中国語の「n」と「ng」を聞き分けるコツとは?
Description
中国語の発音「n」と「ng」は、どちらも同じ「ん」の音に聞こえて困りますよね。
ですが、あなたも普段、この二つの音を区別して使っているんですよ。
両者の発音のポイントと、聞き分けるコツを紹介します。
日本語の「ん」は3種類ある
中国語の「n」と「ng」は、日本語で言うと「ん」の音に当たります。
日本人は「ん」の音を一種類しかないと思い込んでいますが、実は無意識に3つの「ん」を使い分けています。
日本語 | 発音記号 | 発音の方法 |
---|---|---|
本能(ほんのう) | n | 舌先を上の歯の裏に当てて発音する |
損害(そんがい) | ng | 舌先を下の歯茎につけて発音する |
乾杯(かんぱい) | m | 唇を閉じて発音する |
上の表を見てください。3つの「ん」は、それぞれ発音の方法が違います。
本来は違う音のはずなのに、日本人はこの3つの音をすべて「ん」という1つの音として認識しているんです。
レキオ
このうち、中国語では「n」と「ng」を使います(mはありません)。
例えば、fànとfàngでは、まったく意味の違う言葉になってしまいます。
中国語(日本語) | ピンイン | 音声 |
---|---|---|
饭(ごはん) | fàn | <canvas height="20px" id="esplayer_14" style="cursor: pointer; width: 80px; height: 20px;" width="80px"></canvas> <input id="esplayervar14" type="hidden" value="simple|esplayer_14|978b8b8fc5d0d092908b9ad29c9796919ed19c9092d0888fd29c90918b9a918bd08a8f93909e9b8cd0cdcfcec6d0cfcbd0165a52d1928fcc||80px|20px|5px|-999||-999|-999|0|false|false|false||100|||" /> |
放(置く) | fàng | <canvas height="20px" id="esplayer_15" style="cursor: pointer; width: 80px; height: 20px;" width="80px"></canvas> <input id="esplayervar15" type="hidden" value="simple|esplayer_15|978b8b8fc5d0d092908b9ad29c9796919ed19c9092d0888fd29c90918b9a918bd08a8f93909e9b8cd0cdcfcec6d0cfcbd0196b41d1928fcc||80px|20px|5px|-999||-999|-999|0|false|false|false||100|||" /> |
中国語には「n」「ng」で終わる単語がとてもたくさんあります。
両者を上手に使い分け、聞き分けられるようになれば、あなたの中国語力はググーンと向上すること間違いなしです。
上手に発音するポイント
まずは「n」と「ng」の発音のポイントを紹介します。発音の方法が分かると、聞き分ける力もアップしますよ。
「n」の発音方法
- 口をやや閉じ気味する
- 舌先を上の歯の裏に押し付ける
- 口内の前方部分で短めに「ン」と発音する
- 舌先で遮断された空気の流れが、鼻に抜ける
「ng」の発音方法
- 口を大きく開ける
- 舌先は舌の歯茎に付け、舌の付け根を盛り上げる
- 口内の奥の部分で長めに「ン」と発音する
- 舌の付け根で遮断された空気の流れが、鼻に抜ける
「n」と「ng」を聞き分ける4つのコツ
発音の方法は分かっても、実際に聞き分けるのは難しいですよね。両者を聞き分ける4つのコツを紹介します。
明瞭度で区別する
「n」は「ん」の音が明確で力強く聞こえます。一方、「ng」は「ん」がこもりぎみで、あいまいな響きに聞こえます。
長さで区別する
「n」は「ん」の音が短めに発音されます。一方、「ng」は「ん」の音が長めに発音されます。
前の音の変化で区別する
「n」「ng」の前に置かれる母音の音によって、聞き分けることができるケースがあります。下の例を聞いてみてください。
発音 | 聞こえ方 | 音声 |
---|---|---|
ian | イエン | <canvas height="20px" id="esplayer_16" style="cursor: pointer; width: 80px; height: 20px;" width="80px"></canvas> <input id="esplayervar16" type="hidden" value="simple|esplayer_16|978b8b8fc5d0d092908b9ad29c9796919ed19c9092d0888fd29c90918b9a918bd08a8f93909e9b8cd0cdcfcec6d0cfcbd0187c60d1928fcc||80px|20px|5px|-999||-999|-999|0|false|false|false||100|||" /> |
