヤ氏は現在、自身の新会社SSIで安全な超知能の開発に取り組んでいますが、周囲に対し「単に巨大なデータセンターを作って事前学習の規模を拡大するだけでは、もうこれ以上の劇的な進化は望めない」という趣旨の発言をしていると報じられました。 これは衝撃的です。なぜなら、彼こそが「もっとデータを!もっとGPUを!」と叫び続け、今の生成AIブームの基礎を作った張本人だからです。その彼が、「従来のやり方(事前学習の拡大)はプラトー(高原状態)に達した」と認めたことになります。


背景には、良質な学習データの枯渇や、電力・コストの限界があります。では、AIの進化は止まってしまうのでしょうか? そうではありません。イリヤ氏や、OpenAIの最新動向(o1モデルなど)が示しているのは、「知識の詰め込み」から「思考力の強化」へのシフトです。これを「Test-time Compute(推論時計算)」と呼びます。 これまでのAIは、試験前に教科書を丸暗記する(事前学習)ことに全力を注いでいました。しかし、これからのAIは、試験中にじっくり時間をかけて問題を解く(推論時計算)能力を伸ばす方向に進むのです。


「ただ大きくすればいい時代」は終わり、これからは「どう賢く考えさせるか」という、より人間的な知能の質が問われる時代に入ったと言えるでしょう。イリヤ氏の転向は、その新しい時代の幕開けを告げる象徴的な出来事です。

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ikuo suzuki