Ep.739 Databricks、企業価値20兆円へ──Snowflakeを超える“AI時代のデータ基盤”の王者(2025年12月4日配信)
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未上場のテクノロジー企業として、今最も注目を集めているDatabricksが、驚異的な数字を叩き出そうとしています。The Informationの報道によると、同社は現在、新たな資金調達に向けた協議を行っており、その企業価値はなんと1,340億ドル、日本円にして約20兆円に達する見込みです。
これは単に「すごい金額だ」という話では終わりません。この数字は、ライバルである上場企業Snowflakeの時価総額を大きく上回るものであり、データインフラ市場の王者が交代しつつあることを象徴しています。 Databricksの好調を支えているのは、間違いなく「生成AI」の波です。企業がAIモデルを開発・運用するためには、大量のデータを整理し、高速に処理する基盤が必要です。Databricksはこのニーズに対し、データの保管からAIモデルの学習までを一気通貫で行えるプラットフォームを提供することで、今年だけで売上予測を二度も上方修正し、前年比55%増という驚異的な成長を見込んでいます。
しかし、この急成長には「痛み」も伴っています。投資家向けの説明資料によると、同社の粗利益率は当初の計画である77%から74%へと低下する見通しです。 なぜ売上が伸びているのに利益率が下がるのでしょうか? それは、AIを動かすための「燃料代」が高すぎるからです。顧客がAIを使えば使うほど、Databricks側が負担するクラウドインフラやGPUのコストが膨れ上がり、利益を削ってしまうのです。これはDatabricksに限らず、現在のAI企業すべてが抱える共通の課題と言えるでしょう。
それでも、投資家たちがこの巨額評価を正当化するのは、Databricksが「次の時代のOS」になる可能性を秘めているからです。かつてPCの時代にMicrosoftが覇権を握ったように、AIの時代には「データとAIを最も効率よく扱える基盤」が全ての中心になります。 「利益率の低下」という成長痛を抱えながらも、ライバルを突き放し、前人未到の規模でのIPO(新規株式公開)へと突き進むDatabricks。その動向は、2025年のテック市場最大の関心事となりそうです。