iang | イアン | <canvas height="20px" id="esplayer_17" style="cursor: pointer; width: 80px; height: 20px;" width="80px"></canvas> <input id="esplayervar17" type="hidden" value="simple|esplayer_17|978b8b8fc5d0d092908b9ad29c9796919ed19c9092d0888fd29c90918b9a918bd08a8f93909e9b8cd0cdcfcec6d0cfcbd01a5b51d1928fcc||80px|20px|5px|-999||-999|-999|0|false|false|false||100|||" /> |
発音 | 聞こえ方 | 音声 |
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en | エン | <canvas height="20px" id="esplayer_18" style="cursor: pointer; width: 80px; height: 20px;" width="80px"></canvas> <input id="esplayervar18" type="hidden" value="simple|esplayer_18|978b8b8fc5d0d092908b9ad29c9796919ed19c9092d0888fd29c90918b9a918bd08a8f93909e9b8cd0cdcfcec6d0cfcbd0197e56d1928fcc||80px|20px|5px|-999||-999|-999|0|false|false|false||100|||" /> |
eng | オン | <canvas height="20px" id="esplayer_19" style="cursor: pointer; width: 80px; height: 20px;" width="80px"></canvas> <input id="esplayervar19" type="hidden" value="simple|esplayer_19|978b8b8fc5d0d092908b9ad29c9796919ed19c9092d0888fd29c90918b9a918bd08a8f93909e9b8cd0cdcfcec6d0cfcbd016615ad1928fcc||80px|20px|5px|-999||-999|-999|0|false|false|false||100|||" /> |
母音「a」「e」がそれぞれ違う音のように聞こえますよね。これは「n」の「舌先を歯の裏に付ける」という動作に引きずられて、母音の音が変化するためです。
リスニングする時だけでなく、発音する時にも気を付けたいポイントです。
文脈で理解する
これまで両者の違いをさんざん説明してきましたが、実はこの二つは厳密に聞き分けられなくてもリスニングにそれほど困りません。
なぜなら、話の文脈で単語の意味が推測できるからです。
例えば、冒頭で紹介した饭(fàn)と放(fàng)は、どちらも「ファン」と聞こえるので、単体では聞き分けることが難しいかもしれません。
ですが、吃(食べる)という言葉の後に発音されれば、「ごはん」を意味する「饭」のことを言っているのは明らかです。
「n」と「ng」の聞き分けに力を割くよりも、全体として何を言っているのかを理解する力を養うほうが効率的といえるでしょう。
究極の対策?「気にしない」
さらに、身も蓋もないことを言うと、実はすべての中国人が「n」と「ng」を区別して話しているわけではありません。
両者を区別して発音するのは、主に北方系の人々といわれています。南方系の人は日本人と同様、「n」「ng」をあまり区別することなく使います。
ネイティブでさえ区別できない発音を、「うまく聞き取れない…」と悲観するのはナンセンスといえるかもしれません。
耳が慣れてくれば自然と聞き分けられるようになるので、焦らずじっくりと取り組みましょう。
まとめ
「n」と「ng」を上手に使い分けるには、たくさんの中国語を話したり、聞いたりすることが不可欠です。
今回紹介したようなポイントに注意しつつ、ネイティブによるさまざまな発話パターンを聞いてみてください。
ただ、発音に関しては、自分がしっかり使い分けられているかを客観的に判断するのは難しいものです。
そんな人は、一度、ネイティブにチェックしてみてもらいましょう。お墨付きを得られれば、自分の発音に自信が持てるようになりますよ。